コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 偽家族コンプレックス
- 日時: 2013/09/26 08:06
- 名前: 葉月 ◆S/72wRvvfc (ID: cm34dabg)
†登場人物†
御崎 佳音 MISAKI KANON
朝香 陸 ASAKA RIKU
椎名 星夜 SIINA SEIYA
朝香 空 ASAKA SORA
藤宮 堅都 HUZIMIYA KENTO
柏倉 瑠璃 KASIKURA RURI
†プロローグ†
紅一点の少女は幼なじみが一番大切で
双子の片割れは少女の笑顔が大好きで
冷たくても優しい少年は自分を知らなくて
双子の片割れはずっとこの関係が続いて欲しくて
ポジティブ少年は死んだ少女を忘れられなくて
天使になった女の子の面影はいつまでも残っていて
偽の家族の少年少女は何を想って育つのだろう————
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15
- Re: 偽家族コンプレックス ( No.57 )
- 日時: 2014/10/06 12:20
- 名前: 葉月 ◆S/72wRvvfc (ID: p6e1/yUG)
■035■
佳音は自室で手紙を穴が空くほど見ていた。
この地域に、いや、全国に、奏音さんとはどれくらいいるのだろうか。これはただの偶然?たまたま、ということは人生のうちに何度経験するものなの?
(そもそも苗字違うし! あ……いや、でも、この前空が観てたドラマに苗字変えて整形して復讐を図ったとかいう人が出てきてたような……もーどうすればいいの!)
頭の中が竜巻状態にぐるぐると回る。
と、コツンコツンとドアを叩く音がした。
「いいかしら。佳音ちゃん」
「え、あっおばあちゃん? どうぞどうぞ〜」
普段なら階段を上がってくる音くらい聞こえるはずなのに、全く気づかなかったことに驚きながらも扉を開ける。
机の上には色褪せた手紙が置かれていて、それを玲子は、そっと自然な様子で手に取った。
「これを見てなにを思ったの?」
能天気な性格でいつもきらきら笑っている佳音の目が静かに閉じられた。まつ毛がきれいに並ぶ。そして、深く深呼吸をすると真摯な眼差しを育ての親に向けた。
沢山吸った空気は、自分の家の香り。兄弟、おばあちゃん、お兄ちゃん、みんなの匂い。
(ここにいられるのは、私が生まれてきたから。ここが、私の家だから……)
「おばあちゃん。あの……私ね、この人と同じ名前の人知ってるの。とても、すてきな、人なの」
「そうなのね」
驚きもせず、また、知っていたはずもない。なのに、落ち着いた物腰の、大人の雰囲気に安心する。
「私、ずっと、私を産んでくれたお母さんに言いたかったことがあるの。それで……」
「伝えたらいいと思いますよ、私は」
「うん。だよね……うん! おばあちゃん大好き!」
今年初の、雪が降った日だった。
「杵島さ……奏音さんっ!」
「……佳音ちゃん」
少ないものの、真っ白な雪がぽとぽとと降っている夕方。
冷たい凍るような空気の中を走ってきた佳音の頬と耳の先は真っ赤に染まっていた。焦げ茶のプリーツスカートにダッフルコート。学校帰りにものすごい勢いで図書館にやってきたのは見え見えだった。今日は、マフラーも手袋もしていない。
「あの、人違いだったらすいません! でも、奏音さんに言いたいことがあって……」
「佳音ちゃん……あのね」
「御崎さん、ですよね? 本当は、御崎さんなんじゃないんですか」
別に咎める気持ちも怒りもないのだが、語尾が強くなる。どうしても知りたかったのだ。
「もし杵島さんが御崎さんなら、御崎奏音さんなら、いえ、違ってもお願いします。聞いてください!」
「……」
奏音は佳音にじっと見つめられて、目線をずらせない。いや、ずらせないのは、佳音の瞳が濡れて輝いていたから。
「私、今の生活がすごい幸せなんです。色々あったし、大切なものを失いもした。でも、でも、詩園という帰る家があることか、毎日幸せなんです」
鼻の先も赤くなってきて痛々しい。
「だから、私をこの世に産んでくれた人にずっと言いたかった。本当にありがとう。神様なんかじゃなくて、私の……お母さんに、ありがとうって」
「……っ」
「奏音さん…………お母さん」
ぎゅっと握りしめた拳に、更に力が入って、ずっと抜けていった。
「ありがとう」
佳音は泣かなかった。最後までうるうるとまぶたの奥を熱くさせていたけれど、その瞳から涙が流れることはなかった。そのかわり、奏音の目からは大粒の涙がこぼれ落ちた。唇を噛みしめて、必死に嗚咽をこらえている。
「生まれてきてくれてありがとう。 いまさら母を名乗ることは許されないけれど、あなたが生まれてきてくれた時に、生きててよかったって思えた」
今年初の、雪の降った日だった。
親子の愛が、佳音の憧れが____この世に訪れた日だった。
- Re: 偽家族コンプレックス ( No.58 )
- 日時: 2014/10/06 15:50
- 名前: あんず ◆zaJDvpDzf6 (ID: xZ7jEDGP)
葉月さんお久しぶりです!
おおお、やっぱりお母さんは杵島さんでしたか…
佳音が会えて良かったです(´-`)
これから話がどう進むのか楽しみですw
久々に学校に戻るのかな?とか想像してます。←
更新応援してます!
でわでわ。
- Re: 偽家族コンプレックス ( No.59 )
- 日時: 2014/10/10 21:32
- 名前: 葉月 ◆S/72wRvvfc (ID: p6e1/yUG)
あんず様
お久しぶりです。
杵島さんと佳音のお話ももう終わりです。
あと一話くらいでまとめて次章(?)に
入っていけたら入っていきたいと思ってます!
これからは遊んだり空が急いでたり色々あります。
ありがとうございました!
- Re: 偽家族コンプレックス ( No.60 )
- 日時: 2014/11/23 23:19
- 名前: あんず ◆zaJDvpDzf6 (ID: UK8YjfXC)
スレ上げ。
応援してます(・ω・)ノ
- Re: 偽家族コンプレックス ( No.61 )
- 日時: 2014/12/07 16:57
- 名前: 葉月 ◆S/72wRvvfc (ID: tnHh0wAL)
あんず様
スレ上げありがとうございます(T ^ T)
前回の更新からこんなにも時間が経ってしまいました。
実はもう続きを書いているのですが、
コピぺが上手くいかずに更新できておりません。
R*STORYというサイトでも同じ題で
更新していますので、続きはそちらを
見ていただけると幸いです。
バグが直ったらこちらでも続けるつもりです。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15
この掲示板は過去ログ化されています。