イナイレ*最強姉弟参上?!*

作者/ 伊莉寿



第68話 当日…。



その日は、憎らしい程の快晴だった。


FFI決勝―、イナズマジャパンVSリトルギガント戦。スタジアムは大いに沸いていた。

小学生連れも、その歓声の中に飛び込もうとしている。魁渡のFCメンバーだ。

鈴「…スゴ。」

歌「ラティア姉も来るって言ってるほどだから、相当凄いんだろうな。」

?「皆、雷光小学校の子?」

鈴音が振り向くと、藍色の髪をポニーテールにした中学生が立っていた。隣に金髪の人も見える。

知らない人にはついて行かない。

鈴「おい、行く…」

市「そっスけど。」

鈴(オイくそ餓鬼!)

?「やっぱり!隣は宮坂君、私は姫雷風花っていうの!風丸君の友達で、宮坂君は部活の後輩!!」

風「名前同じ…。」

姫「あのさ、小学生だけで迷わない?」

迷「…魁渡君。」

全員が迷を見た。突然「魁渡君。」なんて言ったら気になる。

彼女が見ていた方向はスタジアムの入り口。人混みの中で、橙色の短髪が見え隠れしていた。

魁「お前等、さっさと来い!」

玲「命令されたくないし…」

宮(いかにも不機嫌な顔してる…^^;)

人混みの中を抜けた魁渡が、駆け寄ると、迷がほら、という顔をした。あの中で良く見つけたものである。

蓮「この子がいるんで大丈夫です。」

姫「…そっか!ごめんね、余計なお世話だったね^^;」

宮「!もう試合始まる10分前ですよっ、風花さん!」

鈴(10分前で良く魁渡来たな。)

と、風花の携帯が鳴った。電話だったらしく「もしもし」と言って出る。

姫「イチロータ君?うん、スタジアム前だよ~!…差し入れは試合終わったら持ってくから、うん、打ち上げも多分やると思うし…はいはい直ぐ入ります…」

そして小学生ってタフだ。

彼女が電話を切った時、FCの小学生は誰もいなかった。



魁「ーったく、早く来いよな、俺ベンチスタートだけど選手なんだから!」

奏「ごめん、人混みに流されたり道に迷ったりして…^^;」

スタジアムの中、売店などがあるが、もう人は見当たらない。熱心なサポーターたちだ。

売店に出ているのはフランクフルト、かき氷、チョコバナナ、そして何故か…占い。本物の女性の占い師が構えていた。

鈴(気味悪、俺絶対こういう人にはなりたくない。)

魁(此処に占い師が必要なのか??)

と、ほぼ全員が気味悪がったりして、素通りしようという空気になった時だった。

占い師が、口を開いた。

占「そこのイナズマジャパンの選手の君。」

魁「???!」

突然呼び止められ、不思議そうな顔をして振り返る。占い師がじっとみていた。

占「君には悪い相が出ている。此処に居ると、必ず悪い事が起こるよ、帰りなさい。」

魁「…は?」

風「なっ、何それっ、魁渡に試合に出るなって事??!」

占い師が頷く。これには全員大反対で、怒って反論しようとしたのもいる。しかし魁渡が腕で制した。

魁「俺は悪い事があっても、跳ね返して見せる。だってこの試合で俺が出るのを、わざわざ見に来てくれたわけだし、それに相手チームに親友が居るんだ。強い奴とはサッカーしてみたいんだ、俺。」

そして満面の笑みで付け足す。

魁「だから心配すんなって!」

歌「心配してる訳じゃないと思うけど。」

魁「…るさい。」

と、スタジアムから男の声。試合前に色々FFIが言う事あるのだろう。

市「よし、チョコバナナ買うか。」

魁「はい??!」

市「案内よろ、魁渡。」

玲「わお、クレープもある!!」

魁「ちょっと待て俺は早く戻らないと…」

しかし、魁渡は少しの間、振り回されたのだった。

玲「チョコバナナも買…」

里「好い加減にしろ☆」


次の瞬間、スタジアムで話していたFFIの司会が銃声かと驚くほど、気持ちのいいハリセンの音が響いた。




テ「魁渡、遅かったね~☆」

瑠「FCの奴等、迎えに行くって言ってから随分たってるけど…」

円「魁渡!」

ベンチに戻ると、全員が心配してくれていたらしい、一部の人間に何か歓迎された。

マスク着用瑠璃花と、マーク客席において来ましたティアラは別として。

瑠璃花は今朝、37.5度でドクターストップがかかった。平熱より2度も高く完治していない、それにぶり返す可能性がある、という事だった。

そうすると決勝でメテオファイナルストライクは出来ない。魁渡は瑠璃花に謝られてしまった。

フュ「相変わらずベンチスタート?」

魁「!フュイ!!」

フェ「失敬な、俺も隣に居ると言うのに。」

フェイはむっとしている。魁渡が「悪い」と言った。

ベンチまでわざわざやって来た双子は、しっかりリトルギガントのユニホームを着ていた。

フュ「私とフェイは今まで試合に出せてもらえなかったから、いきなり本気だよ、後悔しないでね!」

魁「!」

瑠「…。」

フェ「どうしたんだ?」

瑠璃花が試合に出れないかも、と告げると双子は物凄く驚き、次の瞬間フュイは泣き顔になった。

喜怒哀楽が激しいフュイらしい。

フュ「何それっ、つまんない酷い絶対嫌だぁ…!!」

魁「そう言われましても。」

フュ「黙れぇッ!」

魁(ええええ…)

テ「賑やかだけど、ウォーミングアップそろそろ終わるよ?」

フュイは、泣き顔で去って行った。



瑠「私も、同じ…フュイと、言いたい事は同じ…。」

誰にも聞こえない様な声で、瑠璃花は呟いた。