ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

ネックウォーマン
日時: 2012/02/17 19:51
名前: 茶渋、 ◆TdTxabAvIk (ID: S1XpBh/Z)

茶渋、です。最新遅いです。
※この物語では作者の不十分な実力により訳の分からない描写・言い訳などが出てくるかもしれませんがそこはこのクズが、と思って見逃してあげて下さい。

登場人物

田中(仮)主人公。自分の名前は伏せて話している。ある日、ネックウォーマーを無くしてしまう。

ネックウォーマン 田中(仮)のネックウォーマーを奪い去った張本人。ある予言の動画を送りつける。

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15



Re: ネックウォーマン ( No.57 )
日時: 2012/04/08 11:31
名前: 茶渋、 ◆xr/5N93ZIY (ID: S1XpBh/Z)

「これは、これまでのネックウォーマンだ」
古い名簿だった。所々にネックウォーマンと書いてある。結構あるな……。多いものでは十人だ。本当に昔から続いているんだな。僕は半分呆れていた。
「さて、貴様達のネックウォーマンは?」
「あ、これとこれ、それにこれ、そして例外で土枕 起です」
貴様とか普通に使うのか。僕はこの人物が変人と言われる訳を少し理解した。一人称は私、それに大人びた性格。……何この人。
「なるほど、そして……今日クラスで何かあったか?」
僕たちは顔を見合わせた。
「はい。なんか僕たちのクラスの四隅にウサギの首があって、真ん中に羊の頭が置いてあって、変な魔法陣みたいなのが書かれてました」
「へぇ、興味深いな。調べてみよう」
パソコンに電源を着ける穿芽さん。その時、僕は気になっていた一言を言った。
「穿芽さんって、何で……学校に来てなかったんですか?」
ピタリ、と動きが止まる。やばい。
「——別に?」
「え?」
「『厄災者』になってからは先生も何か遠慮をしていてな。学校休んでも何も言われないから、私はずっと調べものをしてた。あ、高校はもう受かった」
「そうですか…穿芽さんすごいね」
「穿芽はいらない。梨檎で良い」
そう言ってうが……、いや、梨檎さんはあるサイトを開く。
「これ?」
「あぁ、これです」
その画像は、クラスのものと全く一緒だった。説明文には、
《この紋章はとある村から生まれた。これは「死を引き込む」力があり、簡単に言うとその場所の者は死にやすくなる。例としてある家にその紋章を描くと、「その家の者全員(ペットも含む)」が死にやすくなってしまう。効果を発揮するには、四隅にウサギの首を置き、真ん中に羊の頭を置く。そしてウサギの血で周りの紋章を描き、羊の血で呪文字を描く。そして、最後に羊の頭の中に猫の心臓を埋め込む。》
「うわぁ…」
空虚が顔をしかめる。つまり、あの羊の中には猫の…やめよう。想像するだけでも気分が悪くなってきた。
「つまり、二組の者全員が死にやすくなるんですよね?」
零が静かに質問する。本当に何を考えているんだか。
「そうだ。対策方法は……出てこないな。調べるしかない」
「そうですか」
「まぁ私も力を貸そう。もうそろそろ外に出たかったし」
梨檎さんは再び布団に潜りこむ。そしてもごもご動いている。何やっているんだ、と思っていたら梨檎さんの服が変わっていた。マジか。
「え? マジック?」
「着替えた」
マジか。零といいこの人といい、何故僕の周りは忍者みたいな奴しかいないんだろう。まぁ白光に加わってくれるのはありがたいけども。
「さて、行くぞ」
「え? どこへ?」
「図書館」
また移動するのか。僕はため息をついた。

Re: ネックウォーマン ( No.58 )
日時: 2012/04/08 16:54
名前: 茶渋(DS) (ID: iHbdDjKI)

上げます

Re: ネックウォーマン ( No.59 )
日時: 2012/04/08 19:36
名前: 茶渋、 ◆xr/5N93ZIY (ID: S1XpBh/Z)

「…無いなー」
図書館の奥。かなり奥深くに行って探してみた。この図書館はかなり古く、なかなか興味深い物がいくつか見つかった。今度一人で来てみようかな。しかし、少しだけ本音を言わせてもらえば、すごく埃っぽい。僕たちは手分けして探してみるが、あの紋章についての本は見つからない。僕は舞い上がる埃に咳き込む。
「……これか?」
梨檎さんが見つけた本は埃まみれでろくに見えないありさまだった。手で払って何とか見えるようになった。題名は「死の紋章とその発祥」。どうやらビンゴのようだ。僕たちは身を寄せ合って一ページ目を開く——
「後ろだ!」
「え?」
空虚がぼーっとしているので僕は空虚を抱き寄せて回避する。大きな包丁が空虚のいた場所を切り裂いた。最近僕は刃物に好かれているんだろうか。僕はため息をついて相手を見据える。
「こいつは…この前の」
逃亡中の樽井 曇助。遊園地で大量に殺人を起こしたクレイジーマン。
「どうします?」
「……逃げれないな」
梨檎さんはため息をついた。僕の袖にはロック付きロープがあるが、狭い場所で、しかもこれだけの人数の前では被害が及ぶ。困ったな。
「死ねええぇえええぇ——」
「臆病者の前で包丁を振り回すのはウマの後ろに立つのと同じだよ」
「臆病者の未来妄想」を発動。突き出してくる包丁を回避する。そしてみぞおちを狙ってパンチを決める。しかし、同学年の多胡島ならともかく大の大人に僕程度のパンチではそこまで効いていないようだ。ぶんぶん包丁を振り回してくる。
「そうだな……臆病者の心得その②相手の攻撃は必ず隙が出る、かな」
僕は包丁を振り下ろした直後の樽井のすねに蹴りを入れ、そのままとび蹴りを入れる。案の定倒れこんだ。僕はそのまま逃げて角を曲がろうとする……が、
「逃がすかぁぁああ!」
包丁が飛んできた。多胡島のおかげで「臆病者の未来妄想」に包丁を投げてくるかも、と言う考えが入っていた。僕は回避して包丁を取り、そのまま三人と合流する。
「大丈夫か!」
「まぁ大丈夫だよ」
「……行こう」
零が言った時、後ろからものすごい声…いや、咆哮が聞こえてきた。僕たちは走り出す。そして、ドアを開けようとする、が。
「開かない!? 何で?」
空虚がガンガンとドアを押すが全く動かない。そして、後ろにはもうそいつは迫ってきていた。懐から包丁を出し、一気に空虚に振り下ろす!
「死ねぇえ—ぅヴっ!」
突然横から現れた影によって樽井は蹴り飛ばされる。そのまま馬乗りになり、その人は手足をきつく縛り、警察を呼んだ。
「雫さん!」
「お前ら、本当に危ないな。……それと後影」
「?」
「それ……押すんじゃなくて引くタイプだ」
「——え?」
冷たい目線の中、空虚は焦りに焦っていた。そしてこう言った。
「多分…小人さんが魔法を」
すかさず梨檎さんに頭を殴られていた。

Re: ネックウォーマン ( No.60 )
日時: 2012/04/08 20:18
名前: 茶渋、 ◆xr/5N93ZIY (ID: S1XpBh/Z)

そして、僕たちは読もうとしたのだが、突然雫さんと梨檎さんが「自分たちで先に見ているから、今日はぐっすり休んで」と言うのでお言葉に甘えて休養することにした。僕は桜の花びらを眺めながら道路を歩く。僕の隣には二人。三人で桜が舞う道を歩く。
「もう本当に春なんだね」
誰ともなしにつぶやいた。
「そうだ、今日眠の家行っていい?」
「私も行く」

「……え?」



「……本当に来たよ」
「おじゃまします」
空虚と零は普通に僕の家に入る。まぁそこまで狭い家じゃないからまだマシだが。今日一日ここに泊まるとか言っている。マジか。
「……言っとくけど、そこまで楽しく」
「おぉ、何これ! 生ハムあるじゃないか!」
勝手に冷蔵庫を開けている空虚。
「…アロエ」
勝手にベランダに入っている零。
「お前ら……まず落ち着け」
とりあえずソファに座らせ、ミルクティーを出す。この季節はなかなかピーチティーが手に入らないので仕方がない。だってミルクティー安いんだもの。
「全く。ミルクティーで良いよね」
僕は「臆病者の敷地」で気を配りつつアロエに水をやる。空虚と零はきょろきょろしていた。僕はため息をついた。最近ため息をつくのが多いな。そうだ、布団はどうしよう、あ、兄さんの奴がある。後は…あ、大きな毛布があるし大丈夫かな。
「さて、僕の家の説明」
お風呂場、台所、トイレ、そして四つの部屋を見せる。元は僕と兄、それに両親の部屋だが、兄は死んだし、両親は外国で仕事をしている。たまにお金を送ってくる。後手紙も。
「じゃぁ、ここが空虚、ここが零の寝場所ね。あんまりうろちょろしてたら小指打つよ」
「了解」
しかし、もう五時だ。そろそろ何か作らないと……。
「カレーで良い? 拒否権は与えないけど」
「うん」
「……」
二人とも嫌な反応はしなかった。まぁ良いだろう。僕はあくびをしながら冷蔵庫から玉葱、じゃがいも、人参を出す。玉葱は六つ。四つはみじん切り、二つは大きめに切る。溶けるからね。じゃがいもはホクホク感を出すために大き目、人参はそこまで好きじゃないので超細かく刻んだ。
「何その人参。蟻みたい……」
零が呆れているが、拒否感は与えない。何故なら僕が作っているからだ。
「さて、後は」
「牛肉炒めるの? ならやる」
零はそういうと、手慣れた手つきで牛肉のこまきれを炒めだす。僕はその間鍋に水を入れる。何分かすると、良い匂いが満ち足りてくる。
「焼けた」
「じゃぁ玉葱も炒めて」
「……うん」
みじん切りの玉葱も一緒に炒められている。僕は鍋に火をかける。
「その玉葱は炒めないの?」
「まぁねー」
大きな玉葱はそのまま鍋に入れる。溶けるからね。さらに数分経つと、みじん切りになった玉葱はあめ色に輝いていた。うまそう。
「さて、後は適当に灰汁を取ったら完成っす」
僕はソファに座ると、突然寝てしまった。

Re: ネックウォーマン ( No.61 )
日時: 2012/04/10 15:14
名前: 茶渋、 ◆xr/5N93ZIY (ID: S1XpBh/Z)

「ん……」
ゆっくり起き上がる。時計を見ると…もう六時半か。寝過ごした。僕は大きなあくびをすると、のろのろと起き上がる。——あ!!
「忘れてた! カレー!」
「起きた?」
零に声をかけられる。台所でカレーを煮込んでいた。僕は失礼、と謝罪すると、お風呂場に歩き出す。後影がいた。シャワーで浴槽を洗っている。
「起きた?」
「…同じこと言うなよ。ありがとー」
僕は洗剤はあの棚にある、と指差すと、台所に戻る。
「ごめんね。代わるよ」
「別に良い。一人で出来るから」
「そう?」
僕はやることもないのでベランダに出る。暗くなっている空を見ながらアロエに水をやり、ぼーっとしていた。
「出来たよー」
「ん、ありがとう。自動湯はりって書いてるボタン押して」
「押した」
僕は空虚の気配りの良さに感謝しつつ、ベランダを出る。風はもう暖かい春風に変わっていた。
「出来たけど」
「あぁ、じゃあ食べ——ってあ! ご飯は!」
「炊いてる」
「……ふぅ、じゃぁ食べようか」
僕は皿を三つ用意する。
「いただきまーす」
「……いただきます」
「いただっクマ…痛い!」
いつもは一人で食べる晩御飯。しかし、いただきます、と言うと二つのいただきますが聞こえた。…一人は嫌いじゃないが、三人も悪くはない。僕はにっこり微笑みつつ、熱々のカレーを口に運んだ。
「熱い!!」



「ごちそうさまー。……で、お風呂は誰から入ります? 僕は最後で良いけど」
「じゃぁ、零から入る? 男子二人だと湯船が」
「殺すよ後影」
「え」
重なる声。
「最初に入る。何か言えば殺す」
「……はぁ」
異様な肉食動物の圧倒的な威圧感の前に、二匹の草食動物は屈した。……まぁ、そこからは省略するとして。全員(二人は無事に)入り、今日はさっさと寝る事になった。僕は部屋に入る。
「じゃあ、電気消してねー」
僕はドアを閉め、眠りについた。



ひゅう、と言う風の音で僕は目が覚めた。
「……誰だ?」
ケータイを見ると、もう午前二時だ。……泥棒? 僕はこっそりドアを開け、「臆病者の敷地」を拡げる。…誰かが窓を開けてベランダに入っている。おそらく一人。
「……」
零だった。ベランダから外を見ている。真っ暗な中、細々と蛍光灯が貧弱に光っている。そして、彼女の目には……涙が一粒。
「零」
「……!」
こちらをちらりと見るが、すぐに向き直す。……どうすれば!
「ねぇ眠。…大丈夫なのかな」
「……きっと、大丈夫。今までだって切り抜けて来たんだし」
「……そう」
「さ、風邪ひくよ。部屋に戻ろう」
気のせいだろうか。零が少しだけ……笑った気がした。
「……ありがとう」
「え?」
「何でもない」
バタンとドアが閉まった。










Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15



この掲示板は過去ログ化されています。