イナイレ*最強姉弟参上?!*
作者/ 伊莉寿

第43話
ガ「…」
ガゼルが、空を見つめていた。バーンが不審がって顔をしかめる。
バ「何してん…」
ガ「ただ、楽しいサッカー。」
バ「・・・ハ?」
真顔でガゼルが呟く。その後、不意に微笑した。
ガ「そんな時期が、俺等にもあったのかと。ただ、そう思っただけだ。」
そんなサッカー、したいと思ってる訳じゃない…はずだ。
ガ(しかし…目の前に、雷門中がいてグランがいたら…)
ガ「負けられないさ。体がそう言ってるんだ。」
ガゼルは、フェイ達を見つけて言った。
瑠璃花は雷門イレブンに指示を出す。正確には、DFに。
瑠「よろしくお願いします。」
塔「分かった!」
フェイが再開させた。そのままパスはつながる。少々荒いパスがフィールドをかける。
瑠璃花は動かない。そのボールを目で追う。フュイも動けない。力が入らない。
フュイは、もう以前の心に戻っていた。こんなサッカーはしたくないと。瑠璃花を見た。
俯いたまま、その場に立ち尽くす。
瑠「どうしてかな…もう、届かないのかな…」
フュ「!」
違う。届いてるよ。
叫びたい気持ちをこらえた。
後半28分。バーン達と雷門イレブンはボールを奪い合っていた。
ふと、バーンが疑問に思う。
自分達が、押されている…?
ディフェンスにまわっている自分。おかしいと思った。
瑠璃花もメテオもいないのに。中心に居るのは鬼道だった。
レ「…顔が、輝いてるね。」
バ「燃え尽きてるって顔だろ。」
グ「クッ、バーン!ガゼル、フェイ、行くぞっ!!」
ガ・フェ「!!」
円「な、何だ?」
グランが風丸からフォトンフラッシュでボールを奪う。
風「疾風ダッシュ改が通じない??!」
驚く風丸にフュイが説明する。
フュ「貴方達と同じ…エイリア石よ。」
風「!!!?」
フュ(そう…蜜柑様が持ってきたエイリア石は、今までのよりも圧倒的に大きな力を与える…)
手のひらを握り締め、フュイが俯く。その顔は、逆に晴ればれとしていた。
フュ「私、心が強くないんだね…」
どんなに、強いキック力を手に入れても。
どんなに、強いチームに入っても。
自分の心が強くないと、本当に強くなれないって。
フュ「これが、その状況なんですね、大翔さん…」
試合は、雷門のピンチだ。
フェ「おい、フュイあの技を…」
フェイの呼びかけにフュイは答えない。ただ、寂しそうに微笑むだけ。
フェイは諦めたように走りだす。
センターラインに来て、グランが視線で合図をする。
目の前に道はある。グランがボールを高く上げ、バーンとガゼル、そしてフェイがジャンプする。
全員で、思い切り蹴る。
グ・バ・ガ・フェ「カオスインパクト!!!」
様々な色。最後に勝つのは闇の黒。恐ろしい力をまとうシュートが雷門ゴールに迫る。
愛「…どうするのかな、瑠璃花ちゃん…」
鬼瓦「お譲ちゃん。」
じゃり、と砂を踏む音。
蜜柑が振り返ると、鬼瓦刑事が立っていた。
彼女は微笑む。
愛「せっかちだなぁ、もお。まだ、試合は終わって無いよ?」
頬杖をついて、フィールドに目を戻す彼女の背中を、彼は寂しそうに見ていた。
円「くっ…」
円堂に、そのシュートを止める力など残っていなかった。
円(どうしたら…)
その時、視界に入った橙色の髪。
瑠「キャプテン、少し下がっていて下さい。」
メ「もしくは、横にどいててくれ。」
円「!!!」
シュートを挟むように現れた2人。
風「!!無茶だ、あんな力のシュート…」
瑠「無茶だなんて思わないでください。」
瑠璃花が、行くよ、と呟く。
瑠「例え無茶でも、私はやりますから。」
フュ「…!」
彼女の笑み。
この状況でも、楽しいと思うから、少しでも良いから、自分を強くしようとする。
フェ「!下がれっ、来るぞッ!!!」
2人が足でシュートを挟む。高く上がったボールに合わせてジャンプする。
瑠・メ「ユニバースブレイカー!!」
広がる宇宙をつんざく稲妻の様な光。
メ「これが、俺達のラストシュートだ!」

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