イナイレ*最強姉弟参上?!*

作者/ 伊莉寿



第58話 消えない闇、闇の中に光は生まれず



立ち去る流星大翔を乗せたパトカー。見送りが終わり、瑠璃花と蜜柑は話していた。

瑠「蜜柑ちゃんは、何でお父さんと手を組んでいたの…?」

最後には自分で潰してしまった。ならば手を組んでメリットはあったのか。

愛「あの手紙を届けて大翔さんと瑠璃花ちゃんをその気にさせれば、瑠璃花ちゃん絶対勝ちあがって来たでしょ?」

蜜柑がにっこりとほほ笑みながら言う。

愛「勝ちあがって来てくれないと、私が困るんだもん☆」

そう言って蜜柑は近くにあったパトカーに乗り込む。瑠璃花が吃驚して後を追おうとするが、パトカーは去ってしまった。

警官が驚いている。何が起きているのか、分かっていない様だった。

少し離れた所で、円堂が瑠璃花を呼んでいた。魁渡が駆け寄って来る。もう帰るらしい。

混乱する頭で、瑠璃花は歩こうとして、大事な事を思い出した。

瑠「…魁渡、荷物置きっぱなし!!!!」

魁「…あ。」

こうして2人は、マグニード山の中へ引き返す事になった。



愛「愛姫蜜柑、任務達成しました!!」

?「よろしい。全く君には助けてもらってばかりですよ。」

パトカーの中で蜜柑は運転席の男に話しかけていた。このパトカーは本物を改造した物で、警察の持ち物では無い。

愛「…あと、幾つ任務を達成したら、その…。」

?「まだまだありますよ。」

蜜柑が項垂れる。悔しそうに、膝の上にある自分の拳を見つめる。

運転席の男が微笑した。

彼女の闇は、まだ晴れてはいない…。



瑠「ラティア、また会おうね!」

魁「マジでお前どうやって来たんだ?」

ラ「そこは御想像にお任せするわ。」

全員が心の底から気にする所である。

色々あったが、とりあえず海外組は、自分たちのエリアに帰る事になった。

円堂とフィディオは決勝での再会を約束していた。瑠璃花は、少し複雑な気持ちでそれを眺める。

自分の右手を見た。ロココと、決勝で会おうと握手を交わした右手だ。

そう、もしも約束したって、勝負の世界で全部の約束が守られるなんて絶対にないのだ。

前へ進むしかない。

全力を出し切って、その時に守られるか、破られるか…。


テ「瑠璃花、来たよ☆」

瑠「わあいっ♪…ってえええ??!」

翌日から始まった普通の練習。マーク達も含めて指導が始まった。

テ「次はザ・キングダムだね!」

マ「ブラジル代表か。」

円「ロニージョってやつ強いよな!」

魁「ぜってー勝たせるから!!」

久遠監督が集合をかける。午前中の練習終了だ。


?「修也君が言ってたの、此処だよね…。」

小さな小学生らしき少女が、宿舎の前に立つ。

?「ガルシルド…許さないんだから…!!」

毛糸のニット帽をかぶった少女が、拳を震わせた。