二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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【二次創作】泡沫【短編集】(リクエスト募集)
日時: 2013/04/28 20:26
名前: 雲雀 (ID: Ma3wYmlW)

 ご訪問ありがとうございます。
初めまして、雲雀といいます。
ここでは作者の嗜好を中心に、二次小説を書かせていただきます。

 同人や乙女ゲームに免疫のない方および苦手な方はご遠慮ください。
また年齢制限があるようなものはカキコのルール上、認められていないので書きません。
18歳未満の方も安心して読んでください。作者自身も18歳未満です。というか、そもそも書けません。

 作者の文章能力は他の人と比較して著しく欠落しています。
作品のイメージが損なわれる場合も御座いますので、そのあたりのことは自分で判断してくだい。
たまに創作物やオトメイト作品以外の物も書いたりします。

 以上のことをご理解の上でご覧ください。楽しんでいただければ、幸いです。


■取り扱い

【オトメイト】

◇緋色の欠片 ◆薄桜鬼 ◇夏空のモノローグ ◆ワンドオブフォーチュン ◇二世の契り
◆翡翠の雫 ◇蒼黒の楔 ◆ヒイロノカケラ ◇神なる君と ◆AMNESIA 
◇猛獣使いと王子様 ◆華鬼 ◇DIABOLIK LOVERS -ディアボリックラヴァーズ-

【ジャンプ】

◇家庭教師ヒットマンREBОRN! ◆D.Gray-man ◇黒子のバスケ
◆magico ◇テガミバチ ◆めだかボックス

【Gファンタジー】

◇君と僕。 ◆Pandora Hearts ◇黒執事 
◆デュラララ!! ◇キューティクル探偵因幡  

【LaLa】

◇夏目友人帳 ◆ヴァンパイア騎士 ◇狼陛下の花嫁
◆おいらんガール ◇サクラの秘事

【その他】

◇ボーカロイド ◆靴下にゃんこ ◇Sentimental Circus 
◆FINAL FANTASY ◇THE LAST STORY ◆イナズマイレブン 
◇カゲロウプロジェクト ◆終焉ノ栞プロジェクト ◇創作物


■お客様

◇マッカナポスト ◆亜瑠都様 ◇ツン萌え ◆蟻様 ◇亜鶴様 ◆カノン様 ◇素海龍様 ◆苗字様


■いちまんきかく

 10000hit Thanks >>208

◇素海龍様 家庭教師ヒットマンリボーン/ヴァリアー 【くるくるまわる/ヴァリアー】 >>211
◆苗字様 夏目友人帳

 参照が10000を超えたので、そのお礼です。
 忘れ去られているとは思いますが、かならず書きます。


■更新履歴

<緋色の欠片>

【その声に。/祐一×珠紀】 >>1 
【二人の彼】 >>34  【触れた指先/祐一×珠紀】 >>73
【記憶に残る花はあまりにも鮮やかで/真弘×珠紀】 >>81(一部) >>82(二部)
【想うことが罪だとしても/ゲントウカ×玉依姫】 >>146   【記憶の果て/祐一×珠紀】 >>158

【守りたい人/慎司×珠紀】

ACT1【分かたれた結末を想う。】 >>180
ACT2【独白】 >>181
ACT3【夕暮れに消える。】 >>187
ACT4【愛してるに耳を塞ぐ。】 >>201
ACT5【木漏れ日の記憶。】 >>203

<蒼黒の楔>

【花火】 >>13  【傍に、と消える声/拓磨×珠紀】 >>46  【花ノ香ノ/拓磨の頁】 >>70
【刹那ノ蒼/祐一の頁】 >>71  【羽休メノ刻/真弘の頁】 >>79  【褪メユク残香/卓の頁】 >>90
【春ノ呼声/慎司の頁】 >>102  【灰色ノ空/遼の頁】 >>153

<ヒイロノカケラ>

【あなたしか見えない/怜×沙弥】 >>39

<薄桜鬼>

【永久の軌跡/総司×千鶴】 >>6  【巡りゆく桜の記憶/総司×千鶴】 >>111

<ワンドオブフォーチュン>

【今日の永遠/エスト×ルル】 >>47

<夏空のモノローグ>

【いつかが終わるその日まで/葵&陽&涼太】 >>60  【気づいてしまった。/涼太×葵】 >>68

<神なる君と>

【それはもう過去のこと。/鳴海×咲耶】 >>67

<DIABOLIK LOVERS -ディアボリックラヴァーズ->

【堕ちる瞬間】 >>156

<家庭教師ヒットマンREBОRN!>

【雲雀家四人兄弟/アラウディ&風(大人ver)&雲雀恭弥(10年後)&雲雀恭弥(10年前)】 >>9
【好きを憧れで捩じ伏せる。/ベルフェゴール&フラン】 >>186
【くるくるまわる。/ヴァリアー】 >>211

<黒子のバスケ>

【甘いお菓子には変わらない/黒子&木吉】 >>59

<めだかボックス>

【気まぐれな世界の終わり/善吉&禊】 >>177

<君と僕。>

【その言葉に救われる。/悠太&祐希】 >>57  【17回目のハロウィン/悠太&祐希&要&春】 >>61
【桜日和/浅羽story&塚原story&松岡story】 >>152

<Pandora Hearts>

【終わりに重ねる掌】 >>131

<キューティクル探偵因幡>

【その声をどうか。/圭&遥】 >>27  【はじめまして、と笑う。/圭&遥】 >>213

<蛍火の杜へ>

【いつまでも。/ギン×蛍】 >>147

<ヴァンパイア騎士>

【ただあなたの幸せを。/零×優姫】 >>105  【黒ノ独白/零×優姫】 >>121  【二度と帰れない場所/零×優姫】 >>126
【面影−オモカゲ−/枢×優姫】 >>136  【虚像/枢×優姫】 >>160

<FINAL FANTASY>

【架かる虹の麓へ】 >>124

<カゲロウプロジェクト>

【あの日、いつか。/シンタローとコノハ】 >>199  【この世界に、今。/シンタローとコノハ】 >>200
【それでも、世界。/クロハ】 >>209  【伝えたいことがある。/シンタロー】 >>214
【延命プレリュード/シンタローとコノハ】 >>220【深海シンフォニー/シンタローとクロハ】 >>221
【さよならにキスをする。/シンタローとアヤノ】 >>222  【Please tell me my thought/シンタローとカノ】 >>224

◇しりーず

シンタローとコノハとクロハと遥が兄弟な話。

【朝に見る。】 >>223

<終焉ノ栞プロジェクト>

◇しりーず

【0と1のラブレター/A弥】 >>225  【届くことのないさよならを/C太】 >>226  
【君が0になる前に/A弥】 >>231

<ボーカロイド>

【ロミオとシンデレラ/初音ミク】 >>2  【五月雨恋歌/初音ミク】 >>3  【秋風恋歌/巡音ルカ】 >>5 >>52
【暗い森のサーカス/初音ミク&鏡音リン&鏡音レン】 >>7
【人柱アリス/初音ミク&鏡音リン&鏡音レン&KAITО&MEIKО】 >>8  【月光と黒/KAITО】>>10 
【鬼と娘/KAITО】 >>14  【大和撫子、咲き誇れ/初音ミク】 >>15  【夢の浮橋/巡音ルカ】 >>35
【からくりピエロ/初音ミク】>>45  【Trick and Treat/鏡音リン&鏡音レン】 >>62
【つきうさぎ/初音ミク】 >>63  【夢と葉桜/初音ミク】 >>125  【会いたい−Dear My Friend−/GUMI】 >>139
【右肩の蝶/鏡音リン&鏡音レン】 >>163  【背徳の記憶〜The Lost Memory〜/鏡音レン&KAITO&神威がくぽ】 >>164

<Sentimental Circus>

【いつかの温もり】 >>50  【幸福論】 >>166

<創作>

【微睡み/Short Story】 >>4  【譬えばそれを。】 >>18  【境界線】 >>38
【さよならの記憶】 >>42  【二度はないから】 >>51  【切ない優しさ】 >>53
【思慕/Short Story】 >>56  【一番星に消える】 >>58
【Disappearance】 >>64  【懺悔と後悔】 >>65  【謝罪と切望】 >>66  【夢物語—ユメモノガタリ—】 >>69
【瞬間センチメンタル】 >>72  【光と闇の狂想曲】 >>78  【螺旋の渇望】 >>80
【思慕の狂想曲—シボノラプソディー—】 >>140  【月下で踊る白うさぎ】 >>142
【鮮やかな黒と無色彩の真紅−Deal of black and crimson−】 >>144
【永遠の物語−Eternal story−】 >>145  【永遠の空白】 >>157  【瞬間/Short Story】 >>162
【薄紫の手紙】 >>171  【color】 >>191  【慟哭】 >>196
【アスタリスク】 >>202

<そーさく。>

【出鱈目セレクション】 >>204  【感情制御。】 >>207  【この思いが届くなら。】 >>210


■もう戻れないあの日々を、どうか。

01/あなたの傍にいられるだけで幸せ 【この思いが届くなら。】 >>210
02/口づけだけで満たされる想い 【二度と帰れない場所/零×優姫】 >>126
03/幸せになろうね 【記憶に残る花はあまりにも鮮やかで/真弘×珠紀】 >>81(一部) >>82(二部)
04/どうかあなただけはそのままで 【ただあなたの幸せを。/零×優姫】 >>105
05/あなたと過ごした日々 【いつまでも。/ギン×蛍】 >>147
06/触れ合った指先のぬくもり 【気づいてしまった。/涼太×葵】 >>68
07/追憶 【それはもう過去のこと。/鳴海×咲耶】 >>67
08/傍にいて 【その言葉に救われる。/悠太&祐希】 >>57
09/大切すぎて 【触れた指先/祐一×珠紀】 >>73
10/ずっと傍にいたから 【譬えばそれを。】 >>18

■求めたものが、あまりにも儚い存在だと知る願い

01/この瞬間が 【瞬間/Short Story】 >>162
02/今だけは 【二度はないから】 >>51
03/人というぬくもりに 【感情制御。】 >>207
04/君に会えるなら 【伝えたいことがある。】 >>214
05/静かに眠る夜 【いつかの温もり】 >>50
06/心地いい君と 【深海シンフォニー】 >>221
07/ごめんね 【謝罪と切望】 >>66
08/触れていたぬくもりが
09/痛みを抉る 【切ない優しさ】 >>53
10/もしも願いが叶うなら

■君におくる。

01/君が好きでくるしい。 >>215
02/君が嫌いすぎてわらえる。 >>216
03/君が幸せならそれでいい。 >>217
04/君が許せなくてつらい。 >>218
05/君がいてくれてうれしい。 >>219

 自分で勝手につくりました。
 途中からお話の中にいれるのを忘れてたので、まとめて書いておきました。興味があればどうそ。 

 もう戻れないあの日々を、どうか。 >>212

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Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.158 )
日時: 2012/04/30 11:55
名前: 雲雀 (ID: Rk/dP/2H)

■この小説は「緋色の欠片」の物語を作者が勝手に作りかえたものになります。
未プレイの方及び捏造が苦手な方はお控えください。
珠紀と守護者の関係が本編とは全く別のものになっており、
珠紀は玉依姫ではなくなっています。
実際の作品のイメージを崩されたくない方も同様にお控えください。






【記憶の果て/祐一×珠紀】



初めて彼のことを見たのは、小学生の時だった。
透き通るような白い髪、全てを見透かしているような金色の瞳。
どこか作りものめいたような気さえするほど、彼はきれいだった。
けれど、教室で彼に話しかける者は少なく、彼はいつも一人だった。
みんな遠巻きに見つめては、こそこそと何かを話している。
恐らく、彼が守護五家のひとつである狐邑家の人間であったことがそうさせたのだろう。



寂しくないのかな。
話しかけてみようか。



そう考えてはみたものの、彼がひとつ年上ということもあって勇気が出ず、結局話しかけじまいだった。
でもその日の放課後、たまたま彼が私より少し先を歩いているのを見つけた。



「あ……」



彼のところへ走りよろうとした刹那。
横から黒髪の少年が走ってきて、彼の肩に手をまわした。



「祐一!」



その名前を呼ばれると、彼は少し嬉しそうに微笑んでいた。
黒髪の少年の横から、赤髪の少年や紫色の髪の少年も出てきて、彼の周りには人だかりができた。
なんだ、と思う。
私が話しかけなくても、彼のことを思ってくれる人はたくさんいるではないか、と。
胸に鈍い痛みを感じつつ、でもどこかで、彼が一人でなくてよかったと、感じていた。



それから数日後の帰り道、私はまた彼を見つけた。
でも今回は歩いていたわけではなく、木にもたれて眠っているところだった。
少し躊躇って、彼の肩を揺らす。



「祐一くん」



そう呼ぶと、彼の瞼が静かに開いた。
全てを見透かすような金色の瞳と目が合う。
思わず、息を呑んだ。
一瞬、時間が止まったような錯覚を覚える。



そして彼は、とても怯えたような眸で、私を見た。



「っ……」



私の全てを否定するような眸だった。
心には鉛か何かで引っ掻きまわされたような釈然としない痛みがあった。
でも、このままにしておいたら、彼が風邪をひいてしまう。
そう思い、無理に笑った。



「こんなところにいたら、風邪ひくよ」



手を差しのべる。
彼は呆然としているようだった。
もう一度だけ、笑って、



「一緒に帰ろう」



そう、言葉を紡いだ。






それから数年経った現在も、私は祐一先輩と同じ高校に通っている。
相変わらず、教室で彼に話しかける者は少ないようだが、彼が昼食などにつかっている屋上からは楽しそうな話し声が聴こえるから、きっと大丈夫なのだろう。



それからまた数ヶ月して、帰り道を一人で歩いていると、彼が一人で少し前を歩いているのを見つけた。
呼び起こされる、鈍い胸の痛み。
秋の夕暮れのせいもあってか、どこか切なくも感じた。



「祐一先輩!」



後ろから聴こえる、女の子の声。
その声にハッとしたものの、まるで何かに射抜かれたように、振り向くことが出来なかった。
彼が振り返り、その歩を止める。
女の子の声の後に、いつかに聴いたことのある「祐一!」という男の子の声も聴こえた。
あの日のように、また彼の周りには人だかりができる。
まるで、私ひとりがあの時間に取り残されているような錯覚さえ覚えるた。



きっとあの子が、玉依姫なのだろう。
彼がこれから先、ずっと守っていく人。
いつかに、母が教えてくれた。
玉依姫と守護者のことを。
彼女がいなければ、世界は終わる。
彼女はそれほどに、大切な人。
私なんかよりも、ずっと重い運命を背負った人。
眸を、閉じる。



離れていく笑い声、遠すぎる思い出。
何もかもが、儚い幻のようで、
我知らず、涙が頬を伝った。



そして、本当に、本当に、一瞬。
彼が、振り向いたような気がした。









■後書き

思いつきで書いたら文章が成り立っていませんでした。
少しずつ、書き直していきたいと思います。

Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.159 )
日時: 2012/04/30 20:25
名前: 亜鶴 (ID: iOs0JzFP)


どうもです^^
雲雀さんもお疲れ様です。
私の学校も五時間か六時間ですよ。
四時間なんて極たまにです。
いえいえ...私も滅茶苦茶暇人です。
でも忙しいよりは暇の方がいいですよね♪


有難うございます!!
そのためには私が頑張らなければいけませんねヾ(´▽`*;)ゝ"
あ、そうか!バイトという手が。。。
よしっ!耐えてみせます^^


いえいえ〜当てはまります。
全て私のこと…なんてあり得ませんよ〜
私のものを分けてしまったら…折角の雲雀さんの優れた才能が腐ってしまいますよ。
だから雲雀さんは天然なままでいいんです。
私は有害物質なので(*´∀`*)あはっ
雲雀さんは優しいですよ。
こんな奴にね、毎回構って下る雲雀さんは天使だと思います^^
天使じゃなく...女神さまと呼んだ方がいいかなぁ←


そうですよね〜
親って…いちいちうるさいですよね〜
私は兄より何も取り得がないので…これから先心配です(汗)
兄はスポーツできるし…そこそこ勉強もできるし…
羨ましい限りです。あ…自分が情けない。。。


自信持てませんよ。根性がないので^^
あ、一緒に参加しても宜しいでしょうか?
私も邪気を払うため滝に打たれる必要があるようなので———。



確かに私も滅べと言いたい…。
緋色の欠片のためなら…
否定するコメントを見かけたら、抗議したい。
そこまで緋色の欠片に熱を入れています(笑)
よかったです。雲雀さんと通じ合えて…。


エ…エプロン姿…あのスチル良いですよね〜
慎司くんは弟じゃなく、妹でもいいかも(笑)
女装させて…美鶴ちゃん風に。ぶはっ←鼻血
慎司くんが現実にいたら、私の場合…毎日鼻血出ちゃうかもですね。


いえいえなんとなくですよ。
もしかしたら…一部間違っているかもしれません^^
恥ずかしいことなんてありません。
それ程…雲雀さんは祐一先輩が好きなんですよ♪
ちなみに私も祐一先輩好きですよ。


騒ぎまくりたいですね。
慎司くん…頑張れ!!皆も!!

五話、遼出ましたね!!
思わず…叫んでしまいました。
そして親に馬鹿じゃないのと言う目で見られた↓



勿体無くありませんよ。
非常にお似合いです。

次回作も読みました!!
とても切なく、よかったです。




喜んで頂けたなら…こちらも嬉しい限りでございます。
でゎ、そろそろ失礼させて頂きます。





Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.160 )
日時: 2012/07/17 19:34
名前: 雲雀 (ID: L1bEpBtf)

【虚像/枢×優姫】



「優姫」



そう呼ぶ声は、どこまでも優しかった。
私にふれる手は、どこまでも温かかった。
私を見つめる瞳は、切なげに揺らめいていた。
私を奪う牙は、褪せた記憶を刻みつけた。



もう手の届かない、遠いあなたとの記憶。



(だからそんな瞳をしないで、)
(馬鹿なこの胸が、淡い期待を抱いてしまうから)



もう戻れないと分かっていながら。
もう愛してはくれないと分かっていながら。
私を見つめる瞳に、
私にふれる指に、
私は何度でも恋をする。






だからきっと、これは満月が見せた儚い幻想。






「枢……」



そう呼ぶ声は、酷くかすれていた。
長い黒髪が風にさらわれる。
私は枢の腕の中にいて、真上から彼の紅い瞳がこちらを見つめていた。
傷を負っているのか、体に力が入らない。
風の音が聴こえる。
彼は何も語らない。



「あなたは、あの人を愛していたんでしょう……?」



出てきた言葉は、それ。
枢は表情ひとつかえずに、ただ私を見つめている。
もう抱かれるはずのなかったあなたの腕。
もう遠く褪せてしまったあなたの瞳。
その全てに、心を奪われる。



「私では、駄目なんでしょう……?」



駄目。
奪われるな。
魅せられるな。
これ以上、好きになるな。
頭のなかで響く警報。
切なげに笑う、唇。



「私のことが、邪魔なんでしょう……?」



語尾が、少し震えていた。
この人から拒絶されるのは、怖い。
この人から必要とされなくなるのは、辛い。
でも、いつまでもあなたに追いすがっていたら、
あなたを止めることなんて、出来ないから。



「……っ」



嗚咽が漏れそうになったのは、枢の優しさを思い出したから。
対峙したときに、頬に流れる血を拭ったあなたの指。
絡む視線に、愛しさがこみ上げた。
この瞬間が、永遠に続けばいい。
迷いは、一瞬。
すぐ、枢にきりかかった。
その刃が、あなたを貫くことはなかったけれど。



「いつかに言いましたよね?“ 手放すくらいならいっそこの手で君を殺すか、君が僕を殺して ”って……」



いうことをきかない体を無理に動かして、枢の頬にふれる。
心なしか、彼の頬は冷たかった。
鼓動が聴こえる。
幻想か現実か、囚われた腕のなか、判然としない頭では考えることも出来ない。
僅かに吐息を漏らした。
視界が霞む。
自由がきかない喉に必死に酸素を送り、言葉を紡ぐ。



「傍にいられないなら、いっそ……









                            あなたの手で、壊して……」






それが、精一杯の願い。



あなたを止めたい。
止めなければならない。
でも心のどこかで、戻りたいと願うから。
だから、叶わないのなら、いっそ。



「好きだよ。優姫」



残酷で、優しい、嘘。
たとえあなたが嘘じゃないと言っても、私はそれを嘘と言う。
ふれあう唇。
ほのかに灯る、愛しい熱。
刻み込まれる、忘れられない感情。
愛してはいけないのに、愛さずにはいられない。
溺れてはいけないのに、溺れずにはいられない。
逃げようともがけばもがくほど、絡みつく鎖。
深く食い込んでいく足枷。
酷く滑稽な恋物語。
私はどこまで心を奪われればいいの?



「さよなら」



淡く溶けていく幻想。
あふれるのは、涙。



「っ、……あ……っ」



忘れることなんて出来ない。
でも、戻ることも出来ない。
だから今だけは優しい思い出に浸らせて。
次に目覚めたときはきっと、
あなたを止めてみせるから。






——————離れてしまうなら、いっそ。






肉の一欠片、血の一滴まで、
奪い去ってくれれば良かったのに。






「私を汚しておにいさま……」   



                    「
                     ほ
                      ん
                       の
                        少
                         し
                          だ
                           け
                            僕
                             に
                              自
                               由
                                を
                                 奪
                                  わ
                                   せ
                                    て
                                      」



            「今すぐあなたの血が欲しい……」


     「
      も
      う
      絶
      対
      に
      手
      放
      さ
      な
      い
       」


              「手放すくらいならいっそ」






「かなっ……、め……」






空が地を求め、花が雨を待ち、夜が明日を恋うように、
二つの心が一つだったこと、こんなにも求めてたの。









■後書き

御免なさい。
突発的に書いたら予想以上に酷いことに……自分の中でも書きたかったことが書けてないので、少しずつ書き直していきたいと思います。
最後の文章は本編のなかの台詞と……「輪廻 -ロンド-」の歌詞になっております。
本編は……またいつか、甘くなる日がくるのでしょうか。
今はただ、それが不思議でなりません。

Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.161 )
日時: 2012/05/10 10:26
名前: 雲雀 (ID: Rk/dP/2H)

亜鶴様

返信が遅れてしまい、申し訳ありません!
やっぱり四時間の日って少ないですよね……長期休暇前の四時間授業が懐かしい。
四時間どころか六時間授業の方が多いという……何故。
そうですよね。
忙しいよりは絶対暇な方がいいです(´∀`*)
だってネットやる時間が……!←

頑張ってください^^
エールを送りつつ、いつまでも待っております。
でも、無理はなさらないでくださいね。
あと一年。
短くて長い←

当てはまったら世界が終わります。
それくらいあってはならないことです。
そして何度も言うようですが、亜鶴様はもっと自分に自信をもって大丈夫です!
優れた才能……?有害物質的な意味ですね分かります。
天然で有害物質な雲雀ですこんにちは←
亜鶴様が有害物質なんてありえない……!
寧ろそちらが女神か天使です。
こんな馬鹿野郎につきあってくれるなんて……なんてお優しい方なんでしょう(ノ_-。)

うるさいですよね。
誰かと比較したり、ないものを求めたり……親不孝者と言われる覚悟で言いますけど、やめてほしいです。
何も取り柄がない……?僕のことですね。
亜鶴様は自分を過小評価しすぎだと思います。
二度目ですが、もっと自信をもってください^^
もし仮にお兄さんの方が上なのだとしても、努力でどうにでも挽回できます。

亜鶴様に邪気……?
神々しい光しか見えないですよ……!?
風邪をひかれたら大変ですから。
滝にうたれるのは僕だけで充分です。

僕も亜鶴様と同じ意見で嬉しいです^^
心強い。

ピンクのエプロンなんて……慎司くん、それは持参か……?
と訊きたくなったのは秘密。
珠紀ちゃんと一緒に料理してたらもう……感無量です。
妹……(´∀`*)
確かにそうですね!
美鶴ちゃん風なんて……よく似合うに決まってる!←
現実にいたらもう二度と起きることがなくなる気がry

でもちゃんと覚えててすごいと思います。
僕、「こうだったっけ?」っていうのすらないので……セーブデータ見てこよう……。
いえ、本当に自分が恥ずかしいです……。
亜鶴様も祐一先輩が好き……だと?
やった、お仲間だ!←

恐らくこれからは叫ぶ回数が増えるかと。
みんな頑張れ!

遼、出ましたね!
幼馴染が遼のこと大好きなので……アニメに出てくれて一安心です。
いや、勿論僕も遼のこと大好きなんですが。
小説だと、エピローグに少し出るくらいだったので……良かった良かった。
僕も奇異の目で見られました……(´・ω・`)
そんな目で人を見る前に真剣にこのアニメを見てみろ!と叫びたいです。

勿体ないですよ!
寧ろ亜鶴様の小説の方によくお似合いです。
神々しい……!

回数を重ねるごとに意味不明になっていく小説。
それを読解できるだけでなく、「切ない」と思える感情の豊かさ……!
あ、亜鶴様が眩しい……!
ご来訪いただき、誠にありがとうございました。
またのご来訪、心よりお待ちしております。

Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.162 )
日時: 2012/05/17 23:00
名前: 雲雀 (ID: Rk/dP/2H)

【瞬間/Short Story】



<携帯電話>



 着信を告げるメロディーが携帯から流れ、画面を確認する。
表示されている名前に、一瞬、携帯を取り落としそうになった。
忘れるはずもない、あなたの名前。
時間は既に午前0時をまわっている。
時計の針の音が、やけに大きく聞こえた。
「どうして」そんな疑念が、胸の中に生まれる。
でも、「声が聞きたい」という思いが、その疑念を打ち消してしまった。
震える指で、通話ボタンを押す。
繋がる瞬間。
思い出にすりかわった淡い記憶と、胸に閉じ込めたはずの想いが疼き出した。



『————久しぶり』



 久しぶりに聞いたその声は、記憶の中に残る彼の声より少し低かった。
笑みと共に、涙がこぼれる。
その涙も一瞬のうちに歓喜にのまれ、携帯を握る指にもうひとつの手を重ねた。
喉は自由とは言い難かったが、小さく酸素をおくって、言葉を紡ぐ。



「久しぶり」



そう告げると、携帯ごしに彼の小さく笑う声が聞こえた。
なんて幸せな、時間。



 用件は小学六年生の頃のクラスでやる、同窓会についてのことだった。
近々それが行われるらしいから、クラス全体に連絡をまわしているらしい。
彼が一番仲良くしていた友人が電話に出ないらしく、それについても愚痴をこぼしていた。



 そして全ての用件を伝え終わった後。
彼が、「じゃあ、そろそろ」と言う。
幸せな時間も、これで終わり。
胸中で渦巻く寂しさを押し込めながら、軽く笑う。
携帯を握る指が震えた。



「うん。またね」



 そして、彼が通話をきるのを待つ。
でも、通話がきれる様子はいっこうにない。
僅かにおとずれる沈黙。
居心地が悪いような、こそばゆいような。
でも心地いい、静寂。



『え、と……』



再び繋がる、声。
涙が、あふれた。



【END】



<改札口>



 あと二十分遅くても、学校には間に合う。
でも、私はいつもこの時間に駅につくようにしている。
リュックからカードケースを取り出して、足早に改札口を通る。
その横を、彼が通り越していく。
今日もまた、あなたの後姿が見えた。
それだけで、今日はもう幸せ。


 
 電車に乗り込み、彼の姿を探す。
顔を右に逸らすと、椅子に腰かけて、頬杖をつきながら本を読んでいる彼を見つけた。
これも、いつもの風景。
中学生のときから変わらない、彼の趣味。



 中学生の頃は同じ学校だったから、いつも彼を見ていれたけど。
高校でばらばらになってしまったから、もうこの時間しか彼を見ることができない。
でも、あなたが笑う未来に、きっと私はいないから。
遠くから、あなたを見つめていられるだけで幸せ。



 アナウンスが行き先を告げる。
もうすぐ降りる駅だ。
リュックを肩にかけ、入口まで歩いていく。
電車が止まり、扉が開いた。
「また明日」と心の中で呟く。
すると、肩に手をおかれた。
振り返ると、



「落としたよ」



そう言って本を差し出す、笑顔のあなた。
一瞬、呼吸をすることさえ忘れた。



【END】



<時計>



 午後十一時五十一分。
あと九分もすれば、今日が終わり、明日がくる。
時計の針を見つめて、小さく息を吐いた。
カチコチカチコチと、止まらずに進んでいく針の音が心地いい。
鼓動が早く、落ち着かない。
今度は、大きく息を吸った。



 十一時五十九分。
あと一分。
携帯を持つ手が震える。
画面に表示されているのは、あなたへのメッセージ。
針が動く。



カチ。



それと同時に、メールを送信した。
胸におこる、形容しがたい感情。



『誕生日、おめでとう』



この世に生まれてきてくれて、ありがとう。



【END】



<身長>



「背、伸びたね」



 それは、何気ない会話。
給食の時間に、たまたま近くに並んだから、話しかけた。
中学一年生の頃までは、私よりも身長が低かったのに。
たった一年、違うクラスだっただけで、いつのまにか、こんなにも身長に差ができていたなんて。
やっぱり男の子だな、と、改めて思った。
弟のように思っていただけに、その成長が嬉しくもあり、寂しくもある。



「うん。伸びたんだ」



そう、軽く微笑んだ。
その笑顔に、心の奥が暖かくなる。
同時に、いずれこの笑顔も見れなくなると、切なさを覚えた胸の傷が痛んだ。



【END】



This moment should continue forever.
(この瞬間が、永遠に続けばいいのに。)


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