コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 偽家族コンプレックス
- 日時: 2013/09/26 08:06
- 名前: 葉月 ◆S/72wRvvfc (ID: cm34dabg)
†登場人物†
御崎 佳音 MISAKI KANON
朝香 陸 ASAKA RIKU
椎名 星夜 SIINA SEIYA
朝香 空 ASAKA SORA
藤宮 堅都 HUZIMIYA KENTO
柏倉 瑠璃 KASIKURA RURI
†プロローグ†
紅一点の少女は幼なじみが一番大切で
双子の片割れは少女の笑顔が大好きで
冷たくても優しい少年は自分を知らなくて
双子の片割れはずっとこの関係が続いて欲しくて
ポジティブ少年は死んだ少女を忘れられなくて
天使になった女の子の面影はいつまでも残っていて
偽の家族の少年少女は何を想って育つのだろう————
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- Re: 偽家族コンプレックス ( No.27 )
- 日時: 2013/12/17 18:20
- 名前: あんず ◆zaJDvpDzf6 (ID: V32VFdCN)
こんにちは。
プロローグの方の「天使になった」というところで
まさか、とは思っていましたけど、ついに…。
瑠璃が無事なことを祈ります!
佳音かわいそうですね( ノД`)…
頑張ってくださいd(^-^)
では!
- Re: 偽家族コンプレックス ( No.28 )
- 日時: 2013/12/17 22:17
- 名前: 葉月 ◆S/72wRvvfc (ID: cm34dabg)
あんず様
かなり長編になる予定なので、
まだプロローグにたどり着けていません!
それにしても更新が遅いですね。
内容が全く進んでないです……
- Re: 偽家族コンプレックス ( No.29 )
- 日時: 2014/08/07 10:09
- 名前: 葉月 ◆S/72wRvvfc (ID: p6e1/yUG)
■024■
二十分後。
「頑張れー」
「頑張ってー」
「ガンバー」
朝香陸は相手のスライディングを軽くかわし、ボールをキャプテンにパスした。
そして、試合に集中しつつも気のない家族の応援に肩を落とす。女子も含めて全員ずっと同じ時間を過ごしてきたから、大げさに言えば六つ子のような自分らだが、明らかに血のつながりのあるそっくりな空の応援が「ガンバー」は無いだろう、と思ったのだ。
(だけど来てもらってんのに文句は言えねーよな)
妙なところで生真面目な陸である。
(佳音とか瑠璃だったら)
と、そこまで考え、試合中だったことを思い出してボールを目で追いかけた。すると、自分の目の前を飛ぶボールが。ギリギリ、チームメイトに蹴り返すようにして力を入れた。もう五秒ほど気付くのに時間がかかっていたら、危うくゴールされていたところだ。
(は?! あのキャプテンは何秒で相手にボールとられてんだよ)
口に出していたら、一年生の分際で生意気な口を叩くな、と言われていただろう。
試合終了まで残り五分を切った。陸は再び三人の応援団が座る席の方向を見上げた。三人とも声援はなく、もはや誰も応援無しか、ととうとう落胆した瞬間、彼らの様子に違和感を覚えた。
「しっかりして、堅都!」
「で、二人は?!」
空が声を落としながら何故か呆然としている堅都の肩を激しく揺らしている。星夜は蛍光色の緑のカバーケースのiPhone、おそらく堅都のものを耳に当てて動揺しながら誰かと話している。
「……ああ……分かった。今すぐ行く」
ものすごく焦った感じの三人に何があったのか今すぐ訊きたかったが、あいにくプレー中の陸には不可能であった。視界の中にかろうじて映っていた星夜の姿が消え、空が口パクで何かを言った。
(おあったあ、うういいて……)
母音とT音しか分からない状況にイライラが募ってくる。双子の片割れは腹話術に向いてないな、と話が分からない陸は呑気なことを考えている。
「お、お……終わったらすぐに来て!」
やっと理解するや、疑問が浮かぶ。自分には終わったら色々とすることがある。きっとこのまま勝利で終わり、プチ打ち上げがあると想定されるのだ。そんなことは空にも分かっているはずなのだが、何故か。
もやもやと考えているうちに、予想通り陸のチームが勝ち、四対二と二点差もつけた。
「陸っ!」
「あんだよ」
「か、佳音と瑠璃が……」
「何かあったのか?」
ちらっと生気の感じられない堅都を見てから、かけつけた陸に空は告げた。
「交通事故に……あった、って」
陸の瞳が次の瞬間、見開かれたことは言うまでも無い。
三人は走ってバスに乗り、星夜が先に行っている地元の総合病院に向かった。
空と堅都の耳には、彩菜の落ち着いたようなどこか緊張感のあるはりつめた声音が残響のように思い出されていた。陸はついさっき聞いた空の話を未だに信じられず呆然とした状態。とにもかくにも皆、静まりかえっていたのだ。
——私ね、バスケ部の友達が入院してて見舞いに来たのよ。そしたら、ミサキと柏倉さんがが救急車で……
——ミサキは気を失っているだけらしい。でも、瑠璃がかなりヤバいって上杉さんが教えてくれた
——ミサキは病室でまだ目が覚めていないけれど、柏倉さんは……集中治療室に入ったまま
——星夜が先に行ってるけど、陸も行くよね?
陸も空も、大丈夫だと信じていた。だが、堅都の気の抜けようがやけに恐ろしく感じられたのだった。ペチャクチャとしゃべる人もいるバスの中、詩園の三人にとっては無音の長い長い永遠のような空間に思えた。
- Re: 偽家族コンプレックス ( No.30 )
- 日時: 2013/12/29 22:20
- 名前: 葉月 ◆S/72wRvvfc (ID: cm34dabg)
■025■
空は冷たく薄暗い廊下に置かれた長椅子に腰かけていた。隣には陸の試合場から何一つ口にしない堅都が座っていて、特徴的な猫の毛のような髪がしおれて見える。
立ちながら腕を組み、目を閉じて壁に寄りかかっているのは星夜。普段から口数は少ない方だか、今日は更にしゃべらない星夜から少し離れたところには、足でバラバラのリズムをとっている落ち着きのない陸。
「陸」
先に来て居た星夜が口を開いた。
「…………」
「試合、勝ったのか」
「今はそんなのカンケーねぇだろ」
いつも以上に刺々しい反応だ。だが、それ以降は誰も音を出さない。ただ、陸の足元の不規則な音だけは廊下に鳴り響いている。中学生とは言えルックスの良い男子がそろっているのに、若い看護婦が誰一人近寄らないのはこの空気のせいだ。
堅都がふと、斜め上に顔を向けた。虚ろな目が見つめるのは赤い照明に浮いた『手術中』の文字。
(瑠璃、消えないで)
交通事故のことを教えてくれた彩菜の姿はここには無い。気を失ったままの佳音が居る病室に付き添っていているのだ。その彩菜からの電話からもう三十分が経っていた。
「椎名」
「何だ」
誰でも名字で呼び捨てというスタイルの彩菜の声が響いた。
堅都だけが微動だにせず、他三人は声の主である佳音の親友の方を見た。
「柏倉さん、まだ……?」
麻の布に水がしっとりと染み込んでくる時、とても時間がかかる。彩菜の質問とそれへの返事はまさにそんなイメージであった。緊張感のあるゆったりとしたテンポの声なのだ。
「……あいつは?」
首を縦にして頷いた星夜は佳音のことを訊ねる。
「えっと」
「佳音っ!」
肩辺りまでのさらっとした髪がふわっと動いて彩菜が自分の後方を向いた瞬間、星夜ではない——陸の声がした。
「陸、あ——」
何かを喘ぐようにして言おうとしたのは分かったのだが、言葉に詰まって口にできない。すっかり病院の匂いが浸透している白衣に身を包んだ佳音が立っていた。彩菜は慌ててその今にも倒れそうな身体を支える。
「ミサキ、まだ横になっていた方が良いよ」
「彩ちゃぁん……瑠璃はっ……瑠璃……」
気持ちが高ぶってしまって滑舌が悪い。更に涙目になっている。
「大丈夫だから。柏倉さんは強いよ。だから、病室に戻って」
陸と彩菜で佳音を病室に戻す。力が抜けて自力で立っているのさえも難しい佳音には、ほんの二時間ほど前の生き生きとした張りは消え、萎れているよう。ぎゅっと二人の洋服を握る手が細かく震えていた。
数十分後、赤く光っていた『手術中』のライトはパチッとふいに消えた。
誰よりも早く堅都が反応して立ち上がり、薄暗い黄緑色の集中治療室の扉に近付いた。ほぼ同じぐらいにドアがさぁーっと開き、白と鉄と布だけの無機質な手術台横たわっている瑠璃が出てきた。
「瑠璃ぃっ!」
駆け寄る空。
手術に関わった人々に続いて出てきたリーダーらしい人がキョロキョロと辺りを見回す。
「彼女の親御さんは?」
そして、近くにいた星夜にマスクを外しながら訊ねた。
「血の繋がった人はいないです……養護施設といえば良いでしょうか」
星夜のその一言だけでも医者はしっかりと、理解したことをを示してくれた。頷いた初老らしい男の医者は、更に落ち着きのある星夜に訊いた。
「保護者を呼んでくれるかい」
「分かりました」
- Re: 偽家族コンプレックス ( No.31 )
- 日時: 2014/01/18 20:49
- 名前: あんず ◆zaJDvpDzf6 (ID: P/XU6MHR)
スレあげ、なのです。
頑張ってくださいね!
応援してます…(*´∀`)
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