イナイレ*最強姉弟参上?!*

作者/ 伊莉寿



第9話 出身国の事、引きずります。



瑠「フランス語?」

鬼道が告げた事を、もう一度繰り返す。

鬼「ああ。イングはフランス語で1という意味だ。」

瑠璃花は驚きつつも、道の段差に躓かない様気をつけていた。下校中に鬼道から聞かされた事に衝撃を隠せないが。

瑠璃花の住んでいたフェニックス島―。

緑と強い日差し、碧く澄んだ海。その地で暮らす人々は肌が黒かった。彼女の友達は、森の中で暮らしているようなものだったため、日差しは遮られていた。

よって色は黒くなかったが…


野性的な性格。本土で暮らしていた人々を一言で表すとそうなる。

だから、しゃれた印象のフランスでは無いと、彼女は思っている。

鬼「フランスとか…ヨーロッパの方か?住んでいたのは…」

瑠「すごく暑かったですし…。」

鬼「…オーストラリア?」

瑠「!お母さんはそう言ってました!」

瑠璃花が嬉しそうに言う。鬼道はしっくり来なかったが、そう言う事なのか、と自分で思い込むことにした。


そして、瑠璃花が雷門での生活に慣れた、約半月後の土曜日―

鬼道家に、一本の電話がかかって来た。

その電話を受け取った鬼道の父は、少しばかり驚いた表情をして、電話を切った。その直後、瑠璃花達を呼んだ。

―明日、雷門中に行きなさい。

彼等は首をかしげながらも、彼の嬉しそうな瞳から、頷くしかなかった。

明日、練習は無いというのに?


瑠「にしても、6時に学校に集合なんて…」

瑠璃花は欠伸をしながら校門に立った。魁渡も眠たそうだ。

朝早くに起きるというのは気分が良いが、何があるのか聞かされていない、というのは気分が良くない。

すると響木監督が現れ、校舎内の校長室に2人で来い、とだけ伝えに来た。

校長室、という響きに2人は体を固くした。良い事ではなさそうだ。

恐る恐る校舎の中を進み、2階の東側にある校長室のドアをノックした。

校長の穏やかな声に落ち着きながらも、ゆっくりドアを開ける。

瑠「し、失礼します……?!」

魁「え??!」

思わず驚き、ドアが半開きな状態で固まる。

部屋の中に居たのは、財前総理と校長だった…


座って、と言われて、大きなソファーに腰掛ける。財前総理と会うのは、約3か月ぶり。久しぶりだね、と笑って彼は言い、瑠璃花達も挨拶を返す。

財「朝早くにすまなかったね。」

瑠「いえ、それより…何故総理が…」

校長が、用件を少しだけ説明してくれた。

数ヵ月後サッカーの世界大会FFIが開かれる。

そのアジア予選が近々開催される事が決定し、日本も参加することにした。

それにより、日本代表を決めなくてはならない。

火「財前総理が、君達を推薦してね…響木監督も了解したのだが、実は君達に問題があって…」

瑠「問題?」

財「日本代表は、当然日本人でないといけない。しかし、君達の国籍が…」


―コトアールなんだ。



2人が、驚いた事…それは、表情から分かった。

全く、知らない事だったから…