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- トウカ
- 日時: 2010/01/30 13:05
- 名前: 朝倉疾風 (ID: ikrpTGuK)
□登場人物□
柏木トウカ───カシワギ_
17歳 幼い頃から嫉妬深く、過去の事件から特に大人を嫌う。 暴力的で疎まれがち。 かなりの美人。
桐谷リク───キリタニ_
17歳 目がいつもタヒんでいる。 何を考えているのかよく分からない。 トウカの家で居候している。
葦羅木ユマ───アシラギ_
17歳 超ド天然で何がしたいのか理解不能な言動をする転校生。 前にいた学校で問題があった。
柏木恵美───カシワギメグミ
30歳 トウカの叔母でリクの遠い親戚。 実家が会社を持っている為、暮らしには不自由していない。
峰岡ウタ───ミネオカ_
17歳 リクとは幼い頃友達だったが、ある事件で行方をくらます。
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- Re: トウカ ( No.49 )
- 日時: 2010/01/27 19:24
- 名前: 朝倉疾風 (ID: ikrpTGuK)
───ぼくとおにいさん───
はじめて会ったのは、その人が引っこしてきたあの日からだった。
キレイな顔をした男の人で、だいがくせい、って言っていた。
ぼくはいつもその人と毎日会っていたから、おはようございますってあいさつする。
そんなとき、お兄さんはいつも飴をくれた。
きまって、イチゴかメロン。
笑って、頭をなでてくれた。
「お兄さんには、彼女はいないの?」
ある日お兄さんにそう聞いたら、少し困った顔で、
「いないだ。 誰か可愛い子紹介してくれる?」
そうききかえされた。
「んーと、ぼくの同じクラスにね。 可愛い子がいる」
「へぇ・・・・・。 何て名前?」
「ウタちゃん」
お兄さんがわらって、 「ウタちゃんかぁ」 ひくい声でつぶやいた。
「お兄さんに紹介してくれないかな?」
「いいけど・・・・・。 つれてこようか?」
「うん、ありがとう。 リクくん」
キレイな顔で、キレイな名前のお兄さんだった。
もう、その名前はわすれた。
花の名前だったんだけど。
そのあと、ウタちゃんは叫んで、ぼくは怖くて逃げ出した。
ウタちゃんは、何もわるくなかったのに。
- Re: トウカ ( No.50 )
- 日時: 2010/01/27 22:15
- 名前: 朝倉疾風 (ID: ikrpTGuK)
第四章
トウカ、トウカ、トウカ
柏木トウカ。 身長156センチ、体重46キログラム。
桐谷リク依存症で、ピーターパン症候群で、大人嫌いで人間嫌悪。
僕が彼女と出会ったのは、小学3年生のとき。
この田舎町に引っ越してきてからだった。
春、ちょうど新学期が始まっていて、僕は全く緊張せずに自己紹介をして、お辞儀をしただけだった。
クラス替えをしたって聞いてるけど、ほぼ半分以上が1、2年生のときのメンツだと聞かされた。
苗字の頭文字が近かったからか、僕とトウカは隣同士だった。
席について、真っ先に感じる右隣からの視線。
そちらを向くと、普通の子よりは全然可愛い女の子がこちらを見ていた。
どう対応していいか分からなくて、無表情でいたら、
「アンタ、何て名前?」
「・・・・・・えっと、桐谷リクです」
「リク・・・・、カタカナで書くんだね、名前」
「あ、うん」
「私もなんだよ? トウカ。 ほら、ね? 柏木トウカ」
名札を見せ、トウカが笑う。
僕も笑った、つもりなんだけどトウカは僕を見抜いていた。
どこか、心にポッカリ穴が開いたような僕を。
見透かして、
「目が、タヒんでるね」
同じく笑えてない笑顔で僕を見た。
「・・・・・・」
驚いて、息ができなかった。
今まで僕と同じような子供はいなかったから。
トウカも、タヒんだような目で笑っていた。
- Re: トウカ ( No.51 )
- 日時: 2010/01/28 18:40
- 名前: 空雲 海 ◆EcQhESR1RM (ID: SLKx/CAW)
続きめっさ気になるんですけど。
こっち、電探更新したから見てよ。
- Re: トウカ ( No.52 )
- 日時: 2010/01/29 16:41
- 名前: 朝倉疾風 (ID: ikrpTGuK)
更新します。 その前に、オカンの一言。
小説にオカンのことを載せてますで。
そう一言言うと、顔を上げて、
「ウチ、雑誌に載るん?」
・・・・ンなわけねェじゃん。
- Re: トウカ ( No.53 )
- 日時: 2010/01/29 16:53
- 名前: 朝倉疾風 (ID: ikrpTGuK)
トウカは一年生の時からクラスで人気者らしく、わがままなところもあるけど、顔がいいからか男子の人気はハンパなかった。
女子からは嫉妬される事もあったけど。
ただ、僕が転校してきてから、その保っていたバランスが少しずつ崩れ始める。
最初は、些細な事だった。
「これいーらない。 リク、食べて?」
会って数日後には下の名前で呼ばれ、給食で彼女が嫌いなものを食べる。 嫌な理由もないから大人しく食べると、
「おりこー♪」 頭を撫でてきた。
それが何度か続いて、明らかにわざとな忘れ物をしてきては、僕と教科書を共同したりしていた。
トウカが僕と世界を共存しだしたのは、五月の初めだった。
席替えの時、僕とトウカの席がうんと離れたときがある。
席順を見て、睨んで、トウカがまず先生に向かって
「リクを私の隣にしてください」
丁寧語で頼んだ。 頼んだ、というよりは、命令。
先生は一人の言い分は聞きませんとか言って、トウカの話を聞かなかった。
トウカは先生の膝を蹴り、僕を連れ出して裏庭に行く。
「リクは私専用なのに」
僕の腕を引っ張りながら出た、そんな言葉。
やめてよ。
僕はどこかでその言葉を否定した。
脳内に浮かぶ、あの子の顔。
やめてよ。
モザイクがかかる事もなく、あの子の顔が浮かび上がる。
お願いですやめてください。 大スキです、大スキです、大スキです。 やめて。 大スキです。
峰岡ウタ。
僕が人生を狂わせた、本当に普通だった女の子。
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