ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- ロンリー・ジャッジーロ 4−2
- 日時: 2011/07/31 16:02
- 名前: こたつとみかん (ID: DNzgYQrN)
- 参照: ココに来て一年経った、かな?
起きている間はずっと寝ていたい。だけど書き続ける。それがなによりも好きだから。
こんにちは。新年明けましておめでとうございます。
最近ポケモンの白を購入しました。ミジュマル超可愛い^^
ではでは、この小説が貴方の享楽となりますように。
こたつとみかんでした。
序章 前>>3 後>>4
第一章 ①>>8 ②>>10 ③>>12 ④>>16 >>17
第二章 ①>>21 >>22 ②>>25 ③>>26 ④>>33 >>34 ⑤>>40 >>41 ⑥>>44 >>45 ⑦>>46 >>47 ⑧>>51 >>52 ⑨>>62 >>63 >>64
第三章 ①>>73 >>74 ②>>77 >>78 ③>>82 >>83 ④>>84 >>85 ⑤>>86 >>87 ⑥>>90 >>91 ⑦>>94 >>95 ⑧>>96 >>97 ⑨>>100 >>101 >>102 ⑩>>103 >>104 ⑪>>105 ⑫>>106 ⑬>>107
第四章 ①>>112 ②>>113
キャラ名鑑 その一>>18 その二>>68 その三>>72
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- Re: ロンリー・ジャッジーロ 第一章① ( No.9 )
- 日時: 2010/04/01 15:37
- 名前: 羽鳥 (ID: UgN/I8x0)
アイリスさん、カッコイイですね!
個人的にこういう世界観、大好きです。
続き楽しみにしてます! 頑張って下さい!
- Re: ロンリー・ジャッジーロ 第一章① ( No.10 )
- 日時: 2010/08/06 16:01
- 名前: こたつとみかん (ID: eMnrlUZ4)
- 参照: 牛乳プリンはプレーンで!
第一章『愚かなる花』②
ヴィ・シュヌール中央地区、西通り。ここは食物売買の露店や店が立ち並ぶ商店街のような所だ。人通りがとても多いぶん、比較的強盗などの被害が少ない。あくまで、比較的にだが。
この時間帯は夕飯の買い出しなどで、特に人が多い。香ばしい食材の香りが、店先や露店から漂ってくる。アイリスとニーベルは店先に並んでいる数々の食材を見たり、手にとって選んでいる。
「いつ来ても、この時間帯のここは良い所だな」
アイリスは手に持っている大きなオレンジを指でこすりながら言う。
「大通りはあんなに荒れてたって言うのに」
ニーベルは、その隣で口に人差し指を当てながら新鮮な生肉を見ている。
「本当だね。……このお肉、美味しそうだなぁ……。……あ、でも、アイリってお肉駄目なんだっけ」
アイリスは手に持っていた大きなオレンジを積まれていたワゴンの中に戻した。
「いや、食べられないわけじゃないよ。ただ、量が多いと、少し……」
「そうなんだ。じゃあ、少しだけ買って行こう。……あの、これ、二百グラム、ください……」
注文するときはアイリスとの会話より少し気弱そうに、というか、緊張気味にニーベルは言った。ニーベルはアイリス以外には人見知りが激しい。アイリスと一緒にいないと、他人との会話もままならない。
その店の店主は一言「八百五十ダルズだよ」と言い、注文された肉を布にくるんでニーベルに渡した。その際にニーベルは桃色の財布から五百ダルズ硬貨一枚と、百ダルズ硬貨三枚と、五十ダルズ硬貨一枚を取り出し、店主に肉と引き換えに渡した。
その店を後にすると、ニーベルは肉を買ったものが入っている手提げ袋の中に入れ、中の物を確認した。
「……このくらいでいいかな。あんまり買い過ぎると、余らせちゃうし」
「そうだな。帰ろうか、ベル」
西通りを歩いていると、不意にニーベルが口を開いた。
「そういえば、アイリって今日も便利屋の仕事で魔導を使わなかったよね。何で?」
魔導と言うのは、生物が持つ生命エネルギーの形質を変え、その一部を体内から切り離し、様々な能力に変換させることだ。しかし、一個体の生物がもつ生命エネルギーの量などたかが知れているため、そのごく僅かを変換させる際にそれは消失してしまう。そのために先程の怪物、スルトのような神々の残留魔力の一部が自律したエネルギー体となった精霊種と人間が契約して使役することによって、切り離したごく僅かな生命エネルギーの量を精霊種の持つ魔力で質量を増やしてそれを実現する。精霊と契約した人間には、それぞれに『魔力回路』と呼ばれる紋章のようなものが身体のどこかに現れるようになる。アイリスには左腕に双子葉類の葉脈のような魔力回路が、ニーベルには首筋に鳥の羽のような魔力回路がある。
「私は、あまり魔導を使いたくないんだ。使うと、あんな姿になるから……」
アイリスは特異体質で、魔導を魔力回路に通して使用すると、身体にとある変化が現れるようになる。アイリス自身は、それが気に入ってないようだ。
それを聞いて、ニーベルは少し申し訳なさそうに俯いた。
「ご、ごめん。私、嫌いだなんて、知らなくて……」
二人の間に、沈黙となにやら気まずい雰囲気が流れる。
その沈黙を保ったまま歩いていると、不意に、ニーベルに人がぶつかった。重い買い物袋を持っていたニーベルはしりもちをつき、袋の中の物を、バケツをひっくり返したかのように勢いよく四散させた。
「い、痛ぁぁ……」
「ベル。大丈夫か? ……あ、卵が……」
しりもちをついたニーベルをアイリスが助け起こす。買い物袋から飛び出した卵が割れ、土の地面を卵黄で黄色く染める。
ぶつかった相手はというと、そっちも注意をこちらに向けていなかったせいか、ニーベルと同じようにしりもちをついていた。それを、隣にいた女中服を着ていた金髪の、綺麗な女性が助け起こした。
「若。御無事ですか?」
「ああ……」
不機嫌そうに助け起こされたのは、藍色の少し長い髪と灰色の目が印象的で、その少し長い前髪を右側の片方の目を隠すように寄せている髪形の少年だった。背丈はニーベルより少し低いくらい。服装はワイシャツにリボン、短い丈の黒いスラックスに白ソックスと、いかにも上流階級出身の「お坊っちゃん」にしか見えない。
その少年は服の汚れを手で払い、アイリスたちを睨み、ぶつかったことによる不満をぶつけた。
「おい、アイリス・フーリー・テンペスタ、ニーベル・ティー・サンゴルド。貴様ら、この僕とぶつかって服を汚しておいて、何も言わないとはどういうことだ」
少年は二人の名前を知っているように口に出した。それもそのはずで、アイリスたちもこの少年を知っている。
この少年の名はニコ・ザンティ・ネバートデッド。ヴィシュヌール南地区の丘の上の大屋敷に住んでいる十一歳の主で「貴族気取り」だ。本来ネバートデッド家というと、古代から伝わる貴族なのだが、今の時代そのような階級などあっても意味がない。だが、慣れた生活をそう簡単に変えることは出来ず、今でも偉そうな態度で過ごしている。
ニコの隣に立っている、女中服の綺麗な女性がその従者、レイジーだ。彼女はいつでもニコに付き従い、その世話役になっている。レイジーはアイリスと目が合い、にっこりと笑った。そして、申し訳なさそうに言う。
「こんにちは。アイリスさん、ニーベルさん。それと、ごめんなさいね。割れた卵は弁償しますから」
「あ、どうも……」「こここ、こんにちは……」と、アイリスとニーベル。
アイリスたちとニコたちは、アイリスたちが便利屋を始める前からの知り合いで、特にアイリスとニコは犬と猿のように仲が悪い。レイジーとはそうでもないのだが。ちなみに、今のニコたちはアイリスたちと同じ便利屋だ。今の時代、貴族が職業に入るわけがないので。
「レイジー。こんな奴らに買ってやる必要は無い。行くぞ」
苛立ちのこもった声でニコが言う。それに連鎖するように、今度はアイリスが苛立った。通ろうとするニコを、妨害して前に立った。
「……何だよ」
「……別に」
二人の間に険悪なムードが流れようとした最中、急に、この先にある広場から、大きな音が聞こえた。地面を砕くような音が、遠くにいるアイリスたちのまとう大気すらも揺らす。
二人は同時に音の方向を見て、ほぼ同時にそこへ走り出した。
「ア、 アイリ! 待ってよぉ!」
「お、お待ちください、若!」
ニーベルとレイジーは落とした荷物を慌てて拾い、二人の後を追っていった。
- Re: ロンリー・ジャッジーロ 第一章② ( No.11 )
- 日時: 2010/04/01 15:55
- 名前: こたつとみかん (ID: fBQ5.G6l)
- 参照: 牛乳プリンはプレーンで!
>>9 羽鳥様
コメント有難う御座いますっ!
アイリスがカッコいいですか・・・・・・。彼女はこの物語の主人公なんで、これからも温かい目で見てやってくださいw
世界観を気に入ってもらえるなんて、本当に嬉しいですっ!
こたつとみかんでしたっ!
- Re: ロンリー・ジャッジーロ 第一章-2 ( No.12 )
- 日時: 2010/08/06 16:02
- 名前: こたつとみかん (ID: eMnrlUZ4)
- 参照: 暫く福島へ行ってきましたっ!
第一章『愚かなる華』③
アイリスとニコが向かった中央地区の西通り広場は、北通りや西地区への交差点でもある、人通りの多い場所だ。いつもは、石造りの長いすや天然の芝があり、呑気鳥などが群がって人々に餌を求めて来たりするのどかな場所であった。だが、二人が向かったときには、全く異なる光景であった。
石造りの長いすは誰か名のある格闘家でも来たのか、中心から見事に二つに割れており、天然の芝は所々が剥がれていて、その下から乾いた色の土が見えている。地面には呑気鳥の代わりに、顔や腹を押さえてうずくまっている男達が何人も倒れている。そして、その広場の中心には、燕尾服をきっちり着こなした男が立っていた。
その男がアイリスとニコが走ってくるのに気が付いて振り向いた。
赤髪のオールバックで、瞳は黒みがかった橙色というより茶色だった。顔の右半分には、黒い炎を思わせるようなタトゥーが彫られてあった。体格的には燕尾服も似合っていたが、首から上が派手すぎてせっかくの「紳士」のイメージが台無しになっている。少なくとも、アイリスにはそう思えた。
その男は、その辺にうずくまっている男達のものであろう血が染み付いている白い手袋を取り、投げ捨てた。
安堵か落胆か、その様子を見てニコがため息をついた。
「騒ぎかと思って来てみれば……。お前か、ブランク」
「はあ……。すみません、若」
赤髪の男が申し訳なさそうに言う。
彼の名はブランク・ベルハム・ラピオロルゼ。レイジーと同じ、ネバードデッド家に仕える使用人だ。そしてもちろん、ニコとレイジーが所属している便利屋のチームの一人だ。レイジーから聞いた話によると元傭兵だそうで、腕はかなり立つらしい。
ブランクがアイリスの存在に気付くと、ふっ、と微笑を浮かべた。
「おや、フーリー殿もご一緒でしたか」
「あ、ああ……」
——どうも、やり辛い。アイリスは別にブランクが嫌いなわけではないのだが、このように水商売の男性従業員よろしく営業スマイルを向けられると、似合わない容姿もあってか、妙に警戒してしまう。
反応に困っていると、アイリスのことなど気にも留めていなかったニコが話を進めようとした。
「説明しろ。手短かにな」
「はい、いつも通りの暴動鎮圧ですよ。……『アロウズ』のね」
アロウズ。その一言を聞いて、アイリスの表情が一変した。嫌悪や憎しみに満ちている顔だ。
アロウズとは中央地区や西地区を中心に活動している、窃盗や強盗など、いわゆる泥棒を生業とするチームだ。一応、便利屋としても活動している。
それのボスに、アイリスはとある因縁がある。十年以上たった今でも、決して忘れることも、許すことも出来ないことが。
暫くして、レイジーとニーベルが息を弾ませて広場に来た。それに気が付いたニコが二人に、こっちだ、とでも言うように手を軽く振った。
五人の間に無言の空気が漂うなか、それに水を差すように声が聞こえた。それも、ひとつやふたつではない。少なくとも十人以上はいるような気がした。全員、低い男の声だった。
五人がその方向を見ると、一人ひとりが独特な服装、髪型の男達がゾロゾロと広場に集まってきた。全員が確信した。——アロウズだ。
アロウズの男たちは皆、この光景を見て敵意を五人に向ける。この状況で広場の中にいる人間はアイリス、ニコ、ブランク、レイジー、ニーベルだけだから当然といえば当然だろう。傍観者たちは結構離れた場所でこの一部始終を見ようとしている。
そして、こいつら全員こっちに向かってくるだろうな、と確信したアイリスは、右腰のホルダーから高周波斧を抜く。
その動作を合図に、アロウズの男たちは一斉に向かってきた。アイリスも、高周波斧を地面に引きずりながらそれに立ち向かっていく。
ニコは面倒くさそうに右手を前に向け、
「……掃討しろ」
そう命じた。
「了解です」
「判りました」
それにブランクとレイジーが反応して動き出す。
「せぇぇぇぇぁぁああ……!」
アイリスは腰を左に鋭く捻り、重量のある高周波斧を遠心力で左横薙ぎに振った。それは男たちの数人を巻き込んで当たった。刀身は裏返しで、いわゆる峰うちの状態だったので血は出なかった。これは別に殺すことを躊躇っているわけではなくて、単に愛用の武器が下衆共の血で汚れるのが我慢ならなかっただけだ。まあ、それでなくても肋骨の五、六本は折れているだろう。
高周波斧を振りぬいて、その数人を吹き飛ばす。その隙を狙って一人の男が短刀をアイリスの右脇腹に向け、突き刺そうとした。
それをアイリスは、更に腰を左に捻って作り出した遠心力で身体全体を宙に浮かせた。結果、男の短刀は空中を刺した。それだけではない、その遠心力で威力を増大させた空中右回し蹴りを男の人中目掛けて放った。何かが折れる音が空に響く。
その後ろより、ブランクが左から、レイジーが右からアイリスを追い抜くように前に出た。
「シッ」
その短い掛け声と共に、ブランクは左ジャブの連打を男たちに放っていく。無駄のない、速い動きで確実に一人づつ倒していく。
レイジーはそれの更に前に出た。凍りつきそうな冷たい目つきだった。
いつの間にか腕まくりされていた長袖の女中服から現れたレイジーの白い両腕は、痛々しいとしか言えなかった。幾つもの肉片であった腕のパーツを、無理矢理糸付けして繋ぎ合わせたような様子だった。
レイジーはその腕を、手刀のような形に整えた。その腕で、可視出来ないほどの速さで残りの男たちとすれ違いざまに手刀を放った。
「安心なさい」
糸が切れた人形のように、残りの男たちは全員倒れていく。
「……殺しはしないわ」
レイジーは冷たい目つきのまま手刀を、刀についた血を払い取るように振ってみせた。
事が終わったことを確認した傍観者たちは、そそくさと散っていった。
広場が静寂に包まれる。数秒間は、誰も口を開くことはなかった。
そしてその静寂も、空気の読めない一言で破られることとなる。
「オイ、オイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオォォイ! なンだってンだァ、こりゃあ!」
この、一人の男によって——。
- Re: ロンリー・ジャッジーロ 第一章-3 ( No.13 )
- 日時: 2010/04/06 18:00
- 名前: right ◆TVSoYACRC2 (ID: zuIQnuvt)
初めまして、rightです。
基本がしっかり成されていますね。
この小説は、このサイト内でもハイレベルだと、個人的にそう思います。
感情、情景、人物表現がとてもお上手です。
比喩も上手く使われていますね^^
ストーリーも面白いです。
素晴らしいです!
ですが、気になったところがあります。
『一つは「酒場経営」。一つは「武器製造師」。一つは「商人」。一つは「泥棒」。』のところです。(勝手にコピーしてすみません)
。(句点)ばかり使っていて、少しだけ違和感がありました。リズム感が無い、と言ったほうが良いでしょうか。。(句点)は二拍分休み、、(読点)は一拍分休むので、ちょいとおかしいかな…と
小説と言えども、リズム感は大切だと思います。
ですので、。(句点)を、(読点)に変えたほうが良いのではないかな、と思いました。
あくまで、個人的な意見ですので、スルーして下さっても構いません。
…こんなことを言える立場ではないのに、申し訳ありません。しかも、長々と…本当に申し訳ありません。
これからがとても楽しみです!
また、読ませていただきます。
頑張ってください! 応援しています!
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