イナイレ*最強姉弟参上?!*
作者/ 伊莉寿

第15話 もう1人の姫(プリンセス)
瑠「ふあぁ…」
瑠璃花ははっとして口を抑えた。試合を見ながら欠伸とは、失礼だと母親に言われていた。
魁「寝不足?」
瑠「昨日の夜、なかなか眠れなくて…英単語がぐるぐるぐるぐる…」
テ「例えば?」
瑠璃花が人差し指をあごの下に当てて考え込む。
瑠「like,love,home,friend,brother…」
テ・魁「うわあ…」
瑠璃花はまたこみ上げる欠伸をこらえた。
点数は2-2とどちらも譲らない。瑠璃花は眠気が覚めずこっくりこっくりしてしまう。
瑠「…顔洗ってくる……ふあ…」
テ「行ってらっしゃい^^;」
瑠璃花目線
まさか、こんな睡魔に襲われるとは…何かを考えるのも億劫になって来る。
校舎側の水道まで行くと、車椅子の少女が目に入った。
見覚えがある、でもこの頭では思いだすのも難しい。
瑠「こんにちは…」
?「!貴女、日本代表?」
どうして分かったんだろう…彼女のエメラルドグリーンの髪が風に揺れた。何もかも見透かしているような…あれ、誰だっけ…
瑠「はい…あの、会った事…あります?」
?「さあ、初対面じゃない?」
?(記憶ないから何とも言えないけど…名前くらいは教えとこうかしら?)
?「私はラティ…!」
瑠「?!」
びゅう、と暴風と言えるような強風が吹き、彼女の言葉をかき消してしまった。ラ、しか聞こえなかった。
砂が風に舞っているのが見えて、目を腕で守る。そうだ、あの子は大丈夫かな…
瑠「だ、大丈…あれ。」
いなくなっていた。道はいくつかあるから脇道にそれて帰ったのでしょうか…
追いかけようと思っても、試合終了のホイッスルが聞こえた。終わってからいなくなっていたら迷惑をかけてしまう…
顔だけ洗って帰ろうと引き返す。その一歩を踏み出した時、ふと頭の中にカタカナが浮かんできた。
ラティア・クラリス。
瑠「…!今の…」
振り返る。誰もいない、分かっているけど。
あの女の子はラティアだった。車椅子に乗って選考試合を見ていた。サッカーに関わってるんだ。
じゃあ、日本代表になって世界大会に行けばラティアにも会えるかもしれない。…でも、初対面って…
サッカー、やってるのかな?車椅子だったから選手じゃないかもしれないけど、その舞台で会えるなら嬉しい!魁渡は嬉しくないかも^^;
瑠「おっし!がんばろー!!」
あれ、魁渡の視線が痛いな^^;
その後の事。日本代表が決定した。
次々と呼ばれていく選手の名前より気になったのは冬花ちゃん。改めてみたら先輩かも、と思った。
新しい監督さん、久道監督、その娘が冬花さんのようです。
久「……最後に、流星魁渡、流星瑠璃花。」
魁・瑠「!はいっ!!」
全「え…?」
久「以上だ。練習の予定は電話で回す。今日は帰れ。」
…周りはざわついていた。
円「瑠璃花、お前も代表だったのか!」
瑠「まあ…」
鬼「聞いて無かった。」
魁「今朝急に言われてさ…^^;」
染岡さんが睨んでる。
確かに選考試合に出なかったのに日本代表、というのは試合をやってその座を奪えなかった人達に、すごく失礼な気がしました。
だから…帰りたかった。
テ「…」
俯いて愛想笑いで答える私をティアラが見ていた。
心配そうに。
私、恨まれませんように…

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