■ strawberry ■ 作者/碧琶 ◆xfa1dsRBJk

◆strawberry7...過去2*想い
「由井・・・・・・
ちょっといい?」
翌日、俺は由井を教室の前の廊下に呼び出した。
苺は、まだ来ていない。
「わかった。
此処じゃなんだし、屋上で話さない?」
――そう言うと由井は1人で先に屋上へ行った。
俺も由井の後をついていく。
教室から出てすぐの階段を2回ほど上がったところで、屋上だ。
屋上に着くと、由井は黙り込んだままだ。
早く話しをするんならしてよ、という目でこっちを見ている。
「――苺の事なんだけど。
最近、変なんだよ」
この言葉を言った瞬間、由井が吃驚したような目で俺を見ていた。
――・・・何なんだよ?
「・・・私、あんたが苺の様子に気付いてないと思った。
異変に気付くって事は、苺のこと愛してるからでしょ?
・・・・・・あんたなら苺を守れそうだから話す。」
最初、意味がわからなかった。
守れそう?
どういうことだよ・・・・・・?
俺が返事をしないうちに、由井は話しを続ける。
「――・・・苺さ、今夢原に虐められてるんだ。
夢原、あんたの事好きみたいで、苺に嫉妬してて・・・
それが苺の異変の一番の理由だと思う。」
虐められてる?
何だよ・・・それ――・・・・・・
あんなに明るく振舞っていた苺が?
――辛い・・・よな
多分苺は、昨日帰るとき夢原が見てるかどうか確認してたんだ。
「・・・・・・俺なりに対処するよ。
教えてくれてありがと」
それからの授業は全く手つかずだった。
集中できないし――・・・
〝苺が、無理している〟そう思うと、まともに接することも出来なくて・・・・・・
不器用すぎる自分が嫌になる。
苺の素直さに答えられない自分が一番嫌だ。
俺――苺と出会って、少しくらいは変われたのかな。
苺の真っ直ぐすぎる位の想い、受け止めたい。
――苺に愛されるのは俺でありたい。

小説大会受賞作品
スポンサード リンク