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トウカ
日時: 2010/01/30 13:05
名前: 朝倉疾風 (ID: ikrpTGuK)

□登場人物□

柏木トウカ───カシワギ_
17歳 幼い頃から嫉妬深く、過去の事件から特に大人を嫌う。 暴力的で疎まれがち。 かなりの美人。

桐谷リク───キリタニ_
17歳 目がいつもタヒんでいる。 何を考えているのかよく分からない。 トウカの家で居候している。

葦羅木ユマ───アシラギ_
17歳 超ド天然で何がしたいのか理解不能な言動をする転校生。 前にいた学校で問題があった。

柏木恵美───カシワギメグミ
30歳 トウカの叔母でリクの遠い親戚。 実家が会社を持っている為、暮らしには不自由していない。

峰岡ウタ───ミネオカ_
17歳 リクとは幼い頃友達だったが、ある事件で行方をくらます。 

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Re: トウカ ( No.24 )
日時: 2010/01/22 17:16
名前: 嵐猫 (ID: AiiL/B92)

お久し振りです^^

嵐猫も、恵美sいいと思いました。
くぅ、カッコイイですね。

Re: トウカ ( No.25 )
日時: 2010/01/22 17:24
名前: 朝倉疾風 (ID: ikrpTGuK)

「うー、りーくーん」
「ん、どうしたの? トウカ」

翌日、トウカが妙な声で僕を呼んだ。
若干顔が赤い。

「頭いったーい」 「熱かもね。 ちょい待ってて」

体温計を渡し、しばらくすると、

「おねつが出たー! やーだー」
「うわー寝てなさい」 
「リクと一緒にいるっ! ずーぅっといるのー!」

くっついて離れない。 そりゃ、昨日あれだけ騒いでシーツも汚れたから薄いのしか代用がなかったからなぁ。

「いい加減にしなさいトウカ」

トウカを叱ったのは僕ではなく、恵美さんだった。

「リクは学校に行かなきゃダメ。 トウカは寝る」
「メグちゃん、リクと私の邪魔するのかなあ」

落ち着いた口調で、子供っぽさを封印したトウカが聞いた。 首をすくめながら、

「そういうわけじゃないけど、リクはトウカを養うために学校行ってるんだから、見送ってあげなさいっつってんの。 それが、奥さんとしての義務で」
「奥さん!?」

トウカが目を蛍光灯以上に輝かせて僕を見る。

「奥さんの、義務・・・・・・。 私、奥さん?」
「え? そうだけど」

恵美さん、シラを切ってる。 こっちの意見も意志も尊重どころか軽視さえされていない。

「じゃあ、あなた。 頑張ってベンキョーしてきてね? 約束だよ?」
「分かったよ奥さん。 分かったから苦しいからこの手外して」




            


教室に行くと、葦羅木さんの周りには数人の女子がいた。 楽しそうに笑ってる。
あー微笑ましいなーとも何とも思わずに自分の席に着く。 葦羅木さんの言っていた事が何なのか気になってたけど、興味は失せた。

「あっれれ? 桐谷くんじゃないのさー♪」

来た。 うーわー来たよ葦羅木さん。
手を挙げて人当たりのような笑顔で。 気持ち悪い。
いや、顔とかは普通よりはキレイだと思うけど、その何を考えているのか分からない笑顔が、あの人を思い出させて、嫌いだ。

「なになに? 今日は彼女さんいねーの?」
「熱出しちゃってね」
「ほへー、熱! そりゃ大変だねぇ」

転校生と僕。
あまりにも意外な組み合わせで、教室の奴らがこっちを見ている。 これも、うざい。

「彼女さん、ゴネたんじゃない? 桐谷くん、ここにいてーって」
「あながち間違いではないよ。 ・・・それにしても、よく話しかけてくるね」

キョトンとした顔で、

「えー何言ってるの? 桐谷くん別にフツーじゃん」

・・・・この子は僕の事を何も知らないのか?
よくもまあ堂々と僕が「普通」だなんて公言できたな。
二人の女の子を、助ける事もできなかったのに。

「ん、どした? ボーっとして」
「少し意外な事を言われたからね」
「へぇ。 桐谷くんて、いつも柏木さんといるけど・・・・なんでなの?」
「同棲してるから」

嘘。 僕は居候だけど。
葦羅木さんが一瞬驚いた顔をした。 
まるで、予想もしていなかったような事を聞いたみたいに。

「・・・・そうなんだぁ。 ラブラブだねぇ」
「本当にね」
「じゃあ、桐谷くんは柏木さんの事が大スキなんだね?」
「当たり前デショ」
「柏木さんなんて、桐谷くんに用事あっただけで睨んでくるもん」

興味が、少しだけでてきた。

「ねえ、僕に昨日話しかけてきたけど・・・・何?」
「んー? あー、やっぱいいよ。 あとで話すからさぁ」

会話は担任が入ってきたと同時に中断された。

Re: トウカ ( No.26 )
日時: 2010/01/22 22:49
名前: 空雲 海 ◆EcQhESR1RM (ID: 7MCr7M6.)

うーん……。
一体彼女の言いたい事とはなんだったのか……!?

電脳探偵部、更新しましたよっ!

Re: トウカ ( No.27 )
日時: 2010/01/23 09:10
名前: 朝倉疾風 (ID: ikrpTGuK)

さっき行って来ました。

ユマの言いたい事は・・・・・ぬぬう。

Re: トウカ ( No.28 )
日時: 2010/01/23 09:38
名前: 朝倉疾風 (ID: ikrpTGuK)

授業なんて聞く気もしなくて、少しばかり過去の事を思い返してみた。 
転校して早々、気に入っただの私のものだのとトウカに言われ、他の友達なんて全然できなかった。
別にいいけど。
トウカは顔も良かったから、クラスではかなり人気だったんだけど、僕に対しての独占欲が強すぎて、人気はガタ落ち。
クラスの問題児になった。

僕に声をかけようものならその子の机を蹴り飛ばし、リコーダーを投げつけ、給食の皿をひっくり返した。
最初、どうしてトウカがそこまで僕に依存するのか分からなかったけど・・・・・・。
どうして僕もトウカを止めなかったんだろう。
僕も他の子と話してしまった時、トウカの逆鱗に触れた。
裏庭で蹴られたり殴られたり、終いには泣きじゃくられてボカボカ叩かれた。
でも、トウカは僕をきつく強く抱きしめて、頭を撫でる。
意味が分からなかったけど、何かが変だと思った。

そこまで思い返して、チリッと僕のどこかで一人の少女の顔が思い浮かぶ。
・・・・・・・、
思い出したくないから消去。 消去消去消去。
どうしても消去しなきゃいけない。
心を平穏にしなければいけない。
あの子は誰だっけ? 誰だっけなー。




昼休みに、人気の少ない裏庭に呼び出された。
ボコボコにされる気も、する気もない。
「桐谷くん、そんな怖い顔しないのー」
「してないけどね」
葦羅木さんに、告白ではなかろう雰囲気で呼ばれただけ。
ニコニコしながら、僕をじっと見てくる。

「聞いたよ、柏木さんの事」

これ以上ないほど、心臓が高鳴る。 ──わけないじゃん。 こういうのは慣れてる。
平静を持って、
「何を?」
とりあえず疑問系で言ってみた。

「柏木さんは、人殺.しなんだよね?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
え? ええええ?
柏木さんが? え、ちょい待てそんなんじゃない。
どういう事かよく分からないけど、とりあえずは、
「何の事だ?」
そうだ、意味が分からない。


トウカが両親を殺.した事は、恵美さんと僕と一部の警察ぐらいしか知らないんだから。


一般市民には情報は一切提供されていないはずだ。
恵美さんの財力で情報は公になる事なく、隠蔽に処理された。
トウカの父親が家庭内暴力を行い、母親からの異常で歪んだ愛で精神が崩壊したトウカの正当防衛だと。

「柏木さんさー、人殺.しなんだよね?」
「・・・・・・・違うけど。 どうしてそう思う?」
ハッタリかも知れない。 
絶えず笑顔の葦羅木さんを見る。 表情が全く崩れない。 疲れないのか?

「あ、間違えた」

間違えた?
さっきから意図が読めない。
葦羅木さんが僕に近寄って、口を耳元に近づける。


「桐谷くんが、柏木さんを自殺.においやった殺.人犯なんだよねぇ?」


あああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああ

耳鳴りがした。 どうしてこうも抵抗力がないんだろう。 ふいを疲れて嘔吐感がこみ上げる。
気持ち悪い。
気持ち悪い。
気持ち悪い。

「否定は無いの? だから柏木さんと一緒にいるんだぁ♪ 精神壊れた柏木さんとずっと一緒にいて許してもらおうと思ってるの? 自分は許されると思ってるの? だから一緒にいて許しが出るまでお世話してるの? 柏木さんが正常じゃないから、いいキミって思ってるの?」

「言いたい事は、それだけ?」

逆に驚いたように葦羅木さんが目を見開く。
軽い舌打ち。 あ、笑顔が崩れた。
「何で葦羅木さんは僕に突っかかってくるんだ?」
「・・・・・・・壊れやすそうだから」
「あ?」
「壊れやすそうだから。 それだけだよ。 キミは柏木さんよりも壊れやすい。 だから」
「・・・・・意味不明なんすけど」

葦羅木さんが無表情で続ける。
「昔、テレビで精神異常者をとりあげたドキュメンタリー番組があったの。 それを見て、強く影響されちゃったせいか、人間を壊す事がクセになっちゃって」

あーあーあー
分かった気がする。 
「要に、僕の精神がそろそろ壊れそうだから、壊しちゃえーみたいな?」
「物分かり早いね。 桐谷さんにしようかと思ったんだけど・・・・もう壊れちゃってるから。 残念」
キャピキャピは表の顔ってわけか。

「でも、僕にもあまり期待しない方がいい。 どっちかっていうと、心がタヒんでるんだ。 トウカと会う前にも、ちょっとね」
「・・・・・・・でも、桐谷くんはまだ壊れるよ。 人間性、ありまくりじゃん」

葦羅木さんが僕の頬に手を添える。
冷たい。 ヒヤリとした感触。

「桐谷くんね、自分が思っている以上に人間らしい」


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