イナイレ*最強姉弟参上?!*

作者/ 伊莉寿



第41話



前半が終了した。瑠璃花はいつも通りドリンクを選手達に渡す。

鬼道に渡すと、きつい表情のまま、小さな声で「ありがとう」と言った。

選手達は輪の形で座る。少しの間の沈黙を破ったのは鬼道だった。

鬼「このままでは相手に押されるだけだ。」

雷全「!!」

音「でもっ、ファイアブリザードを止めてから、いつも通りに…」

瞳「そう見えるかしら?」

全員が監督を見る。瞳子監督はフィールドを見つめたまま話しだす。

瞳「シュートは入らなかったし皆はいつも通りボールを奪ったり攻めたり…そう見えるわね。」

瑠「でも、シュートが入らないのはメテオが全力で取りに行ってるから…」

雷全「!!」

フィールドでプレイしていた選手達は気付いたようだった。

鬼「俺達の力ではとても追いつけない様な力を持ったあいつ等に、大量得点されないのはメテオが1人で粘ってるからだ。」

瞳「でもメテオ君1人では後半、絶対に持たないわ。」

そう、雷門イレブンは突き付けられたのだ。自分達が弱いという現実を。

瑠「その上、相手はこちらを潰すようなプレイをしてきました。どうしますか、瞳子監督。」

瞳子監督に視線が集まる。

瞳「瑠璃花さんはしばらく様子を見ていて。このまま後半を戦います。」


角「後半スタート!!1-1の同点、どう動くのか??!」

瑠「!フュイとフェイが上がってる…?」

メ(これは来るな…)

フェイにボールが渡る。そして、センターラインから、シュート。

雷全「!」

秋「!!速い!!?」

見えない様なシュート。円堂は、とても反応できない。

メ「突っ立ってんなキャプテン!!」

バシイ…という音。円堂の後ろに回ったメテオがボールを止めた音だった。

円「何てシュートだ…」

メ「俺達と一緒にサッカー習ってたんだ。力をなめるな。」

なめてないんだけどな、と吹雪が呟く。

メ「風丸!!」

風丸がパスを受ける。グラウンドの外で試合を見守っていた宮坂が手を握り締めて祈る。

奪われないように、と。

愛「良い後輩だね…でも、その祈りは聞いてられないな。」

そよ風が吹く。そしてグランが風丸の前に立ちはだかる。

グ「フォトンフラッシュ!!」

風「…!」

眩しさに視界を一瞬奪われ、その間にグランがボールを奪う。

グ「流星ブレード!!」

木「!!?うわああっ!!」

雷全「!!!!?」

音「木暮君ッ!!」

流星ブレードを木暮に当てたグランが頭を欠く。

グ「方向、間違えちゃったかなぁ?」

円「グラン…」

木暮はまともに食らってしまい、試合に出るのは不可能となってしまった。

瑠「…もう、様子を見ているなんてできません。」

瞳「瑠璃花さん…分かりました。」


傷ついたメテオの顔が明るくなる。

鬼道と豪炎寺の顔にも明りがともった。

メ「瑠璃姉ッ!」

雷門のユニフォームを着た瑠璃花は、フィールドに入りながら蜜柑を見た。

蜜柑は悲しそうな表情をするだけ。

円「絶対勝つぞっ!!」

雷全「おうっ!」

彼等の言葉を聞いた蜜柑は、苦しそうな声で言う。

愛「瑠璃花ちゃんをあんな風になんて…出来ないよ…勝たないといけないのに!!」

後半15分。フュイ達は、FWに上がった。