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偽家族コンプレックス
日時: 2013/09/26 08:06
名前: 葉月 ◆S/72wRvvfc (ID: cm34dabg)

†登場人物†



御崎 佳音 MISAKI KANON

朝香 陸 ASAKA RIKU

椎名 星夜 SIINA SEIYA

朝香 空 ASAKA SORA

藤宮 堅都 HUZIMIYA KENTO

柏倉 瑠璃 KASIKURA RURI



†プロローグ†



紅一点の少女は幼なじみが一番大切で

双子の片割れは少女の笑顔が大好きで

冷たくても優しい少年は自分を知らなくて

双子の片割れはずっとこの関係が続いて欲しくて

ポジティブ少年は死んだ少女を忘れられなくて

天使になった女の子の面影はいつまでも残っていて


偽の家族の少年少女は何を想って育つのだろう————



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Re: 偽家族コンプレックス ( No.1 )
日時: 2013/09/28 18:42
名前: 葉月 ◆S/72wRvvfc (ID: cm34dabg)

【第零話~ある夜の運命的な出来事~】


■000■


 雪がふわふわと舞う、冷たくて静かな夜。世の中の全ての人間が動かなくなったかのように、辺りは静寂に包まれていた。そんな静寂を壊さないためにそっと積もった雪を踏みしめる者達がいた。その者達は皆、瞳から涙を流して去って行く。

「陸さん、空さん。本当にごめんなさい。お母さんね、あなた達二人とも育てることは出来ないの。でも、でも…………っ…………ね、一人だけ育てることも出来ない……! 本当にごめんなさい! うぅっ」

 焦げ茶色の煉瓦が積み重なって出来た建物には『詩園 Utaen』という文字を石に掘ったものがかかっている。ここへこの夜初めて訪れたのは茶色の地毛が目立つとても若い、少女と呼べる程の女性であった。
 泣き崩れながらも、二人のそっくりな男の子をくるんだ子供用の羽毛布団に小さなお守りをはさむ。屋根の下に赤子を優しい手付きで置くと、元気で、と呟いて走り出した。その女の姿が走り去り消えて、辺りまた静けさが戻ってくる。
 が、しばらくして、赤ちゃんがまた『詩園』にやって来る。どの親らしき人も皆、別れ際に子供の名前を囁く。最初の女性のが言った『陸』『空』そして『瑠璃』『堅都』『星夜』の順に一人の女の子と二人の男の子が、一般的な孤児院、または児童養護施設ともいうこの場に置いて行かれた。

「佳音。良かったね。お友達が沢山いるよ。元気に、他の子と仲良く育って…………」

 最後に現れた者は自分が抱く女の子を下ろそうとして、すやすやと眠る赤子達に気付き、言った。彼女は六人の子供の親で、ただ一人謝らなかった。自身で育てていくことが出来ないことを謝らなかった。だが、幸せを祈った。赤ちゃんの寒いのに桃色に染める頬をそっと触り、最後に一言だけ残した。

「私の子供として生まれてきて、良いことは少ない思うわ…………佳音。ありがとう……」

 その時、育てられないとしても血が繋がった親子の母の頬に。この世にある悪をまだ何一つも知らないでこにこと笑う『佳音』の母親の頬に一筋の雫が流れた。



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