イナイレ*最強姉弟参上?!*

作者/ 伊莉寿



第52話 決意、そして旅立ち…



~魁渡side

瑠「イナズマジャパンから、外して下さい…」

瑠璃姉を追って、監督の部屋の前まで来た俺を待っていたのは、この言葉だった。

イナズマジャパンから外れる?日本代表を降りるって事?何で…何で、外れないといけないんだ?

久「理由を聞きたい。」

瑠「…時間がほしいんです。」

時間…時間がかかる事をするとなれば、練習時間を削って行かないといけないし、どちらにも集中できなくなる。

それは分かるけど!

瑠「お父さんを、早く見つけないといけないんです…そうしないと、イナズマジャパンの皆が…だから、お願いします!!!」

魁「何で瑠璃姉だけが!!」

耐えられず、ドアを思いっきり音を立てて開けた。やべ、壊れる!←

瑠「魁渡!?」

魁「おれも父さん探し手伝う!それにっ、何で今更俺だけ置いてくんだよ!!」

久「2人に外出許可を出す。」

もめかけた俺達を、一瞬にして静まり返す言葉。

2「!」

監督が俺達をじっと見て、もう一度言った。

久「お前達も、戻って来るのだろう?だから、外出許可だ。」

イナズマジャパンからは外さない、って事か。

瑠「監督…。」

魁「ありがとうございます!」

久「夕食は食べていけ。」

魁「はい!」

部屋を出る。

バタン、と瑠璃姉がドアを閉めた。

瑠「良いの?」

俺の目を見て、瑠璃姉が問う。

瑠「本当に…良いの?」

魁「もちろん!」

寂しげな笑み。

そっか、と呟いて、食堂へ向かう。

間違って無い…よな、俺。


~瑠璃花side

本当に、良いのかな。

戻って来るって…そうだね。

フュイ達と楽しいサッカーしたいし、キャプテンの元で、私は世界一になりたい。

早くお父さんを見つけて、イナズマジャパンに戻って来よう!!


?「隣、良いかい?」

瑠「…っ!あ、どうぞ…」

そう言えば、夕食中だった…声をかけてきたのは、佐久間さん。新しく入って来た、帝国学園のFW。

佐「韓国戦で、決勝点決めた子だよね。」

瑠「…らしい、です…。」

佐「らしい?」

あはは…。

瑠「覚えて無くって^^;」

佐久間さんが目を見開いている。当然ですが。

それから、会話はありませんでした。別に気まずくも無く、ただ黙々と夕食を食べていただけで。

瑠「イナズマジャパンを、勝たせて下さいね。」

食べ終わったころ、私は彼にそう言って席を立つ。きっと、彼の中での私の第一印象って、変わってる、とかなんだろうな。

部屋に戻って、また荷物まとめないと…。


着替え、お金、それと…

瑠「…よし、全部揃った。」

来た時より、少し小さめのバッグに必要な物を詰め込む。魁渡は入口で待ってるって言ってたから、私も早く行かないと。

やっぱり、一度こうした事があるからかな。怖くもないし、緊張もしなかった。

星の使徒研究所を目指し出発した時と、同じ。

部屋を出ようと、荷物を両腕で持ってドアまで歩く。

ドアに鍵とチェーンをかけていたから、荷物を一旦置いてチェーンを外そうとした。

その時、ノックが。…私の部屋に。

チェーンを外して鍵を開ける。ガチャ、と音がして廊下の明かりが差し込んだ。

顔を少し外に出すと、そこに居たのは鬼道さん。

鬼「!その荷物は…」

え、見えました??!見えない様にしていたんですけど…

瑠「っ、また、戻ってきますから。」

鬼「な?!」

鬼道さんを押しのけて廊下に出る。少し、強引にしないと。

そうしないと、戻って来れる自信が無くなる…。

泣きそうになる。今日2回目の…。

瑠「それでは。」

一度お辞儀をして廊下を走る。荷物が、いつもより重たく感じた…。


魁「遅いぞ、瑠璃姉。」

瑠「ごめん。」

もう暗くなり始めている外。私と魁渡は、お父さんを探しに旅に出る。

円「!どうしたんだ、2人して荷物持って。」

丁度、帰って来たキャプテンが…って遅くないですか??!!!

魁「行ってきま~す!」

円「?おう。」

え、それで良いんですか。

少し間抜けな、挨拶をかわす。

魁「瑠璃姉、キーワードは?」

宿福はもう見えないほど遠くへ来た時、魁渡が聞く。

キーワード、か…。

瑠「―天使と悪魔。」

私の心音が、一度だけ大きく聞こえた。