イナイレ*最強姉弟参上?!*

作者/ 伊莉寿



第27話



瑠「状況は結構いですね、このまま攻めきれますように…。」

メ「祈るより動いたら?」

両手を合わせて祈る瑠璃花にメテオが厳し目の言葉。

瑠「自分が動けないからって、そういうのは控えた方が良いんじゃないかな。」

メ「ほーら来たよ。」

瑠「!!」

スピードが再びアップしている。瑠璃花が対応しようとしても、鈍っている体で1人はキツイ。

風「ダークフェニックス!!」

メ「これくらいっ!」

メテオの手に力が集中し、宇宙の景色が現れる。

メ「メテオパンチ!!」

弾かれたボールは木暮の元へ向かう。が…

影「くそっ!」

影野に奪われる。瑠璃花は慌てて追おうとしたが、ふと足を止めた。

瑠璃花は、気付いたのだ。

風丸は、ゴールを見ていなかった事に。

その瞳に映っていたのは、円堂だったと。

瑠「…この勝負は…」

影「ダークトルネード!!」

闇をまとい放たれたボールは、バーに弾かれ勢いよく外に出た。

瑠「…。」

ボールを追い外に出た瑠璃花は、戸惑うようにボールを見つめ、響木監督へ視線を向けた。

そして、恐る恐る口を開いた。

瑠「響木監督……キャプテンを、キーパーにして下さい!!!」

雷全「!!!」

瑠「この勝負は、点数での勝ち負けで終わらせてはいけないんです!!風丸さん達の目を覚ませなければいけない…その為に、キャプテンが、その想いを受け止め、思い出させなければいけない…」

メ「熱い、サッカーをな!!」

メテオがリベロのユニフォームに着替えて待っていた。

雷門イレブンも手を貸し合い、立ちあがっている。

響「…気付いてくれて、助かったよ…」

円堂と監督の視線が重なる。円堂が頷いた。

瑠璃花はスローインの位置に着く。

この試合は、タイムアップの前に一旦停止するだろう、と瑠璃花は思う。

それが、『続行不能』ではなく、仲間を思いやる気持ちによるものだと良い。

キーパーのユニフォームに着替えた円堂が、ゴールの前で構えた。

雷門イレブンの皆が、きっと同じ思いだ。

瑠「…風丸さん。」

ポンッ、と風丸の足をめがけて投げた。DE全員が驚いた顔をした。

円「勝負だ、風丸!!」

風「!…そういう事か。」

いくぞ、と合図をした。ダークフェニックスの体勢だ。

闇は深く、不死鳥はその闇から生を受ける。

円「ゴッドハンド!!」

その不死鳥を迎え撃つのは、大きな輝く神の手。

円堂の根気と、精神力にかかっている。瑠璃花はまた手を合わせた。

祈り。想い。

届くと、信じたい。

そして、神の手は不死鳥を受け止めた。

風「なっ…!!」

円「はあ、はあっ…こいっ!お前の気持ち、俺が全部受け止めるッ!」

瑠「っ!!」

熱い、熱い、大きな想いは、瑠璃花と魁渡をも揺さぶった。

衝撃だった。

瑠「…大丈夫だね。私は…勝てる。」

この大きな想いに、押しつぶされたりしない。

風「ーっ!行くぞっ!円堂ォ!!」

思いっきり蹴られたボールは、ゴールに向かった。まっすぐに、彼の想いを全て乗せて。

円「ゴッドハンド!」

―そう。

彼らの、FFへの挑戦の、最初のキーパー技。

スタート地点。

風「…!!」

円堂は、ボールを持って、声の限り叫んだ。

円「思い出せっ!みんなーっ!!!!」

瑠(人は、関係無い時どうして、どうでもいい事を思い出しちゃうんでしょうか)

瑠璃花の思い出した事。

幼いころ、一度だけお日様園に行った事だ。

?『ねえ、いっしょにあそぼう。』

お母さんとはぐれて、お日様園のなかをぐるぐる周っていた時に…。

フリフリの服を着た、お人形さん見たいな格好をした、少女と会った。

その少女の案内で出会った―

瑠「ッ??!」

記憶が、だんだん―

瑠「い…たい…割れる…!!」

瑠(思い出したくないの!もう、あの日から一つも・・嫌なの…)

足に力が入らない。意識が遠のいていくのが自分で分かった。

?『―。その子は?』

少『桜花さんの女の子!ね、いっしょにあそぼ!帰らないで!』

る『え…でも…』

近くに居た少年達。

声を思い出すのも困難なほど底に眠らせたはずの記憶を。

瑠(だれ…?)

視界が消える直前、木陰に少女が見えた。

瑠(!笑った…?)

視界が暗くなっていく。少女はもう見えない。

メテオが自分を呼ぶ声を聞きながら、瑠璃花の意識は途切れた。