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偽家族コンプレックス
日時: 2013/09/26 08:06
名前: 葉月 ◆S/72wRvvfc (ID: cm34dabg)

†登場人物†



御崎 佳音 MISAKI KANON

朝香 陸 ASAKA RIKU

椎名 星夜 SIINA SEIYA

朝香 空 ASAKA SORA

藤宮 堅都 HUZIMIYA KENTO

柏倉 瑠璃 KASIKURA RURI



†プロローグ†



紅一点の少女は幼なじみが一番大切で

双子の片割れは少女の笑顔が大好きで

冷たくても優しい少年は自分を知らなくて

双子の片割れはずっとこの関係が続いて欲しくて

ポジティブ少年は死んだ少女を忘れられなくて

天使になった女の子の面影はいつまでも残っていて


偽の家族の少年少女は何を想って育つのだろう————



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Re: 偽家族コンプレックス ( No.52 )
日時: 2014/08/05 08:33
名前: 葉月 ◆S/72wRvvfc (ID: p6e1/yUG)


あんず様

杵島さん辞めちゃいます……
正確には私が辞めさせます!
あ、本当。空は何に急いでるのかしら←
陸と佳音はまだ地味すぎる絡みしかないですわ。
もう少し……もう少し……´д` ;

この更新スピードどうにかならないのかな。
でも今日中にまた更新する予定……!!
頑張ります(。-_-。)

Re: 偽家族コンプレックス ( No.53 )
日時: 2014/08/06 22:47
名前: 葉月 ◆S/72wRvvfc (ID: p6e1/yUG)


■034■



 リビングでテレビを観ていた佳音が、いきなり大きなため息をついた。

「はぁー」
「なんだよそのため息。中学生とは思えない」

 陸が口を開くと、むっとして佳音が言い返す。

「私も中学生っぽくクリスマスとかクリスマスとかクリスマスとか楽しみたいんですぅー」

 周りとしては、この二人どうにかならないのだろうか、という気持ちでいっぱい。口を開くたびにこの様子だ。それも何年も何年も。半分諦めているのも事実だが。
 どうやらクリスマスのイルミネーションについて民放のニュースが報道していて、それを見に行くカップル達を羨ましく思ったらしい。

「そういえば、もうクリスマスねぇ」

 玲子が呟く。

「クリスマス……。そう、良い機会かしら。あなたたち、よく聞きなさい」

 食後のお茶を飲んでいた空と堅都、後片付けをしていた星夜、ごろごろしていた佳音と陸。五人の中にすぅっと緊張した空気が通るのを皆が感じた。
 慎太郎がはっと目を開く。

「あなたたちがこの詩園に来た日が大晦日だとは教えたわね。運命のように六人揃って並んでいたわ。そうよ……今でも昨日のように覚えています。それぞれ、持って、というか、そばに置いてあった物があったのよ。慎太郎、持って来てちょうだい」

 慎太郎がどこかへ行って帰ってくるまでの時間、子供たちは息をするのも忘れて待っていた。
しばらくしてなにやら持って戻ってきた慎太郎の腕の中にみんな小さな子供のように興味津々。じっと見入っている。
 彼らの心の中には、一つの期待がきらめいていた。物心ついた頃から今まで、ずっと考えてきても訊けなかったこと。それは、自分たちの____。

「名前」

 静かに室内に響く優しい声。

「なぜこの名前なのか。知りたかったでしょう」

 皆はっと育ての親であるおばあちゃんを見る。何でも知っている。この人は、本当に本当の自分たちの「親」なんだ、と実感させてくれるその言動に心がほっと安らぐ。

「はい、これは陸と空に。これは堅都。これは星夜。これは__瑠璃ちゃんのよ、佳音。あなたが持っていてあげて。そしてこれが……佳音のもの」

 一人一人の手に渡された様々な小物。
 陸と空には水色と紺の色違いのお守り。水色のものには、朝香空、の文字。紺のものには、朝香陸、の文字。丁寧に一針一針、手縫いで名前が記されている。空の瞳が静かにうるんでいる。
 堅都にはチャームだった。Kentoとだけ彫られた、銀の長方形の薄いチャーム。よく錆びずにこの十三年間残っていた。よほど厳重に管理していたのだろう。

「堅都にはね、漢字のフルネームが無かったの。でも、ケントっていう名前をあなたの生みの親が考えたのなら、育ての親の私が漢字をつけようと思いましてね。かたくつよい子になるよう、堅都。藤宮はあなたのくるまっていたタオルが藤の描かれた綺麗なものだったからよ」

 堅都は黙って玲子の話を聞いていた。
 冷静沈着何事にも動じない星夜の手が微かに震えていた。持っていたのは茶色くくすんだ和紙ぺらっと一枚。そこに書いてあるのは、椎名星夜、という力強い毛筆の字。男の人らしい字だ。
 瑠璃ちゃんの、と言って渡されたのは白くて薄いハンカチだった。ただ、紫を若干帯びた蒼い色の小さな花がついていた。

「瑠璃色__瑠璃ちゃんは名前につながるものが無かったの。だから、私がそのお花の色から瑠璃と名付けたわ。柏倉は私の旧友に真っ黒で直毛の美しいお友達がいて、その娘の名字からもらったわ」

 佳音はおばあちゃんの話を聞いて、瑠璃がいたら、瑠璃に伝えたかった。瑠璃はこんなにも家族に愛されていたんだよ、愛してたよ、大好きだったよ、と。瑠璃を失ってから気付いた瑠璃の存在の大きさ。穴は埋められないけれど、私がもっともっとずっと……瑠璃の分も生きよう。そう佳音が感じた瞬間だった。

「ん?」

 はじめ、何だか分からなかった。長方形の紙はところどころ欠けていて年季が伝わってくる。そっと開くと、手紙だということが分かった。一心に読み、何度も読み返した。


最初にあなたに謝ります。
ごめんなさい。本当にごめんなさい。
あなたを育てられないこと、きっと不自由ばかりさせるでしょう。
私には夫がいません。私は学生で、あなたを養うお金も稼げません。
いえ、稼いで育てる勇気がないのです。私のこの弱さを罵ってください。
これは、許してもらうための手紙ではなく、あなたを生んだ者として母を名乗れないことは分かっていますが、せめて名前だけは与えたいと思い、それを記す手紙です。

御崎佳音

それがあなたの名前。みさきかのん。かのんちゃん。
元気に育ってくれることを祈ります。生まれてきてくれてありがとう。


詩園の方

これは佳音が大きくなってから渡して下さい。
この子が、私を他人として思えるほど成長したら……



「あぁ、私の名前はお母さんが付けてくれたんだ」

 その事実だけで充分だった。私には名前を与えてくれた。私をこの世に産んでくれた母の残した愛情。これだけで。そう思った時、最後の一行が目に入って、佳音の体がさっと凍るようにかたまった。



御崎奏音


Re: 偽家族コンプレックス ( No.54 )
日時: 2014/08/09 16:47
名前: あんず ◆zaJDvpDzf6 (ID: 5E9vSmKZ)

ええええええっ←

こんにちは!

え、佳音のお母さんって杵島さんだったんですか!?
超驚きです。

でももう、杵島さん辞めちゃうんですよね…。

名字が変わったってことはもう結婚してるんですか。
なんだか寂しいような…。

次回佳音がどう動くか気になります。

佳音たちはもうクリスマスなのが羨ましいですw

更新楽しみにしてます。

でわでわ。

Re: 偽家族コンプレックス ( No.55 )
日時: 2014/08/10 19:38
名前: 覇蘢 (ID: caCkurzS)

こんばんは。
覇蘢です。


この間は覇蘢の作品にコメント、ありがとうございました!
鼻水でティッシュ切れるほど感激ました(笑)。



まだ、最後まで読めていませんがコツコツ念入りに読んでいきたいと思っています!

更新頑張ってくださいね!

Re: 偽家族コンプレックス ( No.56 )
日時: 2014/08/22 09:40
名前: 葉月 ◆S/72wRvvfc (ID: p6e1/yUG)


あんず様

もう私あんず様のコメントと時間があれば、
拙いながらも小説を書いていける気がします!!
亀更新に……本当もう……(泣)

次回謎解き回の予定であります。
予定です。予定。
佳音には自分で動いてもらいたいかな。楽ですし←
陸との絡みを久々に入れていけたら良いです^^;

覇籠様

名前間違っていたらすいません(>_<)

私などのコメントでそんなに泣いてくださるのですか!!
嬉しくてうちのティッシュまで切れちゃうじゃないですか←

無駄に長い文章ですいません。
コツコツ読んでくださったら光栄です!



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