ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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双翼は哭かずに叫ぶ
日時: 2010/06/05 01:43
名前: SHAKUSYA ◆fnwGhcGHos (ID: NvOMCXyZ)

 ども、挨拶略してSHAKUSYAです。
 この度カキコに電撃復活、ずっと構想を練り続けてきた現代ファンタジーを展開していきたいと思います。
 ……ただ、時代背景が現代なだけで普通の魔法ファンタジーとあんま変わらないんですがね。

 てなわけで、ファンタジー全開のこの小説の大雑把なジャンルパーセンテージは
ファンタジー30%
戦闘25%
シリアス20%
グロ20%
恋愛3%
その他2%
 (全ておよその数値也)
 となっております。特に戦闘とグロの出現率は初っ端からヤバいので、十分心してください。

〜勧告〜
 荒らし、誹謗中傷、喧嘩、雑談、無闇な宣伝、ギャル文字、小文字乱用等々、スレヌシ及び読者様に迷惑の掛かる行為はお止めください。
 アドバイス(特に難解な漢字や表現について)・感想は大歓迎です。
 やたらめったら一話の長さが長いので、更新はかたつむりの移動より遅いと思ってください。またスレヌシは受験生なので、時折勉強等でも遅れる場合が在ります。

 それでは、我の盟約の許、汝等を文字の乱舞せしめる世界へ誘わん。
 汝等に加護あれ、双翼に祝いあれ。

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Re: 双翼は哭かずに叫ぶ ( No.56 )
日時: 2010/08/27 14:54
名前: SHAKUSYA ◆fnwGhcGHos (ID: qUfyS13Y)
参照: 第四話 続き

 ぎち、り。
 肉に刃が食い込む音。刃を掴む八咫剣は微かに苦悶の表情を浮かべて唸り、しかしその手を刃から離さないまま、鎖と一緒に刃を引っ張った。同時に足払いを仕掛け、虚を突かれた彼のバランスが崩れた所で追い込むように引っ張る。草薙は不安定な体勢で尚刀を離そうとしなかったが、刃伝いに生暖かい物が伝わるのを感じて堪らず顔を顰めた。しかし駄々っ子のように柄を確と掴んだまま離そうとしない。
 「うぅっ……!」
 押し殺した苦鳴(くめい)。八咫剣の左手は毀れた刃を掴んだまま、真っ赤な血は諾々と流れ柄を伝い草薙の手を染める。不安定な姿勢を少しでも安定させようとしたのか、屈み込んだ草薙は手から腕を伝う血に厭そうな表情を浮かべながらも、八咫剣の手を気にせず力任せに引っ張る。ほんの僅かだが刃は八咫剣の指に食い込み、再び苦しげな声が絞り出される。
 更に刃を引こうとしたその時、八咫剣は鎖を手放し、凶刃を右手でも握り締めた。地面に血が滴り落ちる。それでも草薙は己の唯一の武器を奪われまいと刃を引く。傷だらけの手はまたも傷付き、八咫剣は額に脂汗を浮かべて苦悶しながらも、草薙を睨みつけた。普段の冷静だが優しげなものとは違う。その瞳は鬼のそれと等しかった。
 「き、貴様は、それほどまでに、刃を掴む人の手を切る事さえ厭わぬ程、刀が恋しいかァッ!」
 痛みを振り払うように八咫剣は悪鬼の形相で叫び、屈み込んだ草薙の心臓の真上を厚底ブーツの踵で強く蹴り付ける。ギ、と肋骨の軋む音が生々しく響き、急所を踵で蹴られた草薙は目を見開いて激しく咳き込み、返す手への蹴りで堪らず刀を手放す。八咫剣はその隙に刀を取り上げ、食い込んだ手を強引に振り放した。
 使い物にならない刃が空を舞い、石畳に当たって、半ばほどから真っ二つに割れた。背後で響く乾いた金属音を無視して、八咫剣は血の滴り落ちる両手を放置したまま草薙の胸座を掴み上げて無理矢理立たせる。手から零れた血が草薙の白いシャツを深紅に染めるが、八咫剣は微塵も気にせず言葉を続けた。
 「義憤(ぎふん)だとか慷慨(こうがい)だとか、そんな瑣末(さまつ)な怒りの感情など感じていないし、どうでも良い。だが、貴様みたいな人情の欠片も無い人間、居る価値など無い。……この手で、捻り潰す」
 地獄の鬼のような形相と低い声。大の大男でも縮み上がるような殺気を纏い、八咫剣は草薙の首を片手で掴み、締め上げる。本当に怪我をしているのかと疑いたくなるほどその力は強く、首の絞まるぎちぎちと言う音が遠く離れたお飾り五人の耳にも聞こえた。五人の顔に一様な畏れの色が浮かぶ。
 
 草薙は両手を添えて暫し逃れようとしていたが、僅かに数秒で抵抗を止めた。
 腕を掴んでいた手が力無く空に投げ出され、頃合を計るかのように八咫剣が手を離すと同時、操り人形の糸が切れたかのように膝を折って横向きに倒れる。生きているのか死んでいるのか分からない彼を放って八咫剣は踵を返し、肩ほどまでの長さに切断されてしまった髪の毛をやや乱暴に掻きながら口の端だけで笑った。
 「私は街を荒らす化物と日々の食糧を奪う害虫以外の殺生はしない。極悪人でも、人なのだ」
 穏やかな声を固まる五人に残して、八咫剣は木っ端微塵に破砕された噴水のほうへゆったりと足を進める。 

Re: 双翼は哭かずに叫ぶ ( No.57 )
日時: 2010/08/28 20:57
名前: SHAKUSYA ◆fnwGhcGHos (ID: qUfyS13Y)
参照: 第四話 続き アンチョクな展開でゴメンなさい。

 崩壊した石畳の上にはサロメが苛立たしそうに立っており、乱暴に瓦礫を蹴り飛ばしていた。擬龍は瓦礫の山から数歩離れた所でサロメの所業を見下ろしている。時間的には十分も十五分も経っていないだろうと言う短時間で、大広間の広すぎる一角が無惨な程に破壊されていた。八番街の象徴であった筈のラファエル像は見る影も無い。
 「おい、彼は一体何処に消えた?」相棒の問い。彼とはヴィレイのことだが、確かに姿は何処にも見えない。
 サロメは目を閉じ、無言で再び瓦礫を足で蹴った。そして無感情な答えを返す。「この瓦礫山の下だよ。爪に当たってないとはいえ擬龍の手と雷撃の羅象にぶち当たって石畳の下敷きになってるんだ。多分全身打撲か感電で死んでる。死んでなくても、多分討伐屋としては復帰できない。今の医療じゃ、精々普通の生活がやっと出来るまでが限界だよ……」
 相棒は黙り込み、擬龍を無言で見上げた。擬龍は針のように鋭い視線に対して辛そうに目を閉じ、無言で首を横に振る。それが何を指しているのかは問わずとも理解できたが、信じたくはない。八咫剣は無言で瓦礫に渾身の蹴りを浴びせるも、瓦礫はほんの少しも動かない。ブーツの底が乾いた音を立てるばかりで、足には遅れて鈍い痛みが来た。
 何時も冷静な八咫剣には珍しく、彼は「糞ッ」と叫んで頭を掻き毟った。

 「我は、赦(ゆる)されまいな」
 擬龍の諦念が混じった声。曇天の色を宿す手は一挙に、だが穏やかに瓦礫を打ち払い、まだ残る瓦礫に埋もれるようにして倒れたヴィレイを二人で引っ張り出す。目を覆うほどの阿鼻叫喚の惨状が、一人で負うべきでない傷の有様が、たった一人の体で体現されてしまっている。十年討伐屋をやって来た二人も、思わず眼を背けた。
 不自然な部分から不自然に捻れ、折れ曲がった右手足。所々の肉が深く抉れ、骨が露呈(ろてい)している所もある。明るい茶色の髪は血で真っ赤に染め上げられ、諸所が房となっている。酷く蒼褪めた顔は既に死人のそれ。右眼は潰れ、眼窩(がんか)からは夥(おびただ)しい量の血が止め処なく溢れ、瓦礫を深紅に染め上げている。サロメの言うとおり、この有様では一命を取り留めたところで討伐屋に復帰することなど難しいだろう。そもそも、生きているのか死んでいるのか分からない。
 「彼は死んでいるのか……」
 八咫剣の掠れた問い。結果はもう分かってると思うけど、信じたくない、等と呟きながらサロメは血塗れの腕に手を当て脈を取る。暫くは眼を閉じて腕に手を当てていたが、やがて虚無の感情に包まれた目を開けた。口は一文字に引き結ばれたまま、首だけが僅かに動く。その動きに、八咫剣も擬龍も、思わず眼を瞠(みは)った。
 首は、
 ——縦に動いた。

Re: 双翼は哭かずに叫ぶ ( No.58 )
日時: 2010/08/28 21:26
名前: 譲羽 (ID: OcUNQWvQ)

譲羽です。覚えておいででしょうか?
なかなか来られなくて申し訳御座いませんでした!

受験に塾に宿題に追われ追われてやや瀕タヒ状態ですw
3章読みました!
羅象、やっぱりいいですね!戦闘が盛り上がりますw
「人ってね、見捨てるんだよ…」に共感しましたw確かにです!
てか、羨ましい!私もキャラに格好いいセリフを言わせてみたいですw
(4章は終了してから読みます!)
↑とかいって気になりちょっと読んだw
サロメの過去が気になりすぎて…<<言い訳ww

ネタの超改編?もちろんOKです!!
お詫びなんてそんなw
SHAKUSYAsの小説ですからお好きなようにしちゃってください☆

楽しみです!更新頑張ってください!
また時間あればまとめ読みしますww

Re: 双翼は哭かずに叫ぶ ( No.59 )
日時: 2010/08/28 22:15
名前: SHAKUSYA ◆fnwGhcGHos (ID: qUfyS13Y)
参照: 罠DO! 罠DO! わなどぅ!

参照は気にしないでください(汗)

>譲羽様

 うをおおおおおおおおお(飛び膝蹴り!
 モチロン憶えていますとも! 貴重なネタを提供してくだすった貴方様のことを忘れるはずありません!!

 宿題は粗方終わったというわn(殴打
 三章じゃなくて三話というわn(殴打
 羅象は考えましたねー。発動機構から式の展開機構から力を借りる相手がどうこうから、更には属性毎の効果と発動形態まで、キャラクターの性格とかと一緒に全部一冊のノートに纏めてあります^^(残念ながらそれをきちんとアップロードできるほどの技量は今ないんですが……)
 いつか羅象の属性別の効果&発動形態をだせたらいいなァ、と考えております。

 「人って見捨てるんだよ」は確かにリキ入れました。
 後々の「全てを拒絶するか受け入れるか」と言うあの問題にも帰趨するので、言い方は軽いですが結構思いを入れています。
 格好いい言葉はキャラがそんな状況に追い込まれでもしない限り出てきませんからねー。また、ソコまで主人公たちを引っ張ってくるのも大変です。
 小説書きさんの頭の中はいつもこんな悶々とした感情でイッパイなんでしょうねェ……(わたしもそうですが)

 四章じゃなくて四話と言うわn(殴打
 ——えと、兎角、長いデスヨー。
 何しろ戦闘が色んなところで勃発するので、その分描写の量が恐ろしいことになっています。戦闘だけはどうやっても削れない……(汗)
 過去はかなりさらーっと流しています。サロメは過去を後に引かない性質なので、どうしても彼女の過去語りはサラリと終わってしまうんですね。
 ホントは過去こそ分厚くしなきゃいけないんでしょうけど、如何せん八咫剣の方が色々とツラい過去を背負ってるので、主人公の癖にあんまり活躍しないんです。
 本物の戦闘莫迦仕事莫迦なので戦闘以外じゃあんまり役に立ちませn(蹴

 おっと、色々といいすぎて随分言うのが遅くなりました。
 ネタを元に作成した第五話ですが、もう完成しております!!
 改変に改変を重ね、伏線を張ったり回収したり張ったり回収したりして漸く完成しました。そのページ数……過去最長のワード十九ページ! 文字数にして二八八九〇字!
 三万近く一話に詰め込んだのはこれが初めてです。(普通は一万〜一万四千(ワード七〜八ページ)くらい。それでも多いというわn(殴打))スクロールが大変……!!
 この間にモノスゴイスランプがあったりして書くのに四週間近く掛かってしまいましたが、四話が終わり次第五話も公開していく予定です。
 ネタの提供、まことにありがとうございました!!

 それでは、長くなったのでこれでお暇いたします。

Re: 双翼は哭かずに叫ぶ ( No.60 )
日時: 2010/08/28 22:24
名前: agu (ID: zr1kEil0)

SHAKUSYAさんを師と仰ぐ(勝手に)aguです。

いやぁー凄いですね。
自分では到底、到達できそうにない文章・・・。

尊敬いたします(もうしてますが)


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