イナイレ*最強姉弟参上?!*

作者/ 伊莉寿



第26話



雷門イレブンは粘っていた。しかし、得点のチャンスは手に入れる所かやってきもしない。

そして、2‐0で前半終了。ぼろぼろで息を切らした雷門イレブンがベンチに戻ってきた。

瑠璃花達はタオルを渡し、水筒を差し出した。

鬼道が険しい表情を少し緩めて受け取る。

瑠「…お疲れ様です。」

鬼「…そんな顔するな。」

えっ、と瑠璃花は自分の顔を触ってみた。…分かる訳ないが。

鬼「自分が負けた様な、辛そうな顔…」

瑠「…似てるんです。私達は、仲間を取り戻すための試合をする。ですから、あなた達が負けていると、私が負けている気分になるんです。」

今度は、鬼道が驚いた顔をする番だった。

瑠「…あ。キャプテン達、もう集まってますね。変な話して、すいませんでした。」

鬼「…いや。」

鬼道が輪の中に入るのを見てから瑠璃花はベンチに座ろうとした、が…

魁「瑠璃姉、出番だそうだ。」

瑠「っ!」

魁渡に心の準備しとけよ、と言われ、深呼吸をした。

グラウンドの土の匂いと、雨雲の湿った匂いが体の中に沁みわたる。

瑠「…よし。」

ポジションはDF。GKは魁渡。魁渡のキーパー姿に、瑠璃花は懐かしさを覚えた。


―一方。首相と雷門さんたち。

鬼瓦刑事の携帯が鳴った。

前半が終了したばかり。雷門側が押されている為か、自然と電話に出る声も険しい。

鬼「こちら鬼瓦…」

首相も雷門も注目している。ほんの一言二言話しただけで、鬼瓦刑事の顔が引きつった。

鬼「…目的は分かったのか??!」

口調から、首相は相手が鬼瓦の知り合いだと察した。鬼瓦刑事にしてはずいぶんと丁寧な口調だ。

電話を切った刑事に、まずは雷門が問う。

雷「どうし…」

しかし、質問は一部しか必要無かった。

鬼「瞳子さんからだ。グラン達が連れ去られたらしい。」

雷・首「!!?」

鬼「…このことは、あいつらに言う訳にゃいかんな・・」


そろそろ、後半が始まる。

FW 豪炎寺 吹雪

MF 一之瀬 鬼道 円堂 塔子

DF 瑠璃花 壁山 木暮 綱海

GK 魁渡

まずは、雷門側から。

豪炎寺は攻め込む。パスは繋がり、鬼道達の作戦は見事に成功だ。

一之瀬に、塔子に、パスは通じ。

綱海のツナミブースト。ロケットこぶしが炸裂し、止められたが。

メ「あーっ、攻めたい!今すぐあのボール蹴りたいっ!!」

瑠「…;でも、まあその気持ちは皆同じみたい…」

メテオが顔を上げると、豪炎寺と吹雪が連携技を繰り出していた。

豪・吹「クロスファイア!!」

そのシュートは、ゴールに突き刺さった。

そして、その様子を見ていたメテオ君の一言。

メ「…カッコ悪。」

瑠「ど…毒舌って言うんだよ、それ^^;」

壁「じゃああんな風にシュートされたら、取れるんっすか?」

メ「当然。」

瑠「駄目だったとしても、私が止めます。」

壁山は、少し恐怖を感じた。この2人の底知れぬ強さと、メテオの放つオーラに。


?「2‐1…かぁ。お兄ちゃん、本当に私の出番、作ってくれるつもりなのかなぁ?」

木陰に見えるその姿は、少女。ゆるくカールした髪が、怪しげな風に揺れた。

その視線の先。

?「瑠璃花ちゃん、分かってないよね…」


か細い声に反応するように、また風が吹き、頬をなでた。


?「本当の、敵が誰か…さ。」