イナイレ*最強姉弟参上?!*

作者/ 伊莉寿



第38話 瑠璃花の過去―1



~瑠璃花side

雪…お日さま園…

瑠「あ…」

5年くらい前の冬。お母さんについていって一度だけ…

愛「思い出した?桜花さんが仕事で来た時、吉良が瑠璃花ちゃんも連れて来い、って命令したの。吉良は悩んでいたから。」

悩んでいた?

蜜柑ちゃんが険しい顔で語る。…それは私が忘れていた事も含めて。

愛「瑠璃花ちゃんをエイリア学園に引き入れるかどうか…ずっと悩んでいた……」


~蜜柑side

私は覚えている。

私が吉良と話していた時に駆け込んできた、クララの傷だらけの体を―

愛「吉良は、私が数ヶ月前にお日さま園の皆を傷だらけにした場面を瑠璃花ちゃんに見せた時の対応で、瑠璃花ちゃんがエイリアの針路に合わないと分かっていたの。あの時、瑠璃花ちゃんは私を責めなかった。そればかりか皆の事を心配して…優しかったの。だからエイリア学園に入って学校破壊とかしてる途中で反抗されたら困る…でも強いから絶対戦力にはなる…ずっとそう悩んでた。」

南「その悩みにけりをつけようと瑠璃花を呼んだ。」

今まで黙ってた晴矢が口を開いた。合ってる合ってる。

瑠「でも、風介君の嫌な過去とどう繋がりが…?」

風介を見てみる。相変わらず無表情…私は瑠璃花ちゃんに視線を戻した。そして言うの。

愛「自分で覚えてる所まで思い出してみて?」

ってね。


~瑠璃花side

思い出してみて…かぁ。頭を捻って考える。

―あの日…

る『お母さん、またお日さま園にいけるの?!』

桜『ええ。』

嬉しかった。あんな事があったけど、ふうすけ君達がまたサッカーしていると信じてたから。

車内から見えたのは灰色の雲。今にも雨が降りそうな天気。

雨は好きじゃないけど、見えてきたお日さま園に心が弾んだ。


お母さんが仕事の話に行ってしまって、私は1人で庭に出た。

雪が舞っている綺麗な雪景色。久しぶりに見た雪にテンションが上がる。でも遊ぶ物は何も無くて雪だるまを作り始めた。

なかなか上手に出来ずに悪戦苦闘して、手袋をはずしていたけど悴んで感覚が無くなり始めた。

る(手袋、やっぱり付けよ…あれ?確かここら辺に…)

すぐ脇に置いてあったはずの手袋が無い。すると風が吹いた。さっきから風が吹いてたのを思い出して、風向きを確認する。

後ろに吹いていた。振り返っても赤い手袋は見当たらない。

探そうと立つと、突然肩を叩かれた。振り返ると目の前に差し出された赤い手袋。

る『え…』

白い髪の少年。それは懐かしい顔。

ふ『これ、君のだろう?』

る『ふうすけ君…』

ふ『?るりか…か?』

と、バタバタ誰かが走って来る音がした。

ふ『五月蝿いのが追いついてきたな。』

は『ふうすけ!先に行くなって言っただろ!!』

はるや君。赤い髪のはるや君だった。

る『ひさしぶり!はるや君!!』

頭にクエスチョンマークを浮かべたはるや君だったけど、直ぐに顔を輝かせた。私の名前を呼んで廊下から飛び降りた。

は『るりか!また来てくれたんだな!!』

る『うん、皆、元気?』

もちろん!と言ってから、ボールを背中から取り出して雪の中に落とした。

そこで気付いた。雪がやんでいる。

は『ふうすけとサッカーやる事にしてたんだけどコイツ先に行きやがって…』

ふ『君が杏とケンカをしていたからだろう。』

杏っていうのはお日さま園の友達。はるや君とすごく仲が良い。ほら、ケンカするほど仲が良いって言うでしょ?
※杏のエイリアネーム:レアン

は『るりかもサッカーやろうぜ!』

る『…良いの?』

ふ『ダメな訳無いだろう。』

嬉しかった。またこうして2人とサッカーするの、夢だったから。

数ヶ月前に来た時、2人とサッカーをしたけど凄く上手だった。また上手になってるんだろうな~、ってわくわくした。

本当に上手になってて、夢中になってボールを追いかけた。雪がふわふわしてはるや君が何回も雪に自分の型を作ってた。

る『気持ちい~!』

終わったら、雪にダイブした。冷たくって気持ちいい。右隣にふうすけ君が、左隣にはるや君が寝ころぶ。

雪がまた降り出す。小さな白い妖精が空で舞っている様。

ふ『君は…風だな。』

る『へ?』

ふ『…何でもない。』

ふうすけ君が微笑んでいた。良く分からなかったけど、気が付けば私も微笑んでいた。

は『お帰り、るりか。』

る『…ただいまっ!!』

満面の笑みで私が言う。こうして、私はまた受け入れてもらえた。