イナイレ*最強姉弟参上?!*

作者/ 伊莉寿



第41話 瑠璃花の過去―4



ヒ「蜜柑は面倒くさがり屋だね。」

ヒロトがそう言うと、蜜柑は自分の髪をいじりながら口をとがらせた。するとヒロトが悪戯っぽく微笑み口を開く。

ヒ「その夜は何も無く、嵐の前の静けさ、という言葉がぴったりだった…」

瑠「!」

ヒロトが瑠璃花を見た。

ヒ「続き、話すよ。」


朝食の時間。お日さま園では大広間で、子供達はそろって食べる事になっていた。

仲の良い子同士でお喋りしながら食べるから、いつも賑やかで楽しい雰囲気だった。

だが、吉良がチーム分けした翌朝は、黙々と朝食を食べる様子が見られ、遅れて入って来た瑠璃花と蜜柑は顔をしかめた。

ヒロトが2人に駆け寄る。

る『すごく変な雰囲気…』

ヒ『るりかちゃん、パンケーキもある…って』

瑠璃花はヒロトをスルーした。というより目に入っていなかったのかもしれない。

いつもなら仲良く話す杏とクララも、離れた席で食事をしている。風介に突っかかる晴矢さえ。

る『蜜柑ちゃん、何があっ…』

吉『流星瑠璃花さん、お話があります。』

蜜柑に聞こうとした瑠璃花の声を、大広間に入って来た吉良が遮る。

険しい顔のまま、瑠璃花は吉良について行った。


ヒ「…」(スルーされた事を思い出し少しテンションダウン)

南「今思い出せばバカなことだよな。チームで固まって少しでも早く力を貰いたかった…そうすればあの大仏が喜ぶと思ってたんだ。」

愛・瑠(大仏…)

愛「その大仏さんは、瑠璃花ちゃんに9時になったら屋内のグラウンドに行くように指示した。サッカーのちょっとしたバトルをするから動き易い服装で、って。」

涼「…ちょっとしたバトル、か…」

涼野が俯き呟く。ヒロトや南雲も何かを思い出したようにハッとして涼野を見た。

震えた拳。

瑠璃花が顔をしかめる。こんなに話を聞いているのに、何一つその時の事が思い出せない。

愛「そして午前9時。室内グラウンドに行った瑠璃花ちゃんは吃驚して一瞬体を強張らせたの。」

蜜柑が話し出す。

愛「グラウンドには、寒色でまとめられた色のユニを着たサッカーチームが待ってたから…」


寒色でまとめられた―そう、待っていたのは風介がキャプテンのチーム、ダイヤモンドダスト。

と、吉良が瑠璃花と蜜柑に近付きルールを説明した。

吉『良いですか瑠璃花。今から貴女にはこの11人とサッカーでバトルをしてもらいます。ルールは通常のサッカーの試合と同じです。私か研崎が良いと言うまで続ける事。分かりましたか?』

る『…私1人だけ?』

吉良が頷く。

吉『これは貴女のサッカーの実力を見るテストです。シュートばかりでは無くて、ドリブルとかもして下さいね?』

瑠璃花が困ったような表情をした。

戸惑い、きょろきょろと辺りを見渡していた瑠璃花だが、風介と目が合った。

強い目だった。その目を見た彼女は決心した様に吉良に向かって頷いた。

誰も居ない半分のフィールドは何処か寂しそうで、瑠璃花はそっと足を踏み入れた。

上を見ると、吉良と研崎、さらにヒロトや晴矢などお日さま園の子供達もいて、グラウンドをじっと見つめている。

緊張している瑠璃花に優しく声を掛け、蜜柑はグラウンドのある部屋の隅で、体育座りをした。


試験スタート。
※…の前に。ダイヤモンドダストのメンバーの名前を^^;本名で行きます!

FW  涼野風介 ガゼル  旋風野冬司 ブロウ  御氷 雫 フロスト
MF  鳥羽蓮  バレン  栗尾根由紀 リオーネ  角路徹 ドロル  凍地愛 アイシー
DF  凍地修児 アイキュー  極川寒太郎 ゴッカ  倉掛クララ クララ
GK  白井一角 ベルガ

読み方が分からない選手がいたらコメントでお知らせ下さい。多かった場合は全員お答えします^^;
では、本編の続きへ!!


冬司に渡ったボールを瑠璃花が奪う。良く内容が分からない様子だったが取りあえず!と言う顔でドリブル。

蓮と由紀がブロックしようと前に現れるが、それを上手くかわし突き進む。

は『時間、どれくらい掛かるんだろうな…』

晴矢が不安そうな声で呟く。いくら瑠璃花でも、こんな大人数を相手に1人では持たない。

リュウジや治が吉良を見る。彼はしみじみと瑠璃花を見ていた。

シュート。一角が構えた瞬間、ボールはネットを揺らしている。

ヒ『体力温存だね。るりかちゃんは力の半分も出して無い。』

ヒロトがそう言うと、キャプテン組が驚いてヒロトを見て、それからフィールドを見た。

右でひとつに結った橙色の髪が揺れている。瑠璃花は深呼吸をしていた。

体が震えていた。自分が崩れそうで、それを必死に抑えている―

蜜柑にはそう見えた。

ガラ、と扉が開く音。蜜柑が扉を見ると、吉良が部屋を出て行く所だった。

まるで蜜柑に付いて来い、と言っているように。

蜜柑が立つ。試験の再開を告げる、ホイッスルが鳴った。