ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 色無〜禁じられた遊戯〜
- 日時: 2010/05/27 21:02
- 名前: しのぶ (ID: VMvMkRLZ)
タイトルは「しきむ〜きんじられたゲーム〜」って読みます。物語に対するコメント待ってます。
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- Re: 色無〜禁じられた遊戯〜 ( No.22 )
- 日時: 2010/07/11 14:50
- 名前: しのぶ (ID: zXm0/Iqr)
スッと片手を灰崎へと突き出した体勢のまま、視線だけで相手を威嚇しているところから察するに、かなりキレてるっぽい。
こんな時のミズノは近寄ったら殺される。うん。マジで。だっておれ、1回死にかけたもん。
「水よ。我を守り、我に力を与えたまえ。」
ドンッ!!
水分のかけらも存在しなかった路地裏に全く唐突な水柱が上がる。
- Re: 色無〜禁じられた遊戯〜 ( No.23 )
- 日時: 2010/07/12 12:17
- 名前: しのぶ (ID: Zqou3CL2)
「ひぃぃ!?」
どうやら腰が抜けてしまったらしく、無様に地面を這いまわりなんとか、処刑を逃れようとしている灰崎を見下ろし、ミズノは、
「滑稽ね。笑っちゃうわ。」
恐ろしく凄惨な笑みを顔に張り付け、自らが上げた水柱にもう片方の手を勢いよく突っ込む。
そして、その手を抜いた時には肘までを覆う水の手袋がミズノについていた。
「コードNO,0033、ライより。本部に報告。ただいまより、同0032、ミズノが処刑を執行します。」
『こちら本部。執行を許可します。絶月は張ってありますか?』
「一応、さっき張っときましたけど・・・。」
『了解しました。では、ご武運をお祈りします。』
ピアスをツンとはじき、通信を切った後、ミズノと灰崎の方を見てみると、丁度、クライマックスだった。
「許してくれ!頼む!」
「だめ。許さない。」
「じゃあ、最後に一つ教えてくれ!」
「?なにを?」
「ライブハウスでのおれが捕まるまでの作戦を!」
「・・・。いや。」
「なぜだ!?」
「だってあんた、いまの会話全部録音してるじゃない。」
「んなっ!?」
灰崎の顔が驚愕の色に染まる。なぜわかったのか、と言いたそうな雰囲気だったが、それを口にする前に、
「死になさい!」
ドガッ!!
ミズノに水の手袋をはめた手で心臓の辺りを殴られ、死んだ。
「コードNO,0032、ミズノ。処刑執行完了。」
『こちら本部。わかりました。では次のターゲットの情報を送るので、速やかにそちらへ向かってください。』
「了解。」
ぶちっ!
「なぁ。」
「なによ。」
「なんで教えてやらなかったんだ?」
「?なにを?」
「おれたちの作戦を。」
「録音機は壊してしまえばよかったけど、面倒じゃない。それに、言ったところであいつの運命が変わるわけ?」
「・・・。でもなぁ・・・。」
「あぁ!もう!うるさいわね!さっさと行くわよ。」
まぁ、確かにミュージックキャットの停電は雷の能力使って、おれが起こし、地震と言ってみんなを混乱させたあと、ミズノの歌で気を引きつけてから、ターゲットを気絶させ、持ってきたなんて言っても仕方ないよな・・・。
勝手に、いろいろと感慨にふけっていると、すでに絶月を勝手に解いたミズノに(おれが、苦労して張ったのに・・・。)
「なぁーにぼさっとしてんの!早く!」
と、呼びかけられる。なのでおれもすぐに、
「はいはい。ったく・・・。人使いが荒いな・・・。」
人を一人殺した後だというのに、おれたちはまるで何事もなかったように話し始める。
だが、おれたちはこれが普通なのだ。だっておれたちは、政府にとって都合の悪い奴らを消すだけの、
人殺し集団なのだから。
「よし。今日は、夕飯何にしよっかな・・・。」
「いいでしょ!あたしは寮のコックさんの夕飯なんだから!」
「いいなぁ・・・。だって、確かあのコック、三ツ星レストランのオーナーシェフだったんだろ?」
「ご名答!ライも来れば?寮に。」
「いいや。おれは。だって今、一人暮らしをしてるマンション、意外といいところなんだよな。」
「また今度、遊びに行ってもいい?」
「いいけど・・・。お前、絶対に泊まり込みじゃねーか!」
「細かいことは気にしない♪」
鬼という名のおれたちは人を狩る。
いつものように・・・。
夜は、こうして、また、始まり、終わっていくのだ。
毎日、毎日。いつまでも、いつまでも。
- Re: 色無〜禁じられた遊戯〜 ( No.24 )
- 日時: 2010/07/17 19:52
- 名前: しのぶ (ID: acQ6X1OT)
*****************
〜♪〜♪キーンコーンカーンコーン〜♪〜
「「よぉーやっと終わったぁ!」」
「「お昼食べよう!」」
「「屋上行く?」」
- Re: 色無〜禁じられた遊戯〜 ( No.25 )
- 日時: 2010/07/18 13:28
- 名前: しのぶ (ID: acQ6X1OT)
おれたち二人が通う私立波風(なみかぜ)学園は日本一の耕地面積を誇る、超マンモス高校だ。人数が多いのだから当然、頭のいい奴やもの凄く金持ちな奴、挙句の果てにオリンピックの選手になった奴までありとあらゆる人たちが集まった、とんでもない高校である。
だが所詮は高校生。
いくら頭が良くても腹は減るし、いくら金持ちでも友達とは砕けた調子で話したい。
と、言う訳で。
今現在、午前中のかったるい授業が終わったあとの昼休みはどこの高校とも変わらず、とんでもなくうるさい。
チャイムと同時に購買へと駆け出してゆく男子。
早くも机を動かし、仲良しグループで固まっている女子。
早弁でもしたのか、机に伏せって、大人しく眠りの世界へ誘われているものまで。
各々で思いっきり、自分の時間を満喫していた。
そんな中、あれはと言うと、
「槙人!起きてってば!!」
「・・・っせーな・・・。起きてるよ。」
瑠夏に説教くらっていた。
「じゃあ、机に突っ伏してないで、こっちにお弁当もらいに来なさいよ!」
「・・・。だって、面倒臭ぇんだもん。」
「その口癖、いい加減やめないと・・・。」
そこで一旦言葉を切った瑠夏は、こちらへググッと顔を近付け、
「キレるよ?」
と脅してきやがった。
実際にキレるのは瑠夏ではなく、何とびっくり。並河司令であるが。
並河司令、根っからの真面目さんなので、どうやらおれを更生させたいらしい。が・・・。
「・・・。いや、だってさ・・・。あの人、おれを、趣味は読書、特技は隠れて人々を守ること、尊敬する生き方は、福沢諭吉さんのように、勉学にひたむきな姿勢を忘れないことっていう経歴にしたいんだぜ?」
「・・・・・・。それは・・・。い、嫌だわ・・・。」
並河司令を尊敬する瑠夏でさえ、ドン引きである。
てか、それが普通だろ。
だれがなりたいか。そんな、七三メガネが似合いそうな奴に。
- Re: 色無〜禁じられた遊戯〜 ( No.26 )
- 日時: 2010/07/23 15:18
- 名前: しのぶ (ID: D9qyryxa)
「で、でも・・・。それって槙人の事をその、こ、更生させたいからでしょ・・・?」
まだ、諦めたくないのか、なおも並河司令を庇おうとする瑠夏の口調もどことなく、ぎこちない。
それに。
特技の欄に関しては、特に異議を唱えたい。政府に飼われた犬の暗殺集団のおれたちが、なんで、正義のヒーローを気取らなければいけないのだ。
一人、つらつらとそんなことを思考していると、
(槙人!まだあんた、ラミットムーンを暗殺集団なんて思ってたの?)
瑠夏に心を読まれたらしい。どこか、悲痛そうな声でおれの心に呼びかけてきた。
(あぁー!またおれの心勝手に・・・。)
(今はそんなこと言ってる場合!?早くあたしの質問に答えてよ!)
(・・・。あぁ。思っているさ。今でも、ずっと。)
(な・・・。何よそれ!?ラミットムーンのみんなから受けた恩を忘れたの!?)
(忘れちゃいねぇよ!!)
(だったら・・・。なんで・・・。)
(いくらみんなが優しくていい人でも、政府の犬なのは、どう考えたって、明らかだ。だから、おれは、絶対に・・・。)
(ご、ごめん・・・。でも・・・。でも!あなたは、私が欲しくて欲しくてたまらないものをすべて持っているのよ!!)
(そりゃ、この、人の考えている事が手に取るようにわかってしまう、明晰すぎる頭脳のことか?それとも、あまりに強すぎて、試合に出ることを、許されない剣道の腕か?いや、この場合、運動神経になるのかよ?それとも・・・。この、人を殺すことしかできない、忌々しい、けた外れのパワーを持った、暗殺能力と、暗殺技術か?)
(・・・。そうじゃない・・・。そうじゃないの!槙人!あなたは、全然わかってない!!)
最後に、泣きそうな声色で、おれに叱咤した瑠夏は、静かにおれの脳内から出て行った。
こんな、荒々しい会話をしているのに、誰も気付かない。
むしろ、くだらないことを言いながら、音楽室に向かっている、ただの仲の良い友達にしか見えていなかっただろう。
おれたちには、口で他愛のないことを喋りながら、テレパシーをしていることをばれない様にすることぐらい、恐ろしいほど、容易い。
先ほどのテレパシーの会話のせいですっかり、気まずくなってしまったおれたちは、どことなく、よそよそしく、音楽室の扉をあける。
ガラガラガラッ!!
やかましい音を響かせて開いた扉を弁当を持っていない方の手でゆっくりと閉めた後、二人、テキトーなところに腰を下ろす。
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