イナイレ*最強姉弟参上?!*

作者/ 伊莉寿



第42話



ねえ。どうして、私が瑠璃花ちゃんを傷付けたくないか、分かる?



何でかって言うとねぇ…



彼女が、天使だからなの。





―7年前



私が瑠璃花ちゃんと会った時、迷っちゃってて泣いてたのは、知ってる?



風介と晴矢の所へ連れてったら、お兄ちゃんに呼ばれたの。



明日、彼らの力を試すって事だった。



出来るだけダメージを与えて、本気がどれくらいなのかを見るって言ってた。



私は、そんな事当然したくなかったけど、それをしないとお兄ちゃんは辞めさせられちゃうかもしれない。



愛『…分かった。』



実力があったら。どんなサッカーをさせられるか分かってたけど…。



そんな私を、瑠璃花ちゃんは心配そうに見てた。



彼女は、帰って来た私を問いただすようなことはしなかった。



愛『もしも、さ…。自分の親友が、人を傷つけて勝つようなサッカーしたら、どう思う?』



風介と晴矢がサッカーする姿を見ながら、聞いてみた。



る『そんなサッカー、絶対にダメだよ。』



愛『!』



余りにも静かな声で言う瑠璃花ちゃんにびっくりしながら、『どうして?』って聞いてみた。



る『あのね、サッカーをしていてぜったいにしちゃいけない事があるの。それは、〈絶対的な勝利〉を求める事なんだって。』



愛『人を傷付けて勝つサッカーが、そうなるの?』



彼女は静かにうなずいた。



風『みかん!サッカー一緒にやらないか?』



愛『!るりかちゃんも、どう?』



る『やるっ!』



顔を輝かせて笑う彼女。明日、この顔はどうなっちゃうのかな。そう思って縁側から降りた時だった。



背中から、一瞬白い翼が見えた。目をこすってみたら、無くなってて。



る『?どうしたの?』



愛『何でも無い!』





どうして、私が彼女を傷付けたくないのか。



それは、彼女が女の子らしくて、親友に裏切られたら眠りこんじゃう位、弱いから…も、あるかもしれない。





瑠「聞いて良いかな。」



フェ「何。」



瑠璃花はボールをキープしながらフェイを軽く睨んだ。



試合は、後半17分。



同点のまま、今は瑠璃花がブロックで奪ったボールをキープ中。



瑠「忘れたの?お父さんが言った事!」



クララのフローズンスティールをかわして瑠璃花が叫ぶ。



瑠「絶対に求めてはいけない事、それは絶対的な勝利!人を傷付けて得た勝利はそれに当たるって私は思う!」



フェ「そんな事、言ったか?」



メテオにパスしたボールはマキュアにブロックされ外に出た。



瑠璃花は唇を噛みながらも、話す事をやめようとしない。



瑠「私とメテオがサッカーを始めた理由、それはフェイ達がいたからなんだよ??!」



フュ・愛「!」



瑠「私が小さい時、初めて島に上陸して1年経った時、フェイの蹴ったボールで初めてサッカーに触れた。お父さんがコントロール教えてやるって…それから私もサッカー始めたの。」



フュイが瑠璃花を見つめる。その瞳は既に揺れ始めている。



瑠「楽しいサッカー…蹴ったら誰かが取ってパスになる。そんな事でも楽しかった。絶対に強さを求めてたわけじゃない。でも、楽しんだ結果が強さだって…思いっきり楽しんだ結果が勝利なんだって…」



フェイの目を見て瑠璃花が叫ぶ。



瑠「そう言ったのはフェイだよね??!!」



全「!!!」



瑠璃花の目から涙がこぼれる。蜜柑は2人を見て凍りついたように動かない。



愛「フェイ君…」



蜜柑の心はきまっていた。やっぱり、私には出来ない。



愛「私、この試合が終わったら…」



フェ「じゃあ証明しろよ。」



ボールを持ってフェイが言う。



フェ「勝って、証明してみろ。」