イナイレ*最強姉弟参上?!*

作者/ 伊莉寿



第37話 ヒロト=ドンマイ



涼「平気か?」

瑠「?うん、大丈夫。」

涼「無理はするな。今回はあれ位で収まったが、もっと酷くなったら手の着けようがないぞ。」

観客が帰っていく。イナズマジャパンベンチでも帰りの支度をしていた。

音無が瑠璃花を呼び戻そうとするのを、秋が止める。2人の様子を見て何か感じたらしい。

瑠「…知ってるの?!あんな風になった事、あるの??!」

涼「…」

南(…。)

瑠璃花は考え込む。今まであんな事は無かった。なのに、何故涼野は知っていたのかと。

と、観客席からため息が聞こえた。

?「まさか、そのままでいるつもり?」

涼・瑠「!」

振り向くと水色パーカの少女。

涼「貴様、蜜柑か。」

少女が微笑みフードを外す。するとシンプルな格好の愛姫蜜柑が姿を現した。

瑠「何で…それに、そのままって…」

愛「風介は『ガゼル』として過ごし瑠璃花ちゃんと接することで、嫌な過去を捨てようとしたの。」

瑠「?嫌な…過去?」

ガゼルとして過ごす。それはお互いをエイリアネームで呼び、エイリア学園であった事を常に意識する事。

冷酷なガゼルであった事を。

瑠璃花のサッカーが好きだった風介の事を忘れて。

愛「お話した方が良いね。此処だと人がいっぱいいるし…場所変えよっか!」

蜜柑が提案するが、頷く者はいなかった。

瑠璃花は混乱したまま、涼野は俯いている。

南「まあ、そうした方が良いんじゃないか。」

南雲が言うと、ようやく2人が頷いた。

愛「瑠璃花ちゃん借りるね~!」

鬼「?」

久「先に戻っている。必ず戻って来い。」

久遠監督の言葉で、イナズマジャパンの選手たちが外に出て行く。ヒロトが出ようとした所で瑠璃花が声をかける。

瑠「あのっ、ヒロト君…試合中に言いかけた事って…」

愛「?!」

ヒロトが微笑んでかわす。何でもないよ、と言うと南雲がヒロトの手首をつかんだ。

南「ヒロトも一緒な。」

愛「リュウジ~、ヒロト借りるね~☆」

リ「え??!」

マ「帰るぞ。」

テ「ダメ!打ち上げするって魁渡と約束したもん!!」

全(また魁渡か…)

テ「瑠璃花!帰ってきたら打ち上げしようね!!」

瑠「うん、ありがとう。」

ヒロトはずるずる南雲に引きずられて、その他はちゃんと歩いて更衣室へ。

瑠「何て言いかけたの?」

バタン、とドアを閉めて瑠璃花が聞く。すると真面目な表情でヒロトが答えた。

ヒ「流石はエイリア学園マスターランクチーム加入予定だった瑠璃花…だよ。」

瑠「え…?」

南雲と涼野、蜜柑は驚いた様子が無い。真剣な顔で受け止めていた。

瑠「それって…私が…。」

―エイリア学園に入る予定だった…

愛「本当だよ。」

何で、と言ったつもりなのに声にならない。

愛「覚えてる?5年前、雪降る日…」

南「お日さま園に来た日の事を…」

瑠「…お日さま園…に?」