イナイレ*最強姉弟参上?!*
作者/ 伊莉寿

第20話 壁あり合宿
~鬼道side
不動の事に納得がいかないまま、合宿は厳しいまま続いていた。あいつのプレーには誰もが嫌な思いを抱く。
瑠璃花と魁渡も顔をしかめるし、あいつの存在に疑問を感じたはずだ。そして、監督の事も。
魁「音無、何かデータあったか?」
3日目の朝食の席の時、魁渡が春奈に尋ねると、春奈は首を横に振った。監督について調べるよう頼んでいたらしい。
瑠「…何で無いんでしょうか?」
音「今日、とっておきの場所で調べて来ます!!!!」
自信満々の顔でそう言って、メガネをチラリと見た。
……メガネ、春奈が変なことしない様見張れよ、期待はしないが。
~瑠璃花side
疲れた。
合宿は厳しくて、皆さんは監督に対し色々不満を抱いているようです。不動さんの事もありますし。
でも、私からしてみればお父さんの練習メニューより楽なので全然構わないレベルです。
思えばよくあんな練習してたな~、って感心しちゃったり。
私と魁渡は試合形式の練習の中で、指示を出すことを中心に活動しています。
そんな中で思った事。不動さんにパスを出せ、なんてまだ早すぎる気がする。
あの人は子供。
自分が活躍して周りに認めさせたいだけ。だから世界の舞台で見せつければいい。
自分1人では何もできないんだって。
ベッドに顔をうずめて少し寝ようとした時、ドアをノックする音が…
「ベキッ」
…な~んだ、吃驚した…
瑠「どーぞ、魁渡。扉壊さない内に入っ…」
魁「やべぇ!瑠璃姉またやっちった!!」
魁渡のノックは強い。島に居た時のドアが妙に頑丈でどうしてだろう、と思ってたけど、合宿が始まって意味がわかった。
鬼道さんの家はドアが厚く、そこそこ丈夫だった。
でも此処のドアは薄い…魁渡が多少焦ってノックをしたらすぐ割れる。
瑠「…用件は?」
後で直せばいいか。だって魁渡が焦ってるって言うのは何か訳があるって事だから。
魁「あ、えーと、中学サッカー会に行って監督の資料探そうかなーって…」
瑠「…それだけ?何でドアをあんなに勢いよく…」
魁「どーでもいーからいこー」
瑠「適当人間!!!?」
いや、お願いだから引きずらないで…
ビルの中は空調が効いていて適温だった。
受付に行き入ろうとしたら…
瑠「…不審者になってますよ、音無さん、メガネさん。」
ギク、と肩を震わせる2人。受付の人もくすくす笑っている事から、2人は既にばれていた、と推測できます。
瑠「あの、資料を見たいんですけど…」
受付「お名前は?」
瑠「流星瑠璃花です。」
魁「魁渡…」
受付の女性は目を見開いて、少しの間硬直…って、変な事…言いましたか?
何事か聞こうとしたら、受付の女性は両手をぶんぶん振って、「何でもありません」を繰り返していた。
何でもなくない…
とりあえず、私達4人は監督の資料を探した。
受付「まさか…本当に来るなんて…」
パタン、と携帯電話を閉じて受付嬢は冷や汗をかいていた。
受付「どうか…よろしくお願いします…―」
最後に呼んだ少女の名。
ただ、その少女に頼るしか、方法は無いように思えた…

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