ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- ロンリー・ジャッジーロ 4−2
- 日時: 2011/07/31 16:02
- 名前: こたつとみかん (ID: DNzgYQrN)
- 参照: ココに来て一年経った、かな?
起きている間はずっと寝ていたい。だけど書き続ける。それがなによりも好きだから。
こんにちは。新年明けましておめでとうございます。
最近ポケモンの白を購入しました。ミジュマル超可愛い^^
ではでは、この小説が貴方の享楽となりますように。
こたつとみかんでした。
序章 前>>3 後>>4
第一章 ①>>8 ②>>10 ③>>12 ④>>16 >>17
第二章 ①>>21 >>22 ②>>25 ③>>26 ④>>33 >>34 ⑤>>40 >>41 ⑥>>44 >>45 ⑦>>46 >>47 ⑧>>51 >>52 ⑨>>62 >>63 >>64
第三章 ①>>73 >>74 ②>>77 >>78 ③>>82 >>83 ④>>84 >>85 ⑤>>86 >>87 ⑥>>90 >>91 ⑦>>94 >>95 ⑧>>96 >>97 ⑨>>100 >>101 >>102 ⑩>>103 >>104 ⑪>>105 ⑫>>106 ⑬>>107
第四章 ①>>112 ②>>113
キャラ名鑑 その一>>18 その二>>68 その三>>72
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- Re: ロンリー・ジャッジーロ 第三章-9 ( No.104 )
- 日時: 2010/10/26 19:41
- 名前: こたつとみかん ◆KgP8oz7Dk2 (ID: wJzAqpnE)
- 参照: テスト? なにそれおいしいの?
ニコは闇(エレボス)の魔力も持っている。故に特殊な反応が身体に現れていて、彼の右目は光のない黒色に染まり、あれでは見えているのかわからない様子だった。しかしそれだけではなく、その目は“魔力回路の位置”を見ることができる能力を持つ。そして右手に持っているナイフの名称は“聖槍ロンギヌス”。神をも殺す槍という意味のとおり、それは人を生かし魔力を殺す効果を秘めている。儀式によって施された呪術は、半端な神では防ぐことはできない。それの残留魔力である精霊なら尚更だ。
「憑依されるほどの希少な魔力を殺すのは気が引けるな。……だが、そうも言ってられない」
ニコが独り言を言ったこのとき、ユノの中にはある葛藤が生まれていた。
この身体とプライドを捨て、生き延びる道を選ぶか。それとも、特異な魔力の身体に頼って決死の特攻をする道を選ぶか。迷う時間など最初からなかったが、ユノには希少種、更には危険種としてのプライドが決断の妨げとなっている。
無論だが思考というものは表に出さなければ伝わるはずがなく、ニコはお構いなしに地面を踏みしめてユノに近づく。
「い、嫌……。来るな……、こないでぇ……!」
逃げると決断しても、身体全体が震えるほどの恐怖で駆動の仕方も忘れ、「意識と身体を切り離す」という造作もないことすら出来なくなっていた。
そしてユノが死の覚悟をした瞬間、彼女の中で“何か”が発生した。それは物体に染み込んだ液体のようにじわじわと彼女を侵食していく。この感覚は最初ニーベルが感じたものと同様で、あの時は結果ニーベルがユノとなってしまったが、今回はその逆となる。つまり、ユノがニーベルとなる訳だ。
ユノは自分がやったことを覚えてないほど頭の足りない精霊ではない。故にこれから起こる現象も理解してしまっている。そして、ニコが殺しに来るという恐怖を凌駕するそれが胃の腑から吐き気、そして吐しゃ物と共に湧き上がった。それは不自然なことでもなく、何故ならまだ希望がある状態での窮地より、希望の欠片すらなく現在進行で「死んでいる」ことを理解しながら死んでいく絶体絶命の状況の方が酷であるというのは火を見るより明らかだろう。
普通の人間なら、後者の状態に立たされてどういった反応をすれば自然といえるだろうか。——まず、正気を保てるはずもない。
ユノは苦しそうに胃液、そして消化物を地面に撒き散らせる。落ちた部分の雪は溶け、その水分が悪臭と共に空気中に舞い上がって消えていく。そして掴み所を求めるように両手は引っかくようにのど元を押さえて地面に膝をついた後、奇声のような悲鳴を上げてのた打ち回り始める。
ニコはユノの様子に不振に思う。レイジーもまた然りで、突然の異変に理解と順応が出来ずに困惑していた。——否、驚愕していた。それもそうで、今ユノの身に起こっていることを知ることは出来ないからだ。
しばらく時間がたった。ユノがやがて悲鳴を上げながらのた打ち回るのを止めると、地面に伏せた状態のままピクリとも動かなくなってしまった。ニコとレイジーは一瞬死んでしまったのかと思ったが、そうではなかった。
ニーベルがユノになったときと同じように、髪の毛が薄緑のショートヘアが赤色のロングストレートになったときと同じように、違和感を感じさせないほど滑らかに、戻った。
ユノがニーベルから出て行った。恐らく端から見ればそう考えるのが妥当かもしれない。しかし現実は違う。はっきりと、ニーベルの首筋には羽の形をした魔力回路が現れていたのだから。勿論、このときニコはそのことには気がついていない。人が変わったようなあの反応に疑問は残るが、とりあえずは何とかなったというのがニコの結論だった。
「“Command”……It is“Withdraw”」
魔力開放を解除し、少年の身体に戻った後、落ち着いた雰囲気の中、ニコは今になって周りを見渡して現状を確認した。最初はただ少女に降りた精霊のせいでの現状かと判断していたが、動かない屍の数々にある銃弾の跡、身なりのいい男性たちが持っている銃器でそれは一転した。
「こいつらが貧民街の人間を殺戮したあと、運悪く……いや、この少女にとってはある意味運良くだな。ユノとかいう精霊が降り、逆に殺されたということか。同情は一切する必要はないが……」
ニコはそこで言葉を止めた。不思議に思ったレイジーは「ニコ?」と声を掛ける。彼は目を伏せながら「今は“若”だろう」と軽くたしなめたあと、
「負の連鎖は……続くものなんだよな」
白い息を吹いて雪の降る灰色の空を仰いだ。
- Re: ロンリー・ジャッジーロ 第三章-10 ( No.105 )
- 日時: 2010/11/20 17:43
- 名前: こたつとみかん ◆KgP8oz7Dk2 (ID: oYJ2fVYh)
- 参照: 久しぶりすぎるよ。常識的に考えて。
天気は晴天。されど氷点下ギリギリの温度の空気が風によって運ばれ、ヴィ・シュヌール南地区の丘に建てられた大きな屋敷の窓から中へ入っていく。そこにあるはネバートデッド邸。その屋敷はかなりの年季が入った雰囲気だが、その古さを目立たせないほどの壮大さで、古代から続く貴族という称号は伊達ではないという事実を確信させるほどだった。
窓から入った風はその中の部屋の空気と入れ替わり、そしてそれを繰り返す。循環する空気を五感で感じるものは必ずといって良いほど不快は感じない。部屋は屋敷の外見に打って変わった雰囲気だった。白い壁、白い天井、白い床、それらには余計な装飾が施されておらず、大きなベッドと棚が設置されているだけで、逆にそれが厳かで上品な雰囲気を表していた。
その空間には少女が一人。彼女は紛れもないニーベル・ティー・サンゴルドであり、部屋には彼女の寝息が聞こえるだけだった。あの夜から三日の時が過ぎている。その間ニーベルは一度も目を覚ましておらず、聞こえる寝息が唯一彼女の生命が今も活動している証明となっていた。
静かな雰囲気の部屋のドアがゆっくりと開かれる。入ってきたそれには右腕がなく、瞳が透明感のない黒色であることと血色の悪い顔が印象的だった。その少女——フクマは、何も言わずにニーベルが寝ているベッドの近くまで歩いてきた。椅子がないので立ったまま姿勢で、かがむようにニーベルの顔をのぞきこんだ。前に倒れないように左手をベッドの上に支えとして置いて体重をかけると、ぎしりという鈍い音が聞こえた。
「ニーベル……」
フクマが口を開く。その声はかすかに震えていた。表情もあと一歩で涙を流しかねない様子だ。
彼女は“家族”の中でも特に寡黙で、あまり他人とコミュニケーションをとろうとしない性格だ。人の話は聞くが常に無表情で相槌や返事を滅多にしない上、毎日のようにリストカットを続けているということもあってか、ほかの人から一線を引かれていた存在だ。この表情を見た者は“家族”でさえいないだろう。
ついに、彼女の瞳から涙が零れ落ちる。フクマはニーベルの顔を上から覗き込むように見ていたため、ニーベルの頬にそれが落ちていった。
そしてフクマが涙をぬぐいながら顔をあげ、部屋を後にしようと思ったとき、
ゆっくりと、ニーベルの瞳が開かれた。
同時に上体だけを起こすと、それと擦りあう布団の音にフクマはハッとして振り返る。そこにはまだ意識がはっきりとはしていないが、しっかりと起き上がった“家族”の姿があった。
フクマは言葉を失う。気が動転して駆け寄っていく前に両膝から力が抜け、がくんとその場に膝を着いてしまった。その音でニーベルは少し驚いたように身体を震わせ、音源にいるフクマを見た。そして自分がいる場所を見渡し、ここはどこだと言わんばかりに首を傾げて見せた。
フクマの立てた音を近くで聞きつけでもしたのか、そのドアが開かれて誰かが入ってくる。それはほかの誰でもないニコ・ザンティ・ネバートデッド、続いてレイジーだった。彼は起き上がったニーベルを見ると、少し表情を柔らかくしてみせて彼女に近寄る。レイジーはその後ろで、座り込んでいるフクマを助け起こしていた。
「……気分はどうだ?」
柔らかい表情のまま、彼はニーベルにそう語りかける。このとき、ニコは彼女が自分と初対面だろうと思っていた。一度対峙してはいるが、あれはニーベルではなくユノなのだから。
ニーベルの目は虚ろなままだった。秒針が一回りするくらいの時が過ぎて、ようやく彼女がそれに答えようと口を開く。
「ふつう……」
耳を澄まさねば聞こえぬほどの小さな声だった。しかしニコの耳には届いたようで、軽く頭を振って頷いたあと、自分が何者であるかを目の前の少女に伝えようとするが、
「何よりだ。ちなみに怪しいものじゃない。僕の名前は……、」
「……ニコ」
ニコが言うより先に、知らぬはずの少女が彼の名前を口にした。当然ながらニコ、そして後ろにいたレイジーまでもが驚愕して目を見開いた。
ニーベルは口以外の身体を動かさずに続ける。
「覚えてる。あの夜のこと。あの後私の中で何か這い上がってきて、私の身体が動かせなくなって、そしたら急に男の人たちが飛ばされて、男の人たちは誰も動かなくなって、私の身体が勝手に動いて男の人の手を拾って、こぼれてくる血をおいしいと感じながら飲んでて、それからそれからそれからそれからそれから、」
「……もういい」
「そこの女の人……レイジーが私に何か撃ってきて、それに私は腹を立てて走っていって、撃たれながらそれでも走っていって捕まえたと思ったら首から手がたくさん出てきて私は怖くなってにげだそうとしてもにこがそれをゆるさなくてそしたらきゅうにきもちわるくなってくるしくなってもういっかいなにかがはいあがってきてそれがわたしでそれからそれからそれからそれからそれからそれからそれからそれからそれからそれからそれからそれからそれからそれからそれからそれからそれからそれからそれからそれからそれからそれからそれからそれからそれからそれからそれからそれからそれからそれからそれからそれから」
「もういいっ!」
まだ話を続けようとするニーベルを止めようと、ニコは彼女の頭を自分の胸元へ引き寄せて抱いた。
「あれはお前自身がやったことなんかじゃない! 思い出すな! 忘れるんだ……!」
それでもニーベルは口を動かしていたが、やがて止まり、いつしかそれは嗚咽する声へと変わっていた。あああ、あああと、心に溜め込んでいた感情を一気に解き放つように。
大声で泣き出したニーベルの頭を撫でてあやしているニコは眉間にしわを寄せてどこか悲しげな表情だったが、その後ろにいたレイジーは彼に冷ややかな目線、うっすらと殺意すら含まれている目線を送った。それはそばにいたフクマが恐怖で鳥肌を立たせるほどのもので、どう考えても信頼する従者が主人に対するそれではない。
睥睨したままレイジーがニコに話しかける。しかし声のトーンが低く、明らかに怒っていると感づけるものだった。
「若……いや、ニコ」
主従関係すら一方的に解き、続ける。
「その娘が自分の過去と重なるからって懇ろな態度になるのはまだいいけど、精霊(わたしたち)の存在までなかったことにしようとするのは酷いじゃない? あんただって、私がいなかったら生きてなかったでしょ?」
「別に、お前まで否定しているつもりはない。それにこの娘はあれ知る必要はないんだ。当事者の精霊もここに存在してはいないことだしな」
ニコは振り向かずそのままの姿勢で返した。
「首筋」
レイジーは彼が言い終わるや否やそう答えた。ニコは無意識に「は?」と訝しげな声を出した。彼女はそれの意味を質問と受け取り、丁寧に言いなおした。
「その娘の首筋、見てみなよ」
ニコは言われるがままにニーベルの首筋を見た。そこにあるは強く握れば折れてしまいそうな少女の首があるだけで、特に不審な部分はなかったがレイジーは真剣な態度は一切緩まず、それが冗談ではないということをニコに理解させながらニーベルの耳元に自分の口を近づけ、ぼそりと何か言った。
そしてレイジーがニーベルから離れた刹那、
「お、おいで……、ユノ……」
ニーベルがそう呟き、その首筋に鳥の羽のような形のアザ——魔力回路か現れ、水(ヴァルナ)の銀色と風(ヴァーユ)の翠色が入り混じった色に光る。それも蝋燭の灯のような淡い光ではなく、太陽を思わせるような明るさであった。
これを見て、ニコの中で最初に出てきた感情は驚愕でも絶句でも感嘆でもない。あるのは焦燥だけであり、すぐに落ち着かせようとした。理由は明白、思い出したら鬱状態になってしまうような出来事の原因、しかもそれそのものの名前を呼び出すことはその出来事を強制的に思い出させることであり、六歳ほどの少女にとっては酷だなんて言葉で表せるものではない。
故に彼は急いでニーベルの腕を取り、耳元でささやく。
「“Command”! ……It is “Withdraw”and “Silence”……!(“命ずる”……
“撤回”、“沈黙”……!)」
ちなみにニコが時折口にするこの言葉は彼の特技で、乱暴に言ってしまえば催眠術のようなものである。独特な雰囲気のある声で相手の耳元で囁き、それに「そうさせる」よう語りかけるものだ。ただしこれは正気の相手には効力がなく、相手が激昂や動揺、憂鬱状態や混乱しているときなど、精神に余裕がないときに初めて効果を発揮する。
ニーベルはその言葉の通りのまま魔力開放を撤回し、肉体と精神を繋ぐ糸がぷつんと切れたように意識を失い、ベッドの上で倒れこんだ。フクマが思わず駆け寄ろうとしたが、レイジーが引き止めて「大丈夫」と優しい表情でそう言った。
ニコは意識を失っているニーベルの身体を冷やさないように布団をそっと掛けさせ、足音を立てないよう出来るだけ静かに部屋を後にしようとした際、レイジーがすれ違いざまに口を開き、
「ね? あの娘はもう、その罪悪から逃れられない。一生付き合っていくしかないのよ」
「皮肉なものね」と付け足して悲しそうな声でそう言った。顔は見ていないが、少なくとも笑っていはいないだろう。
「くひひひ……」
フクマを含め、三人が部屋から出て行った後のこと。風の音とそれによる物音以外するはずのない部屋に高い、幼い少女のような笑い声が聞こえた。その部屋にはニーベル以外誰も存在せず、それは必然的に彼女のものということになる。実際、笑い方は下品でもその笑い声は彼女のものだ。
彼女がベッドから起き上がる。その際、彼女の髪の毛は滑らかに赤色の長髪へ、瞳は爛々と輝く金色へと変貌し、ユノと呼ばれるニーベルが心で抑圧した精霊が、再び彼女の肉体を乗っ取って現世に姿を現した。しかしかつてのような無差別な邪気はなく、落ち着いた雰囲気で笑っている様子だった。
「ようやく目を覚ましたようじゃな。全く……、いくら今だけ代わりに動いていいと言っても、汝が現世に意識を戻さねば意味をなさないではないか」
それからユノはベッドから飛び起き、置かれている靴も履かぬまま部屋のドアに向かって部屋の外へ出た。この屋敷の廊下は広く、とても長く続いているので迷ってしまいそうだが、彼女は最も効率的で簡単な方法をとった。
ユノは廊下の奥を、目を細めて凝視する。彼女が飛び起きる音を聞きつけて来たのか、たまたまそこにいたのかは判らないが、そこにはこの屋敷の使用人であろう女中、レイジーではない女性の姿を確認する。
「丁度良い」
言うが速いか、口角を大きくそり上げて笑みを作り彼女は女中へ駆け出す。
突風が通ったような音がした。廊下に面したほかの部屋の扉や窓がガタガタと揺れる。風の如き速さで近づいたユノは女中の首元を掴んで床に押し倒し、彼女の耳元で相手を威圧させる迫力のある声で囁いた。
「ニコとやらがいる場所へ案内せい。……なあに、別に命をとる気はない」
口ではそう言っているが、女中の首元を掴んでいる腕には骨が軋む音がするほどの力が込められている。これでは提案ではなく脅迫だ。
女中が瞳を潤ませながら涙声で返事をしたのを聞くと、ユノは急に気分良くニイィと笑い、
「聡明なのは良いことじゃ」
今度はやさしく手をどけて起き上がり、女中を助け起こすことさえして、前回とは打って変わって穏やかな人当たりであった。
「久しぶりじゃのう。前回は世話になった」
女中に連れられてユノはニコ、レイジー、フクマ、ミィがいる居間にそう気さくな態度で入っていく。言うまでもないが、その瞬間、居間を包む雰囲気が急に凍りついた。レイジーに至っては戦闘体勢すらとった。
その様子を見てユノは表情を挑発的な笑みへと変えた。かつてレイジーに対しては戦意を喪失させられるほどの恐怖を抱いていたが、前回から今回までの間に何があったのか、今はそのような態度は微塵も感じさせなかった。それどころか、絶対に負けないという余裕すらあるように見える。
レイジーは挑発的な態度をとるユノに対して、混じりけのない殺気で彼女を睥睨している。
「ふん……、やっぱり一度叩かれたくらいじゃあ、何も判らないってことね……」
「そうかの? ……まあでも、不思議と今は汝に恐怖を感じぬのう。むしろ、今なら汝にすら負けぬ自身がある」
挑発以外の何者でもないその台詞を聞き、レイジーのこめかみには青スジが現れた。
「言ってなさい……!」
彼女はユノを取り押さえるべく、足と膝に力を軽く入れ、跳ぶ。直進すれば家具が邪魔で通れない。跳び過ぎれば隙が生まれる。しかし、レイジーのその体捌きはこれらをクリアした上でのものだった。
その完璧なる動作の中でレイジーは女中服の両袖を留めているホックを外し、痛々しいまでの白い腕を露にする。そして右手を手刀の形に、左手は獲物を捕らえる鷹あるいは鷲の鉤爪のような形に整え、そのまま左手でユノの首へ突き出す。
耳元で銃弾が通り過ぎるような風を切り裂く音が聞こえた。人間には目視すら不可能な速さで繰り出されたそれはユノの透き通った肌色の細い首を掴み取る——はずが、どこへ消えたのか空を掴んでしまった。
「なッ……!」
仰天したレイジーは訳が判らぬまま着地をした瞬間——、
「後ろじゃっ!」
不意に後頭部に衝撃、そして痛みが脊髄を電流のように走る。平手打ちを喰らったのだ。意識が吹っ飛ぶ威力ではなかったが、じいぃぃんと銅鑼のように広がる痛みにレイジーは少々涙目だ。
今のやり取りを見てニコはふっ、と軽く笑う。ユノという精霊が敵意を持って近づいてきていないことを理解し、二つの意味で安堵しているのだ。ひとつはレイジーが無事だったこと。先刻、ユノはその気になれば無詠唱魔導を使用し、レイジーの心の臓を貫けたのだ。だが、彼女はそうしなかった。ひとつはこれ以上彼女の中にいるニーベルという少女に、精神的な痛みが彼女関連で増える心配はないということだ。これはニコが最も悩んでいた問題だったが、胸を撫で下ろす結果となってよかったと、彼は心からそう思っていた。
すると、ユノは突然ニコの方へ振り向いた。その表情は純粋無垢な少女そのもので、とても先日まで殺戮を楽しんでいた残虐な精霊には見えない。
「ニコとやら、安心するが良い。ニーベルという少女の心に触れて同一化した今、妾はこの者を我が主と認め、彼女の意思に基づいて非人道的な行動は以後慎むと誓おうぞ。ちなみに、今ニーベルは表に出たくないというのが、妾がここにいる理由じゃ。それから——、」
今度はまだ頭を押さえて痛みに苦しんでいるレイジーを見る。
「レイジー、先日の無礼な発言を撤回しよう。人の心とは……こう、透き通った水晶のように綺麗で、何とも興味深いものであったのじゃのう。食わず嫌いは駄目だというのを実感した」
返事も聞かず、ユノは今の開いているソファを見つけ、どっかりと腰をかけて図々しく脚を組んで見せた。レイジーもようやく痛みから立ち直り、すっくと立ち上がってニコの隣という定位置に戻った。
「さて」
場の雰囲気が落ち着いたのを感じたニコが、それを引き締めるように声を上げた。
「とんだ邪魔が入ったが、二度説明するという手間が省けた。これでようやく、貴様たちのこれからについて話すことができる」
- Re: ロンリー・ジャッジーロ 第三章-12 ( No.106 )
- 日時: 2010/11/22 16:58
- 名前: こたつとみかん ◆KgP8oz7Dk2 (ID: KLUYA2TQ)
- 参照: 語学研修が近い…。行き先はロスですが。
第三章『鐘の戯言、菖蒲の羞恥』⑫
ニコが一息つくようにため息をし、一拍ほどの時が流れ、やがて彼の唇が動いた。
「まずは、お前たちの“家族”……。彼らは僕が出来るかぎりの範囲で手厚く埋葬した。……こうなったのも、そちらの地域の注意を怠ってしまった結果だ。今一度、僕が代表して謝らせてくれ」
彼は目を伏せ、そのまま軽く頭を下げる。
「突然に、そして勝手ですまないが、僕が責任を取ってお前たちの生活を全て保障することを誓おう。そっちの意見を聞かずにことを進めてしまってすまないが、……正直、他の事で償えることが思いつかない」
そして顔を上げ、目を開けてミィ、フクマ、ユノもといニーベルたちを見回す。
「これも僕の独断でだが、二度とお前たちがそういう連中に襲われないためにも、必要な力の習得をしてもらう。魔導の基礎から実戦に基づいた応用まで、パーフェクトに僕が仕上げると約束する。……以上、何か質問はあるか?」
そのとき、ニコの顔が心なしか会心の笑みのように見えたが、三人は雰囲気を壊すという野暮なこと、つまりわざわざ指摘することはしなかった。
ただ、フクマは無くなった右腕の部分を押さえるように右肩に手を掛け、膝元を見るように目を伏せたまま言った。
「私は……出来ない。こんな姿になって……、自分の身なんか、守れない……!」
彼女の右腕は大口径の銃で撃たれたときに千切りとられている。常識的に考えて、小柄な少女が片腕で武装した人間に勝てるはずなどない。
しかしニコは表情を崩さずに立ち上がる。そして壁に掛けて飾ってある装飾ナイフをひとつそこから外して柄の先を、親指を除く四本の指で摘んで持った。何をするのかとフクマは眺めていると、彼は唐突にそれをユノに向かって——投げた。
縦に回転しながらナイフはユノへ飛んでいくが、彼女は微動だにしないでただ悠然とソファに頬杖をつきつつくつろいでいた。
空を切り裂き飛んでいくそれがユノへ当たる寸前、
「くひひひひひひ……」
彼女の笑い声が聞こえると同時に、それが回転運動を続けたまま空中で動かなくなった。
「ニコよ、汝も人が悪いのう。魔導について言論で説明すればよいものを……。わざわざ、妾を使いおった。……にしても汝らよ、」
彼女はフクマを目の端で捕らえ、続ける。
「彼奴は汝らにこの不思議でならない魔導を習得させる気だ。確かに、これなら片腕がなかろうと関係ないのう。くひひ……、愉快、痛快、何て奇怪。全くもって酔狂じゃ」
ユノはそう言ってから声高らかに笑った。続けて指を立て、その先をナイフに向けた後、軽くそれを天井の方向に払って見せた。その動作と共にナイフは移動方向を変え、上に向かって飛んでいき天井に刺さった。
ニコが移動し、もう一度ソファに座りなおすと、今度は神妙な面持ちで少女たちを見た。いや、睨んだといっても言い。
「お前らに結合させる精霊は僕が用意する。だが、その魂が抜けきったような顔の人間に力を与えても仕方がない。故にお前たちには覚悟を見せてもらう。……名前を、捨てろ」
最後の一言は特に力を込めて彼は言った。よほど重要な事柄なのか、その顔は一切の冗談はなかった。
付け足した彼の説明によると、一度精霊を取り込むとそれと一生を共にすることになる。生半可な気持ちでそれを受け入れても、いつかどこかで後悔してしまうというのは目に見えているかららしい。だからそれの引き金となってしまうような、己を縛る一番のトラウマ——“家族”を心から切り捨てることが必要らしい。
その説明を終えると、ユノは即座に挙手をして提案する。
「あえて言おう、妾の主にその必要はない。すでに彼女は妾を受け入れ、過去を受け入れると共に前へ向こうと決意している。……異論はないはずじゃ」
彼女の発言にニコは「ああ」と頷き、フクマの顔を一瞥する。彼女にしては珍しく、微かに困惑しているような表情だった。
その理由は明白だ。誰であろうと、今まで“家族”に愛されてきた人間にとっては縁を切ることなど容易には出来ない。加えて、フクマにとって“家族”とは自分を死の淵から救い出してくれた恩人であり、何も持っていなかった自分に無償の愛を送ってくれた母でもある。“家族”に執着するか、現実を受け入れて前を向くかの選択肢。第三者から見れば回答は容易に見えるが、主観視点からならどうだろうか。例えるなら瀕死状態の母親と恋人、どちらかしか助けられないという条件で選択を迫られたようなものだ。つまり、彼女にとって“家族”はかけがえのない物であるということだ。
迷っているフクマが無意識に発するネガティブな空気が部屋の中に周りはじめようとしたとき、
「……判った」
唐突に、彼女は選択をした。
「この屋敷で見た本の中に、確か……ここのそばの丘を越えた向こうにある海のこと。あれは、そう、太平洋(パシフィック・オーシャン)っていう名前……」
そう言って窓の外、彼女が言う丘が見える方向を指差す。
「……決めた。今日から私の名前は、フクマ・パシフィック・オーシャン。世界を繋ぐ母のような大海原のように、私は大きく生きる」
言い切り、幻覚か彼女の瞳に己の弱さを捨て去った、決意の光が灯ったのが見えたような気がした。
ニコが満足そうに大きく頷き、今度はミィの方を見た。
今更だが、ここにはミィもいた。そのことすら気づかせないほど、彼女という存在は空前の虚無感を放っていた。ここでユノはニーベルの記憶で不審に思う。元々、彼女は“家族”の中では結構喋る方で、その存在感はかなりのものであった。しかし、今回はそれを疑わせるほどの変わりぶり、まともではないと思うのは当然だろう。
それどころか彼女の顔を見てみると、存在感云々の前に意識すらあるのか判らない状態だった。顔色は蒼白、口は半開きでどう見ても普通の状態ではない。
「ふうむ……? 彼奴、大丈夫なのか?」
それに答えたのはニコだ。
「心配は要らない。僕の催眠で少々落ち着いてもらっているだけだ。……何せ、心の傷があまりにも深くて度々暴れだすからな、こいつは」
口調は軽やかだが、その表情は明らかにネガティブ方向だ。沈静させるためとはいえ、幼い少女に荒っぽい行動に出てしまったことを少し後悔しているのだろう。
「……聞け、最も重要なことだ。こいつの前で二度とこいつの名前、あのときに関するワードは一切口にするな。聞いたら最後、かなり精神に害を及ぼす。最悪、廃人だ」
それから彼はミィの名前は自分が決めるといったことを言い、少し考えたしぐさをした後、微かに躊躇いながら口にした。
「命ずる。お前の名前は、クロエ。クロエ・ルイ・アーシアラだ」
言い方は催眠術を同じだが、古代共通語ではないので意味は成さないだろう。だが、「そうなってほしい」という意味を込めての言い回しかもしれない。
名付けられ、己の存在を教えられたミィもといクロエの瞳には徐々に生命の光が発生し、
「クロエ・ルイ・アーシアラ……」
確かめるように呼ばれた名前を復唱した。
電源を入れたエンジンが次第に熱を持つように、口を開いてから時間を置いてから、クロエはフクマとユノもといニーベルを見る。その表情はいつかのように明るく、ミィであった頃と変わりはない。
「フクマに……、ええと、見た目が変わったけど……ニーベル? 何だか、すごく久しぶりな気がするね。……気のせい?」
そう言ってくるクロエに、二人は何も言うことが出来なかった。急に名前が変えられ、されど雰囲気や顔はそのもので、そして以前まで呼びなれていた名前を決して呼んではいけないという現実に戸惑い、彼女たちは容易に言葉を発せない状態でいる。
無論彼女は不思議に思い、聞く。
「……どしたの?」
質問を聞き、はっと我に返ったフクマが不信感を抱かせないように取り繕う。
「何でもない……。ミ……いや、クロエ、ここがどこだか判る?」
「え、ニコさんの屋敷でしょ? 確か何かの縁でここを訪れてたんだよ。そして家が火事か何かで無くなったのを話したら、縁だから住まわせてくれるって……。覚えてない?」
どうやら屋敷にいる経緯すら改変されているようだ。これなら、フクマたちが口を滑らなければ思い出すことはないだろう。罪悪感という、拭いきれない産物は二人の中で発生するが。
「変なの」と首を傾げてクロエは笑い、ピョンと飛び上がるようにソファから立ち上がって窓の方へ歩き出す。外を見ると、晴天だった空には灰色の雲が現れて銀色の結晶がポツリ、ポツリと振り出した。
時は進み、AR二千六年の春。
暖かい風がヴィ・シュヌールの街中を駆け巡り、人々の生活が活気付き始めた頃。フクマ、クロエ、ニーベルは十二歳という年齢にまで成長していた。
フクマは以前よりも口数が少なくなったが、心に強い芯を宿すようになり、本が好きな性格からか色々な知識を持った。クロエはニコが責任を感じてなのか、特に力を入れて常識や知識、その他諸々を教え込み、「家事や礼儀作法を完璧にこなすお嬢様」と言われれば納得せざるを得ないような人間へと成長した。内面も次第に大人びてきて自我を抑制できるようになったが、感情が言葉に出てしまうことがしばしば起こる。
そしてニーベル。彼女は無愛想、無表情という付き合いづらい性格だったが、六年もの間裕福な生活をするという経験を経て、表情には感情が表れ、あまりはっきりと他人と関われないが、コミュニケーションをとるようにはなっている。ユノも現世に登場する回数をニーベルが成長するのに比例して少しずつ自重していった。主のことを気にかけ、忠実に行動していることがここから理解できる。
ネバートデッド家の裏庭、洗濯した衣類を居候三人組が干していた。住まわせてもらう代わりに屋敷に奉仕するのは当然だと、三人が自発的に行い始めたのだ。ニコやレイジーも最初は不安がっていたが、その働きぶりを見てからというもの使用人と大差ない仕事量を三人に任せることになっている。一見これは仕事を押し付けているように見えるがそうではなく、三人にとっても信頼されているという安心感、そして屋敷に住むだけの価値を手に入れたことによる充実感に満足している。
余談だが、中でもニーベルは料理の才能を開花させ、厨房にも立つようになっている。
そこにいたニーベルは洗濯籠の中に入っていた最後の一枚を物干し竿に掛け、「やり切った!」とでも言うように大きく腕を大空に向け、目をぎゅっと閉じて伸びをした。
「ニーベルさん、ちょっといい?」
息を止めて伸びている最中に急に声を掛けられ、思わずぶはっと息を吹き出してしまう。それに対して声を掛けた方も驚いてしまったようで、背中越しに短く聞こえた声がそれを物語っていた。
「レイジー……さん……?」
ニーベルは振り向きざまに相手の名前を呼ぶ。六年も同じ屋根の下で暮らしているというのに、一向にこの緊張したしゃべり方は直っていなかった。話そうともしなかった昔よりは成長しただろうと、ニコやレイジーは妥協したのかこのことについては五月蝿く指摘はしていない。
名前を呼ばれたレイジーは空に浮かぶ日輪の如くにこやかに笑い、手に持っていた買い物籠と財布、そして何か書いているメモらしき紙切れをニーベルに見せ、それらを手渡した。
「終わってすぐで悪いんだけど、ちょっと西通りの商店街まで買い物を頼んでいいかしら?」
彼女が言った西通りとは中央地区にあるところだ。
ニーベルは嫌な顔ひとつせず、やや緊張気味に返事をしてレイジーからそれらを受け取る。メモを見るとどうやら食材などが書かれているようだった。
買い物籠を胸に抱え、フクマやクロエと一緒に行こうと振り向くが、すでに彼女たちにはレイジーが別の仕事を与えていてそれは叶わなかった。——残念。仕方ない、かあ……。それを見て軽くため息をつき、決心して一人で出掛けに行く。
屋敷の中を通って行く際、使用人に連れられて誰か見たことのない男性とすれ違った。
——ええと、まずはお肉から……。
買い物に行くルートを考えつつヴィ・シュヌール中央地区の西通りを闊歩するニーベル。彼女は一人でここへ来るのは初めてであり、少々戸惑いながら人ごみを避けている。
当然といえば当然だが、そういう状態の人間は挙動不審とまでは言わないが、基本的に周りから浮いていて目立つ存在となる。加えて、それが金銭を持っていそうで力のなさそうな子供だったら、この法律のないヴィ・シュヌールの中ではどう見えるか? 間違いなく、強盗にとって絶好のカモとなるだろう。
この国では見逃すほうが不自然だ。ニーベルをカモとして見つけた数人の男女が後ろから、逃がさないように前から彼女へ近づいていく。狙われた獲物はまだそれに気づいていない。
徐々に距離をつめていき、後ろから近づいた男がニーベルの肩に肉食鳥の如く掴もうとする——、
「がっ……?」
が、前方から飛んできた何かに顔を強打してしまい、疑問符混じりの声を漏らしながら大きく身体を仰け反らせて倒れた。
「え?」
これに気づき、獲られる寸前だった獲物が振り向く。倒れた男の仲間たちは何が起こったのか判らないままニーベルが感づいたことを焦り、男が倒れた原因を見た。
飛んできた、正確には跳んできたそれは銀色の鳥のようだった。それを思い浮かぶほどそれは華麗にして可憐で、目撃した人々はそれに目を奪われていた。
それが地面に着地する。そしてすっくと立ち上がり、ニーベルの鞄を強奪しようとしていた連中を睨み付ける。
背丈、体格は中肉中背。凛とした雰囲気をもったそれは、その格好良さから少年に見えなくもなかったが違った。それ以上に美しさと可愛さがあり、並みの女性が思わず嫉妬するようなそれは——銀色の髪と翡翠色の瞳を持つ少女だった。
先ほどの男は彼女の飛び蹴りを喰らい、陣中に当てられて昏倒させられたのだ。
「な、何なのさアンタ! 邪魔しないでよ!」
連中の一人の女が怒鳴る。稼ぎを邪魔したのが獲物と同じような年頃の少女だということが更に彼女を怒らせた。対する銀髪の少女はというと、それに怯むことなく腰のホルスターから斧のような重そうな武器を抜いて構え、臨戦態勢をとる。
それが彼女らの怒りの爆発となったのか、連中は声を上げて銀髪の少女へ向かっていった。銀髪の少女も応戦する。
「はあぁぁぁぁ……!」
肺から息を吐き出しながら、銀髪の少女は腰を捻って斧よりも身体を大きく回し、普通なら持ち上げることも不可能な斧を遠心力で振るう。銀髪の少女の左腰から右肩へ逆袈裟に振るわれたそれは、真っ先に向かってきた女ともう一人の男の右腿、右の肩に当たり肉をえぐるように斬り裂いた。
それぞれが悲鳴をあげて地面に倒れこむ。彼らを追い越すように飛び出してきた三人目の男に、銀髪の少女は振りぬいた斧の先端を地面にぶつけ、その反動を最大限に利用した力の掛かった後ろ蹴りを、三人目の男の水月にめり込ませるように踵から蹴り上げた。うめき声を上げて彼が膝から地面に落ち、そのおかげで彼の後ろから走ってきた四人目の女が視界に入る。
対象との距離は一メートル弱、ここから斧を振りぬいても届くはずがない。しかし、銀髪の少女は地面に刺さった斧の柄の先を四人目の女に向け、そのまま刃を地面の方向へ押しながら柄を大きく引き絞った。火薬が爆発するような音が周囲の人々の鼓膜を揺らし、地面を揺らす。
斧は振動で地面との反発力によって銀髪の少女の手から逃げるように飛び出し、柄の先をその方向にいた四人目の女の左肩にめり込ませた。そのことで関節を抜かれた四人目の女は左肩を押さえて飛ばされ、仰向けに倒れる。
彼女から跳ね返るように飛んできた斧を銀髪の少女は足で受け止め、失速させてから確実に手で受け止めた。余裕あるその行動は全てが片付いたことを意味している——はずだったが、そうではない。連中は後ろからも来ていたのだ。
連中の中でも大柄だった身体のせいなのか、彼らとはかなり遅れてニーベルの元へ向かってきた。大柄の男は今この場の状態を目にし、一瞬で何が起きて何が原因なのかを理解したらしく、丸太のような太い腕を振り上げて銀髪の少女に殴りかかろうとする。
銀髪の少女はそれに気がついていない。そのことを誰よりも先に目撃したニーベルはどうにか助けようと考えるが、考える時間が足りない。
——駄目、間に合わない……! そうネガティブな思考がニーベルの脳内をよぎった瞬間、ニーベルの身体は走り出した。文字通り、ニーベルの意思とは関係なく身体のみが動き出したのだ。
疾風の如く地を駆るニーベルの髪の毛は瞬きひとつの時間で鮮血のような赤色に、両の瞳は爛々と輝く金色に変貌した。その姿は紛れもなくニーベルの精霊、ユノそのものだった。
大柄な男は銀髪の少女に対して拳を振り下ろす最中だった。それが彼女の頭蓋を砕こうとしたとき、ユノはその倍近い速度で横から大柄な男の左頬を殴りつけた。精霊がもともと持つ腕力、突撃してきた際の速度、魔力で増幅された力、蛇足だがニーベル自身の腕力を足して繰り出された無駄な動きのないストレートの威力は人間のそれではなく、鉄の棒を至近距離でフルスイングで振りぬかれるよりも強い。人間ならまともに意識など保てない。
音を聞いて銀髪の少女が振り向く。目の前にいきなり赤い髪の少女が跳んできたのだから驚くのも無理はない。つかの間声を出すことも出来ず、無意識に腰を地面に落としてしまっていた。
ユノは着地後、銀髪の少女を一瞥して彼女が立っていないことを確認し、助け起こすように手を伸ばしてから、
「小娘よ、助かった。妾は珍しく汝に多大な敬意を表するのじゃ」
そう言って人間と変わらない表情で、笑った。
〜お知らせ〜
やほーノシ
寒くなってきましたね…^^;
さておき、
私の学校では再来週から語学研修という名の渡米という試練があります。
これが意外と長く、モンハン3ndの発売に帰ってこれないわけですね。
というわけで次との間がかなり開いてしまいます。そのことについてご理解くださると助かります。
こたつとみかんでした。
- Re: ロンリー・ジャッジーロ 第三章-12 ( No.107 )
- 日時: 2010/12/18 18:41
- 名前: こたつとみかん ◆KgP8oz7Dk2 (ID: SSNg/Zhu)
- 参照: 三章おわったぁぁあぁ!
第三章『鐘の戯言、菖蒲の羞恥』⑬
「名はなんと言う」
「……………………アイリ……ス……」
ユノの問いかけに銀髪の少女が躊躇いながら、小さな声で答えた。
アイリスは助けようとした少女が豹変していることに半ば放心しながら、自分に差し伸べられた腕を掴んで立ち上がる。そして同じ目線に立って少女を見つめていると、急に彼女の髪の毛は元の緑色に戻り、黄金色の瞳も淡い青色へと変わる。
彼女はユノへ変化する前のニーベルの姿を一度目の当たりにしているため、これが「戻った」ということを理解している。
対するニーベルはというと、同じ年頃の少女とはいえ初対面の相手に接触しまったことにどうして良いか判らず、困惑気味に「ええと、あの」などと俯いていた。——こういう時、どういう顔をしたらいいんだろう……?
「……礼は、いらない」
不意にアイリスがつぶやいた。一切の感情が込められていない喋り方で、彼女がすでに興味の対象をニーベルから別のものに移しているからである。彼女の視線に映るは倒れて気絶、あるいはうめき声を上げている先程の男女。それから目の前にいるニーベルに背を向けて彼らの元へ歩いていく。
どうやら金品を物色するようで、アイリスは彼らの鞄やら服やらに手を伸ばし始めた。
幼い頃自分も同じことをやっていたニーベルが言えた義理ではないが——いや、だからこそそのような非人道的な行いをしてほしくないとニーベルは思った。
しかし、思っただけではアイリスに伝わるはずもない。
——やれやれ、主は何を迷っとるのじゃ。
心の内からユノの声が響く。存在そのものを主であるニーベルと共有していることでお互いの思考などは筒抜けだ。
「で、でも……」
——ほうら、また後ろ向きなことを言う。主よ、そんな思考で大丈夫か?
「大丈夫も、何も……、あの娘と私は初対面だし、絶対に聞いてなんかくれないよ……」
——昔の自分みたいに汚い行いをさせたくないんじゃろう? あのムスメを全うな人間として生きてほしいんじゃろう? ……だとしたら、迷うことないであろう。
「だとしたら……どうすればいいの……? どうしたらあの娘を止めさせられるの……?」
答えを見つけられていない主に呆れるように、やれやれとユノはため息をついた。それは彼女の低い声と共に出ていて、ほんの少しばかり怒気が含まれていることをニーベルに理解させる。
そうしたやり取りをしている間にも、アイリスは既にいくつかの金品をポーチにしまい込み、別の倒れている人間の荷物を物色している。
——逆から言おう。主、汝の想いは立派である。……だが、それはただの綺麗事じゃ。あのムスメはかつての汝のように生きるためにあのようなことを行っている。それは汝が重々承知のことではないのか? それを止めさせるというなら、あのムスメの生活を管理するくらいのことはしなければならない。ニコは汝を助けるために実際そうしたではないか。今度は汝がニコのようになる番であればよいのじゃ。
「私が……ニコくんのように……?」
——勇気を出すがよい。誰も汝を否定したりはせぬ。ありのまま、己の決断に身をゆだねればいいのじゃ。
ニーベルが生唾を飲み込む。ごくりと音がした。
それっきり、気弱そうな少女が使役する精霊は一切黙りこんだ。相談相手はもういない。一歩踏み出すか、出さないか、その決断は少女自身がすること。
気弱そうな少女は顔を上げた。
「……あのッ——!」
「——と、いうのが……、私と、アイリとの出会い……だっけ……?」
そう首を傾げつつ微笑み、回想を語り終えてニーベルは少し恥ずかしそうに頬を掻いた。
途端、ヴィルバーが急に立ち上がって口を開く。
「少なっ! フールとの出会いの話少なっ! どちらかと言うと出会いよりニーベルの過去の方がメインのような気がするッスよ……!」
きっと無意識に言ったことなのだろう。言い終わった後、ヴィルバーは自分が何をしたのかを確認するように辺りを見回し、恐縮して座りなおした。
かなり間を置いて隣に座っているディオーネはそれを嫌悪するように睨み、悪態をつく。
「ほんっとうに空気が読めないですね。せっかくニーベル姉さまがお話をしてくださっているのに、貴方は黙って聞けないんですか?」
そして弁解してこようとするヴィルバーを睥睨して黙らせ、今度はニーベルを見て先ほどとは打って変わったように明るくなり、まるで女神でも見るような恍惚とした表情で感想を述べた。
「それにしても……姉さまにそんな辛い過去があるとは初耳です。それなのに私のために語ってくださるとは、感謝の極みですっ!」
涙管から流れ出た涙が溢れんばかりの感動だったらしい。ディオーネは手を組んでそう叫んだ。
傍観者約二名の反応を面倒くさそうに見てため息をつく。
「こいつらの感想は放って置くとして……。ニーベル、思い出させて悪いがその……、貴様がまだ“家族”と共にいたときのことだが……、」
弟子のトラウマについて聞くことを躊躇するようにニコの言葉の歯切れが悪くなり、頭に手を当てて悩む動作をしてから、彼はニーベルの目を見て聞いた。
「貴様はあの冬の日、長く青い髪の男に会っていると言ったな」
「え、……あ、うん……言った……かな……?」
聞き、次にニコは口に手を当てるという考える動作をする。
「ならば……そのときに既に、貴様はあの銀髪に会っているはずだぞ」
そのニコの言葉で、ニーベルは驚いて目を見開いた。相当驚いたのだろう、普段のニーベルでは見ることの出来ない表情だった。
彼女は思いがけない一言を言ったニコを、訝しげに見ながら聞き返す。
「そう、なの……?」
「ああ、恐らくな」
そう言った理由ないしは何か続けて言おうとしたことでもあるのだろうか、ニコは間を置いて再び話そうとしたのだが、
「ヴィィィルゥゥゥバァァァさぁぁぁぁぁん……! 会いたかったですわぁぁぁぁ……!」
何処からともなく——といっても玄関しかないわけだが、灰色のショートボブ、印象的なゴシックロリータファッションの少女——アイビーが間を裂くようにアイリスとニーベルの家へ入ってきたことで彼は二の句をつげなかった。
予想してなかった訪問者はニコが座っているソファの後ろから、それを乗り越えるように奥のソファに座っているヴィルバーの胸へと飛び込んだ。そこまでの跳躍力は全身のバネを使えるアイビーならではの行動だった。他の者には容易に模倣することの出来ない、その驚異的な身体技術をそんなことに使っているということも彼女の性格を表していた。
ヴィルバーは反射的にそれを受け止める。見ていたニーベルが口を開く。
「ど、どうして……、ここに……?」
アイビーはニーベルをびしりと指差し、不敵に笑いながら高らかに声を上げる。
「笑止! 愛にはそんなこと、全くと言っていいほど関係ありませんわ……!」
「うん、それはもういいから」
「す、凄いアツアツっぷりですぅ……」
「やかましいな」
「ほほう、若いで御座るな」
「若、ただいま戻りました」
次いで、アイリスと金髪の小柄な身体には似合わない大きな鞄を持った少女——リース、そして薄い水色の髪の毛と瞳を持った男——カイが家の中へ入ってきた。その後ろから黒峰とブランク入ってくる。
ニーベルは真っ先にアイリスが無事で帰ってきたことを確認すると、先程より表情を明るく変え、アイリスの元へ駆け寄る。
「アイリ! よかったぁ……本当によかった……。心配ですごく大変だったんだよ……」
その反応が可笑しかったのか、アイリスは少し吹き出して笑う。
「ふふっ……何それ? まあ私は大丈夫だから、さ。はい、これ買い物」
アイリスから買い物袋を受け取り、中身を確認してにっこりとニーベルが顔を上げる。そして気がついたようだ。アイリスの身体のあちこちに擦り傷などの怪我をしていることに。
「ありがとね。……ていうか、何でそんなに怪我してるの?」
「あー、うん。順を追って説明するから」
「……で、明日マリアちゃんのところに連れて行くんだね?」
「うん。関わった以上、最後まで責任は持たないとね」
言ってアイリスはリースに笑いかける。 不意の出来事にリースはたじろいで目をそらすが、その態度にアイリスとニーベルは笑った。緊張してどのように接していいのか判らないままでいるリースの反応が見ていて楽しいのだろう。
だがその平和な風景を視点に辺りを見回すと、一変して物五月蝿い情景となっていた。
「ちょっと! 場をわきまえてくださいよ!」「その必要などありませんわ! 野暮なこと言わないでほしいですの……!」「久しぶりだなヴィルバー。……お前の小指は少し盛りすぎだ」「ひ、久しぶりッス、カイさん! ……ええ、まあ、悪い娘じゃないんで」「黒峰様でしたか、先程の太刀捌きは見事でしたよ」「ありがたき言葉、感銘極まるで御座る」「賑やかですねぇ……」「やかましいがな。というか、狭いと思っていたが意外に人が入るのかこの家は」
何か集会でも始まるわけでもないが、そう思っても不思議ではないくらいの状態だった。これを見てアイリス、ニーベルの考え方としては、曲がりなりにも客人を何もなしに帰すことをあまり好ましく思わない性質である。
四年間同居していたパートナーの心情はお互い理解している。二人はアイコンタクトで意思疎通をして、目の前に広がる客人たちに目を向ける。
それらの注目を集めるようにニーベルが強く手を叩く。家の中に破裂音が広がり、それを耳にしたすべての人間がアイリスとニーベルを見る。
「ええ……と、皆……さん、何で……集まってしまったのか、えと、……判らない……けど……、このまま……、その……帰せない、ので……、」
その続きを拾うようにアイリスが続ける。
「不本意、本当に不本意だけど、仕方がないから晩御飯食べさせてあげなくもないよ。食べて行きたい人、返事して」
似合わずアイリスは照れくさそうにそう言った。賑やかな情景も悪くない、そう思えたのだろう。
その心境の変化を感じ取れないほど、ここに集まっている人間は鈍い神経は持ち合わせていない。その変化に全員が不思議そうにつぶやいた。
「デレてますね」「デレてますわね」「デレてるな」「デレてるッス」「デレているのでしょうか」「デレで御座るか」「デレですねぇ……」「気色悪いな」
刹那、アイリスの顔色がすうっと冷たくなった。それをニーベルは気まずそうに横目で見る。——うわぁ、少しまずい……かな。アイリって本気で怒るときは冷静になるんだよね……。
その思惑通り、アイリスの目つきは怒りのそれとしか思えない状態だった。目にも留まらぬ速さで足を振り上げ、誰にも目視されぬまま——その踵を目の前のローテーブルに落とした。その一瞬だけ、アイリスの髪の毛が黒色になったように思えた。
響く破砕音。ニコにも、カイにさえ反応されずに落とされたそれの速度と威力は想像を絶するもので、その踵の餌食となったローテーブルは、当たったその部分だけが削ぎ落とされたように木片となって崩れた。あまりの速度に空気との摩擦も起こったようで、なくなった部分の淵の辺りを見てみるとうっすら黒く焦げ跡がついている。
破砕音を聞いてようやくアイリスがしたことを周りは確認した。そして見るや否や、全員が生命的な意味での危機を本能で感じ取った。
アイリスはもう一度、警告のように冷たく言い放つ。
「返事」
「すみませんでした頂きます」「ごめんなさい食べていきますわ」「悪かった世話になる」「許して下さい食べるッス」「申し訳ありませんご相伴に預かります」「許されよ是非もらいたいで御座る」「ごめんなさいね頂くわ」「すまないな仕方がないから舌鼓を打たせてもらう」
聞き、ため息と共に身に纏う凶悪な冷気を解く。そして「座ってて」とリースに言ってニーベルと共に台所へ消えてしまった。
そして安堵するようにそこにある空間が暖かくなる。先程は肌で感じ取れるほど危なかったのだ。
再び客間が賑やかになると、突然ニコはカイを連れて家の外に出た。何か真剣な様子で、そこの雰囲気を崩したくないとの配慮だろう。
外に出た二人はアイリスとニーベルの家の壁に体重を掛けて立つ。空はすでに日は沈んでおり、西の空がほんのり赤いばかりで地獄通り(ヘル・ストリート)は暗い闇に包まれていた。春の夜風はまだ冷たく、この時間帯にここを通る人間はほとんどいなくなる。
となるとあたりでは引ったくりや強盗などの物騒な連中の活動が活発になるのだが、ここにいるのは国内最強の便利屋の一人と南地区全体を牛耳っている便利屋だ。手を出すほうが間違っているとしか思えない。
「話は何だ。……もしかして、サジのことか?」
そう言ってカイはコートのポケットから紙煙草を取り出す。もう片方の手に持っている着火装置でその先に火を着け、煙を吸いながら徐々に煙草に火を浸食させる。吸った煙を肺に流し込み、しばらくしてそれを空気中に吐き出した。「要るか?」と、カイはニコに問いかける。
「一本もらおう。もしかしなくてもサジタリウスのことだ。今日弟子の思い出話の中でふと出たのでな」
ニコはカイから煙草と着火装置を受け取り、同じような動作で煙草に火を付けながら話す。
「あいつを最後に見たのはいつだったか……なんて思ってしまったんだ」
「そう……だな」
少しの沈黙の後、カイが再び口を開く。
「アイリスは知っているのか」
「当たり前だ。全てを知った上であの態度をとっている。……許せないんだろうな、表面だけでなく中身のサジタリウス自身を」
ニコが肺にたまっている煙を一気に空気中に吐き出し、
「十年前の貧民街での惨劇、ニーベルへユノが降りたことと続いて、今度は……か。負の連鎖はここまで続いていたのか……」
そう独り言のように呟いた。
吐き出されて暗い空に消えていった煙は、空に渦巻く暗雲のように黒かった。
まるで、彼自身が抱える心の闇のように。
第三章『鐘の戯言、菖蒲の羞恥』終わり
- Re: ロンリー・ジャッジーロ 第三章-13 ( No.108 )
- 日時: 2010/12/20 17:20
- 名前: こたつとみかん ◆KgP8oz7Dk2 (ID: SSNg/Zhu)
- 参照: 三章おわったぁぁあぁ!
ひあっほー^^
三章がようやく終わりました! 長々と伸ばしてすいません…。
次、四章ですが、まあ三章の最後にもあったとおりリースの家探しというかあてのある人を訪ねるわけです。そこでオリキャラは前段発射しようかと。あと残っているのは二人くらいですし。
それじゃあ、思い切って解説へ。
ヴィ・シュヌールという国の話です。
ぶっちゃけこの国には人が住んでいる部分と、周りにほとんど人気がない部分に大きく分けられています。全体の割合的には三:七です。田舎のほうが多いのは当たり前。
ちなみにこの国の全体的な面積は、例えるならエジプトくらい程の大きさという設定です。
街中も結構広い設定なんですけどね。ただアイリスは中央地区に近い西地区に住んでいるだけです。ヴィルバーの東地区にある工業地区や、ニコの南地区の屋敷も然り。その他の人々は基本中央地区に住んでいるという解釈でよろしくお願いします。後付け設定なんかじゃありません^^;
それではキャラ名鑑へ
○名前:レイジー(“クレイジードール”アリス)
年齢:少なくとも千年は生きている。今の身体年齢は二十三歳くらい。 身長:164㎝
容姿:長い、流れるような金髪を後ろでひとつにまとめている。雑務には邪魔ですからね。瞳の色も黄金色。ナイスバディな大人の女性。
服装:基本的に女中服オンリー。エプロンスカートの丈は長く、メイドというかメイド長。
性格:親切心の塊のような人(精霊だけども)。見ず知らずの人にも救いの手を差し伸べ、ひねくれた性格のニコのまるで影のような存在(むしろ光?)。ニコに対する感情は不明。
魔力:精霊はすべての魔力を使えます。ただ得意なのは雷(インドラ)。
さ…てと。
そろそろオリキャラ募集なるものやってみようかなーなんて思っていたわけですが…、
どちらかというと、今回は『魔導』のオリジナルを募集したいと思います。必死なんですよ、こっちも。
=募集用紙=
魔導名:
属性魔力(ひとつのみ):
詠唱:
効果:
=ありがとうございました=
どうかよろしくお願いします。
こたつとみかんでした。
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