イナイレ*最強姉弟参上?!*

作者/ 伊莉寿



第50話 打ち上げ!後篇!



―時間は少し戻り…

姫「どっ、どう??!」

緊張気味に風花が見るその先には、美人できれいな少女が、麻婆豆腐を食べているという不思議な状況。

?「…そこら辺のより美味しいわ。」

姫「良かったぁ…あ、付き合わせてごめんねラティア。」

ラティアは風花を見上げて、別に良いわよと言った。それからドアを見て顔をしかめる。

ドアの外は宴会用会場。イナズマジャパンの打ち上げが行われている。此処は調理室だ。

ラ「それにしても…五月蝿いわね。」

フィ「またそれかい^^;」

姫「今、イナズマジャパンの…」

魁「バイキングか~っ!!!」

ドアの外から飛び切り大きな声が聞こえた。ラティアはまたか、とでも言いたげな顔でドアを睨む。

ラ「銃で撃ってこようかしら。」

フィ・姫「やめて!!」

ポケットから銃を取り出しそうな勢いである。何故彼女達が此処に居るのかと言うと、暇だから来た、らしい。

ラ「風花、私用事あるからここ出るわね。」

姫「うん、ラティアに褒めてもらえて自信持てたよ!ありがと☆」

風花が2人を外まで見送る。

と、シェフが注文を取って来た。中華鍋を洗うのを忘れていて、料理長に思いっきり叱られました^^;


テ「クレ~プ~!!」

物凄く嬉しそうな声が響く。ティアラが目を輝かせていた。

魁「俺チョコバナナ~!」

テ「苺生クリーム!!」

瑠(…ほのぼのしてて可愛い…)

思い思いに楽しむ皆を席に座って眺める瑠璃花。あれから鬼道は何も聞いてこない。

心遣いに感謝するが、何時か話しておこうと思った。

姫「瑠璃花さん、だよね!よろしく!!」

瑠「あっ、うん。麻婆豆腐、美味しかったです。点心も…」

ありがとう、と顔をほころばせる風花は、瑠璃花の心も晴れやかにする。

風花は円堂達と嬉しそうに話している。瑠璃花は席が近いから話が聞こえてしまうのだが、違和感に気付いた。

応援してる、とか勝ってね、という単語が全く聞こえないのだ。不自然な程。

きっと、悩みの様な物があるのだろう…瑠璃花はそう思った。

皆、悩みを抱えてる。それを乗り越えて人は強くなる。

瑠(私も、乗り越えなきゃ…)

カサリ、とポッケから手紙を取り出す。

死んだはずの父からの手紙。意味を理解しようと解読に励んでいると…

魁「わ!生クリームが!!!」

テ「きゃー><」

瑠「……魁渡…」

魁渡の顔が…

白くなっていて、まるでサンタクロースだった。



夜風に当たる。

打ち上げがあった夜、瑠璃花は部屋で一人、夜空を見上げていた。

ティアラ達はアメリカに戻った。もっと居たいと言うティアラを、マークが何とか説得していた。

今日は曇りで星も月も見えない。彼女は窓を閉めベッドの上で手紙を開く。

ライオコット島への期待もあったり、世界で戦える相手の事を想像したりとサッカーの事も頭の中にはあるが、身内である父親の事がやはり大きいのだ。


~瑠璃花side

自分は父親をどう思っているのか、とふと浮かんできた。ベッドの上で手紙を開いた時だ。

サッカーの事を教えてくれた恩人…
島民を救おうと努力した男性…

苦しんで苦しんで楽になろうとして…


でも、子供は死ねなかったんです。

苦い薬じゃなかったら、私はすんなり死を受け入れたのかな。

きっと、そんな事は無い。

あの時の心の傷は、痛い事が分からないほどゆっくりと、でも大きくつけられた。

両親が死んだのに、その1週間後はサッカーをしていたなんて、しかも悲しみを忘れて?

周りから見たら信じられない所もあったと思う。

でも、傷の痛みが分からなかったから。

お父さんとお母さんは、苦しんで、その結果、楽になった。


でも・・・



やっぱり、置いていかないで、欲しかったな・・・


私は、キャプテン達と居れば何でも出来そうな気がしてる。

望んだ事が、何でも叶えられる気がする。

でも、ただ1つ、叶えられないと分かっている望みがある。

幼い頃の様に、帰って来たらお母さんが「お帰り」と言ってくれて、料理の匂いが迎えてくれる家に住みたい。

絶対に敵う訳無いって、それはあんな事があってから抱いた望みだもん分かってる。

逆に、叶ってはいけない望みであることも分かってる。

だから、私は…

お父さんがする事が、間違っているというのも分かった。

悪人になろうとしてる父親。

…そんな人を、私はどう受け止めるのだろう?