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トウカ
日時: 2010/01/30 13:05
名前: 朝倉疾風 (ID: ikrpTGuK)

□登場人物□

柏木トウカ───カシワギ_
17歳 幼い頃から嫉妬深く、過去の事件から特に大人を嫌う。 暴力的で疎まれがち。 かなりの美人。

桐谷リク───キリタニ_
17歳 目がいつもタヒんでいる。 何を考えているのかよく分からない。 トウカの家で居候している。

葦羅木ユマ───アシラギ_
17歳 超ド天然で何がしたいのか理解不能な言動をする転校生。 前にいた学校で問題があった。

柏木恵美───カシワギメグミ
30歳 トウカの叔母でリクの遠い親戚。 実家が会社を持っている為、暮らしには不自由していない。

峰岡ウタ───ミネオカ_
17歳 リクとは幼い頃友達だったが、ある事件で行方をくらます。 

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Re: トウカ ( No.9 )
日時: 2010/01/18 17:11
名前: 朝倉疾風 (ID: ikrpTGuK)

          ♪


「リク、ずーっと私と一緒にいてくれるよね?」

「うん」

「そうだよねー。 リクは私以外と喋っちゃダメだよ?」

「えっと・・・・・男の子とも?」

「だーめー! リクはトウカさえいればいいんだよ。そんでもって、私はリクさえいればいい」

「・・・・・・そう。 僕はトウカちゃん専用だね」

「専用・・・・・。 そうだよ、ソレソレ! あったまいーねーリク♪」



まだ、僕がトウカの事をまったく理解していなかった時。

         
           ♪ 

Re: トウカ ( No.10 )
日時: 2010/01/18 17:21
名前: 朝倉疾風 (ID: ikrpTGuK)

        第二章
      壊す、壊す、何を?



「はーいはい、起きる! 今日学校でしょうが!」

朝っぱから何フライパン持って部屋に来るんだろうこの人。
完全に動くまで頭の方は時間がかかるというのに。

「まだ6時じゃないですか・・・・・」
「トウカを起こして! あの子がこんな早朝に起きるわっきゃないでしょーがっ」
「・・・・・えっと、僕が起こすんですか?」
「私は朝ごはん作るのに忙しいのっ!」

ムチャクチャだよこの人。
カレンダーを見ながら、ああそういや今日から二学期だなーなんて実感する。
7年前から日付ってあまり気にしなくなった。

重い体を上げて制服を着て、隣で熟睡しているトウカに目をやる。
今のフライパンでも起きないとは・・・・。
当然肩を揺すっても反応なし。

「トウカ、起きろって。 学校」

トウカが学校に来なくなったのは中学の二年生頃だっけ。 毎日ぐうたらしてるなんて・・・・・ぬぐぐぐ。
真面目に授業受けてる自分がバカみたいだ。

「トウカ、さっさと起きろ。 恵美さんに怒られるのは僕なんだから」
「・・・・・・リクは? リクは学校行くの?」
「行くよ。 トウカだけじゃん。 来てないの」

よく高校がトウカの入学をOKしてくれたなぁ。 あ。 権力にものを言わせたんだな、恵美さん。
勉学なんて皆無のトウカにとって、そんなの無理だと思うんだけど。

「リク・・・・? ぬわー、リクぅぅぅぅぅっ♪♪」

思い切り飛びつかれた。 くるしー。

「分かったから、朝ごはん」
「リクだぁ。 やっぱ夢じゃなかったーっ」
「・・・・・・よかったねぇ」

トウカが制服を着て、俺の腕にしがみ付いて階段を降りる。
正直、おりにくい。

「はい、そこのラブラブさん。 ご飯ちゃっちゃと食べた食べた」
「私、牛乳だけでいーもんっ♪」

トウカが飛び跳ねる。 腕がちぎれるかと思った。

Re: トウカ ( No.11 )
日時: 2010/01/18 23:25
名前: 空雲 海 ◆EcQhESR1RM (ID: 7MCr7M6.)

トウカちゃん、なんかかわええなぁーっ!
でも、ちょっと過去に問題が……!?
誰でも闇は抱えてるものですよぉ〜ん♪

Re: トウカ ( No.12 )
日時: 2010/01/19 16:20
名前: 朝倉疾風 (ID: ikrpTGuK)

誰でも心に闇は抱えていますねぇ。
そこをきちんと理解したいです。

Re: トウカ ( No.13 )
日時: 2010/01/19 16:50
名前: 朝倉疾風 (ID: ikrpTGuK)

ウチのクラスに転校生が来ているらしい。
親の葬式とかで四日ほど学校の席を空けていたため、流行の話題が通り過ぎている。

そんな事はまったく気にせずにトウカちゃんのリクを勤める。
トウカ以外の女子と話したらそれだけで相手も病院送りか、あるいは三途の川直行か。

「久しぶりじゃない? トウカ」
「・・・・・・来たくなんかなかった」

校門を睨みつけながらトウカが呟いた。 

「大丈夫。 僕がいるから」
「ねえ、リク。 絶対に私以外の女と喋っちゃダメだよ? あいつら何するか分からないし」
「んー、そこは大丈夫だと思うよ」

僕に話しかけてくる女子なんていないだろうし。
トウカが安心したように僕の手を握り締める。 



教室に入るとそれまで騒がしかった教室が静寂に包まれた。
僕、よりはトウカの登場に驚いたんだろう。
転校やらで小学校の時トウカを知らない生徒は、二人目の転校生じゃないかとぼやいている。

「あれって・・・・・・柏木トウカ?」

誰かがそう言った。
トウカは気にする事なく僕の手を引っ張って、

「リクの席、どこ?」
「ん、ここだよ」
「私の席、ないかなー?」
「トウカの席は一番後ろ。 ほら、アレ」

ポツンと置かれている机を見つけ、トウカが微笑む。
僕の隣にある他の女子の机を、蹴り飛ばした。
若干の悲鳴が聞こえる。

「邪魔」

静かに机に向かって言葉を吐きすて、トウカが自分の席を僕の隣に持ってくる。
無表情でそこに座った。


トウカが義務教育を放棄したのは、中学生からだ。
学校───というより、リク以外の人間、特に大人を毛嫌いしていて、家でのんびりやっていたらしい。

トウカがいない間も、僕に話しかけたらトウカの逆鱗に触れるのではないかと恐れた一部の生徒から、だんだんそれが広がって僕も浮いた存在になってしまった。

まぁ、どうでもいいんだけど。




トウカが居る事に驚いた教師とか、席を奪われた女子が一番後ろになった事以外は、特別な事は起こらず、清掃の時間。
ちょっとした事件があった。

「桐谷リクくんだよねー」

甲高い声に、僕よりもまずトウカが反応した。
うっわー怖い。 睨んでる。

ゴミ袋の交換を命じられ、本来一人でいいはずの仕事をトウカと二人ですることになった。
裏庭の人気の少ない一階の廊下の真ん中で、転校生の葦羅木ユマに話しかけられた。

黒い短髪で、容姿は不細工じゃない。 断じて。

僕が答える前に、トウカが

「どっか行って」

葦羅木さんに食いかかる。 

「私が用あるのは、桐谷くんの方なんだけどな」
「名前呼ばないで。 どっか行って」
「柏木さんに用ないよ?」
「消えて」

一瞬、ムッとした表情を見せたが、トウカに軽く肩を押されて、

「わーかったよ。 そこまで彼女ちゃんが言うなら」

葦羅木さんが首をすくめる。

「わかったんなら、もう二度と近づかないで」

トウカが僕の腕をきつく握りながらその場を離れる。
振り向きたかったけど、ここで振り向いたら何を誤解されるかと思って止めて置いた。

「リク、えらかったねぇ」
「はい?」
「話しかけられても無視できたねぇ♪ やっぱ小さい頃の約束、ちゃーんと覚えてるんだぁ」
「・・・・・・・うん、当たり前デショ」
「かっくぃー素敵リクさいっこー!!」
「トウカもさいっこー」

ノってみた。
トウカが笑いながら僕に頬擦りしてくる。

「リクだぁいすきー。 もーちょー好きー」
「同じくー」


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