二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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【二次創作】泡沫【短編集】(リクエスト募集)
日時: 2013/04/28 20:26
名前: 雲雀 (ID: Ma3wYmlW)

 ご訪問ありがとうございます。
初めまして、雲雀といいます。
ここでは作者の嗜好を中心に、二次小説を書かせていただきます。

 同人や乙女ゲームに免疫のない方および苦手な方はご遠慮ください。
また年齢制限があるようなものはカキコのルール上、認められていないので書きません。
18歳未満の方も安心して読んでください。作者自身も18歳未満です。というか、そもそも書けません。

 作者の文章能力は他の人と比較して著しく欠落しています。
作品のイメージが損なわれる場合も御座いますので、そのあたりのことは自分で判断してくだい。
たまに創作物やオトメイト作品以外の物も書いたりします。

 以上のことをご理解の上でご覧ください。楽しんでいただければ、幸いです。


■取り扱い

【オトメイト】

◇緋色の欠片 ◆薄桜鬼 ◇夏空のモノローグ ◆ワンドオブフォーチュン ◇二世の契り
◆翡翠の雫 ◇蒼黒の楔 ◆ヒイロノカケラ ◇神なる君と ◆AMNESIA 
◇猛獣使いと王子様 ◆華鬼 ◇DIABOLIK LOVERS -ディアボリックラヴァーズ-

【ジャンプ】

◇家庭教師ヒットマンREBОRN! ◆D.Gray-man ◇黒子のバスケ
◆magico ◇テガミバチ ◆めだかボックス

【Gファンタジー】

◇君と僕。 ◆Pandora Hearts ◇黒執事 
◆デュラララ!! ◇キューティクル探偵因幡  

【LaLa】

◇夏目友人帳 ◆ヴァンパイア騎士 ◇狼陛下の花嫁
◆おいらんガール ◇サクラの秘事

【その他】

◇ボーカロイド ◆靴下にゃんこ ◇Sentimental Circus 
◆FINAL FANTASY ◇THE LAST STORY ◆イナズマイレブン 
◇カゲロウプロジェクト ◆終焉ノ栞プロジェクト ◇創作物


■お客様

◇マッカナポスト ◆亜瑠都様 ◇ツン萌え ◆蟻様 ◇亜鶴様 ◆カノン様 ◇素海龍様 ◆苗字様


■いちまんきかく

 10000hit Thanks >>208

◇素海龍様 家庭教師ヒットマンリボーン/ヴァリアー 【くるくるまわる/ヴァリアー】 >>211
◆苗字様 夏目友人帳

 参照が10000を超えたので、そのお礼です。
 忘れ去られているとは思いますが、かならず書きます。


■更新履歴

<緋色の欠片>

【その声に。/祐一×珠紀】 >>1 
【二人の彼】 >>34  【触れた指先/祐一×珠紀】 >>73
【記憶に残る花はあまりにも鮮やかで/真弘×珠紀】 >>81(一部) >>82(二部)
【想うことが罪だとしても/ゲントウカ×玉依姫】 >>146   【記憶の果て/祐一×珠紀】 >>158

【守りたい人/慎司×珠紀】

ACT1【分かたれた結末を想う。】 >>180
ACT2【独白】 >>181
ACT3【夕暮れに消える。】 >>187
ACT4【愛してるに耳を塞ぐ。】 >>201
ACT5【木漏れ日の記憶。】 >>203

<蒼黒の楔>

【花火】 >>13  【傍に、と消える声/拓磨×珠紀】 >>46  【花ノ香ノ/拓磨の頁】 >>70
【刹那ノ蒼/祐一の頁】 >>71  【羽休メノ刻/真弘の頁】 >>79  【褪メユク残香/卓の頁】 >>90
【春ノ呼声/慎司の頁】 >>102  【灰色ノ空/遼の頁】 >>153

<ヒイロノカケラ>

【あなたしか見えない/怜×沙弥】 >>39

<薄桜鬼>

【永久の軌跡/総司×千鶴】 >>6  【巡りゆく桜の記憶/総司×千鶴】 >>111

<ワンドオブフォーチュン>

【今日の永遠/エスト×ルル】 >>47

<夏空のモノローグ>

【いつかが終わるその日まで/葵&陽&涼太】 >>60  【気づいてしまった。/涼太×葵】 >>68

<神なる君と>

【それはもう過去のこと。/鳴海×咲耶】 >>67

<DIABOLIK LOVERS -ディアボリックラヴァーズ->

【堕ちる瞬間】 >>156

<家庭教師ヒットマンREBОRN!>

【雲雀家四人兄弟/アラウディ&風(大人ver)&雲雀恭弥(10年後)&雲雀恭弥(10年前)】 >>9
【好きを憧れで捩じ伏せる。/ベルフェゴール&フラン】 >>186
【くるくるまわる。/ヴァリアー】 >>211

<黒子のバスケ>

【甘いお菓子には変わらない/黒子&木吉】 >>59

<めだかボックス>

【気まぐれな世界の終わり/善吉&禊】 >>177

<君と僕。>

【その言葉に救われる。/悠太&祐希】 >>57  【17回目のハロウィン/悠太&祐希&要&春】 >>61
【桜日和/浅羽story&塚原story&松岡story】 >>152

<Pandora Hearts>

【終わりに重ねる掌】 >>131

<キューティクル探偵因幡>

【その声をどうか。/圭&遥】 >>27  【はじめまして、と笑う。/圭&遥】 >>213

<蛍火の杜へ>

【いつまでも。/ギン×蛍】 >>147

<ヴァンパイア騎士>

【ただあなたの幸せを。/零×優姫】 >>105  【黒ノ独白/零×優姫】 >>121  【二度と帰れない場所/零×優姫】 >>126
【面影−オモカゲ−/枢×優姫】 >>136  【虚像/枢×優姫】 >>160

<FINAL FANTASY>

【架かる虹の麓へ】 >>124

<カゲロウプロジェクト>

【あの日、いつか。/シンタローとコノハ】 >>199  【この世界に、今。/シンタローとコノハ】 >>200
【それでも、世界。/クロハ】 >>209  【伝えたいことがある。/シンタロー】 >>214
【延命プレリュード/シンタローとコノハ】 >>220【深海シンフォニー/シンタローとクロハ】 >>221
【さよならにキスをする。/シンタローとアヤノ】 >>222  【Please tell me my thought/シンタローとカノ】 >>224

◇しりーず

シンタローとコノハとクロハと遥が兄弟な話。

【朝に見る。】 >>223

<終焉ノ栞プロジェクト>

◇しりーず

【0と1のラブレター/A弥】 >>225  【届くことのないさよならを/C太】 >>226  
【君が0になる前に/A弥】 >>231

<ボーカロイド>

【ロミオとシンデレラ/初音ミク】 >>2  【五月雨恋歌/初音ミク】 >>3  【秋風恋歌/巡音ルカ】 >>5 >>52
【暗い森のサーカス/初音ミク&鏡音リン&鏡音レン】 >>7
【人柱アリス/初音ミク&鏡音リン&鏡音レン&KAITО&MEIKО】 >>8  【月光と黒/KAITО】>>10 
【鬼と娘/KAITО】 >>14  【大和撫子、咲き誇れ/初音ミク】 >>15  【夢の浮橋/巡音ルカ】 >>35
【からくりピエロ/初音ミク】>>45  【Trick and Treat/鏡音リン&鏡音レン】 >>62
【つきうさぎ/初音ミク】 >>63  【夢と葉桜/初音ミク】 >>125  【会いたい−Dear My Friend−/GUMI】 >>139
【右肩の蝶/鏡音リン&鏡音レン】 >>163  【背徳の記憶〜The Lost Memory〜/鏡音レン&KAITO&神威がくぽ】 >>164

<Sentimental Circus>

【いつかの温もり】 >>50  【幸福論】 >>166

<創作>

【微睡み/Short Story】 >>4  【譬えばそれを。】 >>18  【境界線】 >>38
【さよならの記憶】 >>42  【二度はないから】 >>51  【切ない優しさ】 >>53
【思慕/Short Story】 >>56  【一番星に消える】 >>58
【Disappearance】 >>64  【懺悔と後悔】 >>65  【謝罪と切望】 >>66  【夢物語—ユメモノガタリ—】 >>69
【瞬間センチメンタル】 >>72  【光と闇の狂想曲】 >>78  【螺旋の渇望】 >>80
【思慕の狂想曲—シボノラプソディー—】 >>140  【月下で踊る白うさぎ】 >>142
【鮮やかな黒と無色彩の真紅−Deal of black and crimson−】 >>144
【永遠の物語−Eternal story−】 >>145  【永遠の空白】 >>157  【瞬間/Short Story】 >>162
【薄紫の手紙】 >>171  【color】 >>191  【慟哭】 >>196
【アスタリスク】 >>202

<そーさく。>

【出鱈目セレクション】 >>204  【感情制御。】 >>207  【この思いが届くなら。】 >>210


■もう戻れないあの日々を、どうか。

01/あなたの傍にいられるだけで幸せ 【この思いが届くなら。】 >>210
02/口づけだけで満たされる想い 【二度と帰れない場所/零×優姫】 >>126
03/幸せになろうね 【記憶に残る花はあまりにも鮮やかで/真弘×珠紀】 >>81(一部) >>82(二部)
04/どうかあなただけはそのままで 【ただあなたの幸せを。/零×優姫】 >>105
05/あなたと過ごした日々 【いつまでも。/ギン×蛍】 >>147
06/触れ合った指先のぬくもり 【気づいてしまった。/涼太×葵】 >>68
07/追憶 【それはもう過去のこと。/鳴海×咲耶】 >>67
08/傍にいて 【その言葉に救われる。/悠太&祐希】 >>57
09/大切すぎて 【触れた指先/祐一×珠紀】 >>73
10/ずっと傍にいたから 【譬えばそれを。】 >>18

■求めたものが、あまりにも儚い存在だと知る願い

01/この瞬間が 【瞬間/Short Story】 >>162
02/今だけは 【二度はないから】 >>51
03/人というぬくもりに 【感情制御。】 >>207
04/君に会えるなら 【伝えたいことがある。】 >>214
05/静かに眠る夜 【いつかの温もり】 >>50
06/心地いい君と 【深海シンフォニー】 >>221
07/ごめんね 【謝罪と切望】 >>66
08/触れていたぬくもりが
09/痛みを抉る 【切ない優しさ】 >>53
10/もしも願いが叶うなら

■君におくる。

01/君が好きでくるしい。 >>215
02/君が嫌いすぎてわらえる。 >>216
03/君が幸せならそれでいい。 >>217
04/君が許せなくてつらい。 >>218
05/君がいてくれてうれしい。 >>219

 自分で勝手につくりました。
 途中からお話の中にいれるのを忘れてたので、まとめて書いておきました。興味があればどうそ。 

 もう戻れないあの日々を、どうか。 >>212

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Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.78 )
日時: 2012/01/01 17:23
名前: 雲雀 (ID: 7aD9kMEJ)

【光と闇の狂想曲】



ねぇ、お母さん。
どうして世界には朝と夜があるの?
ひとつじゃいけないの?ふたつじゃなきゃ駄目なの?
だって僕、夜が怖いんだもん。
夜はお空が真っ暗になっちゃうでしょ?
お月さまはあるけど、太陽みたいにあったかくないし、明るくない。
お月さまは太陽と仲が悪いのかな?だから一緒にいれないの?
一緒にいたら、もっと明るくなるのにね。
夜がなくてずっと朝だったら、全然怖くないのに。
ねぇ、どうして?
どうしてふたつなの?ひとつじゃいけないの?
朝は夜が嫌いなの?だから夜がきたらいなくなっちゃうの?
太陽もお月さまが嫌いだから、お月さまがきたらいなくなっちゃうの?
じゃあ夜は?夜も朝が嫌いなの?
お月さまも太陽が嫌いなの?
全部同じお空にあるのに、変なの。
一緒にいれないの?これからもずっと?
じゃあ恋をしたらどうするの?
好きなのに逃げるの?好きなのに追いかけないの?
それはもっと変。
ねぇ、お母さん。
どうして?
どうして世界には朝と夜があるの?



「……世界に朝と夜があるのは、ひとりが寂しいから」



朝が夜から逃げるのは、反対に朝が夜を追っているから。
夜が朝から逃げるのは、反対に夜が朝を追っているから。
朝には夜の背中しか見えないの。
夜には朝の背中しか見えないの。
一定の方向にしか進まないから、お互いの顔は見えないの。
どんなに追いかけても、決して交わらない運命なの。
どんなに想っていても、決して叶わないことなのよ。
光が闇を求めて、闇が光を求める世界。
ひとつにはなれないから、求めることで満たすの。
とても滑稽だけれど、求めずにはいられないから。
触れられないから、愛しさが募っていく。
交われないから、欲望が眠りから覚める。
たとえ触れても、ひとつにはなれないの。
そういう運命だから。
だから朝と夜の恋は永遠なの。
永遠にお互いだけを求め続けるから。
未来永劫、お互いに触れられることはないけれど。
でも、それでも。



「永遠、なの……」



こんなにも求めているのに、届かない。
こんなにも愛しているのに、遠ざかる。
私が見るのはいつも、あなたの背中だけ。
あなたが見るのはいつも、私の背中だけ。
不毛な駆け引き。
答えはいつも出ないまま。

触れればきっと戻れなくなる。
触れてもひとつにはなれない。
だからあなたから逃げ続ける。
だからあなただけ追い続ける。
私はあなたを求めて、あなたは私を求める。
滑稽よね。決してひとつにはなれないのに。
同じものを求めることさえ、叶わないのね。



世界が芽吹いた瞬間は、きっとひとつだったのに。



二つの心がひとつだったことを、
こんなにも求めていた。









■後書き

別館の方で書いたので、こちらにものせておきます。
自分でも何が書きたかったのかはわかりません。

Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.79 )
日時: 2012/01/03 13:23
名前: 雲雀 (ID: 7aD9kMEJ)
参照: ■蒼黒の楔 緋色の欠片3 明日への扉 PSP 発売決定記念

【羽休メノ刻/真弘の頁】



「ふふっ……真弘先輩も相変わらず、勢いがある字だなぁ……」

本人に言えば顔を真っ赤にして怒るだろうが、小学生のような見た目に同調して、字にも勢いがあり、とても彼らしい。
珠紀が一度両親の元へ帰った時に送られてきた手紙にも、これくらいの勢いがあったことを思い出す。

「でも、デートってなんだろう……?」

真弘の言い分によれば、祐一はこの交換日記で誰かをデートに誘ったらしい。
きっと真弘先輩の勘違いだよね……?と自己解決し、彼の日記に目を通す。

「あー、やっぱり突っ込んだかー」

祐一の日記に書かれていた【過度な期待はするな】という言葉について、予想通り彼はツッコミをいれた。
凄まじい弁解のしようなので、日記の内容も期待できそうだ。

「天下無敵だって……真弘先輩らしいなー」

常に口元に手をやっていないと、笑い声が漏れてきてしまう。
いちいち子供らしい彼の日記は、確かに【天下無敵】かもしれない。
ただ次の文章に書かれていたことに、珠紀はだいぶほうけてしまった。

「え……嘘……」

真公先輩が……勉強をしている……っ!?
これも本人を前にして行ったら相当怒られるだろう。
食事以外ほとんど勉強をしている真弘先輩……駄目だ。全然思い描けない……っ!
だが彼も受験生。浪人した身でもあるので、今度こそは頑張らないと両親に顔向けができないのだろう。
というか勉強しかしない人=寂しい人だったとは、珠紀にとっては初耳だった。
私も頑張らないと、と珠紀は気合を入れ直し、次の文章へと視線を移す。

意地っ張りな弁解も彼らしくて、実に微笑ましい。
必死になってこの日記を書いている彼の姿が目に浮かぶ。

「でも日記見直すところとか、結構慎重派なのかな?」

なんにしても、受験勉強が行き詰まりそうなこの時期に、彼の日記にはだいぶ力をもらえる。
あとで境内に行ってお参りしてこようかな、と思いつつ、珠紀は花の咲くような笑顔で微笑んだ。









■後書き

あの日記はものすごく真弘でした。
今年から受験生なので、受験に対しての言葉は身に染みます。

Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.80 )
日時: 2012/01/10 20:36
名前: 雲雀 (ID: 7aD9kMEJ)

【螺旋の渇望】



あなたの光でしか輝けない私。
その光で私を輝かせるあなた。
滑稽ですか?
あなたからの光がなければ、輝けない私が。
夜の闇でしか輝くことができないこの私が。
朝ではあなたの光が眩しくて、
私はこの空には存在できない。
できたとしても、それはきっと、儚い幻影。
哀れとでも思って、光を傾けたのですか?
そのぬくもりで、冷めた私を温めようと?
愚かなのですか、あなたは?
星達が瞬く暗闇の中、私はいつもひとりぼっち。
星達が瞬くのなら、私の淡い光なんていらない。
そうは思いませんか?
私を愛してくれるというのなら、その灼熱の温度でとかしてほしい。
ひとりでいるのは寂しいから。あなたの腕の中で灰になれるのなら、
それはきっと、とても幸せなこと。
あたたかな光を放つあなた。
冷えきった淡い光を放つ私。
対でありながらも、決して対にはなれない存在。
だってそうでしょう?
私はあなたからの光がなければ輝くことができない。
あなたは私などいなくても幾多の星を照らし続ける。
存在理由など、手放す必要さえなかった。
だから早く、その熱で私を溶かして灰に。
こんな偽りの光などいらないから、早く。
どうか、あなたが愛している私でいるうちに。
どうか、あなたを愛している私であるうちに。
こんなにも愛しいから。
それでも触れることが叶わないのなら。
ひとつの存在として在ることができないのなら。
壊れるその瞬間は、あなたの腕の中がいい。



「……っ」



ほら、小さな子供が怯えてる。
私の光でその濃さを増す暗闇に。
ほら、刹那を生きる花が震えてる。
私の冷たい光と共に流れる夜の風に。
空が泣いている。
暗闇に消えていくあなたを見て。
愛してくれなんて言わない。
だから早く。



(どうかその手で、)
(私を壊して)



私なんて、必要なかったのだから。
あなたにも、私自信にも。



私はいずれこの手で全てを壊す。
望んでいなくても、変わらない。
変わることのない、悲しい事実。
きっとあなたのことも壊してしまうでしょう。
それでも、あなたはその瞬間まで私を憎いとは思わないのでしょう。
憎んでほしいのに。
微笑みながら、私を許すのでしょう。
いっそあなたに壊してもらえるなら、どんなにいいだろう。
塵と成り果て、新たな星になる私。
そのどれかひと欠片にでも、あなたがいると信じてもいいですか?
私だけが生きるなんて、あまりにも寂しいから。
永遠にも等しい時間は、あまりにも孤独だから。
あなたを巻き込みたい訳じゃない。
ただ、一度でいいから。
あなたと終わりのある時間を生きてみたかった。
あなたと刹那の時を生きてみたかった。
残酷だと笑うかもしれない。
でも、それでも。
あなたとなら、きっと幸せだから。
叶うなら、どうか私を壊して。
愛しいあなたをこの手で壊す前に。
あなたの腕の中でこの命が尽きるなら、
それはこの世のどんなことよりも幸せだから。
こんなにも愛しているのに、
触れたらあなたは灰になる。
それなら儚い望みなど捨てて、
この世の果てでひとり、灰になってしまうおうか。
あなたの涙が苦痛にならないその日まで。
いなくなる術などいくらでもあるのに。
傍にいたいと願う愚かな私。
我儘ですね。
こんな私なら、あなたは憎んでくれますか?
御免なさい、我儘で。
やはりこの命に終止符を打つのは、
あなたがいい。



「……っ」



ほら、か弱い少女が泣いている。
優しい暗闇の中、愛しい人との逢瀬が終わる瞬間に。
ほら、小さな子供が怯えてる。
なくしたぬくもり、あたたかな夢を消し去る残酷な光に。
空が泣いている。
眩い光にのまれていくあなたを見て。
手を差し伸べてなんて言わない。
だから早く。



(私を憎んで、)
(消えることが出来るから)



全てを壊してしまう私。
全てを包み込むあなた。

必要とされるのは、どちらだと思いますか?






正反対の存在。
同じ時間を生きるのに、決して触れ合うことはない。
お互いを壊すことでしかお互いを守れぬのなら。
いっそ二人で逃げてみようか?
命尽きる瞬間は、
命消える瞬間は、
あなたのぬくもりに抱かれている時がいい。
命の幕を下ろすのは、
命を終焉へ導くのは、
あなたのその愛しいぬくもりがいい。
そして二つが壊れたなら、
きっとひとつになれるでしょう。



望みは同じなのに。
焼けつくようなこの胸の痛みはなんですか。



「     」



涙で滲んだ視界の先にうつるあなたの姿が、
どうか幻ではないように。









■後書き

【光と闇の狂想曲】のシリーズです。
今回は月と太陽の物語になっております。

Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.81 )
日時: 2012/01/06 23:10
名前: 雲雀 (ID: 7aD9kMEJ)

■この小説は「緋色の欠片」の物語を作者が勝手に作りかえたものになります。
未プレイの方及び捏造が苦手な方はお控えください。
珠紀と守護者の関係が本編とは全く別のものになっており、
珠紀は美鶴のような位置にあたる人物になっております。
実際の作品のイメージを崩されたくない方も同様にお控えください。






【記憶に残る花はあまりにも鮮やかで/真弘×珠紀】


 



         「 大きくなったら、結婚しようね 」






どこにでもよくある、笑ってしまうような、小さい頃の口約束。
でもきっとその時はとても真剣で、二人で幸せな未来を思い描いてる。
私達もきっとそうだった。
あなたがいて、私がいて、子供も男の子と女の子が両方いて、家の庭には花がたくさん咲いていて、休日は皆でどこかへ出かけたり、家でのんびりしたり。
馬鹿みたいな想像。
叶わないと、心のどこかではもう勘づいていた。
だけど、それでも。






今でも信じてる、って言ったら、あなたは笑いますか?






秋も深まり、季封村にも冬が近づいてきた頃。
珠紀は静紀に呼び出され、彼女の部屋へと向かっていた。
なんとなく、話の内容は珠紀にも理解できていた。
恐らく、玉依姫のことだろう。
もうすぐ、この村へと訪れる。
私が命にかえてでも守るべき人。
失礼します、と襖の前で一度声をかけ、中へと入る。

「来たわね。珠紀」

「はい、何かご用でしょうか。ババ様」

「ええ、あなたにも話しておかなければと思って」

静かな会話。
緊張感があるのは、気のせいじゃない。
ひと呼吸おいて、静紀が口を開く。

「あなたも勘づいてはいると思うけれど、鬼斬丸の封印がとけかかっているの」

鬼斬丸……普通の人が聞いたら、おとぎ話だと言って笑うだろう。
でも事実、私達はそれに縛られている。
目の前にいるこの人も、私も、美鶴も、……守護者の皆も。

「はい……」

口にした言葉は酷く掠れていて、けれど、ここで感情を露にする訳にはいかない。
珠紀は月光に照らされている自分の手を見つめながら、深く息を吸い、声にならない悲しみと共に吐き出した。
そして、静紀を真っ直ぐに見据える。

「もう、迷っている時間はないわね……。当代の玉依姫に、封印を行なってもらわなければ」

「そう、ですね……」

部屋に静寂が訪れる。
それは危うい均衡のようで、永遠にも感じられる時間だった。

「守護五家にも伝えておいてちょうだい。近々、玉依姫が来ると」

「はい……ババ様のご意思のままに」

珠紀は立ち上がり、部屋を出ていこうとする。
すると、静紀がまるで独り言のように呟いた。

「産まれてすぐにいなくなってしまったから……もう、どれくらい大きくなったのかしら」

宙を見つめている彼女の瞳は酷く無機質で、そこから感情を読み取ることはできなかった。
悲しんでいるのか、懐かしんでいるのか。
その声はどこか、寂しげに響いた。









■後書き

文字数がオーバーしたので、二つに分けました。
きりのいいところで終わらせたので、だいぶ短くなっております。

Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.82 )
日時: 2012/01/06 23:23
名前: 雲雀 (ID: 7aD9kMEJ)

■この小説は「緋色の欠片」の物語を作者が勝手に作りかえたものになります。
未プレイの方及び捏造が苦手な方はお控えください。
珠紀と守護者の関係が本編とは全く別のものになっており、
珠紀は美鶴のような位置にあたる人物になっております。
実際の作品のイメージを崩されたくない方も同様にお控えください。






【記憶に残る花はあまりにも鮮やかで/真弘×珠紀】 



珠紀は静紀の言動には一切口を出さず、失礼しました、と言って部屋を出ていった。
縁側から外に出て、月の浮かぶ空を仰ぐ。

「もう……」

穏やかな時間に終わりが来る。
彼らはまだ高校生なのに、過酷なこの運命に翻弄されるのだろう。
その血脈に、生まれついたがために。

「……珠紀?」

聞きなれた声が耳をくすぐった。
振り返れば、夜の闇と一体化するような淡い漆黒の色の髪。

「真弘先輩……こんな夜更けにどうしたんですか?」

珠紀が少し驚きつつ尋ねると、なんか嫌な予感がしてな、と彼らしい言葉で笑った。
その笑顔に、張り詰めた心が、ほんの少しだけほぐれたような気がした。

「お前の顔を見るかぎり……予感的中ってところか?」

「え……?」

「玉依姫のことだろ?」

「……っ……」

そこまで表情に出ていたなんて。
動揺を押し隠すように、珠紀は胸に手をあてた。

「はい……近々、この村に来られるそうです」

「そうか……」

夜風が二人の間をすり抜けてゆく。
まるで、二人を引き裂くように。
隔てる壁はとても薄く、簡単に触れ合うことが出来るけど。
心はあまりにも遠くて、必死になって触れても、壊れてしまうような気がした。

「そんな顔、するな」

「え……?ちょっ……」

真弘がぐしゃぐしゃと珠紀の頭を撫でまわす。
いたいです、と珠紀が抗議の声をあげると、その手は簡単に離れた。

「俺達は大丈夫だ。拓磨も、祐一も、大蛇さんもな。だから、そんな顔、するな」

その眼差しはどこまでも穏やかで、いつもの子供っぽい表情はどこにもなかった。
受け入れた、というよりは、どこか諦めてしまったような。
そんな表情だった。

「せん、ぱい……」

守護五家の運命はとても残酷で、どうして彼らがそんなものにとらわれるのだと、何度も思った。
でも彼の背負う宿命はそれ以上に重く、深く、悲しいものだった。

「私、は……」

頬にあたたかいものが伝う。
声も掠れてしまって、思うように声が出ない。
嗚咽が漏れて、涙で歪んだ視界では彼の顔がよく見えない。
こんな情けない姿、絶対に見せてはいけなかったのに。
言葉にならない悲しみは、涙となって後から後から零れ落ちる。

「泣け泣け。今だけは、泣いてていいから」

真弘の手が、再び珠紀の頭を撫でる。
でもさっきのように乱暴な手つきではなく、壊れ物に触れるような、優しい手つきだった。

「……あっ……」

伝えたい言葉は、口から出てきてはくれなかった。
違う、泣きたいのは私じゃない。
あなたのはずなのに。
あなたが犯した訳でもない罪を背負わされ、生きていくしかないあなたのはずなのに。
どうして、私はこんなにも弱いんだろう。
あなたの優しい手が、また涙を誘うから。
止まらなくなって、喉は自由になってくれない。
どうして、あなたなんだろう。
どうして、こんなにも優しい人が、封印の犠牲にならなくてはいけないんだろう。
私の命を捧げることで、この人が封印という楔から解き放たれるなら、私は迷わずその道を選ぶだろう。
あなたはきっと怒るだろうけど。
あなたに何もしてあげられない無力な私。
それでも、あなたがその優しさを傾けるから。
余計、切なくて。
涙が止まらない。

「お前はほんっと……昔っから泣き虫だな」

半ば抱き締めるような形で、彼は私の頭をぽんぽんと撫でた。
酷く心地よいぬくもり。
それは儚い夢のようで、縋りつくことさえ叶わない。

「ごめ、っなさ…………ごめん……なさい……っ……せん、ぱい……」

「謝ることなんか、何もしてないだろ。お前は」

真弘が珠紀を抱き締める。
彼の表情が見えなくて、ただ悲しい思いを胸に抱いたまま空を見上げた。



「これがもう……最後だから」



彼が呟いた一言。
その言葉に、突き刺すような胸の痛みを覚える。



「は……い……」



幼い頃の口約束。
大きくなったら結婚しようね、なんて、それはそれは馬鹿みたいな約束で。
あの頃はただその幸せな未来だけを思い描けた。
白い花でつくった小さな指輪。
それは私の一番の宝物で、それを彼から貰った時。
「幸せになろうね」って、二人で笑いあった。
もう戻れない、遠い過去の話。
今あるこの胸の痛みなんて、想像もしていなかった頃。
あの頃に戻して、なんて言わないから。
どうか今だけは、時間を止めてほしい。
この、何よりも優しくて脆い、最初で最後の抱擁が、終わってしまう瞬間まで。






(幸せになろうね、)
(そう誓ったのはいつの日か)









■後書き

予定していた真弘の小説です。
美鶴のような立場で恋をすると、玉依姫である時よりも残酷に終わるのかもしれません。


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