イナイレ*最強姉弟参上?!*
作者/ 伊莉寿

第46話 瑠璃花の過去―10
~南雲side
昼ご飯を食べる時、何故かダイヤモンドダストの奴らがいなかった。
試験があった昨日も、夜になったら風介達が居なくって…るりかの事、伝えようと思ってたのに。
杏『食べないの、晴矢?』
何となく食欲が無い…え、風邪でも引いたのか?俺…
は『まぁ、何となく食べたくないっていうか…』
杏『練習あるのに?』
は『う…』
と、突然杏が黒い笑みを浮かべて…
杏『食え。』
は『断る。』
来たー!杏のけんかモード降臨ー!!!!
そもそも何でコイツと同じチームなんだよ父さん!!恨んで良いか??!
ヒ『晴矢、早く食べて風介探しに行かない?』
こそ、とヒロトが耳元でささやく。ヒロト…お前、良い奴だな。
は『分かった』
杏(??急にがつがつご飯食べ始めて…のどに詰まっても知らな…)
は『がふっ…ぐ…』
杏(言わんこっちゃない…ってこういう事かしら。)
苦し…のどに詰まったー!!!杏が笑い堪えてるし!助けてくれって!!!
『ドンドン』
は『?!』
背中の辺りを容赦なく叩かれた。と、同時に目の前に水の入ったコップが差し出される。
ふ『バカだなお前は…』
ヒ・は『??!』
ふ、風介がいた…お前探そうとして急いで食ってたんだぞ!…って自分で勝手にやった事だし…
風介は辺りを見渡して、何かを探していた。…昨日の傷、治ったのか?傷跡が全然分からないけど。
ふ『…るりか、何処に居る?』
は『え、お前がいどしつ(ヒ『いむしつ。』)…に連れてったんだろ?』
風介がきょとん、とした顔をしてから、頭をかいた。
ふ『すまない、うっかりしていた…』
それだけ言うと少し早足で部屋を出て行った。
今日、何か変だな…悪い食べ物でも食べたのか??
ヒ『晴矢、るりかに昼ご飯持って行こ。』
は『でも、晩御飯も朝御飯も全然食べなかったし…』
ヒ『お腹すいて食べるかもしれないよ!』
ヒロトの勢いに押されて、俺は風介の後を付いていもしつに行った。
リ『晴矢、医務室だよ^^;』
リュウジに心の声を読まれながら。←
ふ『貴様等、歩くのが早いんだな。』
丁度同じタイミングで部屋の前に着いた。
ヒ『…風介、今日何か怖いけど…』
俺も頷く。
風介は無視してドアを開けた。
窓が開いていた。水色のカーテンが風に揺れる。
そのカーテンの前に、昨晩から何も話さない少女は居た。
視線は窓の向こう。
ふ『…るりか。』
声をかける風介。俺は予想を立てた。反応しない。
る『…』
彼女が首を少しだけこちら側に向けた。それだけでも俺とヒロトは驚きだった。
昨日、医者を呼んで診察が終わった後に部屋に入ったが、何回話しかけてもこちらを向く事は無かった。
でも耳は聞こえている、って医者は言うんだ。信じられなかったけど…
今、風介の声に反応してるりかがこちらを向いた。…直ぐに視線は窓の外に戻ってしまったが。
ふ『どういう事だ?』
ヒ『風介、聞いてくれる?』
俺達は、昨日の事を話した。全部話終わった後の風介の言葉がこうだ。
ふ『何だ、そんな事か…』
は『?』
ふ『つまりるりかは、その悪口を聞いてしまったんだ。話の内容によっては自分がやってしまった事も聞いたかもしれない。』
ヒ『…あれを…』
風介は部屋を出てから、練習に行かないと、と言って解散させた。でも、その後の言葉、俺は聞いてたんだぜ?
ふ『…私には、時間が無いんだ…』
―現代
鬼「遅いな、あいつ等。」
テ「瑠璃花~…もう注文しちゃうよっ><」
高そうなレストランでこの2人以外は硬直している。円堂は騒いでいるから例外として。
風丸なんか顔が引きつっている。
と、フラリと黒髪の男が脇を通り過ぎた。ティアラは何となくその男性を見た。
黒髪で大柄、目の色は魁渡みたいに澄んでいる。
ただ、何処かおかしい…異様な雰囲気を纏っていた。
魁「ティアラ?」
テ「あっ、うんと、瑠璃花ちゃん此処に来れるのかな、って^^;」
円「冬っぺがスタジアムの外で待ってるってさ!」
そっか、とティアラが苦笑する。変な風に思われたくないから。
男はもう見えなかった。入口付近に居たから外に出たのかもしれない。
今、貸切状態にするために客を外に出している最中だから。
魁「このパフェ、美味しそうだな!!」
魁渡が笑っていた。ティアラも一緒にメニューを覗き込む。
瑠璃花は、なかなか来ない。

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