■ strawberry ■ 作者/碧琶 ◆xfa1dsRBJk

◆strawberry9...何時の日か
「佐渡、何班?」
高野が一生懸命聞いてくる。
・・・――うっとうしい
「7班」
すると、高野は残念そうに「俺、1班・・・変な奴と一緒だったら嫌だなー」と呟いた。
「こっ・・・黒板に、班ごとに分けてネームはってください!」
黒板の前では委員長の吉田が声を張り上げて一生懸命訴えている。
だが誰も耳を傾けようとはしない。
皆、お互い何班か聞きあって、嬉しそうな声もあれば、残念そうな声だって聞こえてくる。
――時間の無駄。
ガタッ
俺はわざとらしく大きな音を立てて席を立った。
そのままネームを持ち、黒板にはる。
そして自分の席へ真っ直ぐ戻った。
すると、前の席の俺の親友――・・・渡辺翼が振り向いた。
「何!?お前なんか今の格好良くね!?
女子に惚れられるって!!告白されたらOKすんの?
俺も真似しよっかなー・・・なんちゃって!!」
・・・・・・は?
「別にそんな訳ねーし。
もし告白されたら全部断る」
俺はまだ苺意外には興味なんて――
「あの子以外には興味ない??」
翼は、にやにやした顔で俺に聞いてくる。
「まー・・・まだ忘れられないけど」
俺がこう言うと翼は哀しそうな顔になった。
「お前も早くいい恋しろよ」
〝いい恋〟なんてまだ出来るような気持ちではない。
翼の気持ちは痛いほど伝わってくる。
親友だからこその、思いやり。
俺もいつかそんな思いやりの言葉を誰かにかけてあげたい――
何時の日か――・・・愛しい人に。

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