■ strawberry ■ 作者/碧琶 ◆xfa1dsRBJk

◆strawberry12...傍に居るから
ギィ・・・・・・
体育館の古くて重たいドアを開け、優斗を探す。
これが私の日課となった。
ただ、今日は部活の話しが長引いた為かバスケ部は既にミーティングの時間だった。
――笹倉先輩だ
丁度そのとき、部員にタオルを配っていた。
笹倉先輩は、男バスのマネージャーをやっていて凄く美人。
ストレートの髪の毛も、綺麗な顔立ちも、抜群のスタイルも運動神経も。
学力は分からないけど、多分良いはず・・・
とにかく、去年部活をやめた時の運動部からの勧誘が凄かったらしい。
私が思うに、笹倉先輩が部活をやめたのは――・・・慧君を好きになったからだと思う。
本当、慧君はどこまでもてるんだろう――・・・
と、考え事をしていた時、後ろから頭を軽くたたかれた。
「痛あっ」
と思わず口に出る。
振り返ると、優斗だった。
「ごめんごめん」
と、いつものように笑った顔で髪の毛をくしゃっと撫でた。
結っていた髪が、少しだけぐしゃぐしゃになる。
「部室で、着替えてくるから」
優斗はそう言って部室へいってしまった。
体育館の中では、慧君と笹倉先輩が話をしている。
「今年はレギュラー入りしそうだねっ!!
慧は頑張ってるからアタシが保証してあげるー」
「ありがとうございます。
本当には入れたら凄く嬉しいんですけど・・・」
と、2人はこんな会話をしていた。
此処から見ると2人は凄くお似合いだ。
んー・・・何か複雑な心境かも。
ってか、本当お似合い・・・・・・
2人だったら理想のカップルって言うものに当てはまると思う。
――・・・私だって慧君のこと本気で好きだったよ
「待たせてごめんっ!」
と、制服に着替えた優斗が言う。
「えー?
全然待たなかったよ!
着替えるの早すぎ!!」
いつもなら、ううんって言ってそのまま帰るけど・・・
何か今日はもっと話しをしたいなって思った。
付き合って間もない頃は凄く緊張したなあ・・・
今はもう優斗が居ても全然緊張とかしなくて
大事に思ってくれる優斗にどんどん惹かれていった。
でも・・・それは慧君を忘れようと優斗を利用してしまっただけなのかもしれない――
ごめんね。優斗・・・・・・でも私、ずっと優斗の傍に居るって決めたんだよ――

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