戦いは終わらない-D.Gray-man― 作者/黒露 ◆KandaS7iF.

「此処が貴方の部屋よ、ソロウ。」

◆8◆[鏡の中]



      「此処がですか?」

   ゆっくりと荷物を置く。

   つい今さっき、ヘブラスカさんにシンクロ率を調べてもった後、リナリーさんに連れられ、色々な所を回り、そして自室へ来た。

    「そうよ?どうかした?」

   黙って部屋を見渡すと、奥に一つ大きな鏡が在った。
   
   「リナリー、あの鏡、取り外せませんか?」

   「アレはね、今はもう逝ってしまったんだけど―・・昔のエクソシストが気に入って付けていた物よ?気に入らない?」

   「あ、いや―――・・そうじゃなくて―・・」
  

   少し、鏡の表面が揺れた気がした。

   「何でも無いです、有難う御座いました。」

   「・・・? ・・・あ、じゃぁ用事とか聞きたい事があったら直ぐ呼んで?それじゃぁ。」

    リナリーさんはそう言って向こうの廊下に消えた。


    黙って、扉を閉めた。

   そして、後ろの鏡を見る。

    黙って、見つめた―――・・

      ユラユラ・・・・

    ズブッ――・・・

   いきなり鏡から手が出る。

   そして腕―・・・そして―・・・


     「やっほぉ♪ソロウ??」

    「ロー―・・・ゼッ―・・・・」

  
   目の前に居る人は正しく、自分の双子の姉、ローゼ。

    「・・・・・・ッ何しに来た。」

   「あ―ら??何よぉ、久しぶりなのにィ。」

   「・・・五月蝿い・・」
  
    そう言ってソロウは拳を固めローゼに殴りかかる。

   だがローゼはそれをいとも簡単に避ける。

 行く場を失った拳はそのまま床に転げる。

  「無理よぉ、今アタシは意識体なんだから。触ろうとしても触れない・・っって事。」

   ソロウはローゼを睨む。


   「それにしても・・・結構アンタキャラ変えたのねぇ?私と居る時とは全く別人よぉ♪敬語なんて使っちゃってv」

   「・・・・・そっちは普通に過ごしてるみたいだな。」

   そう答えるソロウの口調は変わっていた。

   ソロウの瞳は、闇の中で真っ直ぐにローゼを睨んでいる。

   
   「ん?ま―・・・そうねぇ・・」

   一方、ローゼは楽しそうに微笑む。

   その笑顔を、月に照らされいる。

    「・・・・・何の用だ。」

    ソロウは黙って左手を握り締める。

    「アンタの苦しむ姿が見たかっただけ♪」

    ローゼはそう言うと一つの蝋燭を取り出す。

    いきなり、蝋燭をソロウに向ける。

         シュッ――・・

   いきなり、ソロウの頬に赤い血が飛ぶ。

   頬には切り傷が出来ていた。

   「・・・・・何でアンタはいつも幸せそうなのかしら。」

   ローゼは憎しみがこもった表情で言う。

   「いつも・・・いつも・・」
   ゆっくりと近づく。

     「 消 え れ ば い い の に 。」

    ローゼはそう言って蝋燭を振り上げ――・・

      コンコン・・・・

   「ソロウ?早速で悪いけど任務で兄さんが呼んでるの!!来てくれる??」

   「あ、はい・・・」

   ローゼはチッ・・と軽く舌打ちをすると鏡に入り込もうとする。


    「最後に言っとくわ――・・・

    アタシは

    アンタを許さないから。」

   そう言って、鏡の中に消えた。

   「・・・・・・ッ」

   言葉が、出なかった。

         +

   「中国??」

   ソロウが奇声をあげる。

   隣のソファーには、左から順に、リナリー・アレン・神田と続いていた。

   「何でモヤシと・・・」

   「何でパッツンと・・・」

   「もう!!文句言わないの二人とも!!」

    「そうだよ、今回は少し奇妙な事件・・でね。」

   コムイが手元の紙を渡す。

   「実は、中国の華蝋と言う町の、北の主、玄武に、東の主、青龍・・・などの主達が次々と砂になって消えるという事件が起こっているんだ。」

   「・・・・・・アクマか。」

  神田が呟く。

    「そうだよ、だから君達4人には行ってもらう。」

   「分かりました。」

   「向こうに行くのは明日の早朝だからね。じゃ、宜しく。」

    任務―――か。

   ソロウは黙って席を立った――――