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トウカ
日時: 2010/01/30 13:05
名前: 朝倉疾風 (ID: ikrpTGuK)

□登場人物□

柏木トウカ───カシワギ_
17歳 幼い頃から嫉妬深く、過去の事件から特に大人を嫌う。 暴力的で疎まれがち。 かなりの美人。

桐谷リク───キリタニ_
17歳 目がいつもタヒんでいる。 何を考えているのかよく分からない。 トウカの家で居候している。

葦羅木ユマ───アシラギ_
17歳 超ド天然で何がしたいのか理解不能な言動をする転校生。 前にいた学校で問題があった。

柏木恵美───カシワギメグミ
30歳 トウカの叔母でリクの遠い親戚。 実家が会社を持っている為、暮らしには不自由していない。

峰岡ウタ───ミネオカ_
17歳 リクとは幼い頃友達だったが、ある事件で行方をくらます。 

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Re: トウカ ( No.54 )
日時: 2010/01/29 17:04
名前: 朝倉疾風 (ID: ikrpTGuK)

        第五章
      影の中の光と闇



子供の頃、僕は二つの罪を犯した。

どちらも思い出したくないけど、忘れてはいけない罪。 
その一つの罪が、僕の隣にいるトーカちゃんなのだ。
「むー。 蒸し暑い〜」
「ホントだね。 クーラーがある一階にいく?」
扇風機ではもう限界だ。

「んーでも、メグちゃんお仕事してるもん」
「優しいね、トウカ。 ちゃんとお利巧にしてる」
「おりこーさん? やっほー♪」
「ほー」

トウカが甘えて僕に抱きついてくる。 このせいでもあるかもしれない。
「メグちゃんはお仕事頑張ってー、トーカちゃんはリクと好き好きするのです」
「頑張って励んでくださいねー」
「むー、リクもちゃんと好き好きしなさいっ」

怒られた。 軽くぺチッと叩かれる。
あーつーいー。
「もうそろそろ一階におりない?」
「やーだよー。 メグちゃんの邪魔だもん」
「まぁ、そりゃそうか」
夏の休日、しかも真昼間からベタベタのバカップルなんて見たくないか・・・・・誰でも。

「リクー、今日はずーっと私とラブラブするのです」
「いえーい」
「きゃほーっ」

トウカが僕から離れてテレビをつける。 再放送のドラマがかかっているが、 「ンなの見ないもん」 トウカが素早く変えた。
「ぬー、お目当てのものがなーいー」
トウカが適当にチャンネルを止めて、僕の方に戻ってくる。

「今日は学校休みだから、ウハウハですなぁ」
「そーですね」
「ずーっとトーカちゃんとラブラブですなぁ」
「そーですね」
「タモさんかー」
「違いまーす」

ふと、テレビの画面に目がいく。 画面には、見覚えのありすぎる、僕らの住む田舎町。
「トウカ、夜は一人で出歩いちゃダメですよー」
「しっねーもん、ンな事ぉ。」
いや、本当に。

最近、ここらで次々と人が惨.殺されている。
血液でお化粧して内臓で彩って何がしたいんだかサッパリだ。
今日も、そして昨日も、

僕の知らない所で、命は途絶えていく。

Re: トウカ ( No.55 )
日時: 2010/01/29 18:38
名前: 空雲 海 ◆EcQhESR1RM (ID: HK6OImIM)

トウカはリクが来てからずいぶん変わったんだねぇー。

Re: トウカ ( No.56 )
日時: 2010/01/30 08:33
名前: 朝倉疾風 (ID: ikrpTGuK)

かなり変わりました。

Re: トウカ ( No.57 )
日時: 2010/01/30 08:50
名前: 朝倉疾風 (ID: ikrpTGuK)

暑さに耐え切れず、トウカを促しながら一階に降りると、恵美さんがクーラーのきき過ぎた部屋で漫画を描いていた。
「〆切、どうですか?」 「順調、とだけ答えておく」
力の無い声でそう答え、右手をヒラヒラと振る。

「これ・・・・きき過ぎじゃないですか?」
「あっつい所で漫画なんてやってられっか」
なんて人だ。
まぁこの人にとっては電気代なんて虫ケラみたいなもんだもんな。
「りっくーん♪ りくりくりっくーん♪」
「なになにトウカ」
「涼しいーっ」
「だねだね」

適当に調子をつけていたら、恵美さんに睨まれた。
「暑苦しい」
「すみません」
「・・・・・まったく、調子付けてもそのタヒんだ目は変わらないんだねぇ」
恵美さんが僕をじっと見据えてくる。 逃げられない。
どうしても、この人だけは逃げられない。

「もー、私のリクなんだから、メグちゃんは見つめちゃダメなんだよー」
トウカが僕と恵美さんの間に入ってくる。
うん、トウカにだったら全速力で逃げられるかも。
これがもし、恵美さんじゃなくて他の女子だったら、その子の命の保障はないけど。 ついでに僕のも。

「それは失礼しましたぁ。 もういいでしょ。 仕事の邪魔だから出て行け」
「あ、追い出されてます? 僕」
「鬱陶しいなーキミは」
本当に迷惑そうなので、退散しましょうかねぇ。

「トウカ、何して遊ぶ?」
「リクごっこ♪」
「・・・・・・ゴメン、何それ」
「リクをリクにして、リクでリクをリクリクするのだっ♪」
「わーすっごーい」

僕を僕にしてってどんなだ。 具体的に本気で突っ込みを入れるとトウカの思考回路が追いつかない為、適度に丁重に賛同する。

「いーじゃない、リクリクごっこ。 やってこい」
ンなムチャな、恵美さん。
「やってこよー♪」
え、実践しちゃうんですか? 
トウカに腕を掴まれ、無理矢理立たされる。 手がもげそう。

Re: トウカ ( No.58 )
日時: 2010/01/30 10:22
名前: 朝倉疾風 (ID: ikrpTGuK)

説明しよう!
リクごっことは、桐谷リクをいじって遊ぶ、トウカちゃん専用のお遊びなのだ。

そう言った感じのナレーターが頭をグルグル。
トウカにホッペを弄られてぎゅるぎゅる。
「お外はイチャイチャ見せ付けられますなー」
「ですなー」
田んぼしかない、家なんて点々としか見えない道をトウカと一緒に歩く。

「でもでも、リクは私だけのものなので、私にしか笑顔を見せちゃいけない気がします」
「はい」
「だから・・・・・・・笑ってくだされ」
「んー、ちょっと無理かも」

笑顔、できないつくれない。
「何でじゃーっ」 
「笑顔、不細工なんだ。 だからトウカには見せたくない」
「笑顔キラッキラのリクでも、ぶさぶさのリクでも、私はリクが大好きなのです!」
おー良い事言ってくれるねぇ。

「でも、好きな子には自分の良い所しか見せたくないって、男子は思うわけでして」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っっ!!」
「なに?」
「感激してるのだ! リクが可愛すぎて格好よすぎて私のリクで感激なのですぅ」

そりゃよかった。
腕にがっちり絡んでくるから、痛い。
フラフラしながら道を歩いていく。


「リクー大好きー」
「僕も大好きー」


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