イナイレ*最強姉弟参上?!*

作者/ 伊莉寿



第69話 最後の戦い‐VSリトルギガント



歓声に包まれていたスタジアムが、静まり返る。ホイッスルに耳を澄ますかのように。

フュイとフェイがFW、ロココはGKだ。試合前に重りを外したリトルギガントはやる気満々…。

イナズマジャパンボールで試合は始まった。

フュ「まずはお手並み拝見っ!」

豪「!」

フュイが豪炎寺の前に立ちはだかる。笑みを浮かべてボールを奪おうとするフュイとは反対に、豪炎寺は必死だ。

瑠「またテクニックが上がってる…」

魁「これはフュイの勝ちだな。」

フュ「ここっ!」

彼女の右足がボールを奪った。が、直後に来た鬼道をかわす時に集中力が切れたのか、吹雪にボールを奪われてしまった。

フュ「…この感じ、あの時の…、接戦の予感…?」

ファイナル・ザ・カオスの時に感じた予感。余裕のはずが、いつの間にか追いつかれて、ギリギリ越される…。

ロ「ゴッドハンドⅩ!」

フェ「DFライン固めろ!」

円「!?なっ、何だ?」

フェ「勝利は俺達が掴む。」

フェイが、イナズマジャパンの選手達を睨む。

ボールがフェイに渡った。と、ロココがゴールを離れ上がり出した。

スタジアムが沸き、イナズマジャパンメンバーが目を見開いた。GKのロココが何故上がるのかと。

テ「ロココが上がってるって…」

ラ「どうなるかしら。」

瑠「ラティア??!フィディオさんも…」

フィディオが苦笑した。

しかし、そうしている間に動いたらしい。歓声にハッとした瑠璃花達が慌てて視線をフィールドに戻す。

ボールは、ロココが持っていた。ゴール前に居る。

魁「MFが抜かれた??!でもまだDFはいる…」

ラ「シュートの様よ。」

ベンチが凍りつく。

ロ「Ⅹブラスト!」

フュ「ウィングシュート。」

イナジャパ全「え???!」

シュートチェインで速く強力になったシュート。円堂がゴッドキャッチに挑むも失敗。

ゴールネットが揺れた。先制点はリトルギガント。

フュ「良かった、ちゃんと実力上がってるね貴方。」

円「?」

フュイがロココを追いかけてゴール際を離れた。円堂は、悔しそうにフィールドの地面を叩いた。


ラ「あのウィングシュートをチェインしたシュートに反応できるようになってるのは、進歩ね。」

ベンチでラティアによる解説が行われていた。

魁「確かに、ファイナル・ザ・カオス戦の時は全員が目を見開いてた。それは見えなかったって事だろ。でもさっきキャプテンは技を出せた。」

瑠「フュイ、少しだけびっくりしてたね!」

瑠璃花が微笑む。

魁「…。」

隣で魁渡は、さっきの〝悪い相〟の事を話そうかとも思ったが、笑っている姉には言えなかった。



その後、どんなに攻めてもロココの鉄壁を破る事は出来なかった。瑠璃花が流石、と呟く。

秋「瑠璃花ちゃん、どうしたら破れる?」

瑠「え…やっぱり凄く強いシュート技を打つか、凄く速い、目に見えない様なシュートを打つとか…」

難しすぎるわ、と苦笑されてしまった。

瑠(やっぱりあの赤いマント目立つなぁ…)

もう試合に勝てないとか全く気にしなくなり、フィールドを見ていると鬼道の変わった格好が目に入る。

周りから見ると、ぼ~っとしている様にしか見えず、実際ぼ~っとフィールドを見ていた。

染岡が倒れた。ダブル・ジョーをまともに食らったのだ。

円「染岡っ!!」

ラ(あのFWが可哀想に見えてならないわ。)

テ(同感。)

魁「あの2人テレパシーで会話してんのか?」

瑠「…」

魁「?お~い。」

話しかけても反応しない瑠璃花の肩を揺らすが、反応が無い。

魁「おいっ!」

瑠「ほぇぇ??!あっ、魁渡。」

魁「老人か。」

瑠「…眠い。」

何だ眠かったのか、と一安心するが、眠気を覚まさないと試合に集中出来ないだろうと考え、魁渡は眠気を覚ます方法を考えた。



魁「…眠気覚ましに、聞いてくれる?」

テ「…!」

暗い声にティアラも視線を魁渡に向けた。瑠璃花は頷き、そして耳を傾ける。

魁「俺、悪い相が出てるって、だから帰れって占い師に言われたんだ―」

瑠「ッ!!!」

テ「スタジアムの中の占い師????!!!」

突然身を乗り出したティアラに魁渡は驚きながらも、コクンと頷いた。瑠璃花の顔から血の気が引いている。

テ「あそこの占い師…妙に当たるって評判で、私と瑠璃花、魁渡が戻って来る前に1回行ってみたの。」

ラ「非科学的な物、信じてるの?」

信じてるとかじゃなくて、とティアラが続ける。

そして、その直後の言葉に魁渡は耳を疑った。


テ「瑠璃花が、将来仲間と一緒に居たいなら…試合に出るなって…。」



魁「…!!!」

瑠「何か不気味で…だからっ、どうしたら良いのか分からなくて…。魁渡が言うまで忘れてたけどね。」

今日、姉弟して運が悪いねと苦笑して魁渡に言う瑠璃花。

魁「でも、俺は勝ちたいしフュイ達とサッカーをしたい!だから俺は絶対に試合に出る。瑠璃姉はどうする?」

覇気に溢れた表情で、瑠璃花に尋ねる魁渡。

瑠「…私…、魁渡と同じ!強くなったフュイ達とサッカーしたい!!」

テ「私も活躍みたいよ、瑠璃花!」

ラ「魁渡は出なくて良いけどね。」

魁渡の顔が一瞬にしてイラついた表情になる。しかしスルーし、姉に向かって笑顔を作った。

魁「俺、ラティアとケンカしてきて良いか?」

瑠・テ「だめ。」



虎丸が入り、円堂のゴッドキャッチ完成を待つ事になったイナズマジャパン。

魁渡と瑠璃花は、ただ見ている事しか出来ない…。