イナイレ*最強姉弟参上?!*

作者/ 伊莉寿



第74話 ラストゲーム・5~最後の得点~



テ「ドリブル…?」

冬「直ぐに必殺技でシュート、じゃないんだ…」

ゆっくりとドリブルをする瑠璃花を見て、ベンチは少し混乱していた。

ラ「必殺技はジャンプしたりするから簡単ではあるけれど、もしもノーマルシュートで得点しようとしているならドリブルでリズムを整える必要があるわ。」

テ「ノッ、ノーマルシュート??!」

ヒ「彼女らしいけど、相手が技を使う可能性は十分にある。…得点が目的では無…」

ヒロトが言葉を切る。

瑠璃花が右足を後方に引いた。シュートの体勢だ。

ラ「…本当に技を使わないつもりね。」

ラティアの言葉に、全員が無言で同意した。



~瑠璃花side

皆さんの応援…

それは心の底から力を沸きあがらせてくれる物。そして今までの想いを全てぶつけるの。

私は〝自分でシュートを決めたい〟…だから静かにしていて。

想いを気持ちを、すべてを力に変えて…どうしてだろう、右足が凄く軽い。

右足を引いて、私のシュートを体勢を作る。フェイが構えてる…ゴッドライトをする気かな。

そうだとしても良い、私のシュートの威力がそれを上回れば良いだけだから。

こうして私は、右足をボールにぶつけた。

空気をつんざき進むボールは、フェイのゴッドライトに激突した。…勝つのは、どっち??



~?side

?「見つけた…まだ未熟か?いや、一応は完成しているようだ…」

俺がようやく見つけた〝依頼されたモノ〟。前より成長してるな…しかし力の解放を防いでる。

厄介だ。

力を解放させるには…ああ、大事な存在を壊せば良い。

サッカーの試合とやらをやってるが、勝つのは〝依頼されたモノ〟の方だ。喜びに浸らせてから落とそう。

さっさと終われ。俺だって早く帰りたいんだ。



~フェイside

ゴッドライトで応戦するが…何でこんなに押されてるんだろう、あっちはノーマルシュートだというのに。

ルリカは地面に手を突き呼吸を整えている。疲れたらしいが…それだけの力が込められているという事。

フェ「ぐッ…」

―よし、来いルリカ!

何であの日の事が…あの時は負けたけど、それでも今は勝ちたいと思って…!自力で勝ちたいと思って…!!!

―だっ、大丈夫?!

…そっか。俺は精いっぱいやっても、まだ届かないのか。

ピシ、という音と共に光の壁に亀裂が入って行く。もう耐えられない。


腹にボールが当たった感覚。背中はネットに当たりバウンドした。

そして、スタジアム中に響き渡る、ホイッスルの音色。




瑠「フェイッ、だっ、大丈夫…?」

顔を上げれば、あの時と同じ様に、不安な表情でルリカがいた。やっぱり、こいつのシュートを受けると何時も同じ事が言いたくなる。

フェ「今のシュート、すげーな!」

瑠「…っ!」

ハッとして俺を見るルリカ。に、と笑って見せた。

瑠「…いつもと同じだね、フェイ。」

フェ「ルリカも変わらないな。」

差し出された右手に、俺の右手を重ねて立ち上がる。まだ、時間は残ってるらしい。


~ノーマル

ロ「あと1点!」

フュ「何としても前線にボールを繋いで!!」

リトル全「おう!!」

恐ろしい程に気合が入っているリトルギガント。イナズマジャパンも気合を入れ直さないといけない。

円「瑠璃花、ナイッシューだ!!」

メ「あとは、俺が全力で守りきる!!」

鬼「絶対に守りきるんだ!」

円陣を組んでそう言った時、監督が割り込んで言った。

指示を出す、と。

久「…楽しんで来い。」

瑠「!」

久「この試合が、イナズマジャパンのこのメンバーで戦う最後の試合になる。」

全員の目を見てそう指示を出した監督に、同意する様にメテオが続ける。

メ「…そうだな、守るとかそう言うより、何というか…。仲間で戦う、って意識を持ってやった方が、きっと後味も良いと思うぜ!」

瑠「勝つ、ではなく悔いを残さない。自分の出来る精一杯の事をして、試合を終えましょう!!」

イナジャパ全「おう!!/ああ!!」

瑠璃花がポジションに戻ろうとした時、後ろ髪を引かれるようにベンチを振り向く。

マネージャー達、ベンチの選手達、響木に久遠監督、ティアラとようやく来た保護者役のマーク、ラティアとフィディオ。

その後ろにも観客席で応援を送ってくれるサポーター達。日本で試合を見ている沢山のサポーター達。

…そうだ、そういえば…

瑠「メテオ、イナズマジャパンの記録作ってみない?」

メ「え?」

メテオの所まで行き、そう声をかけた瑠璃花。

瑠「キャプテンの試合で、唯一の試合に…」



やはりロココの突破は止められない。

ロ「真Ⅹブラスト!!」

ゴールとの間にフュイが立った。今までにないオーラを纏った右足で、ボールを蹴る。

フュ「ウィングシュート…V5!!!!!」

全「!!?」

さっきまでV2だったシュートが、いきなりV5に進化した。

メテオはあーあ、と呟いた。どうする?とも。

瑠「やるしかないよ、無茶だなんて言わせません。」

フュ「!?ルリカ、何時の間にそこにっ…」

前線に居たはずの瑠璃花がメテオの右隣に突如出現。行くよ、と声をかけて左足を引く。メテオは右足を。

瑠・メ「ユニバースブレイカーG2!!!」

全「なっ…!!???」

テ「ええ?!」

ラ「やってくれるわね、2人は…」


ボールは爆風を巻き起こしながらゴールに向かう。フェイがゴッドライトを改に進化させ挑むが、ロココとフュイのシュート、更にユニバースブレイカーを加えたボールである。


再びホイッスルが鳴り響いた。

今度は、2連続で。



一瞬の静寂。



実況「しっ、試合終了!!なんと、4-2と2点差でイナズマジャパンが世界1の座を掴みましたー!!!!」