イナイレ*最強姉弟参上?!*

作者/ 伊莉寿



第22話



瑠「…その女子が現れたところから、詳しく話して下さいますか。」

女「ええ。」

―あれは、35分ほど前。

私と近所の方と、商店街に買い物に来ていましたの。

お団子の所で足を止めたとき、ふっと気配を感じて…

女『…?』

?『ねえ…稲妻町の商店街…だよね。』

突然降ってきた声。黒と青と紅の、怪しげなローブを着た人が立っていたの。

フードからのぞくショートの金髪、声から女の子だと分かった。

?『多分40分位後かな、雷門中サッカー部来るから、伝言頼んで良い?』

何で分かっているのか、いつの間に来たのか。

それに、急いでいたから断ろうかと想ったら…

?『あなた達がいてくれたら、絶対くるから。』

くす、と少女は笑った。頭にきて叱ろうかとしたら、

?『私はフュイ。雷門中サッカー部にいる、瑠璃花さんへ。よそ見はしないで雷門中グラウンドへ行き、自らの力を試せ。私は・・・』

その時、初めて気がついた。両手に握られていた、不思議な缶に。

?『エイリアの仲間と共に、世界を手に入れるから、止められるものなら止めてごらんっ…てね。』

女『!!!エイリアって…!!』

?『あなた達が騒いでくれたらいいの。それだけで私達を手伝ってくれてる。』

エイリア。彼女は確かにそう言った。

缶を開け、指を鳴らすと不快な、なのに体の底から意味の分からない喜びが沸き上がってきて。―

女「狂っていた…あなた達には感謝してるわ。」

魁「そりゃどーも。そいつは確かに、フュイって名乗ったんだな。」

女性が頷いた。

瑠(エイリアの…仲間。フォッガー達の…仲間。あんな暴力的なサッカーをしていると言うの?)

円「もしかして…知り合いなのか?」

円堂が恐る恐る尋ねると、魁渡が無言のまま頷いた。

魁「バスの中で言っただろ、友達だ。エイリアに…狂わされた、な。」

瑠「あの霧をあんな風に使ったから…」

女「友達…??!あんた達、エイリアの仲間なの??!」

女性が悲鳴をあげ、後ずさる。瑠璃花は寂しそうな表情をしただけだ。

魁「勝手に言ってろ。だがな…」

魁渡は俯き、だが、力強い言葉で言う。

魁「俺等はこの国が好きだ、そしてあいつらの事も大切に想ってる。だから守るんだ。大事なものが傷つくのはもう…嫌なんだ。」

守れなかった。島が好きだった。ケンカしながらも、フュイとフェイは仲間だと想っていたから、大切な時間を過ごせた島が。

女性は、小さな声で謝った。真剣な態度、そして何より助けてくれた事を想って。

魁「悪いが、雷門グラウンドへ向ってもらう。」

壁「な、何言ってるんすか!」

瑠「フュイは、実際に霧を使って商店街の人達を狂わせた。もしも、病院とかに寄ったりしたら?」

全員が顔をしかめる。

病院内で霧を使われたら。東京に、全体的に使われたら。

魁「それにあれは、まだ濃度が薄い方だぜ。」

古「は、早く向うぞい!!」

豪「ああ、早くしないと…」

瑠璃花は申し訳ない気分だった。フュイ達の事をきちんと理解していたら。

そしたらフュイ達は島を出る事は無かったのではないかと。

魁「後悔してもしょうがないんだ。」

暗い表情でバスに乗る瑠璃花に、魁渡が声をかけた。

魁「まだ、勝負はこれからなんだ。」

瑠「…うんっ、そうだね!」

無理にでも明るくしてないと、これからを乗り切れない気がした。


キャラバンは行く。

だが、次の敵が彼らだとは、誰も予想していない事でした。