ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- トウカ
- 日時: 2010/01/30 13:05
- 名前: 朝倉疾風 (ID: ikrpTGuK)
□登場人物□
柏木トウカ───カシワギ_
17歳 幼い頃から嫉妬深く、過去の事件から特に大人を嫌う。 暴力的で疎まれがち。 かなりの美人。
桐谷リク───キリタニ_
17歳 目がいつもタヒんでいる。 何を考えているのかよく分からない。 トウカの家で居候している。
葦羅木ユマ───アシラギ_
17歳 超ド天然で何がしたいのか理解不能な言動をする転校生。 前にいた学校で問題があった。
柏木恵美───カシワギメグミ
30歳 トウカの叔母でリクの遠い親戚。 実家が会社を持っている為、暮らしには不自由していない。
峰岡ウタ───ミネオカ_
17歳 リクとは幼い頃友達だったが、ある事件で行方をくらます。
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- Re: トウカ ( No.44 )
- 日時: 2010/01/27 17:28
- 名前: right (ID: zuIQnuvt)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode=view&no=13433
初めまして、rightです。
表現がすごくいいですっ!
シリアス・ダークにふさわしい小説ですねえ。
また来ますんで、今後ともよろしくです〜。
ではっ。
- Re: トウカ ( No.45 )
- 日時: 2010/01/27 17:54
- 名前: 朝倉疾風 (ID: ikrpTGuK)
.
「はい」
「・・・・・・・・・・・・・なんですか、これ」
「こっちが聞きたいよ」
帰宅後、トウカは疲れたーと熟睡中。 僕も中身なしのただのパンを食べて、正直糖分たりないと感じていたとき、恵美さんから手紙をもらった。
「さっき、キミらが帰ってくるちょい前にさ、もらった。 可愛げのある女の子」
「・・・・・・・・・・・・・・・僕に?」
「ラブレターではなさそうだよ? 笑ってたけど、気味の悪い笑い方だったわ〜」
大体、予想はつくけど。
「ありがとうございます」 「トウカ以外に手ぇ出したら、アイツが逆鱗するよ?」 「想像はつきます」
手紙を受け取って、トイレの中で読む。
しかし、丸文字というのか・・・・可愛い字だけど内容が物騒だねぇ。
「・・・・・・・・・・・・・・」
あー、糖分が救済を求めている。 砂糖くださーい。
手紙を畳んで、ポケットからライターを出す。
「・・・まったく、よく突っかかってくる事で」
手紙を燃やして、トイレに流した。
煙たい。 窓を開けて換気する。
「放っといてくれればいいんだけどねぇ・・・・」
犯人は、葦羅木ユマ。 17歳。
昔、とある市内の中学生女子が自.殺するという事件がおきた。 いじめなどがあったのではないかと言われたが、クラスの人気者でそういう事は一切ないと言われている。
しかし、後にその女子のある秘密がクラスメイトに暴露されたという事実が浮き彫りした。
その秘密の内容は、彼女が同性愛者だったという事。
噂は広まり、ついには彼女を嫌悪しだす生徒もでてきた。
その噂を広めたのが、葦羅木ユマだった。
幼なじみだった二人だが、ある日突然葦羅木は彼女から同性愛者だと告白される。
初めは黙っていた葦羅木だったが、彼女にもある性癖があった。
人の心をグチャグチャに壊すという性癖が。
親友の突然の告白に、最初は驚き、絶対にバラさないと決めていた葦羅木だが、徐々にその性癖が彼女の欲求を深めていった。
「キミもしつこいね」
「桐谷くんー、知ってた? 私天然なんだって〜」
「・・・・・・・・聞いてる?」
葦羅木が帽子を深く被りながら、両手を広げて騒ぐ。つか、今夜なんですけど。 眠いんですけど。
明日学校なんすけど。
「で、何? わざわざ家にまで着て呼び出して」
「柏木さんはぁ?」
「寝てるよ。 ご飯の時からずっと」
「ほへー冬眠中だねぇ〜。 今夏なんだけど」
葦羅木が小石を軽く蹴る。
「桐谷くんてさ、どうやったら壊れるの?」
「もう壊れてるから」
「嘘だもん。 柏木さんは桐谷くんに依存してるけど、桐谷くんは人間性に依存してる」
「キミは少し勘違いしてないか?」
目を大きく開けて、首を傾げる。
「は?」
「キミは僕がトウカを自.殺に追いやったから、その罪滅ぼしで隣にいると思ってるわけ?」
「・・・・・・・・・」
「そう思ってるのなら、違うよ」
そう、僕がトウカと一緒にいる理由。
それはあくまで、トウカの為だけど、“彼女” の為でもある。
「・・・・・どういう事かな」
「だから言っただろ? 僕はトウカに会う前にも、色々あったんだって。 どうしても、トウカとその子が重なる時がある」
性格は、トウカの方がややこしいけど。
「それ、柏木さんに言ったら、またあの子壊れるよねぇ?」
葦羅木がニヤリと笑う。 でも、僕は表情を変えない。
そんな脅しには、乗らない。
「トウカはもうとっくに壊れてるんだよ」
「粉々にしてやるけどね」
「・・・・・・葦羅木は、自分の心が壊されるとどうなの?」
僕の質問に、葦羅木が驚いた顔をした。
少し息をついて、
「そんな事、考えもしなかった・・・・・」
ポツリと言った。
こういう奴は、世の中に腐るほどいる。
自分の事が大事で、無意識に、あるいは意図的に他人を傷つけていく奴。
「キミは、親友の事が嫌いだったの?」
「親友?」
「キミが中学の時に、自.殺に追い込んだ子だよ」
葦羅木が頬をかいて、俯く。
「嫌いじゃなかった。 でも、いつも明るいアイツがどう壊れていくのか、見たかっただけ」
「見れた? 壊れていくところ」
葦羅木が正直に答える。
「アイツ・・・・休み時間にみんなに質問攻めにされてさ。 嘔吐して過呼吸になったんだよね。 私をじっと見てたから目ぇ逸らしたら、屋上で飛び降りだよ」
「・・・・・・・満足、した?」
葦羅木が首を横にふり、
「するわけないじゃん。 タヒんじゃったんだからさ。私が見たかったのは、狂ったその後。 壊れてからのアイツだったのに・・・・。 満足しない」
「じゃあ・・・・・悲しかった?」
「悲しくはなかった。 でもその後、アイツの親に殴られてさ・・・・。 何でか、そこだけ涙が出た。 全然痛くなかったのに」
叩かれた箇所なのか、そっと右頬に触れる。
しばらく沈黙が続いたが、
「桐谷くんは、柏木さんが壊れたら泣く?」
「泣かなかった」
正直に答える。
かすかな驚きと、ため息が聞こえた。
「そうだったね」
- Re: トウカ ( No.46 )
- 日時: 2010/01/27 18:29
- 名前: 空雲 海 ◆EcQhESR1RM (ID: SLKx/CAW)
その続きはなんだぁー!
- Re: トウカ ( No.47 )
- 日時: 2010/01/27 19:03
- 名前: 朝倉疾風 (ID: ikrpTGuK)
書くぜ!
- Re: トウカ ( No.48 )
- 日時: 2010/01/27 19:16
- 名前: 朝倉疾風 (ID: ikrpTGuK)
葦羅木さんが僕を睨み付ける。 意図は分からなかったけれど、妙な殺気を感じる。
「・・・・・・僕、そろそろ恵美さん心配するから帰るわ」
「その恵美っていう人、家にいた女?」
キミは僕の彼女か。
「そうだけど」 「ソイツも壊したら、桐谷くんは壊れる?」 「悪いけど、僕以外の人間に手を出したら怒るから」
葦羅木の表情が引きつる。
「おもしろいねぇ。 何? 正義ぶっちゃって馬鹿じゃない? 私には真似できないや〜」
葦羅木が目線を上にあげる。
吸い込まれそうな闇をしばらく見つめ、僕を見た。
「××を、見捨てたからねぇ」
え? いまなんて? なんていった?
××? ××? ××? ××?
なんだこれ。 なんだよこれ。 やめろよ。
こまくが、こまくが、こまくがぁぁあっぁっ?
「っ、」
「思い出した?」
「・・・・・・・・っ、・・・・・・・・いいや、最初から気づいてた」
本当だ。 葦羅木ユマ。
僕がこの田舎町に引っ越してくる前に同じクラスだった。
といっても、小学校1、2年生の頃だけ。 僕は3年生のときにここに引っ越してきたから、話した記憶はない。
「へぇ、本当かな〜」
「ああ。 ・・・・・・・キミもここに引っ越してきたんだ」
「そゆ事♪ いっやー久しぶりだねぇ、桐谷くん。私の記憶では、ミミズぐらいにしか縮小されてないけどさー」
嫌味か、テメー。
「私が自.殺に追い込んだアイツも知ってたんだ?」
「まぁ・・・・・・・名前だけは記憶に残ってたけど」
「へぇ。 ・・・・・ねぇ話戻るけどさ」
「戻らなくていい」
阻止した。 葦羅木がムッとした表情で、
「やっぱ、あの子の事がまだ気になってるんだね」
「そうじゃなくて」
「そうだよねぇ。 桐谷くんもケッコー人の事言えないよね。 可哀相」
・・・・・言い返せないけど。
「アイツ・・・・、どうなった?」
興味心とかじゃなく、もっと別の意味で聞いてみた。
葦羅木が足で円を書きながら、
「学校、来なくなったよ? 噂じゃどっかに引っ越したって聞いたけど・・・・。 知らない。 興味ない」
「・・・・・・・そっか」
浮かんで消えた、あいつの顔。
覚えてた。
助けてって言ったのに。
「じゃあね、桐谷くん」
「は・・・・・・・・?」
「今のでかなりの大ダメージくらったっしょ? なんか満足♪」
「・・・・・・そう、か」
言い返すのがやっとだった。 呼吸が苦しい。
「でも、生きてるっていうからさ。 いつかは再会するんじゃない? 知らないけど」
「・・・・・・・・・・・」
「その時、精々心壊されて発狂でもしてればいいよ」
「・・・・・・悪趣味な奴」
ああ、そうだ。
僕がトウカと会う前、もう一つの罪を犯した。
見殺.し。
キレイな名前の女の子を、僕はズタズタに引き裂いた。
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