二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 【二次創作】泡沫【短編集】(リクエスト募集)
- 日時: 2013/04/28 20:26
- 名前: 雲雀 (ID: Ma3wYmlW)
ご訪問ありがとうございます。
初めまして、雲雀といいます。
ここでは作者の嗜好を中心に、二次小説を書かせていただきます。
同人や乙女ゲームに免疫のない方および苦手な方はご遠慮ください。
また年齢制限があるようなものはカキコのルール上、認められていないので書きません。
18歳未満の方も安心して読んでください。作者自身も18歳未満です。というか、そもそも書けません。
作者の文章能力は他の人と比較して著しく欠落しています。
作品のイメージが損なわれる場合も御座いますので、そのあたりのことは自分で判断してくだい。
たまに創作物やオトメイト作品以外の物も書いたりします。
以上のことをご理解の上でご覧ください。楽しんでいただければ、幸いです。
■取り扱い
【オトメイト】
◇緋色の欠片 ◆薄桜鬼 ◇夏空のモノローグ ◆ワンドオブフォーチュン ◇二世の契り
◆翡翠の雫 ◇蒼黒の楔 ◆ヒイロノカケラ ◇神なる君と ◆AMNESIA
◇猛獣使いと王子様 ◆華鬼 ◇DIABOLIK LOVERS -ディアボリックラヴァーズ-
【ジャンプ】
◇家庭教師ヒットマンREBОRN! ◆D.Gray-man ◇黒子のバスケ
◆magico ◇テガミバチ ◆めだかボックス
【Gファンタジー】
◇君と僕。 ◆Pandora Hearts ◇黒執事
◆デュラララ!! ◇キューティクル探偵因幡
【LaLa】
◇夏目友人帳 ◆ヴァンパイア騎士 ◇狼陛下の花嫁
◆おいらんガール ◇サクラの秘事
【その他】
◇ボーカロイド ◆靴下にゃんこ ◇Sentimental Circus
◆FINAL FANTASY ◇THE LAST STORY ◆イナズマイレブン
◇カゲロウプロジェクト ◆終焉ノ栞プロジェクト ◇創作物
■お客様
◇マッカナポスト ◆亜瑠都様 ◇ツン萌え ◆蟻様 ◇亜鶴様 ◆カノン様 ◇素海龍様 ◆苗字様
■いちまんきかく
10000hit Thanks >>208
◇素海龍様 家庭教師ヒットマンリボーン/ヴァリアー 【くるくるまわる/ヴァリアー】 >>211
◆苗字様 夏目友人帳
参照が10000を超えたので、そのお礼です。
忘れ去られているとは思いますが、かならず書きます。
■更新履歴
<緋色の欠片>
【その声に。/祐一×珠紀】 >>1
【二人の彼】 >>34 【触れた指先/祐一×珠紀】 >>73
【記憶に残る花はあまりにも鮮やかで/真弘×珠紀】 >>81(一部) >>82(二部)
【想うことが罪だとしても/ゲントウカ×玉依姫】 >>146 【記憶の果て/祐一×珠紀】 >>158
【守りたい人/慎司×珠紀】
ACT1【分かたれた結末を想う。】 >>180
ACT2【独白】 >>181
ACT3【夕暮れに消える。】 >>187
ACT4【愛してるに耳を塞ぐ。】 >>201
ACT5【木漏れ日の記憶。】 >>203
<蒼黒の楔>
【花火】 >>13 【傍に、と消える声/拓磨×珠紀】 >>46 【花ノ香ノ/拓磨の頁】 >>70
【刹那ノ蒼/祐一の頁】 >>71 【羽休メノ刻/真弘の頁】 >>79 【褪メユク残香/卓の頁】 >>90
【春ノ呼声/慎司の頁】 >>102 【灰色ノ空/遼の頁】 >>153
<ヒイロノカケラ>
【あなたしか見えない/怜×沙弥】 >>39
<薄桜鬼>
【永久の軌跡/総司×千鶴】 >>6 【巡りゆく桜の記憶/総司×千鶴】 >>111
<ワンドオブフォーチュン>
【今日の永遠/エスト×ルル】 >>47
<夏空のモノローグ>
【いつかが終わるその日まで/葵&陽&涼太】 >>60 【気づいてしまった。/涼太×葵】 >>68
<神なる君と>
【それはもう過去のこと。/鳴海×咲耶】 >>67
<DIABOLIK LOVERS -ディアボリックラヴァーズ->
【堕ちる瞬間】 >>156
<家庭教師ヒットマンREBОRN!>
【雲雀家四人兄弟/アラウディ&風(大人ver)&雲雀恭弥(10年後)&雲雀恭弥(10年前)】 >>9
【好きを憧れで捩じ伏せる。/ベルフェゴール&フラン】 >>186
【くるくるまわる。/ヴァリアー】 >>211
<黒子のバスケ>
【甘いお菓子には変わらない/黒子&木吉】 >>59
<めだかボックス>
【気まぐれな世界の終わり/善吉&禊】 >>177
<君と僕。>
【その言葉に救われる。/悠太&祐希】 >>57 【17回目のハロウィン/悠太&祐希&要&春】 >>61
【桜日和/浅羽story&塚原story&松岡story】 >>152
<Pandora Hearts>
【終わりに重ねる掌】 >>131
<キューティクル探偵因幡>
【その声をどうか。/圭&遥】 >>27 【はじめまして、と笑う。/圭&遥】 >>213
<蛍火の杜へ>
【いつまでも。/ギン×蛍】 >>147
<ヴァンパイア騎士>
【ただあなたの幸せを。/零×優姫】 >>105 【黒ノ独白/零×優姫】 >>121 【二度と帰れない場所/零×優姫】 >>126
【面影−オモカゲ−/枢×優姫】 >>136 【虚像/枢×優姫】 >>160
<FINAL FANTASY>
【架かる虹の麓へ】 >>124
<カゲロウプロジェクト>
【あの日、いつか。/シンタローとコノハ】 >>199 【この世界に、今。/シンタローとコノハ】 >>200
【それでも、世界。/クロハ】 >>209 【伝えたいことがある。/シンタロー】 >>214
【延命プレリュード/シンタローとコノハ】 >>220【深海シンフォニー/シンタローとクロハ】 >>221
【さよならにキスをする。/シンタローとアヤノ】 >>222 【Please tell me my thought/シンタローとカノ】 >>224
◇しりーず
シンタローとコノハとクロハと遥が兄弟な話。
【朝に見る。】 >>223
<終焉ノ栞プロジェクト>
◇しりーず
【0と1のラブレター/A弥】 >>225 【届くことのないさよならを/C太】 >>226
【君が0になる前に/A弥】 >>231
<ボーカロイド>
【ロミオとシンデレラ/初音ミク】 >>2 【五月雨恋歌/初音ミク】 >>3 【秋風恋歌/巡音ルカ】 >>5 >>52
【暗い森のサーカス/初音ミク&鏡音リン&鏡音レン】 >>7
【人柱アリス/初音ミク&鏡音リン&鏡音レン&KAITО&MEIKО】 >>8 【月光と黒/KAITО】>>10
【鬼と娘/KAITО】 >>14 【大和撫子、咲き誇れ/初音ミク】 >>15 【夢の浮橋/巡音ルカ】 >>35
【からくりピエロ/初音ミク】>>45 【Trick and Treat/鏡音リン&鏡音レン】 >>62
【つきうさぎ/初音ミク】 >>63 【夢と葉桜/初音ミク】 >>125 【会いたい−Dear My Friend−/GUMI】 >>139
【右肩の蝶/鏡音リン&鏡音レン】 >>163 【背徳の記憶〜The Lost Memory〜/鏡音レン&KAITO&神威がくぽ】 >>164
<Sentimental Circus>
【いつかの温もり】 >>50 【幸福論】 >>166
<創作>
【微睡み/Short Story】 >>4 【譬えばそれを。】 >>18 【境界線】 >>38
【さよならの記憶】 >>42 【二度はないから】 >>51 【切ない優しさ】 >>53
【思慕/Short Story】 >>56 【一番星に消える】 >>58
【Disappearance】 >>64 【懺悔と後悔】 >>65 【謝罪と切望】 >>66 【夢物語—ユメモノガタリ—】 >>69
【瞬間センチメンタル】 >>72 【光と闇の狂想曲】 >>78 【螺旋の渇望】 >>80
【思慕の狂想曲—シボノラプソディー—】 >>140 【月下で踊る白うさぎ】 >>142
【鮮やかな黒と無色彩の真紅−Deal of black and crimson−】 >>144
【永遠の物語−Eternal story−】 >>145 【永遠の空白】 >>157 【瞬間/Short Story】 >>162
【薄紫の手紙】 >>171 【color】 >>191 【慟哭】 >>196
【アスタリスク】 >>202
<そーさく。>
【出鱈目セレクション】 >>204 【感情制御。】 >>207 【この思いが届くなら。】 >>210
■もう戻れないあの日々を、どうか。
01/あなたの傍にいられるだけで幸せ 【この思いが届くなら。】 >>210
02/口づけだけで満たされる想い 【二度と帰れない場所/零×優姫】 >>126
03/幸せになろうね 【記憶に残る花はあまりにも鮮やかで/真弘×珠紀】 >>81(一部) >>82(二部)
04/どうかあなただけはそのままで 【ただあなたの幸せを。/零×優姫】 >>105
05/あなたと過ごした日々 【いつまでも。/ギン×蛍】 >>147
06/触れ合った指先のぬくもり 【気づいてしまった。/涼太×葵】 >>68
07/追憶 【それはもう過去のこと。/鳴海×咲耶】 >>67
08/傍にいて 【その言葉に救われる。/悠太&祐希】 >>57
09/大切すぎて 【触れた指先/祐一×珠紀】 >>73
10/ずっと傍にいたから 【譬えばそれを。】 >>18
■求めたものが、あまりにも儚い存在だと知る願い
01/この瞬間が 【瞬間/Short Story】 >>162
02/今だけは 【二度はないから】 >>51
03/人というぬくもりに 【感情制御。】 >>207
04/君に会えるなら 【伝えたいことがある。】 >>214
05/静かに眠る夜 【いつかの温もり】 >>50
06/心地いい君と 【深海シンフォニー】 >>221
07/ごめんね 【謝罪と切望】 >>66
08/触れていたぬくもりが
09/痛みを抉る 【切ない優しさ】 >>53
10/もしも願いが叶うなら
■君におくる。
01/君が好きでくるしい。 >>215
02/君が嫌いすぎてわらえる。 >>216
03/君が幸せならそれでいい。 >>217
04/君が許せなくてつらい。 >>218
05/君がいてくれてうれしい。 >>219
自分で勝手につくりました。
途中からお話の中にいれるのを忘れてたので、まとめて書いておきました。興味があればどうそ。
もう戻れないあの日々を、どうか。 >>212
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- Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.8 )
- 日時: 2011/08/22 14:51
- 名前: 雲雀 (ID: VEcYwvKo)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v=T8Kelg2KiWE
【人柱アリス/初音ミク&鏡音リン&鏡音レン&KAITО&MEIKО】
あるところに、小さな夢がありました。
だれが見たのかわからない、 それは本当に小さな夢でした。
小さな夢は思いました。
「このまま消えていくのはいやだ
どうすれば、人に僕を見てもらえるだろう」
小さな夢は考えて考えて、そしてついに思いつきました。
人間を自分の中に迷い込ませて、世界を作らせればいいと
(そうして人間は、狂気に満ちた“ 夢 ”を見るんだよ?)
(結局それは、“ 夢 ”でしかないのだけれど)
絵本『人柱アリス』
一番目のアリスは勇ましく、誇り高い女性の剣士。
いろんなものを斬り捨てて、紅の鮮やかな道を敷いていった。
返り血を浴びたその顔はどこか妖艶で、近づく男はざらにいたけれど、皆斬り殺された。
“ 斬る ”
それが、彼女の全て。
そう言ってしまえば、何もかも終わり。
(君じゃ、駄目)
(いつか“ 僕 ”まで壊されちゃう)
そんなアリスは森の奥、罪人のように閉じ込められて、
手足は拘束され、光さえ奪われて。
「ここから出して……っ!」
そんな言葉も、届かずに。
「絶望」
その言葉に尽きる。
森にできた小道を辿る以外に、彼女の生を知る術はない。
“ でもアリスの牢が再び開いた時、あなたの命はないよ? ”
くすり、と“ 夢 ”が笑った。
二番目のアリスはおとなしく、歌うことを愛した青年。
彼が生み出す音はあまりにも美しく、人々の欲望を掻きたて、狂わせた。
自分が一番狂っていることも知らず、彼は歌い続ける。
“ 歌う ”
それが彼の全て。
そう言ってしまえば、なにもかもただの狂気。
(狂った世界に、)
(光なんてあるの?)
そんなアリスは薔薇の花、いかれた男に撃ち殺されて、
世界が、音が、どんどん遠ざかっていく。
“ もっと歌いたかった ”
そんな願いさえ、叶わずに。
ただただ、意識は闇に落ちていく。
血に濡れた真っ赤な一輪の花、それが彼の十字架。
朽ちていくことも知らずに、皆に愛でられ枯れていく。
“ 彼が転生を繰り返し、この世に歌として現れた時、世界は再び狂気に包まれる ”
破滅へのカウントダウン、スタート!
三番目のアリスは幼い娘、誰からも愛され、慈しまれた美しい少女。
その美貌はいろんな人を惑わせて、いつしか王子までもを虜にし、おかしな国を造りあげた。
“ 美 ”
それが彼女の生きる意味。
それさえ消えてしまえば、もう何も残らない。
(時を重ねるごとに、)
(失われていくもの)
そんなアリスは国の女王、歪な“ 夢 ”にとり憑かれて、
「不老不死」あるはずもない夢物語に浸る。
「いやっ……いやぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああっ!」
涙を流す。自分の顔を覆い、その場に蹲る。
鏡の向こうに見た、“ 自分 ”の姿。
朽ちゆく体に怯えながら、国の頂点に君臨する。
哀れな女王、ここにあり。
“ いくら怯えても、「死」は免れないんだよ? ”
冷えた声音、嘆きの中に掻き消される。
森の小道を辿ったり、薔薇の木の下でお茶会。
(血に濡れた道、朽ちた薔薇の花)
お城からの招待状は、ハートのトランプ。
(歪な夢、形を成す)
四番目のアリスは双子の子、好奇心旺盛で仲のいい姉弟。
かつてのアリス達の過ちを潜り抜けて、ついさっきやってきたばかり。
気の強い姉と、賢い弟。
“ 二人 ”
それが、彼らの強みであり弱み。
どちらかが終われば、それで消える運命。
(どちらかが終われば、)
(ゲームオーバー!)
一番アリスに近かった二人。
けれど二人の夢は覚めないまま。
「もういらない」
一人でアリスになれば、一人で独占できる。
“ 独占欲 ”が生み出した悲劇の双子、不思議の国を彷徨った。
“ 何かを選ぶってことは、何かを捨てることなんだよ? ”
“ 夢 ”の終わりは、どこにも見えない。
【アリス】
幾人ものアリスを人柱にしながらも、その存在、未だ現れず。
世界は終焉の結末へと歯車を廻す。 .............The end
■後書き
アリス……いったいどんな存在なんでしょうね。
それが気になる今日この頃です。
- Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.9 )
- 日時: 2011/08/23 03:03
- 名前: 雲雀 (ID: VEcYwvKo)
【雲雀家四人兄弟/アラウディ&風(大人ver)&雲雀恭弥(10年後)&雲雀恭弥(10年前)】
長男/アラウディ
次男/風
三男/恭(10年後)
四男/恭弥(10年前)
「ふぁ……」
まだ眠い目を擦りながら、青年は隣のベッドで寝ている少年に目を向ける。
前髪で隠れていてよく分からないが、寝息が聞こえてくるから恐らくまだ眠っているのだろう。
「恭弥はまだ寝てるみたいだね……」
「そうみたいですね」
声のする方を振り向けば、弟達と同様の黒髪を腰あたりまで伸ばしている青年が一人。
「風……起きてたのかい?相変わらず起きるの早いね」
「そうですか?今日は四時でしたよ?」
「今何時……」
「五時です」
上品な笑みを浮かべながら、彼はさも当然のように言い放つ。
細められた紅い瞳が、優しさを帯びていてあたたかい。
「恭もまだ寝ています。昨日は徹夜で頑張っていたみたいですからね」
「彼にも頑張るなんて脳があったんだね」
「とか言いつつ、心配で物陰からずっと見ていたのあなたじゃないですか」
「……」
「アラウディ兄さんは分かりやすいですね」
クスクス、と風が笑う。
他人であれば即座に睨むところなのだが、どうしても弟にはそれが出来ない。
自分の甘さに、アラウディは小さくため息を吐いた。
「今日は休日ですし、二人はこのまま寝かせておきましょうか。寝顔も可愛いですしね」
長い袖に隠れている両手を胸の前で合わせ、風は静かに瞳を閉じる。
「ねぇ」
「なんですか?兄さん」
「僕君の寝顔一度も見たことないんだけど」
「安心してくだい、私は兄さんの寝顔をちゃんと見ていますから」
二人の間に僅かな時間、沈黙が流れる。
風は満面の笑みを、アラウディは無表情を崩すことなく沈黙する。
やがて風が何かを思い出したかのように口元に手をあてる。
「言い忘れていました。朝食、もうできていますよ」
では戻りますね、と言い残し、風は一階にあるリビングへと降りていった。
「……今度絶対寝顔見てやる」
人知れず、アラウディは密かに闘争心を燃やしている。
そんな静かな部屋の中、ドアの方からカタン、と音がする。
「へぇ、誰の寝顔を見るんだい?兄さん」
敬語ではなく、自分と同じくらい低い声とすると……。
「恭……気配消すのやめてくれる」
ドアに寄りかかりながらこちらを見ている恭を一瞥すると、彼はクスリと笑う。
もう充分大人なのに、兄という立場のせいなのか、その笑顔が無邪気に見える。
「僕は誰の指図も受けないよ」
こんな捻くれた言葉を返されても、やはり弟は可愛い。
風と違って下の弟二人の捻くれた性格はアラウディに似たのだろう。
自分の性格を呪いながらも、アラウディは恭を見返す。
「風兄さん、もう朝食つくってるの?」
お腹が空いているのか、少し元気のない声でそう問う。
アラウディが頷くと、恭はそっか、とだけ言って、階段を降りていこうとする。
自分も特にすることがないので、ベッドから降り、部屋を出る。
「ちょっと恭、フラフラしないでよ」
「仕方ないでしょ、寝不足なんだから」
恭の足取りはフラフラしていて、今にも階段から落ちそうだった。
「なんで寝不足なのさ」
「徹夜で仕事終わらせてたんだよ、残したままだと気持ち悪いから」
何か悪い?と言ったところで、恭の体が前方に倒れかける。
「いちいち迷惑かけないでくれる」
「……っ……」
アラウディが間一髪で腕を掴み自分の方へと引き寄せたことで、階段からの落下は免れた。
恭は少し頬を赤らめ、そっぽを向く。
「助けろなんて頼んだ覚えはないよ」
「階段から落ちたら困るでしょ」
「なんで?」
「……床が傷むから」
恭のことなど全く心配していない様子で、アラウディが言い放つ。
視線は完璧に明後日の方向を向いていた。
「恭、兄さんはいつでもあなたのことが心配なんですよ」
階段の下から、丁寧な口調の声が聞こえる。
「風……何勝手なこと言ってるの」
「本当のことでしょう?兄さんも素直じゃありませんね」
笑みを堪え切れない様子で、風は笑う。
そこへ、軽い足音が聞こえる。
「兄さん達……何やってるの?」
階段の上に、末っ子である少年が不機嫌そうな顔で立っていた。
「邪魔なんだけど……そこどいてくれない?咬み殺すよ」
その言葉に、恭が反応する。
アラウディの腕から離れて、妖艶な笑みを浮かべる。
「ちょ、恭……」
アラウディが口を塞ごうとしたが、間に合わなかった。
「へぇ?かかってきなよ、返り討ちにしてあげる」
お互いどこに隠し持っていたのか、手にはトンファーが握られている。
「ワォ、やっぱり兄さんはいいね」
「僕も君みたいな弟をもてて幸せだよ、恭弥」
「おいこら戦闘マニア共、家破壊する気か」
必死で自分達を止めようとする兄を無視し、二人は戦闘態勢に入る。
「おやおや……二人共朝から元気ですね」
「風、見てないで君も止めなよ」
「二人が喧嘩をするなんて、平和な証拠じゃないですか」
「家、壊したいの?」
アラウディに睨まれ、風は肩を竦めながら笑う。
「仕方ないですね……」
ため息を吐いてから、二人を見つめる。
「二人共、後五秒以内にリビングに入らないと今日の食事は無しですよ」
二人の動きがピタリと止まる。
そしてお互いにお互いを見てから、
「「おあずけ……ね……」」
と言って、渋々といった感じでリビングに入っていく。
「ほら、兄さんもいきますよ」
「…………」
風の笑顔が、どことなく黒いのは気のせいではないのだろう。
(雲雀家の法則、)
(次男は最強)
■後書き
風が好きで書きました。
あの四人、似てますよね。
- Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.10 )
- 日時: 2011/09/25 11:54
- 名前: 雲雀 (ID: VEcYwvKo)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v=a2GT4EnEtpo
【月光と黒/KAITО】
紅涙の雫で滲んだ
黒く醜く
呪われたおとぎ話
(獣は少女に恋をしたんだよ、)
(叶わない恋なのにね)
その宿命は、誰に背負わされたものなのか、そんなことさえ分からない。
この世に産み落とされたその日から、“ それ ”は自分を蝕み、浮世の因果に縛りつける。
夜の暗闇の中、淡く輝く金色の光。
「美しい」
そう思うのに、それを見て自分は狂う。
夜の闇に苦しむ彼に、いつかの祝福がありました。
(この時、出会わなければよかったのかもね、)
(なんて、お話にならないか)
歪な風の音、夜の闇に凍える森。
そして、一人の少女。
「少女?」
月光の世界に呪われて、自分は醜い獣へと成り果てる。
そんな自分の姿を見ても、彼女はここにいてくれるだろうか。
「お前は私の事が怖くないのか?」
(お前は私が怖くないのか?)
そう彼が訊くと、少女は優しく微笑んだ。
その笑顔に、どれほど救われたことか。
今までにどれほどいた?
醜い自分の姿を見て、
逃げ出さなかった者など、
「化け物」そう言わなかった者など、
身を凍らすような恐怖に、逃げ出せなかった者はいた。
余りの醜さに、声を失った者はいた。
だが、優しく微笑みかけてくれた者など、
この世にいただろうか。
彼女は醜い自分に微笑みかける。
彼女は何故、笑っているのだろうか。
そして彼は、愛してはならない少女を、愛してしまった。
(罪の中に浮かぶ愛、)
ほんのひと時、優しい少女との、幸せな時間がありました。
愛おしい温もり、自分にはなかったもの。
ですが彼は呪われて血に餓えた獣。
きっといつかは、この少女を傷つけてしまうでしょう。
「きっといつか、自分は彼女を傷つける」
彼はそうなる前に、気づかれぬようにそっと消えてしまおうと、考えたのです。
「ごめんよ、さよなら」
少女の幸せを願ったのは、醜い獣。
月光の世界に呪われた、血に餓えた狼。
最後に残ったのは紅涙の雫で滲んだ、
彼の笑顔と赤い頭巾と、月の光でした。
嗚呼、最果ての月よ。
(宵闇が背負うは、霧の中に隠されたいつかの光)
「嗚呼、最果ての月よ。
どうか彼が、安らかに眠れますように」
彼は知っていたのだろうか。
少女にとっての幸せは、
彼と共にいることだと。
彼が血に餓えたなら、
少女は迷わず自分を差し出すだろう。
しかし優しい狼には、それが出来なかった。
少女を傷つけるくらいなら、
己の命を絶った方がましだと。
だから、少女の前から消えた。
少女は彼との優しい思い出に、ただただむせび泣く。
愛しい人との思い出は、
時に刃となり、己を貫く。
醜い獣は、今でも彼女の笑顔を想う。
少女の頬を伝うのは涙、
十字架に添えられるのは、美しい花。
(以来、二人が逢うことはなかったんだって、)
(好きだから、愛しているからこそ、人は大切な者を遠ざけたがる)
「愛してる」
耳に残る、愛しい声音。
手を伸ばせばそこにいたのに、大切すぎて、触れられなかった。
(愛してる、)
(そして、さよなら)
■後書き
好きな人に別れを告げるのはとても辛いことだと思います。傷つける前に少女の前から消えた彼は、本当に彼女のことを愛していたんでしょうね。その切なさが、自分の文章能力じゃ書けない……申し訳ありません。
- Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.11 )
- 日時: 2011/08/26 18:05
- 名前: マッカナポスト ◆dDspYdvRLU (ID: wUNg.OEk)
- 参照: 今日の気分が冷奴である事を忘れてはいけない
雲雀
祝:初コメ!!
やぁ、ポスなんだよ、所詮僕なんて。
たまには凄くまともにコメしてみたいと思います;
何というか……僕には見ることの出来ない__まぁ潜在能力という言葉が存在する限り見れないものなど無いのだろうけど__世界、価値観を見せてもらった感じです。
____っ能力最大限開放した感じですね。
今の感情全て曝け出せました(*´▽`*)
今日の金曜ロードショーが楽しみで仕方ない。
ロミシンは本当に良い曲だと思います。
曲作った人がプロのおっさんだからなんだろうか。
___キットソウダヨ!
……こんな感じで最近闇の声が聞こえるんだけど僕死ぬのかな。
最近この声と仲良くなってるし。
もう三途の川ででっていうとイワン(By:T.I.G.E.R.&.B.U.N.N.Y.)と嫁達が見守ってるのが見えるよ。
何かスイマセン。
えと、僕ももう少し雲雀を見習ってまともなロリコn……じゃなくてまともな中学生になるように頑張ろうかな、あは。←爆発しろ
陰ながら応援してます。おそらく一番。
暇になったらまた来れると思うから。
之からも更新頑張って下さいノシ
- Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.12 )
- 日時: 2011/08/26 23:24
- 名前: 雲雀 (ID: VEcYwvKo)
マッカナポスト
コメントなんて絶対来ないと思ってたから、今画面が霞んでよく見えない。
いらっしゃい、来てくれてありがとう^^
作者自身がまともに小説書いてないから問題ないです(*´ω`)ノ
潜在能力……それならポスの方が凄いと思うよ?
自分で自分の世界をつくっていけるし……キャラも個性的で誰か一人が劣ることもない。
僕は元にあるものを自分なりに書いているだけだから、もしその小説が素晴らしいと思えたのなら、それは僕の力じゃなく、歌を作った人の力だよ。
感情の全てを曝け出しましたか、お疲れ様です(´・ω・`)\(・ω・*)オツカレサマ
今夜の金曜ロードショー……新聞読んで理解しました。確かに君が好きなやつだね、頑張ってください。
ロミオとシンデレラは急に書きたくなったんだ。
声の人……最早GJとしか言いようがありません。
声は聞こえないんだけど可愛い男の子の頭を撫でたいという思考がいったりきたりしています。
クラスの男子とか見てても、衝動的に頭を撫でたくなる。
そんな感じなんだけど、ショタに呑まれて僕死ぬのかな。
でっていうはいつでもどこでも眠れる最新機能つきだよ。ごめん言ってみたかっただけ。
Dグレのヨッシーが一瞬見えた。
まともな中学生?小六で二次元にはまった時にあれな未来は捨てたよ。(あれな未来=リア充)
あれについては深く考えてはいけません。
応援ありがとう、出来る限り頑張ってみます。
僕も君の小説、応援してるね。これからも立ち寄りますので。
来てくれてありがとうございました、新学期も宜しくねノシ
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