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トウカ
日時: 2010/01/30 13:05
名前: 朝倉疾風 (ID: ikrpTGuK)

□登場人物□

柏木トウカ───カシワギ_
17歳 幼い頃から嫉妬深く、過去の事件から特に大人を嫌う。 暴力的で疎まれがち。 かなりの美人。

桐谷リク───キリタニ_
17歳 目がいつもタヒんでいる。 何を考えているのかよく分からない。 トウカの家で居候している。

葦羅木ユマ───アシラギ_
17歳 超ド天然で何がしたいのか理解不能な言動をする転校生。 前にいた学校で問題があった。

柏木恵美───カシワギメグミ
30歳 トウカの叔母でリクの遠い親戚。 実家が会社を持っている為、暮らしには不自由していない。

峰岡ウタ───ミネオカ_
17歳 リクとは幼い頃友達だったが、ある事件で行方をくらます。 

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Re: トウカ ( No.1 )
日時: 2010/01/17 11:33
名前: 朝倉疾風 (ID: ikrpTGuK)

          ♪


「どうして? どうしてその子と一緒にいるの?」

まっすぐにぼくを見据えてくる目。
なんの感情もない、問いかけ。

「やっぱり、何も助けてくれないんじゃん」

吐き捨てるようにそう言って、ナイフで手首を切る。
キレイだと思った。

「・・・・・・・・・・・あああああああああああ?」

倒れる。 誰が? なんで?
わけも分からないまま、じっとじっと見つめる。
耳鳴りが、した。


          ♪

Re: トウカ ( No.2 )
日時: 2010/01/17 11:54
名前: 朝倉疾風 (ID: ikrpTGuK)

         第一章
       トウカと隣り合わせ


親がタヒんでから、何かこう・・・・・・自由になった。
いや、悲しいとは思ったけどさあ。 泣かなかったし。
一ヶ月前、雨が降っている最中親の乗っている車がカーブを曲がりきれずに電柱にどっかーん。 大破した。

意識もなく、そのままポックリと。
残された僕は一人暮らしでもしよーかなーなんて思っちゃったりする。
そう親戚の人に言ったら怒られた。
「なら、ウチに来なさいっ! 子供が一人暮らしなんて何かあったらどうするのっ! メッ!」
僕をどれだけ子供と思っているのかはさておき。

少し昔話をする。
小学校はここらには一つしかなかった。 何しろちょい田舎のモンだからしゃーない。
クラスも2つしかなくて、6年間同じクラスの奴が半分はいた。
その半分の中に、柏木トウカはいた。

かなりの美少女で男子から人気があったけど、彼女にはある欠点があった。
・人間嫌悪。
・ピーターパン症候群。
・桐谷リク依存症。
このみっつがかね揃っている為、かなり怖い美人ちゃんになった。
男子からも女子からも少し頭がおかしいと思われていたんだけど、本人はそんな事気にもしなかった。


“桐谷リクさえいればいいんだ。”


桐谷リクは自分を裏切らない。 
桐谷リクと自分は両思い。
桐谷リクは自分と相思相愛。
桐谷リクは自分の味方で、ずーっとタヒぬまで一緒。

・・・なんていう暴走気味の思考を持ち合わせて、
柏木トウカは確実に何かが暴走していった。



「やーっと来たんだ」
「・・・・・・・・・・お世話になります、柏木さ」
「だから、恵美さんってよびなさい!」
「・・・・・・・・・・メグミさん」

玄関先で仁王立ちなんて、サ○エさんぐらいしかしてないんじゃないのか? しかもこんな朝っぱらから。

「荷物貸して。 運ぶから」
「あ、いーっす。 自分でやります」
「いーから! あーもう、何してんのぐずぐずと」

恵美さんがトランクを引ったくり、家の中に入る。
でっけー家。
「お邪魔します・・・・・・・」
お辞儀しながら入る。 和風だなー、コリャ。

「えっと、キミの事は何て呼んだらいい?」
「・・・・・・・・キミ、でいいですけど。 そんな無理に名前呼ばなくても・・・・・・」
「つか、名前なんだっけ」
「・・・・・・・桐谷リクです」

この人、大丈夫かな。

「そう、リクっていうの。 じゃー、リーくん!」

リーくん!!!???
若干何かの漫画の登場人物を思い浮かべる。
あー・・・・・・、キャラ全然違うじゃねーか。

「キミの部屋を案内するから。 さ、早く着て」
「・・・・・・・・」

何急いでるんだろ、この人。

Re: トウカ ( No.3 )
日時: 2010/01/17 12:17
名前: 朝倉疾風 (ID: ikrpTGuK)

二階の狭くもなく広くもなく、敷布団と机しかない部屋に案内された。
少し木の匂いが残っている。 窓を開けると、ちょうど正面の文房具やさんが見える。

「散らかしてたら適当に捨てるから」
「・・・・・・・わかりました」
「お昼ご飯食べてる?」

首を横に振ると、 「作るから適当におりて来て」 もの凄い勢いで階段をおりて行った。
トランクから服とか色々取り出す。 ここからだと学校は変わらないよな。 転校せずに済む。

捨てられては敵わないので、きちんと片付けてから一階におりた。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

同時に、時間が止まった。
柏木トウカが、立っていた。

いや、まあここは柏木トウカの家なんだから彼女がいて当然なんだろうけど・・・・・、いきなりの登場に上手く呼吸ができなかった。

腰まで伸びた明るい色素の髪。 小動物のような小さい顔に大きな目。 夏だからか、白いワンピースを着ているが、そこからむき出しの手足は細く、長い。
華奢な体つきで、そして停止している。

「なーにしてんの・・・・・あらら」

恵美さんが驚きのツーショットに固まったが、
「ほれほれ。 ご飯できたから居間に来なさいっ」
僕の背中を押した。




「リク」




トウカの口から、久しぶりに僕の名前が呼ばれた。
掠れている。 あと、震えている。
自信が無さそうに僕を見ているけど、こっちが少し頷くと、一気にそれは除外された。

「リークーっっっ!!!!!!!!!!」

ひいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっ
飛びついてきたっ!  抱きしめられたっ!
倒れるっ! ぎゃあ、頭打ったっ! 壁に頭打ったっ!

「リクだ、リクだよ! リクリクリクリク、わかりますか? 私ですよー! トウカちゃんですうぅぅっ」
「あ、あい・・・分かりました・・・・」

息絶え絶えに返事をすると、トウカが僕に笑いかけてくる。

「だいちゅきー♪ もー、何してたのさぁ〜」
「・・・・・・・・えっと、平凡な生活を送ってました」
「もっと早く私に会いに来ないとダメだかんねぇ」

デコピンされた。 切ってない爪が額に当たって、かなり痛い。

「はいはい、ご飯だから。 そこ、ご飯だから」
「あ、いただきます」
「ねーねー。 何でここにいんの? 何でぇ?」
「今日からここで居候するんだよ」
「いそーろー・・・・・・・一緒に住むんですなあっ」
「う、うん」

トウカが僕を離して小躍りする。

「メグちゃん、あんがとー!!」
「いえいえ。 てかさっさと食べな。 冷える」

腕をがっしり掴まれて、トウカが頬擦りしてくる。

「へへっ、早く食べあいっこするのだぁ♪」
「そうだね」

噂・・・・というより恵美さんから聞いていたけど、
柏木トウカは覚えていないみたいだ。
自分が僕になんて言ったのか。
僕の目の前で何をしたのか。

さり気無く、左腕を見てみる。
ほーらあった。 あんな所に長い傷跡。


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