コメディ・ライト小説(新)

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新日本警察エリミナーレ 【完結!】
日時: 2018/04/28 18:16
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2 (ID: hjs3.iQ/)

初めましての方は初めまして。おはこんにちばんは。四季と申します。
まったりと執筆して参りたいと思います。気長にお付き合いいただければ光栄です。

《あらすじ》
日本のようで日本でない世界・新日本。
そこには、裏社会の悪を裁く組織が存在したーーその名は『新日本警察エリミナーレ』。
……とかっこよく言ってみるものの、案外のんびり活動している、そんな組織のお話です。

シリアス展開も多少あると思います。

《目次》

プロローグ >>01-02

歓迎会編 >>05 >>08 >>13-18 >>23
三条編 >>24-25 >>30-31 >>34-35 >>38
交通安全教室編 >>39-40 >>43
茜&紫苑編 >>44-46 >>49-54 >>59-62 >>65 >>68-70
すき焼き編 >>72 >>76-78
襲撃編 >>79-84
お出掛け編 >>85-89 >>92-95 >>98 >>101-105 >>108-109
李湖&吹蓮編 >>112-115 >>120-121 >>126 >>129-140
畠山宰次編 >>141-146 >>151-158
約束までの日々編 >>159-171
最終決戦編 >>172-178 >>181-188
恋人編 >>189-195 >>198 >>201-202
温泉旅行編 >>203-209 >>212-226
結末編 >>227-229

エピローグ >>230

《イラスト》

武田 康晃 >>28 (御笠さん・画)
モルテリア >>55 (御笠さん・画)
一色 レイ >>63 (御笠さん・画)
京極 エリナ >>90 (御笠さん・画)
天月 沙羅 >>123 (御笠さん・画)

《感想など、コメントありがとうございました!》
いろはうたさん
麗楓さん
mirura@さん
ましゅさん
御笠さん
横山けいすけさん
てるてる522さん
mさん
MESHIさん
雪原みっきぃさん
織原姫奈さん
俺の作者さん
みかんさいだーくろばーさん
ホークスファンさん
IDさん

Re: 新日本警察エリミナーレ ( No.155 )
日時: 2018/02/23 20:28
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2 (ID: jWLR8WQp)

93話「休まる暇もなく」

 吹蓮はナギに任せた。心配もあるが、ナギはやる時はやる人だ。だからきっと大丈夫だろう。そう信じている。
 そして私は、レイに手を引かれながら廊下を走り続けた。
 これほどの距離を走るのはいつ以来だろう。大学時代は体育系の授業がなかった。だから、恐らく高校三年の頃以来だと思う。それを思うと、数年はまともに走っていないことになる。
 私はずっと運動が苦手だった。特に苦手なのは球技だが、走ることも得意ではない。持久走ともなれば、呼吸が乱れて乱れて、辛かった思い出しかない。
 だが、不思議なことに、今は苦しさを感じない。結構な距離を走ってきたはずだが、呼吸の乱れもかなり少なめだ。

 それから数分くらい経っただろうか、レイが足を止めた。至って普通の部屋の前だ。しかし、扉は外れて倒れていた。
 入り口付近にはモルテリアが立っている。
「モル!様子は?」
「……エリナ、いる……」
「分かった。ありがとう」
「……うん」
 モルテリアとほんの少し言葉を交わした後、レイはこちらに顔を向ける。真剣な眼差しで私を見つめ、落ち着いた声色で言う。
「沙羅ちゃん。くれぐれも気をつけてね。あたしも極力フォローするけど、何があるか分からないから」
 私は危険な場所へ自ら飛び込もうとしているのだ。改めて感じる。だが、これは私の選んだ道。私が行くべき道だ。

 室内へと足を進める。
 そこには、黒光りした鞭を構えるエリナと、地面に倒れ込んでいる武田の姿があった。エリナはほんの一瞬だけ私に目をやり、「来ちゃったのね」と呆れたように言う。
「武田さんっ!」
 私は地面に倒れ込んだ武田へと駆け寄る。室内には宰次もいるが、私が見ているのは武田だけだ。
「大丈夫ですか!武田さん!」
 大きめの声をかけると、彼は顔を持ち上げた。驚いたように目を見開いている。
「……沙羅?」
 信じられないものを見たかのように漏らす武田。その瞳を見れば、動揺していることは容易く分かる。かなり驚いているようだ。
「生きていたか……」
 武田はほっとしたらしく、安堵の溜め息を漏らす。表情がほんの少しだけ柔らかくなった。
「はい。武田さん、意識は確かですか?」
「あぁ、問題ない。……っ」
 彼はゆっくりと上半身を起こす。しかし、その途中で、床についていた右腕がかくんと曲がってしまう。
 そんな彼の上半身を、私は反射的に支えていた。
「無理しないで。ちゃんと支えますから」
「すまない……」
 申し訳なさそうな顔をして謝る武田。なんだか凄く罪悪感がある。
「いえ。そもそも私のせいなので、武田さんは悪くありません」
 武田の右腕は脱力している。僅かに触れただけでも彼は痛そうに顔をしかめる。想像していたより重傷なのかもしれない。
 その時、エリナの鋭い指示が飛んできた。
「沙羅!武田を連れて撤退しなさい!」
 私は慌てて「は、はい」と返事をする。慌てていたのもあってか、凄く中途半端な大きさの声になってしまったが、特に指摘はされなかった。
「武田さん、立てます?」
「あぁ。立てる」
「ゆっくりで大丈夫ですよ、慌てなくて構いませんから。あまり無理はしないで下さいね」
「そうか。感謝する」
 武田は上半身を縦にし、それからゆっくり腰を上げる。
 周囲に体重をかけられる物がないのは少々不便だ。一応私はいるが、私一人では彼を安定して支えられない。
 だが、だからといって誰かに甘えるわけにはいかない。彼がこんな風になったのは私のせいなのだから、多少無理してでも頑張らなくては。
 私は手を持ち支える。武田はそれによってなんとか立ち上がれた。しかし、スムーズに動けそうにはない。
 慣れないことに困っていると、レイが速やかに寄ってきてくれた。彼女は真剣な面持ちで「手伝うよ」と声をかけ、慣れた様子で武田の体を支えた。私のぎこちなく下手な支え方のせいで動きにくそうにしていた武田だが、レイのしっかりとした支え方なら動き出せそうなようだ。
 何事も技術が大切、ということか。
「沙羅ちゃんも一緒に来てくれる?」
「あっ。はい」
 レイがいれば安心だ。彼女は強くて親切で、なんだって解決してくれる。私が頑張らなくても、彼女がいれば上手くいく。
 ……でもそれは、私は要らないと言われているみたいで……少し悲しい。
 いや、考えすぎか。今日は精神が不安定なのだろう。だからこんな細かいことまで気にしてしまうのだ。きっと、ただそれだけ。

「自ら来ておいて逃げようとは、実に自己中心的ですな!さすがは京極エリナのエリミナーレ!」
 宰次が唐突に言った。大きな声で、しかも演技のような大袈裟な言い方だ。それに対し口を開くのはエリナ。
「失礼ね。私たちは沙羅を取り返しに来ただけよ」
 その間もレイは武田をせっせと運んでいく。ゆっくりだが確実に進んでいる。
 エリナは片手を腰に当て、僅かに顎を上げる。いかにも気が強そうな格好で、宰次に向けて言葉を放つ。
「貴方と話すために来たわけじゃない。だからこれにて帰らせていただくわ」
「自己中心的と言われるのを実は気にしてられるのですかな?」
「相変わらずうるさい男ね」
 エリナは眉を寄せ、嫌悪感を露わにする。あからさまだ。大人とは思えぬ分かりやすさである。李湖の時は耐えていたのに、今は微塵も隠そうとしていない。
 そんなエリナの顔つきを目にした宰次は、ふふ、と見下したような笑みをこぼす。
「おや、嫌われておりますな。一体なぜに」
「当然じゃない!」
 エリナは突如鋭く叫んだ。怒りに満ちた凄まじい形相で。
 しかし、すぐに静かな表情に戻る。
「瑞穂のこと、忘れたとは言わせないわよ」
 呟くように告げる彼女は、直前とは真逆の静かな顔だ。
 この変わり様、情緒不安定という言葉が似合いそうである。少なくとも普通の精神状態ではない。宰次という人間の存在が彼女をこんな風にさせているのだとしたら恐ろしいことだ。
「瑞穂のこと?一体何の話ですかな?ふふ」
「……今日はいいわ。いずれその時は来るでしょうから」
 笑みを浮かべる宰次とどこか暗い顔つきのエリナ。二人の間に漂う空気はかなり歪なものだ。書庫で武田と宰次の間に漂っていた空気と同じである。その不自然さといえば、無関係な者が見ても不自然だと感じるだろう、と思うくらいだ。
 だが、書庫での時とは違い、理由は薄々分かっている。
 エリナは恐らく、瑞穂の死の原因が宰次にあると考えているのだろう。決定的な証拠がないから、今はまだはっきりと言うことはできない。そんなところだろうか。
「ま、そう仰るのなら、それで構いませんよ」
 宰次は一呼吸おいて続ける。
「裏切り者の沙羅さんを連れて、お帰り下さい」
 その一言が、場の空気を凍らせた。
 エリナはもちろん、レイや武田も、驚き戸惑ったように目を見開く。それと同時に言葉を失っていた。突然「裏切り者」などという話が出たのだ、当然の反応かもしれない。
 しかし、一番驚いているのは私だ。
 今ここでそんな話題を出してくるとは思っていなかった。しかも私が裏切り者だなんて。頭がまったく追いつかない。

Re: 新日本警察エリミナーレ ( No.156 )
日時: 2018/02/24 22:18
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2 (ID: SsOklNqw)

94話「一週間後に」

 場が沈黙に包まれた。
 驚き、戸惑い、言葉を失う。誰もがそんな状態になっていた。当事者である私ですらも。
 深海のような沈黙は一分以上続いた。だが、静寂は時間を異様に長く感じさせるものだ。だから、感覚的には、三十分か一時間くらい経ったかのようだった。
 長い沈黙を破り最初に口を開いたのはエリナだった。
「沙羅が裏切り者?何を根拠にそんなことを」
 宰次は白髪混じりの髪を時折撫でていた。その動作からは中年の余裕が漂っている。敵対する者を前にしても慌てない落ち着きぶりを、見せつけているかのようだ。
「失礼。正しくは『裏切り者の娘』ですな。沙羅さんの父親はエリミナーレの敵なのですよ」
「沙羅の父親が?何よ、それ。いきなり馬鹿げたことを言い出すのね」
「馬鹿げたことではありません。沙羅さんの父親は資金提供という形でエリミナーレの敵に協力しておられる。ふふ、ご存じでしたかな?」
 そこへレイが「ちょっと待って下さい」と割って入る。彼女は武田を支えた体勢のまま、はっきりと続ける。
「そのエリミナーレの敵というのは、貴方のことですよね」
 はっきりとした声色で言われた宰次は、ほんの僅かに眉を上げた。
「ほぅ。なぜそう思われるのですかな?」
「吹蓮にエリミナーレ殲滅を依頼したのは貴方なのでしょう。そうでなければ、吹蓮がここにいる理由が分かりませんから。エリミナーレ殲滅を依頼したのは貴方。つまり、貴方は我々の敵です」
「実にアバウトで分かりづらいですな。さすがの僕も理解に時間がかかりましたよ。ただ、間違いではない」
 呆れ顔になりつつも宰次は笑みを消さなかった。口元に怪しい笑みを湛えたまま、彼は言う。
「その方が仰る通り、沙羅さんの父親が協力したエリミナーレの敵とは、僕のことです」
 咄嗟に鞭を構え、戦闘体勢に入るエリナ。
 しかし宰次は、「少し待っていただきたいものですな」と、今にも攻撃しそうなエリナを制止する。戦う気はなさそうだ。
 彼の思考はまったく読めない。エリミナーレ殲滅などとえげつないことを言っているかと思えば、戦わないような態度をとったりもするのだから、常人には理解不能だ。見れば見るほど、知れば知るほど、よく分からなくなっていく。
「一つ、提案が」
「……何かしら」
 エリナは宰次に、警戒心剥き出しの鋭い視線を向けている。茶色い瞳は蛍光灯の光を受けて赤く輝いていた。まるで彼の本心を見抜こうと試みているかのように。
「本当はここで貴女たちを潰してしまうつもりでいたのですが……やはり一週間後にしませんかな?」
 いきなり勝手なことを言い出す宰次。エリナのことを自己中心的と言っていたが、結局のところ彼も同じではないか。
「ぶつかりあうならお互い準備万端でぶつかりあう方がいい。そう思いましてな」
「随分いい人ぶるのね。今まで散々狡いことばかりしてきたくせに」
「そうですな……ただ」
 宰次はゆっくりとエリナに歩み寄る。そして、彼女の顔に、顔を近づけた。エリナとは背の高さが近いため、武田の時とは違い、真正面から顔面を近づける形となっている。
「それはそちらも同じでしょう?」
 言葉を詰まらせるエリナ。
 そんな彼女を見て、宰次は、目を細めながらニヤリと口角を持ち上げる。いかにも裏のありそうな笑みだ。
「僕への復讐を密かに企んでいたことは知っていますよ。ふふ……」
 彼は意味深な言葉を発しつつ、エリナの肩をぽんと叩く。エリナは「触るんじゃないわよ」と速やかにその手を払った。手を払われた宰次は、「中年は損ですな」と漏らしつつ、ゆったりとした足取りで歩き出す。
 扉の方へと近づいてくる宰次を警戒するレイ。しかし彼は、レイらには目もくれず、そそくさと部屋から出ていく。
 不気味なほどあっさりしている。
「では、一週間後にこの場所で。待っていますよ。今から楽しみですな」
 散々風雨を起こし、突如去っていく、台風のような気まぐれな人だと思った。彼はかなり変わっている。もしかしたら、私が平凡なだけかもしれないが。

 こうして、私たちはその場に残された。まるで、大きな嵐が過ぎた後の荒れた世界に、ぽつんと取り残されたかのようだ。
 言動に翻弄され、心を掻き乱され、最終的には置いていかれる——何もかも宰次の思うつぼだったのかもしれない。もっとも、彼に狙いを直接尋ねることはできないので、本当のところは分からないのだが。
 宰次に置いていかれたエリナは、難しい顔をして、暫しその場から動かなかった。だが少しだけ理解できる気がする。今の彼女の心境は、恐らくかなり複雑なものだろうから。
「……あっ!」
 レイが唐突に声をあげた。支えていた武田が倒れ込みかけたのである。レイの素早い対応のおかげで転けずに済んだものの、かなり危ない状況だった。
「いきなりどうしたの?」
「なんでもない」
「転けそうになるなんて普通じゃないよ。何かあるんでしょ?はっきり言ってくれる?」
「いや……」
 武田がなかなか答えないことに対し苛立ったレイは鋭く放つ。
「本当のことを言って!」
 こんなきつい言い方はレイらしくない。ナギ以外にきつい言い方をするなんて不自然だ。
「待って下さい、レイさん」
 刺々しい空気になりそうだったので、勇気を出して口を挟んでみた。
「沙羅ちゃん?」
 戸惑った顔でこちらを見るレイ。
「武田さんは足を撃たれています。だから、立っているのが辛いのかもしれません」
「足を?」
 レイは驚いたように武田へ目をやり、「そうなの?」と確認する。武田は少々気まずそうに、小さく「実は」と答えた。
 ほんの少しだが空気が和らぐ。刺々しさがなくなり、私は密かに安堵した。エリミナーレ内で喧嘩なんて嫌だ。
「なら早く言ってよ」
「あんな形で出ていってしまったのでな……言いづらかったんだ。はっきり伝わずすまない」
「ま、いいよ。あれはあたしも言いすぎだったし」
 そんな温かな言葉を交わす二人。
 私がいない間に何かあったのだろうか?気になるので、ぜひ教えてほしい。
 そんな風に思っていると、まるで私の思考を読んだかのように、レイが言った。
「なんか気を使わせてごめんね、沙羅ちゃん。ちょっと事務所で喧嘩みたいな感じになっちゃってね」
「珍しいですね」
「沙羅ちゃんが連れていかれたって聞いて、びっくりして、つい一方的に武田を責めてしまったんだ」
 なんだろう、凄く罪悪感。
 私のせいで二人が喧嘩した。無関係だとはどうも思えない。私が捕まらなかったら、二人が喧嘩することはなかったのだから。
 なので一応頭を下げる。その場にいなかったから無関係、ということではないと思うからだ。
「迷惑かけてすみません」
 取り敢えずでも謝っておく方がすっきりする。
 するとレイは「謝らないで」と言ってくれた。凛々しい顔には、ほんの少し笑みが戻っている。やっといつものレイに戻ったような感じがした。
 そこへ、エリナがやって来た。非常に淡々とした足取りだ。
「帰りましょう。いつまでもここにいては、時間の無駄だわ」
 エリナの顔は大人びていて美しい。年齢など少しも感じさせない、魅力的な容姿をしている。
 けれども、その表情はどこか暗かった。茶色い瞳にはいつものような自信の光はなく、どこか悲しげな色を湛えている。遠いところを見つめるような目つきは、彼女らしくない。
「……エリナさん」

Re: 新日本警察エリミナーレ ( No.157 )
日時: 2018/02/26 21:31
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2 (ID: 3z0HolQZ)

95話「愛しい寝顔は無防備」

 裏口から建物を出ると、付近にエリミナーレの車が停まっていた。レイが運転してここまで来たらしい。運転席にはレイ、助手席にはエリナが座る。武田と私、それからモルテリアは、後部座席へ乗り込む。珍しい席順だ。
 みんなが席についた頃に、ナギが建物から駆けて出てきた。吹蓮を一人で食い止めてくれていた彼だが、目立った怪我はないようである。
 しかし、ここで問題が発生した。ナギの座れる席がないのだ。後部座席には既に三人。しかもそのうち一人は武田なので、これ以上座れるはずもない。
「ちょ、俺の席ないんすか!?今日はガチで頑張ったのに!?」
 ナギはショックを受けた顔で騒ぐ。
「仕方ないわ、ナギ。貴方は電車で帰りなさい」
「エリナさん、さすがにそれは酷くないっすか!?」
 一人電車で帰れ、というのは少し可哀想な気もする。
「あ。じゃあさ、俺、エリナさんの膝に乗るっすわ!」
「くだらない冗談を言うんじゃないわよ」
「……すいません。電車で帰ります」
 とぼとぼと歩き出すナギ。可哀想で仕方ないが、私にはどうかしてあげることはできないので、黙って背中を見送った。
「そろそろ出ますね」
「えぇ。頼んだわ、レイ」
「お任せ下さい!」
 そんな短いやり取りがあり、車は走り出した。

 発車して少しした時、隣に座っているモルテリアが、私の肩をトントンと叩いてきた。何事かと思いそちらを向く。すると彼女は小さな声で言ってくる。
「……ごめん、なさい……」
「え?」
 いきなり謝られた私は、一瞬、何の話か理解できなかった。しかし、続けて「護るの……できなかった……」と言ったので、それでようやく理解できた。
「悪いのは私です。モルさんのせいなんかじゃありません」
 当たり前のことだ。モルテリアに責任はない。
 私が宰次に捕まったのは、私が無力だったせいである。無力なくせに油断している部分があったから、あんなにも簡単に捕まってしまったのだ。
「許して……くれる?」
 翡翠のような瞳は潤んでいる。こんな瞳に見つめられて「許さない」と答えられる者がいるのだろうか。いるとすれば、人の心のない者に違いない。
「許すも何も、モルさんは悪くないですよ」
「許して……くれる?」
 話がループした。
 モルテリアはたまにこういう時があって不思議だ。いつもではないところが余計に不思議さを高めている。
「はい。もちろんです」
 すると、丸みを帯びた顔に浮かぶ表情が、ぱあっと晴れる。
「嬉しい……!」
 彼女が明るい顔になると、なぜか私も明るい気持ちになった。
 それから私は武田へ視線を戻す。
 彼は背もたれにもたれかかり、うつらうつらしていた。眠りかけている。戦いが終わり、気が緩んだのかもしれない。今なら私でも仕留められるのではないか——そう思うくらい、無防備な顔つきをしている。
 完全に油断したような寝顔はどこか愛らしい。
 私は彼の手にそっと触れてみた。今なら気づかれないかも、と思って。
「……どうした」
 武田は細く目を開ける。
 気づかれないかも、なんて甘かったようだ。一瞬で気づかれてしまった。もっとも、気づかれて困ることはないのだが。
「あっ、いえ」
「一体どうしたんだ」
 怪訝な顔で首を傾げる武田。
 せっかくよくリラックスしていたのに、用もなく目を覚まさせてしまった。悪いことをしたな、と若干後悔する。
「何か用があるならはっきりと言ってくれ」
 さりげなく圧力をかけてくる。何もない、なんて言えない空気だ。
「あ、いえ……武田さん可愛いなって」
 何か言おうと頑張った結果、つい本音が漏れてしまった。
 言ってから「やってしまった!」と思う。しかし、一度発した言葉は取り消せない。言葉とはそういうものだ。
 車内が驚きに包まれる。
「え、あ、いや、これは……」
 冷や汗が頬を伝う。血の気が一気に引いていく。
 年上の男性に対していきなり「可愛い」と言うなど、失礼極まりない。怒られて当然だ。それに嫌われたかもしれない。
 そんな風に焦っていたのだが。
「頭を殴られでもしたのか?」
 武田は心配そうな面持ちで尋ねてきた。
 予想外の問いに、私は一瞬固まってしまう。暫し言葉を失った。
「脳へのダメージはすぐに症状が出ないこともあると聞く。検査を受けた方がいいのではないだろうか」
「……え?」
「私はひとまず病院行きだ。ついでといっては失礼だが、お前も一緒に行くといい」
 彼は私の手を握り返してくる。
「ちょっと待って下さい。私は別に、殴られたわけじゃ……」
「ん?違うのか」
「違います!」
「あぁ、そうか。勘違いしてすまない」
 殴られたから武田が可愛く見えるわけではない。彼の寝顔は本当に愛らしかったのだ。こんなことを言えば頭がおかしいと思われそうだが、私がそう感じたのは事実である。
「では、沙羅が私を可愛いと思ったのは、事実なのだな。そういう解釈で構わないか?」
 武田は恥ずかしげもなく冷静に確認してくる。
 私が彼の無防備な寝顔を可愛いと思ったのは事実だ。この際否定はしない。今更否定したり言い訳しても無意味だから。発言には責任を持つ。
 だが、改めてはっきり言われると、正直かなり恥ずかしい。顔が赤くなっていないか心配だ。
「は、はい。……すみません」
 私は控えめにそう答えた。
「私のこと、嫌いになりましたか……?」
 逃げたくなる衝動を抑え、勇気を振り絞って問う。すると武田は、首を左右に動かした。
「いや、そんなことはない。私もお前を可愛いと思っている。だからお互い様だ」
「えっ。そうなの!?」
 驚いて会話に参加してきたのは運転中のレイ。
「そうだ。沙羅は小さくて可愛いので癒やされる。動物と暮らしている者の気持ちが、少しずつだが分かってきた」
「それちょっと違う気がするけどねー」
 武田のややずれた発言を耳にして、レイは呆れた表情になっていた。
 確かに、人間である私と愛玩用の動物では、あらゆる面において大きな差がある。だが私からすれば些細なことだ。どちらでもいい。可愛いと言ってもらえたことが嬉しくて仕方ない。
 武田が可愛いと言ってくれた。私はそれを、じっくり噛み締めながら、心の中で何度も反芻した。

Re: 新日本警察エリミナーレ ( No.158 )
日時: 2018/02/27 11:15
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2 (ID: 8topAA5d)

96話「見えぬ明日へと歩み行く」

 武田を病院前で降ろす。
 掛かり付け医と知り合いであるエリナが武田に付き添うことになった。医師を知っている方が話が早い、という理由である。確かにその通りだと思う。嫌な気持ちにはならなかった。
 それから私たちは事務所へ帰る。
 一人電車で帰ったナギはというと、私たちが帰った時には既に事務所内にいた。ソファに座り、巨大シニオンが個性的な李湖と何やら話している。
「ただいまー」
 レイの声を聞き、素早く顔を彼女へ向けるナギ。非常に素早い動作だ。
「レイちゃん!お帰りっ!」
「ただいま。ナギ、お疲れ様」
「いやー、照れるっすわ。たいしたことしてないけど、褒められたらやっぱ嬉しいっすね」
 穏やかな空気であることを感じ、私は密かに安堵した。
 仲間内で揉めたり、重苦しい空気になったりするのは、嫌なものだ。エリミナーレには穏やかで温かい空気の方が似合う。これは間違いない。
「ちゃんと行けたんですかぁー?」
 李湖が唐突に口を開いた。
 ファンデーションがべったりと塗られた顔は今日も厚ぼったい。グロスで異様な艶が出た唇、頭上の巨大なシニオン。
 相変わらずな見た目だが、体調は悪化していないようで、少し安心した。彼女のことは別段好きではないが、逆に恨みがあるわけでもない。だから、元気であってくれれば一番良い。
「行けたよ。情報ありがとう」
 レイは李湖に、あっさりとした調子でお礼を述べる。すると李湖は偉そうにふんぞり返り、「感謝して下さいねぇ」などと言う。随分大きな態度だ。何とも言えない容姿と相まって、少しばかり鬱陶しい感じである。
「あの場所を教えてもらえて助かったよ。おかげで沙羅ちゃんを助けられたからね」
「場所を教えてあげた親切な李湖に、感謝して下さいねー」
「もちろん感謝してるよ。ありがとう」
 ストレートにお礼を言われると、李湖は戸惑ったように言葉を詰まらせていた。まさか本当にお礼を言われるとは思いもしなかったのだろう。
 それにしても、こんな形で李湖が活躍するとは、分からないものだ。

 その夜、午後七時くらいに、武田とエリナは帰ってきた。もう少し早く帰ってくるものと思っていたので、何かあったのかと心配していたが、何もなかったようだ。
 みんなが揃っているところへ合流した武田は報告する。
「一応全治二週間らしいが、特に大きな問題はなさそうだ」
 その顔はどこか嬉しそうであった。
 軽傷であっても負傷したことに変わりはない。だから、今は嬉しそうな顔をする場面ではないと思う。
 しかし、歓喜の声があがる。
「元気……良いこと……」
「大事なくて良かったよ」
「さすがっすね!モテない男ほど生命力は強いって言——」
「ナギ!それは余計!」
 くだらない発言をしたナギは、レイから厳しい注意を受けていた。
 それにしても、モテない男ほど生命力は強いって……。どこからそんな理論が発生したのか謎である。
 なんだかんだで仲良しなレイとナギをぼんやり眺めていると、武田が声をかけてきた。
「沙羅は聞こえなかったか?」
「え、私ですか」
「あぁ。念のためもう一度言おう。掛かり付け医に診てもらったのだが、たいした傷ではなかったようでな。一応全治二週間と言われた」
 先ほどと同じことを再び話す武田は、生き生きとした表情をしている。
「それは良かったです。けど、痛みくらいはあるのでは?」
「確かに、痛みがまったくないことはない。だが軽いものだ。右肘と左足がほんの少し動かしにくい程度で、たいしたことはない」
 武田はたいしたことはないと繰り返し主張する。しかし、それは彼が怪我に慣れているからだと思う。肘や足を動かしにくい程度の痛みはあるのだとすれば、軽いとは言い難い。
「武田さんがこんなことになったのは、私のせいです。……何と言えばいいものか。軽めでまだしも良かったですけど、でも……」
 発する言葉を迷っていると、武田が唐突に「待て」と言った。いきなりだったので驚き、私はゆっくりと彼へ視線を向ける。彼の瞳も私を捉えていた。
「私が怪我をしたのは沙羅のせいではない。宰次のせいだ」
「でも原因を作ったのは私で……」
「いや、宰次だ。沙羅を拐ったあいつが悪い」
 武田は譲らない。どうしてこうも頑固なのか。日頃は私の意見も聞いてくれるのに、こんな時に限って聞こうとしない。
 まぁ確かに、考えようによってはそうとも取れるが。しかし、そう容易く「宰次が悪いよね!」とは言えないのも、また事実である。
「そうですよね、エリナさん」
 エリナに同意を求める武田。敢えて関係のないエリナに話を振るというのは、恐らく昔からの癖なのだろう。
「えぇ、そうとも言えるわね。宰次は存在が悪だわ」
 エリナの発言は少々極端な気もする。しかし、過去に色々あったことを考えれば、極端になるのは仕方ないようにも思えた。
 エリナの返答を聞くや否や、すぐにこちらへ視線を戻す武田。
「沙羅は何も気にするな。すぐに治……あっ」
 彼はいつものように屈もうとしたが、突如痛みを感じたらしく、前向けに転倒しそうになる。このまま倒れてきたら、私も巻き込まれてしまう——そう思い、咄嗟に彼の体を支えた。
 彼は少し気まずそうに「すまない」と謝る。
「武田さん。やっぱり、少し休んだ方がいいですよ。せめてどこかに座るとか」
「そうか。それもそうだな」
 武田は納得したように頷いた。
 私は彼をソファの方へ連れていき、座らせる。既に座っていた李湖は、逃げるようにその場を離れた。
 ちょうどそのタイミングで、エリナが告げる。
「とにかく、今日はここまでとしましょう。宰次の件は明日から取りかかるわ」
 彼女は始終、疲弊したような暗い瞳をしていた。普段通りのように振る舞っているものの、明らかに疲れた顔だ。宰次が去った直後よりかは元気になっているように見えるが、それでも普段通りとはいかない。
 彼女はエリミナーレのリーダー。だから、しっかりしていてもらわなくては、エリミナーレ自体が駄目になってしまう。宰次と対峙し精神的に疲労しているのは仕方ないが、少々心配である。
 明日どうなっているかは予想がつかない。これからどうなっていくのか、私には分かりようがない。ただ、それでも進み続けるしかないのだ。
 漠然とした不安を抱きながら、私はこの日を終えた。

Re: 新日本警察エリミナーレ ( No.159 )
日時: 2018/02/28 23:05
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2 (ID: SkZASf/Y)

97話「いつもより早い朝」

 翌朝、いつもより早く目が覚めた。私は朝に強くないので、大抵遅めに起きて慌ただしく準備をするのだが、今日は珍しく時間に余裕がある。だから、寝惚け眼を擦りつつ洗面所へ向かった。
 その途中、リビングの前で私は足を止める。扉越しにレイとエリナの声が聞こえてきたからだ。
「以前仰っていた真の目的とは、あの宰次という男への復讐なのですか」
「……えぇ。何か問題でも?」
「エリナさんはエリミナーレを、個人的な復讐のために利用するおつもりなのですか?さすがにそれは納得できません」
 何やら難しそうな話をしている。真剣な空気で入っていけそうにない。私は扉の前に立ち、暫し二人の会話を聞くことにした。
「私は新日本の平和を守るためにエリミナーレに入りました。だから、六宮やこの国に暮らす人たちを守るためなら、命だって惜しくはない」
 扉越しでもレイの声ははっきりと聞こえる。
「けれど、貴女個人の復讐のために命をかけようとは思えません」
「レイ。それはエリミナーレを辞めたいということかしら」
「いえ、違います。復讐はエリミナーレの職務範囲ではない。だから止めてほしい。私はただ、そうお願いしたいのです」
 数秒、間があった。
 存在がバレたかと一瞬焦ったが、何も言われないので、どうやらそうではないらしい。私は安堵の溜め息を小さく漏らす。
「……それは無理なお願いね」
 エリナの声は冷たいものだった。
「エリミナーレのリーダーは私。だから仕事内容を決めるのも私よ」
 彼女から発される言葉は静かだ。しかし、突き放すような強さを持っている。
「待って下さい!リーダーなら何でも許されるというわけではないでしょう!」
「そうね。でもこれは職務範囲から大きく外れてはいない」
 レイが口調を強めても、エリナはまったく動じない。落ち着いている。
「宰次の行動が間接的に治安を乱していたのは事実だわ。それに、彼によって何人もの民間人が罪を背負うことになったのよ。李湖だってそう」
 確かに、間違いではない。
 宰次が吹蓮にエリミナーレ殲滅を依頼したのがすべての始まりだ。それによって、無関係な人まで巻き込まれた。
「つまり、宰次を倒すことは国のためにもなるの。分かってくれると嬉しいのだけれど」

 エリナの声が途切れたちょうどその時。
 背後に人の気配を感じて振り返ると、武田が立っていた。まだ着替えていないらしく、ポロシャツを着ている。露出した右腕には包帯が巻いてあった。
 彼は私の顔を見ると、穏やかな目つきになる。
「沙羅、今日は珍しく早いな。そこで何をしている?」
 痛いところを突く質問だ。慎重に答えなくては。
「エリナさんとレイさんが何か話してられるみたいなので、少し気になって」
「なるほど。そうだったのか」
 即興で考えた返答に対し、武田は納得したように頷く。盗み聞きしていたのだと思われたらと心配していたが、どうやらそれは杞憂だったようだ。
 私は速やかに話を変えるべく尋ねる。
「武田さん、その腕……肘以外も悪いんですか?」
 痛めたのは肘と聞いていたが、包帯が巻かれている範囲はもっと広い。腕を痛めたという方が相応しい気すらする。
「いや、痛めたのは肘だけだ。他は掠り傷程度だな」
「掠り傷でも十分傷じゃ……」
「そうか。なら言い方を変えよう。肘以外は踏まれた跡だけだ」
 言い方の問題ではない気がする。ただ、私のことを思って言い変えてくれたのだということは理解できた。少々変わっているが、彼なりの気遣いなのだろう。
「沙羅。昨日は本当にすまなかった」
 私を見下ろす彼の視線は、穏やかだがどこか気まずそうな色を帯びている。
「武田さん?」
 様子がおかしい。そう思い、名を呼んでみる。
 ——刹那、武田が強く抱き締めてきた。
 あまりの衝撃にあらゆる思考が吹き飛ぶ。脳内は真っ白。
「無事で良かった……本当に」
 彼は私を抱き締めたまま囁くように言う。
 体に絡む彼の両腕には柔らかさはなく、しかし温かい。なぜだろう、優しさを感じる。
「沙羅が宰次に何かされているかもと思うと、落ち着いていられなかった。あまりに心配で」
「あ、あの……」
 廊下には私と武田だけ。リビングにはレイやエリナがいるが、話し込んでいるのでしばらく出てきそうにはない。誰かが起きてきそうな気配もまったく感じられない。
 二人きりの状況でこれはさすがにまずい気がする。武田に限って間違いは起こらないだろうが、ある意味まずい。というのも、先ほどから心拍数が跳ね上がっているのだ。
「あんな気持ちになったのは初めてだった。沙羅、お前を失うことを、私は心から恐れた」
 このままでは、負荷に耐えきれなくなった心臓が、破裂してしまいそうだ。今までも胸の鼓動が速まることは多々あったが、ここまでというのは初めてかもしれない。
「だからもう二度とお前を拐わせたりはしない。今ここで誓おう。私はお前を護る。それが——」
「そ、それが?」
「良き友として私にできることだ」
 ……おぉ。良き友。
 やはり仲間や友の域を出ないのか。女性として見てはくれないのか。そんな風に、心の中で不満を呟いてしまった。
 少し時間が経つにつれ、抱き締められるのが苦しくなってきた。彼の腕の力は予想外に強かったのだ。圧迫され、呼吸がしづらい。
 だから勇気を出して言うことにした。
「武田さん、あの」
「どうした?」
「ちょっと苦しくなってきました」
 本当はちょっとではない。結構な息苦しさだ。だが「結構苦しい」とは言えないので、控えめに言ったのである。
 すると武田は、焦ったように腕を離した。一歩二歩後ずさり、慌てた様子で口を開く。
「す、すまん!つい勢いで意味不明なことをしてしまった!」
 随分慌てている。落ち着きのない言動は彼らしくない。しかし、慌てる武田はどこか可愛くも感じられる。
「いきなり抱き締めるなど、完全にセクハラだ。すまない、どうかしていた……」
「いっ、いえ!気にしないで下さい!」
 私は嬉しかった。だからセクハラではない。
「だが嫌だっただろう?二人きりという断りづらい状況で、しかも力ずくで……本当にすまない。私のこと、嫌いになってしまったか?」
 しつこい武田を見ていると、少しばかり面倒臭く感じてしまった。そのせいで、思わず口調を強めてしまう。
「いいんです!謝らないで下さい!」
「だが……」
「嫌とかじゃないです!むしろ嬉しいですからっ!」
 言ってしまってから後悔した。最近はこんなのばかりだ。つい感情のままに言葉を発してしまう。
 そんな私の発言に、武田は困惑した顔をしていた。


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