ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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双翼は哭かずに叫ぶ
日時: 2010/06/05 01:43
名前: SHAKUSYA ◆fnwGhcGHos (ID: NvOMCXyZ)

 ども、挨拶略してSHAKUSYAです。
 この度カキコに電撃復活、ずっと構想を練り続けてきた現代ファンタジーを展開していきたいと思います。
 ……ただ、時代背景が現代なだけで普通の魔法ファンタジーとあんま変わらないんですがね。

 てなわけで、ファンタジー全開のこの小説の大雑把なジャンルパーセンテージは
ファンタジー30%
戦闘25%
シリアス20%
グロ20%
恋愛3%
その他2%
 (全ておよその数値也)
 となっております。特に戦闘とグロの出現率は初っ端からヤバいので、十分心してください。

〜勧告〜
 荒らし、誹謗中傷、喧嘩、雑談、無闇な宣伝、ギャル文字、小文字乱用等々、スレヌシ及び読者様に迷惑の掛かる行為はお止めください。
 アドバイス(特に難解な漢字や表現について)・感想は大歓迎です。
 やたらめったら一話の長さが長いので、更新はかたつむりの移動より遅いと思ってください。またスレヌシは受験生なので、時折勉強等でも遅れる場合が在ります。

 それでは、我の盟約の許、汝等を文字の乱舞せしめる世界へ誘わん。
 汝等に加護あれ、双翼に祝いあれ。

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Re: 双翼は哭かずに叫ぶ ( No.61 )
日時: 2010/08/28 22:25
名前: 譲羽 (ID: OcUNQWvQ)

…飛び膝蹴りにぶち当たる<<バキボキ×2あ痛たた…w
あ…ヤベッ間違ってしまいましたw
四話だし!!<<殴(やや開き直りw)

もうこちらは夏休みも終わったという…。
何故こんなに終わるのはやいのでしょうか…宿題は多いのに<<ボソッ

五話長そうですね…
まとめ読みしてもどうなってしまうか…w
ちゃんと読みたいのでできるだけ顔出します!

てかいいですねノートに纏めるなんて!!
かなり憧れます!!格好いいです!!
そしてそれがどんどん年期を帯び、書き終わった後も机の奥隅で格好良く輝いてるという!!
ええですわ〜w

長文失礼しました。今日は眠いのでこれで!!又来ます!

Re: 双翼は哭かずに叫ぶ ( No.62 )
日時: 2010/08/28 23:53
名前: SHAKUSYA ◆fnwGhcGHos (ID: qUfyS13Y)
参照: 中曽根ティーチャー☆ 中曽根ティーチャー☆

参照は知ってる人は知ってるであろうソラミミ。
気にしたら負けです。

>aguさま

あい、師と仰がれているSHAKUSYAにございます!
初めて知ったのは相談スレの鑑定依頼でなんですが、貴方様の御名は知っておりますよ(^ω^)

いえいえ、貴方様の文章こそ、綺麗に整っておられてとてもいいと思います!
短編集を見ましたが、戦場のシリアスな雰囲気にもよく似合ったとても格好いい文章だと感じます。比喩表現なんかも上手ですよ^^
ご自分をそんなに卑下なさらないでくださいませ。

私も影ながら応援させていただきます。
執筆、頑張ってくださいねっ。

>譲羽さま

ご、誤爆……だと……!?
何故だ、自分に放ったはずなのに!?

話と章はどっちでもいいというわn(嘘&殴打殴打
私的には文章の大まかな区切りって大きい順にこうなってるの思ふのです。

小説>章>話>文章>一文>一文節>単語>読点>句点
……何かスケールがデカイ話ですが、大体こんな感じじゃないかなー、なんて思ってます。

五話はもう、自分の好きな分だけ文章を詰め込みました。
謎解きから羅象から感動から二日酔い(笑)から、普段はあんまし見せないお涙頂戴とか病ネタとか欲ネタはイッパイ、お笑いも若干ながら出てくる番外編の集大成みたいな話となっております。

お楽しみあれ!!

Re: 双翼は哭かずに叫ぶ ( No.63 )
日時: 2010/08/29 18:22
名前: SHAKUSYA ◆fnwGhcGHos (ID: qUfyS13Y)
参照: 第四話 続き

 全身に漠々(ばくばく)と襲ってくる、生温い違和感。ぬるぬる逃げていく体温が押し留められ、至る所に出来ていた妙な寒気と開放感がふさがれ、体の芯から響いてくる痛みが薄れてくる。右目に詰まり詰まっていた痛みを伴う異物感が薄れ、諾々と鼓動に合わせて襲って来る頭痛が消えていく。それから暫くヴィレイは、眼を開けようと思っても開けられず、手を動かそうとしても動かないもどかしさに苛立ちを覚えながら、ただ周囲から聞こえてくる静かな物音に耳を済ませていた。
 どの位経ったのかは分からない。
 やや疲労らしき重さが抜けてきたところで、ヴィレイは漸く、しかし酷くゆっくりと目を開けた。亀の移動よりゆっくりした動作だったが、疲弊しきって指の一本も動かせない彼に出来ることと言えばその位しかなかったのだ。
 無理して瞼を抉(こ)じ開けたはいいものの、視界は茫漠と霞み、朱を含んだ赤みを帯びていた。それでも暫し鈍間な瞬きを繰り返すと、徐々に景色が見えてくる。どうやら視界が赤いのは夕焼けの所為だったようで、見えた天井が綺麗に紅く染まっていた。脇に寄せられた薄桃色のカーテンやテーブルに捨て置かれたペットボトルも鮮やかな紅色に染まっている。
 ヴィレイは放心したように狭い部屋——恐らく病室を二順ほど鈍(のろ)りと見回した後、別の違和感に気付いた。
 ……何で部屋の中にいるんだ……?
 
 彼は真昼間、八番街の大広間で擬龍や討伐屋の男女二人と死闘を演じていたのだ。結果的にはサロメとか言う女討伐屋に散々言い包められた挙句、擬龍の羅象がたっぷり篭った前足で叩き飛ばされ、石畳に叩きつけられた時点で意識をなくした。
 そして、妙な違和感を感じるまで自分は死んだものと思っていたのである。
 もしかしたら誰かがこの病室に移送してくれたのかもしれないが、そんな事を怪我の直後にしていたら此処へ来る前に自分は死んでいる。だが違和感の後は眼を閉じていたとは言え意識はあったのだから、違和感の後に此処へ連れて来たと言う事は多分無い。——意識があったと言うのは飽く迄ヴィレイの主観に過ぎないのだが——。

 山ほど抱えた疑問。ヴィレイはとりあえず溜まった疑問を人にぶつけようと、動かない身体の代わりに眼球を動かして人の影を探る。すると、何故今まで気付かなかったのかといいたくなる位、人の姿はあっさりと見つかった。
 人影が見えたのは、病室である事を裏付けするかのように西側に大きく取られた窓の付近。其処には簡素なテーブルが設(しつら)えてあり、空のペットボトルが傾きかけた日の光を宝石のように輝かせている。そのままペットボトルから視線を移動させると、ヴィレイに背を向け、パイプ椅子に背を預けている東洋男の姿があった。丈長で使い込まれた外套にまるで長さの揃っていない肩程までの黒髪、本の頁を捲る左手には包帯。真逆と思って視線を下に下げると、竹の合成弓と矢筒が床に転がされている。
 八咫剣紅蓮、それが人影の正体だった。
 直ぐに彼は本から目を離し、僅かに顔をヴィレイの方へ向けた。そして言葉も無くただぼうっと視線を送るヴィレイへ限りなく無感情な視線を送ってくる。ヴィレイはヴィレイで疲労した口を開けるはずもなく、無感情な視線を睨み返すばかり。暫くの間、無感情と疲労感たっぷりの視線の無闇且つ無意味な応酬が続いた。

Re: 双翼は哭かずに叫ぶ ( No.64 )
日時: 2010/08/30 00:38
名前: SHAKUSYA ◆fnwGhcGHos (ID: qUfyS13Y)
参照: 続き

 「オレは、生きてるのか」
 静寂を掻き乱したのは、ヴィレイの掠れた問い。様々な感情を押し殺した末に放たれた問いを受け、八咫剣は無言で眼を細めて怪訝そうな表情を作る。そして五秒ほど思案した後、若干笑みの勝った苦笑を浮かべてその問いに返した。
 「一度ならず何度も死に掛けたが、ね。お前を繋ぎ留めたのは曇り空の龍だ、感謝しておくといい」
 私だけでは多分、綱を繋ぎ留められなかっただろう。そう謎めいた言葉に謎めいた言葉を付け加え、八咫剣は徐に腰を上げた。しかし、はたと床に転がしっぱなしの武器に気付き億劫そうに屈んで弓と矢筒を取る。
 ——自分が何時間寝ていたのかは見当もつかない。しかし、彼は寝ている間に二十歳位は老けたらしい。
 お世辞にも寝心地が良いとは言えないベッドに身体を沈めながら、ヴィレイはそんな事をふと思った。

 幾許(いくばく)かの静寂が穏やかに過ぎていく。男二人の沈黙は妙に重々しく、耐えかねた八咫剣が声を絞り出す。気の利いた言葉など掛けられない不器用な彼は、どうやら切り出しても続けられるような話題が無かったらしく、苦渋と逡巡の末に捻り出された声は苦々しいものに満ちていた。
 「擬龍はどうやら、お前達を赦す心算でいたらしい。ただ……」
 折角続けられそうな話題だったというのに、彼は「ただ」まで言って口を結んでしまう。ヴィレイが無言で続きを促すと、八咫剣は苦々しい笑みと共に明明後日(しあさって)の方を見た。余程切り出しにくいことなのかそれとも妙なことなのか、笑いも驚きもしないから早く言えよ——怒気を含めてヴィレイは更に続きを促す。
 暫しの無言の末、彼は漸く口を開いた。
 「何度も話し合いの場を作ろうとしたにも拘わらず、乗り気のせぬ攻勢に出るばかりでそれを蹴り、且つその乗り気のせぬ攻勢の最中に自分を化物化物と連呼した事で螺子(ねじ)が吹っ飛んでしまったらしい。言葉は己の心境を伝えるべく編み出された手段の第一だが、同時に災いの元だ。若気の至りとはよく言うが、若さに任せて死んでしまっても意味が無いだろう?」
 「っせえ、擬龍は<異怪の者共>なんだから結局バケモンじゃねえか。それにオレは成人前で勉強まっしぐらの高校生、本来なら羅象の勉強なんぞして経験値溜め込む事も必要なんだろうが、オレん家はロクに高校の授業料も払いきれねえ貧乏だ。風邪引いて打っ倒れようが脳味噌に弾丸減り込ませようが、満足に飯食って寝られるだけの金が要る。若気の至りも何も関係ない、無茶しなきゃやっていけないんだよ。……う、ッ」
 怪我上がりの身にも拘らず長々と愚痴を垂れたヴィレイは、苦しげに一つ呻いて深く重く長い溜息を虚空に投げた。臨終に際した病人の如く蒼褪めた顔色は、燦燦と照りつける真夏の夕日でも隠しきれていない。

 八咫剣は頬杖をついて高校生の顔には似つかわしくない寂しげなヴィレイの表情を刹那見遣り、「ならば」と切り出した。
 「討伐屋に復帰できる位まで怪我が治ったら、五区画の二番地にある『紅の蝶』と言う酒場へ来るといい。猛者の討伐がよくトグロを巻いているし、私やサロメもよく入り浸っているから、上手く話すことが出来れば体術や剣術、羅象の効果的な発現方法なんぞを教えてくれる。一見お断りの人を選ぶ店だが、私の紹介だといえば酒の一滴も飲めないような下戸でも未成年でも気軽に入れる案外気軽なところだ、そう言う場所に行ってみるのも一つの手だが」
 初めて愉快そうに笑みを浮かべ、八咫剣は「どうだ?」と語尾を上げた。ヴィレイは実に珍妙な阿呆顔で暫し沈黙した後、若干皮肉っぽく口の端を吊り上げて返答する。
 「討伐屋の溜まり場、かァ。実際にあるんだな、そういう場所も」
 退院したら追々行ってみるさ——彼は返し、深く布団を被りなおした。目覚め第一発に辛気臭い話ですまない、養生しろよ、と八咫剣は頭まで布団を被ったまま動きもしない若造討伐屋へ言い放ち、返事を聞かないまま病室のドアを引く。返事らしき言葉は聞き取れなかったが、それでも「ん」と肯定とも否定ともつかない声だけは耳に届いた。
 「曖昧だな、返事が」若干笑声の混じった八咫剣の声。ヴィレイは己の頭にいつもの帽子がない事を頻りに気にしつつも、その声に返した。「討伐屋として復帰できるくらいには……養生するさ」
 「ならいい」
 静かに吐き捨て、八咫剣は今度こそドアを引いて病室を出る。しかしそのすぐ後、「ぶわっ!?」と言う凄まじい叫び声が上がったのを聞き、慌てて一度は閉じたそのドアを開いた。
 
 ヴィレイの唖然とした視線が窓の外に向いている。
 何事かと窓へ眼を向けると、夕日の中に、あの曇り空の龍の姿が見えた。

→NEXT 第五話

 あとがき
 今回のページ数:十一ページ

 戦闘と破壊満載の第四話終了ー。
 今回もまた弓術莫迦が幕引きに大活躍してしまったという。サロメが色々と活躍したのは戦闘と戦闘の前の過去話だけジャマイカ!! 
 近年何だか主人公とか筆頭が貶められる『上位の受難』傾向が出つつある今日この頃。

 因みに。
 今回はやっぱりさらっと流された「サロメと擬龍の因縁話」と「栄光の天使」についてが一番のキーです。特に栄光の天使で描写された四人については今度よく出てくるので、まあ注目してもらいたいところ。
 そんで、今回は色々とひた隠しにされた部分(ヴィレイの安否確認→病室移送までにあったこと、市街地の上を擬龍が飛んでいった理由…etc)が多かったんですが、とりま栄光の天使がその後どうなったのかを簡潔に伝えようかな、と。

 めっちゃ簡単に言えば、栄光の天使は七人から四人に減りました。
 八咫剣君から「お前達三人はお飾りに過ぎないじゃないか」と指摘された名もなき三人、なんと容姿の描写どころか名前すら出てないのに天使組から放逐され。三人が三人ともピンの討伐屋として人生やり直しです。
 で、ヴィレイと草薙以外名前の出てない四人ですが、一応「栄光の天使」と言う二つ名を冠したまま討伐屋のお仕事は続いていく模様。
 まだ名前の出てない女二人については、五話と六話で順次出てくる予定です。

 あ、そうだ。
 三話で討伐屋二人を襲ったジェイブル君ですが、彼はなんと「討伐屋兼『紅の蝶』お手伝いさん」と言うモノスゴイ肩書きを持つようになってしまいました。
 色々とゴメンヨ、ジェイブル君……。

 次回は全ての伏線から一度手を切り、一つの独立した話として話を展開させていきます。
 音月の親父さんが後半色々と悲惨なことになってるので、眼を背ける準備をしつつお楽しみにー。

 それでは!

Re: 双翼は哭かずに叫ぶ ( No.65 )
日時: 2010/09/01 13:38
名前: SHAKUSYA ◆fnwGhcGHos (ID: YjRhtU7o)
参照: へ、へへ……やっと……出来たぜ……

 第五話 「北天の星は物言わず、哀しき父子を救う。」

 八月十六日。
 アパートの集合ポストに投函された一枚の手紙から、話は始まった。
 『サロメ・ラシュタル・ローゼン・ロネッタ
八咫剣紅蓮 討伐屋両氏
 突然で済まないが、私の娘が——音月言葉(おとつきことは)が昨日、同封の手紙一枚を残して失踪してしまった。変な輩に拐(かどわ)かされていないかと心配し、四方八方探したが何処にもいない。
 貴方達は非常に広い顔と情報網を持つと専らの噂、娘が何処にいるのか探してほしい。万が一死んでしまっていたときはそれでも構わない。だが、生きて戻ってこなくとも、娘の消息を知り、娘が失踪の際に一体何を考えていたのかをせめて知りたい。訳を知らぬまま死だけ告げられても、多分私は混乱するだけだ。
 生死を問わず、娘を探し出してくれた暁には言い値の報酬を支払う。
 頼む、探してくれ。
 音月譲司(おとつきじょうじ)』

 手書きの筆記体で丁寧に綴られた文章を握り潰し、サロメは「どうする?」と徐に相棒へ声を投げた。彼女の相棒たる弓術莫迦、基八咫剣は憤怒の表情で仁王立ちする仁王の如く黙りこくったまま、憮然とした顔で硝子のテーブルに頬杖をついている。サロメは僅かに怒気と殺気を含んだ声でどうするのよ、返事が無いなら勝手にするよと言い放ち、八咫剣の肩を揺する。
 八咫剣は同封されていた手紙の『家を出て、自殺します。探さないでください』と言うたどたどしい筆跡を眺めながら、訳の分からぬ苛立ちを隠そうともしない彼女に返答する。
 「どうするもこうするも、この手紙と音月言葉と言う少女の残した手紙だけでは依頼の概要が茫漠に過ぎるだろうが。手で空を掻くような依頼をこなすのは疲れるし出費が増えるから気乗りしない。依頼を引き受けるか否かは先ず、この音月譲司と言う人間に話を聞いてからにした方が良かろう」
 「そりゃアタシだって思った、でも、コイツ居所も電話番号も、連絡の手段を何も書いてないじゃない。依頼者探しに奔走するなんて、それこそ労力の無駄遣い。場違いな依頼に奔走する莫迦みたいじゃないのさ。何、アンタコイツの居所を知ってるとでも言うの? え?」
 八咫剣の一々尤もな声が癪に障ったか、必要以上に苛立った声で捲くし立てるサロメ。八咫剣はあまり苛々すると皺(しわ)が増えるぞ、等と女性に対して中々失礼な事を口にしつつ若干笑み、目処は立っているとだけ応えた。今度は必要以上に素っ頓狂な忘我(ぼうが)の表情をする彼女に、苦笑した相棒が応える。
 「ギャード地区一番街一区画一番。そう……音月コーポレーションと言えば、世界でも指折りの羅象武器メーカーじゃないか。お前もよく買っているだろう、イリジウム合金製の銃弾。アレの製造元だ。ベルセルド十都市中で一番儲かっている会社の一つでもあるんじゃないか?」
 途端、サロメの目に欲の色が浮かんだ。仕事亡者金亡者のサロメにとって、「儲かる」とか「指折り」とか言う言葉は欲の種である。後の言葉を足すべきではなかったかと彼は今更後悔したが、後悔してももう遅いと早くも割りきり「どうする?」とサロメと同じ言葉を投げた。
 「行く、行くわよ勿論!」
 無論、二つ返事である。


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