イナイレ*最強姉弟参上?!*

作者/ 伊莉寿



第33話



円(ふあ~あ、何か眠れね~)

ふと時計を見てみた。針は、10を指している。

外は闇と月光がある。真夜中らしい。

円堂は眠れないのだ。その理由としてファイナル・ザ・カオスがあった。

ガゼルとバーン、そして少女の監督。

頭の中は、それでいっぱいだった。

そこで円堂は水を飲み、一息つこうと自分の部屋がある2階から1階に降りてきたのだ。

飲み水がある食堂には、明りが付いていた。

円(?夜は暗くするって言ってたのに…何だろ?)

話声が聞こえてきた。どうやら女の子と…料理長だ。

?「このシチリアは良い味ね。」

料「…パンナコッタの方は…」

?「全体的に甘さが足りないわ。そうね…」

円(何だあいつ…料理長相手に料理の事話してんのか?しかも料理長メモ持って熱心に聞いてるし…)

円堂はドアからのぞいていた。見ると、どうやら外国人の血が入っているらしい女の子だ。

?「ごめんね、起しちゃったかな?」

円「!!!いえっ、そ…?」

後ろから声を掛けられて驚いている円堂に少年は頭を欠いた。

?「ご…ごめんね、俺はフィディオ。あの料理長相手に話してるのがラティア。俺の連れなんだ。」

円「そうだったのか。俺は円堂守。」

フィ「ラティアは舌が肥えてるから時々アドバイスとか求められる事があって^^;」

だからって真夜中にそんなことするか、と円堂は思った。

円「…今、入っても良いと思うか?」

フィ「大丈夫だよ。」

円堂は、危うく忘れかけそうだった水を飲みに食堂に入った。


フィ「俺達、明日までは此処に居る予定なんだ。此処で世界を脅かすかもしれない事が起きるらしいって噂があって。」

水を飲んだ後、円堂は、フィディオにそんな事を言われた。

円「世界を…脅かす事?」

ラ「フィディオ、部屋に戻りましょう…」

フィ「あ、ああ。それじゃあ、また会う事があったら。」

円堂は、忘れそうだな、と思った。

サッカーやってるところを見たならともかく、こんな寝ぼけた頭で覚えられそうにはなかったからだ。


―夕食後まで、遡って…

夏「疲れたでしょう、今日は早めに寝て、しっかり疲れを取るのよ。」

瑠「はい…あの、ついて来てくれて、ありがとうございました…」

夏未は、そんな事気にしないで、と言ってドアを閉めた。

気分が悪い、そう言って瑠璃花は夏未に連れられ、自分の部屋に来た。

部屋に1人になった瑠璃花は、夏未に言われた通り早く寝るため、靴下を脱いでベッドの上で横になった。

でも、眠れそうにない。

寝がえりを何度もうち、目を閉じても落ち着かない。

両親が自殺をした光景、フュイ達扱うサッカーボールが凶器に見えた時の事…

そして蜜柑が演技で苦しんだ事。

たくさんの事が頭の中をぐるぐると回っている。

瑠(…このままじゃ、寝れないかも…)

瑠璃花は、何となく1階に行くことにした。

時計は、10を指していた。


瑠(…きれい…)

瑠璃花は、3階にあるバルコニーにいた。

雷門のジャージで、髪はおろしている。

満月の月光は、瑠璃花の心の隙間を埋めてくれそうだった。

ぐちゃぐちゃしていた事は一時的には消えた。

でも、瑠璃花も分かっている。一時的に消えたのでは、いつかまた復活する事を。

鬼「…どうかしたのか。」

瑠「!鬼道…さん。」

急に後ろから声をかけられ、瑠璃花は反射的に警戒心を丸出しにした顔をしてしまった。

鬼「…円堂が部屋を出たから、寝ぼけて変な事をしないように見張っていたのだが…注意するべき人物を間違えたかな。」

瑠「…私は自殺なんかしません。」

鬼道が軽く笑う。そしてバルコニーに出て、空を見上げた。

鬼「不安になったりした時の心に、満月は効く…」

瑠「!」

鬼「俺はそう想う。」

瑠璃花は俯いた。鬼道に、自分の心を見透かされたような気がしたから。

私、どうしてこんなに苦しいんだろう。

心をさらけ出すって、これより苦しいのかもしれない。

鬼「俺でよければ、話を聞くぞ。」

それでも、フュイ達に、魁渡達に、こんな自分を見せてはいけない、って思う。

瑠「…私…」

その時、頭の中にあったのはフュイ達の事だった。