イナイレ*最強姉弟参上?!*

作者/ 伊莉寿



第66話 うっかり者な姉弟



瑠「ふぁぁ…」

皆さんおはようございます…流星瑠璃花です。

最近風邪をひいてしまい熱が38度近くある日が数日続いたのですが…今日は何だか体が軽い…。

直ぐに体温測りたいけど寝起きの体温は当てにならないからってお医者さんに言われて…どうしよう、まだ朝早いよね…

視界に入ったのは目覚まし時計。

短針が示すは3。長針が示すは12。

つまり、現在は朝の3時。…これには、もの凄くびっくり。すっかり目が覚めてしまっている。

1日のほとんどをベッドの上で過ごしていたらこうなるのでしょうか?

とにかく、眠れそうにない私はベッドから降りて、何かする事が無いか探検に向かった。


なかなかする事は見つからない…。

が、その時ある部屋が目に入った。扉をゆっくり音を立てない様に開ける。

月光を浴び、黒く輝くピアノ。

目を見開いた。そういえばピアノあったよ、今まで何彷徨っていたんだ自分!!

椅子に座ってピアノを開く。白と黒の鍵盤が目に入り、テンションが上がりました!うっれしい!!

音を消して、ヘッドフォンを耳に着ける。中央のファに右手の親指を乗せた。深呼吸して、左手も鍵盤の上に乗せる。

ゆっくりしたテンポでしか弾けないけど、暗譜できたワルツレント。

鍵盤を押せば、体中に響くメロディー。それを心地よく感じながら、最初からもう一度弾き始める。

最後まで通して、もっと弾き込まないと!と感じ、突っかかってしまった所を弾き始めた。

4時半。また最初から弾こうと思ってハッとした。そしてお医者さんに見つかったら言われそうな事を想像してみる。

病人がこんな時間に1時間半も何してたんだ!!!

……あは☆


階段を上って自分の部屋に戻ると、また布団をかぶって目を閉じる。そんな簡単に眠れる訳無いと思っていたが、直ぐに眠りに落ちていた。

目を開ければ、窓から差し込む明るい日の光。

カーテンを開け、青空を見ているとドアがノックされた。

とっさに目覚まし時計を見て、納得した。時間は7時過ぎだった。マネージャーさんかな。

秋「おはよう瑠璃花ちゃん。調子はどう?」

優しい声をかけてくれた秋さん。私は昨日より全然いいです、と答える。

ワルツレントをあんなに練習して体に異常は無かったから、かなり調子は良くなってるはず。

瑠「早く練習に戻りたいです…。」

秋「瑠璃花ちゃん、ちゃんとお医者さんの言う通りに過ごしてるもの。きっとすぐに治るわ。」

そう言って体温計と朝食と紙マスクを、ベッドの脇の机の上に置いた。こんなに迷惑かけて…本当に申し訳ないです…。

秋「あ、そういえば今日お見舞いが来てくれるそうよ!」

お見舞い?誰だろう…?

秋さんが出て行くと、とりあえず私は体温を測る事にした。

暫くぼ~っとしていると外からキャプテン達の元気な声が聞こえてくる。もう練習始まってるんだ、早いな。

ピピピピピ!!

瑠「…ゎっ!!」

新しい体温計は、早く測り終わった。37.5という数字が映し出される。

瑠「正常だね。」

下がって来てる…。


~魁渡side

メ「秋!瑠璃姉の様子は?」

練習が始まって30分位した頃、宿舎から秋が出てきた。俺の声を聞いたのか、小走りでフィールドまでやって来る。

秋「熱は下がってるけど、平熱からしたらまだ全然高いわ。まだ練習には参加できないって監督は。」

メ「…そっか。」

メテオファイナルストライク。あれをやるには瑠璃姉がいないと…。ってまだ瑠璃姉には言って無かったな、豪炎寺とやるって。

午前中の練習が終わったら言いに行くか。

と、フィールドのフェンスの前にリムジンが停まった。…ああ、見覚えがある車だ。

テ「メテオ!おはよう!!」

メ「おはようティアラ。今日は何しに…」

秋「ティアラちゃん!」

秋が走って来た。ユニコーンのジャージを着たティアラの後ろから、マークとディランも降りた。

すご。何かSPみたいだな、後ろの2人。

テ「今日は瑠璃花の見舞いに来たの!ほら、コトアールエリアで試合した時、瑠璃花と魁渡がいなかったから、秋に聞いたら熱出してるって言うから心配で…。」

メ「まぁ、瑠璃姉はアメリカに居た時は病気にかからなかったからな。」

そう、体調を崩すなんて今まででは考えられなかったから…。とか思ってたらディランがでっかいバスケットを車内から持ってきた。

布被せてるけど…すごい果物の香りが…

テ「秋、瑠璃花の所まで連れてって!」

秋「うん。」

テ「メテオは練習がんばってね!」

…バスケットでかいなぁ…パイナップル丸ごと一個見えたしオレンジ5個はあったし林檎とかその他諸々…

あれがクラリス家のお見舞い??

音「メテオ君、キャプテンが待ってるけど…。」

音無の言葉にハッとする。

シュート練の最中だった事、すっかり忘れてた…。


~瑠璃花side

目が覚めた。

窓から入って来る涼しい風。快適な室温。すっかり私は眠っていた。

今まさに、部屋の扉が閉まろうとしていた。ベッドの脇にある机を見ると、大きなフルーツバスケットが置いてあった。

瑠「…あの?」

声をかけると、ドアを閉めようとしていた少女が立ち止まった。よく見れば、見慣れた顔で。

テ「瑠璃花!」

瑠「ティアラ…」

頭がぼーっとする。何でティアラが居るんだろ。

テ「お見舞いに来たんだけど良く寝てたから^^;」

瑠「…ごめんね。」

テ「ううん!寝て治さないと決勝出れなくなっちゃうし。フルーツいっぱい持って来たから食べてね!」

確かにこの量は半端無いな…流石ティアラ^^;

でも私の好きなフルーツばっかり。オレンジとか大好物…見た事も無い高そうなフルーツも幾つか…。

テ「じゃあ私、帰るね。」

瑠「折角来てくれたのに、何かごめ…」

テ「謝らなくていいって!決勝、楽しみにしてるからねっ☆」

うん、と頷くと彼女は笑って部屋を出て行った。

お見舞いとか嬉しいな。でも、1人でずっと寝てるのって…あ。

朝御飯、食べるの忘れてた…