■ strawberry ■ 作者/碧琶 ◆xfa1dsRBJk

◆strawberry10...好きでいさせてほしい



「黒板みれよ!」

考え事をしていた俺は、翼の声で顔を上げた。
翼は、もの凄く興奮した様子だ。

何だよ、と思いつつ黒板にゆっくりと目を向ける。
と、ある所を見た瞬間目が点になった。

――・・・ある所とは、俺の班の列だ。
佐渡と言うネームの下には、〝菫野〟〝夢原〟と、ネームが2つとも丁寧にはられていた。
苺と一緒って言うのにも吃驚したけど、夢原が一緒ということにも吃驚した。

俺が苺を守らなければ、と言う思いで頭が一杯だ。
普段、冷静な俺でもさすがに混乱してくる。
まさかと思いつつも、翼の顔を見た。

案の定、翼も凄く驚いていて――・・・・・・
周りの鮮明な動きも、声も全部夢ではないということを証明してくれている。

「班ごとに固まって話し合いでもしてれー」

と、委員長に代わって担任が突然言ったから俺と翼はそれから何も話すこと無く別れた。
実際の所まだ心の整理がついてないから、少し不安だ。


――苺は俺と一緒の班になって嫌だったのかとか
そんなことを考え始めるときりがなくて

その度に胸の痛みも苺への想いもいっそ全部消えてしまえばいいと思った事だってある。
だけどそれは今、俺には出来ないから――・・・・・・

  
 だから、せめて諦め切れるまで――好きでいさせてほしいと思ってしまう。