イナイレ*最強姉弟参上?!*

作者/ 伊莉寿



第40話



円「や…」

雷全「やったあ!!!」

ホイッスルが響き渡る。雷門、1-1の同点に追いつく。

ベンチではマネージャー達が手をたたき合って喜び、監督達の顔に微笑みが灯る。

瑠璃花がふと隣のベンチを見ると、蜜柑は少し不安そうな表情になっていた。

かと思うと、フェイがベンチの近くに行き何やら話している。蜜柑は不安そうにうなずいた。

テ「約束の時間ね。」

瞳「ええ。貴女のおかげで同点に追いつけたわ。ありがとう。」

ティアラは微笑んで瑠璃花に目を向けた。

テ「がんばってね。勝利を信じて、結果を待つわ。」

瑠「うん。来てくれて、ありがとう!」

瞳子監督は様子を見ながら、木暮に戻るよう指示を出した。

瞳「瑠璃花さん、しばらく様子を見ていて。」

瑠「そうですね…フェイ達も、少ししか動いてませんし。」

フィールドでは、選手達がフォーメーションを整え終わった所だ。

蜜柑は、小さくつぶやく。

愛「お兄ちゃん…苦しいよ…」

此処まで、鋼の心でがんばってきたのに―。


試合再開。

内容は、思わず目を背けたくなる様な、酷いものだった。


前半、19分。

秋「これって…」

秋が声を震わせながら呟く。

フィールドは、戦場と化していた。

立っているのは、ファイナル・ザ・カオスの選手と円堂、メテオのみ。

夏「これでは帝国戦と同じよ…」

傷つき倒れた選手達。瑠璃花は肩を震わせ視線を落とす。

まるで、フュイ達にやられた自分達を見ているようで―。

彼らのサッカーは暴力だ。

レーゼはアストロブレイクをFWの2人にぶつけ、デザームはグングニルをMFにぶつけた。

マキュアは持ち前の速さで上がり、DFにガイアブレイクをおみまいした。

バーンとガゼルはノーマルシュートを円堂に当てた。

得点目当てでは無い。ただ、傷つけるために。

瑠「あの選手達は…エイリア石で強くなりました…」

瑠璃花が言いたい事。

瑠「キック力は…とてつもなく強い。そんな状態のシュートは、凶器にだって成り得ます。」

現に、雷門イレブンは立ちあがる事さえ困難なのだ…。

ガ「呆気ないな…」

バ「冥土の土産にお見舞いしてやるよ。」

メ「!」

今度は、本気のシュート…

愛『瑠璃花ちゃんが来る前に、終わらせなきゃ…』

フェイはさっきの言葉を思い出していた。

フェ「ルリカが、そんなに大事なのか…」

フュ「だから、蜜柑様は弱い…」

バ・ガ「ファイアブリザード!!」

雷全「!!!!」

円堂が肩で息をしながらシュートを睨む。既に、ユニフォームは傷つき、顔に土が付いている。

円「くそっ…」

メ「失点は許さねえ!!」

瑠璃花が時計を見る。前半23分。

メテオはさっきから走りまわっている。体力はある。試合中ずっと走ったって平気だろう。

しかし、その状態でシュートを打ったって威力は相当低い。

メテオはブロック技を出そうとしている。そこまでやって、後半走れるだろうか?

瑠「…この試合…」

メ「メテオブロック!!!」

隕石がシュートコースを塞ぐ。やがてシュートは隕石の間に挟まれ、動かなくなった。

ファ全「!!!?」

メ「まだ…」

円・メ「試合は終わってないぞ!!!」

ボールを足元に置き、メテオと円堂が叫ぶ。

フィールドでは、苦笑して立つ者も見られた。メテオがボールを吹雪におくる。

パスが回ったかと思えばレアンがカット。ボールがフィールドを飛び交う。

角「再び、一進一退の試合となった!」

瑠(そう…見えるのかな。)

実際はそうじゃない。雷門が押されている。

瑠璃花にはそう見えた。

審判が腕時計を見てホイッスルを鳴らした。

前半終了。1-1。