二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 【二次創作】泡沫【短編集】(リクエスト募集)
- 日時: 2013/04/28 20:26
- 名前: 雲雀 (ID: Ma3wYmlW)
ご訪問ありがとうございます。
初めまして、雲雀といいます。
ここでは作者の嗜好を中心に、二次小説を書かせていただきます。
同人や乙女ゲームに免疫のない方および苦手な方はご遠慮ください。
また年齢制限があるようなものはカキコのルール上、認められていないので書きません。
18歳未満の方も安心して読んでください。作者自身も18歳未満です。というか、そもそも書けません。
作者の文章能力は他の人と比較して著しく欠落しています。
作品のイメージが損なわれる場合も御座いますので、そのあたりのことは自分で判断してくだい。
たまに創作物やオトメイト作品以外の物も書いたりします。
以上のことをご理解の上でご覧ください。楽しんでいただければ、幸いです。
■取り扱い
【オトメイト】
◇緋色の欠片 ◆薄桜鬼 ◇夏空のモノローグ ◆ワンドオブフォーチュン ◇二世の契り
◆翡翠の雫 ◇蒼黒の楔 ◆ヒイロノカケラ ◇神なる君と ◆AMNESIA
◇猛獣使いと王子様 ◆華鬼 ◇DIABOLIK LOVERS -ディアボリックラヴァーズ-
【ジャンプ】
◇家庭教師ヒットマンREBОRN! ◆D.Gray-man ◇黒子のバスケ
◆magico ◇テガミバチ ◆めだかボックス
【Gファンタジー】
◇君と僕。 ◆Pandora Hearts ◇黒執事
◆デュラララ!! ◇キューティクル探偵因幡
【LaLa】
◇夏目友人帳 ◆ヴァンパイア騎士 ◇狼陛下の花嫁
◆おいらんガール ◇サクラの秘事
【その他】
◇ボーカロイド ◆靴下にゃんこ ◇Sentimental Circus
◆FINAL FANTASY ◇THE LAST STORY ◆イナズマイレブン
◇カゲロウプロジェクト ◆終焉ノ栞プロジェクト ◇創作物
■お客様
◇マッカナポスト ◆亜瑠都様 ◇ツン萌え ◆蟻様 ◇亜鶴様 ◆カノン様 ◇素海龍様 ◆苗字様
■いちまんきかく
10000hit Thanks >>208
◇素海龍様 家庭教師ヒットマンリボーン/ヴァリアー 【くるくるまわる/ヴァリアー】 >>211
◆苗字様 夏目友人帳
参照が10000を超えたので、そのお礼です。
忘れ去られているとは思いますが、かならず書きます。
■更新履歴
<緋色の欠片>
【その声に。/祐一×珠紀】 >>1
【二人の彼】 >>34 【触れた指先/祐一×珠紀】 >>73
【記憶に残る花はあまりにも鮮やかで/真弘×珠紀】 >>81(一部) >>82(二部)
【想うことが罪だとしても/ゲントウカ×玉依姫】 >>146 【記憶の果て/祐一×珠紀】 >>158
【守りたい人/慎司×珠紀】
ACT1【分かたれた結末を想う。】 >>180
ACT2【独白】 >>181
ACT3【夕暮れに消える。】 >>187
ACT4【愛してるに耳を塞ぐ。】 >>201
ACT5【木漏れ日の記憶。】 >>203
<蒼黒の楔>
【花火】 >>13 【傍に、と消える声/拓磨×珠紀】 >>46 【花ノ香ノ/拓磨の頁】 >>70
【刹那ノ蒼/祐一の頁】 >>71 【羽休メノ刻/真弘の頁】 >>79 【褪メユク残香/卓の頁】 >>90
【春ノ呼声/慎司の頁】 >>102 【灰色ノ空/遼の頁】 >>153
<ヒイロノカケラ>
【あなたしか見えない/怜×沙弥】 >>39
<薄桜鬼>
【永久の軌跡/総司×千鶴】 >>6 【巡りゆく桜の記憶/総司×千鶴】 >>111
<ワンドオブフォーチュン>
【今日の永遠/エスト×ルル】 >>47
<夏空のモノローグ>
【いつかが終わるその日まで/葵&陽&涼太】 >>60 【気づいてしまった。/涼太×葵】 >>68
<神なる君と>
【それはもう過去のこと。/鳴海×咲耶】 >>67
<DIABOLIK LOVERS -ディアボリックラヴァーズ->
【堕ちる瞬間】 >>156
<家庭教師ヒットマンREBОRN!>
【雲雀家四人兄弟/アラウディ&風(大人ver)&雲雀恭弥(10年後)&雲雀恭弥(10年前)】 >>9
【好きを憧れで捩じ伏せる。/ベルフェゴール&フラン】 >>186
【くるくるまわる。/ヴァリアー】 >>211
<黒子のバスケ>
【甘いお菓子には変わらない/黒子&木吉】 >>59
<めだかボックス>
【気まぐれな世界の終わり/善吉&禊】 >>177
<君と僕。>
【その言葉に救われる。/悠太&祐希】 >>57 【17回目のハロウィン/悠太&祐希&要&春】 >>61
【桜日和/浅羽story&塚原story&松岡story】 >>152
<Pandora Hearts>
【終わりに重ねる掌】 >>131
<キューティクル探偵因幡>
【その声をどうか。/圭&遥】 >>27 【はじめまして、と笑う。/圭&遥】 >>213
<蛍火の杜へ>
【いつまでも。/ギン×蛍】 >>147
<ヴァンパイア騎士>
【ただあなたの幸せを。/零×優姫】 >>105 【黒ノ独白/零×優姫】 >>121 【二度と帰れない場所/零×優姫】 >>126
【面影−オモカゲ−/枢×優姫】 >>136 【虚像/枢×優姫】 >>160
<FINAL FANTASY>
【架かる虹の麓へ】 >>124
<カゲロウプロジェクト>
【あの日、いつか。/シンタローとコノハ】 >>199 【この世界に、今。/シンタローとコノハ】 >>200
【それでも、世界。/クロハ】 >>209 【伝えたいことがある。/シンタロー】 >>214
【延命プレリュード/シンタローとコノハ】 >>220【深海シンフォニー/シンタローとクロハ】 >>221
【さよならにキスをする。/シンタローとアヤノ】 >>222 【Please tell me my thought/シンタローとカノ】 >>224
◇しりーず
シンタローとコノハとクロハと遥が兄弟な話。
【朝に見る。】 >>223
<終焉ノ栞プロジェクト>
◇しりーず
【0と1のラブレター/A弥】 >>225 【届くことのないさよならを/C太】 >>226
【君が0になる前に/A弥】 >>231
<ボーカロイド>
【ロミオとシンデレラ/初音ミク】 >>2 【五月雨恋歌/初音ミク】 >>3 【秋風恋歌/巡音ルカ】 >>5 >>52
【暗い森のサーカス/初音ミク&鏡音リン&鏡音レン】 >>7
【人柱アリス/初音ミク&鏡音リン&鏡音レン&KAITО&MEIKО】 >>8 【月光と黒/KAITО】>>10
【鬼と娘/KAITО】 >>14 【大和撫子、咲き誇れ/初音ミク】 >>15 【夢の浮橋/巡音ルカ】 >>35
【からくりピエロ/初音ミク】>>45 【Trick and Treat/鏡音リン&鏡音レン】 >>62
【つきうさぎ/初音ミク】 >>63 【夢と葉桜/初音ミク】 >>125 【会いたい−Dear My Friend−/GUMI】 >>139
【右肩の蝶/鏡音リン&鏡音レン】 >>163 【背徳の記憶〜The Lost Memory〜/鏡音レン&KAITO&神威がくぽ】 >>164
<Sentimental Circus>
【いつかの温もり】 >>50 【幸福論】 >>166
<創作>
【微睡み/Short Story】 >>4 【譬えばそれを。】 >>18 【境界線】 >>38
【さよならの記憶】 >>42 【二度はないから】 >>51 【切ない優しさ】 >>53
【思慕/Short Story】 >>56 【一番星に消える】 >>58
【Disappearance】 >>64 【懺悔と後悔】 >>65 【謝罪と切望】 >>66 【夢物語—ユメモノガタリ—】 >>69
【瞬間センチメンタル】 >>72 【光と闇の狂想曲】 >>78 【螺旋の渇望】 >>80
【思慕の狂想曲—シボノラプソディー—】 >>140 【月下で踊る白うさぎ】 >>142
【鮮やかな黒と無色彩の真紅−Deal of black and crimson−】 >>144
【永遠の物語−Eternal story−】 >>145 【永遠の空白】 >>157 【瞬間/Short Story】 >>162
【薄紫の手紙】 >>171 【color】 >>191 【慟哭】 >>196
【アスタリスク】 >>202
<そーさく。>
【出鱈目セレクション】 >>204 【感情制御。】 >>207 【この思いが届くなら。】 >>210
■もう戻れないあの日々を、どうか。
01/あなたの傍にいられるだけで幸せ 【この思いが届くなら。】 >>210
02/口づけだけで満たされる想い 【二度と帰れない場所/零×優姫】 >>126
03/幸せになろうね 【記憶に残る花はあまりにも鮮やかで/真弘×珠紀】 >>81(一部) >>82(二部)
04/どうかあなただけはそのままで 【ただあなたの幸せを。/零×優姫】 >>105
05/あなたと過ごした日々 【いつまでも。/ギン×蛍】 >>147
06/触れ合った指先のぬくもり 【気づいてしまった。/涼太×葵】 >>68
07/追憶 【それはもう過去のこと。/鳴海×咲耶】 >>67
08/傍にいて 【その言葉に救われる。/悠太&祐希】 >>57
09/大切すぎて 【触れた指先/祐一×珠紀】 >>73
10/ずっと傍にいたから 【譬えばそれを。】 >>18
■求めたものが、あまりにも儚い存在だと知る願い
01/この瞬間が 【瞬間/Short Story】 >>162
02/今だけは 【二度はないから】 >>51
03/人というぬくもりに 【感情制御。】 >>207
04/君に会えるなら 【伝えたいことがある。】 >>214
05/静かに眠る夜 【いつかの温もり】 >>50
06/心地いい君と 【深海シンフォニー】 >>221
07/ごめんね 【謝罪と切望】 >>66
08/触れていたぬくもりが
09/痛みを抉る 【切ない優しさ】 >>53
10/もしも願いが叶うなら
■君におくる。
01/君が好きでくるしい。 >>215
02/君が嫌いすぎてわらえる。 >>216
03/君が幸せならそれでいい。 >>217
04/君が許せなくてつらい。 >>218
05/君がいてくれてうれしい。 >>219
自分で勝手につくりました。
途中からお話の中にいれるのを忘れてたので、まとめて書いておきました。興味があればどうそ。
もう戻れないあの日々を、どうか。 >>212
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- Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.223 )
- 日時: 2013/02/23 18:19
- 名前: 雲雀 (ID: Ma3wYmlW)
【朝に見る。】
シンタロー/四男、常識人。
コノハ/双子の片割れ、ブラコン。天然。
クロハ/双子の片割れ、ブラコン。常識人。
遥/長男、ブラコン。天然。
「ぐぅっ……!?」
腹にありえない衝撃を受けて、目を覚ました。
反射的に手で触れれば、自分ではない誰かの手。
俺は一瞬で自分のおかれている状況を理解し、出来ればこのような状況になる前に目覚めたかったと心底後悔した。
あまりの痛みに悶絶しながらも、そいつの名前を呼ぶ。
「こ、の……」
俺の腹に拳をめり込ませている本人、コノハは俺の隣でスヤスヤと気持ちよさそうに眠っていた。
俺の安眠を返しやがれこの野郎。
とりあえずコノハの手を腹からどかし、まだ痛む患部をおさえながら時間を確認する。
六時二十分。いつもならまだ寝ていられるが、今日は朝食当番だ。
俺をのぞく他の奴らは、普通の人間ならありえない量の食事をとる。
渋々ベッドから起き上がり、身支度をはじめた。
キッチンに立ち、何人分かわからない大量のホットケーキを作り続けて、何十分経っただろうか。
手が痛い。朝から卵わって牛乳入れてホットケーキミックスぶちまける作業を繰り返すとかなんの苦行だ。
既に皿には食えと言われたら吐き気がしそうなほどの量のホットケーキが盛られている。
あいつらは何故太らないんだ?今度病院にでも行って、是非調べてきていただきたい。そして暫らく帰ってくるな。
「シンタローおはよー」
「うわっ!?」
脳内でこの苦行に対する不満をぶつぶつと呟いていたら、不意に後ろから抱きつかれた。
振り返れば、白い髪と赤い目が目に入る。
「コノハか……急に抱きつくな。フライパンひっくり返すだろうが」
「……ごめん」
コノハは申し訳なさそうに肩を落とした。が、依然として抱擁をといてくれない。
ヘルプミー。助けろ誰か。地味に今朝の傷が痛む。
「おはよー!二人ともー!」
「ぐふぅっ!?」
コノハのそれに加え、更に左からミサイルよろしくと言わんばかりの抱擁が飛んでくる。
もう俺にとっては攻撃でしかないそれを食らわせた本人は満面の笑みで俺とコノハを見てから、
「二人とも今日も仲良しだねー!」
とか言ってくる。
あれか?今日は俺の命日か何かか?
朝から走馬灯を見てばかりのような気がする。
「おはよー遥」
いつもの無表情で、コノハが挨拶を返す。
それに、遥もおはよー。と笑みを返した。
俺も一応……っていやいやいやいや、今はそんな場合じゃない。
一刻も早く、このダブルホールディング状態から抜け出さなければ。
「二人ともとっとと離れ、」
「「えー……」」
「えー……じゃない離れろ!」
というか俺の身体をいたわってくれ。
今までに受けたダメージのせいで、ライフはほぼ0なんだ。
「……お前ら何やってんの?」
とそこへ、新聞を片手にクロハが怪訝そうな顔をして入ってきた。
ありがとう。今日、抱きついてこなかったのはお前だけだよ。
そして、出来ればこいつらをどうにかしてくれるとありがたい。
「あ、クロハおはよー」
「おはよー」
「はよ……いやだからその状況はなんなんだよ」
新聞をテーブルの上におき、キッチンに入ってくる。
そして俺のことを見てから、盛大にため息をついた。
「いい加減離してやれ」
「「えー……」」
「どこの餓鬼だお前ら……後ろ、」
後ろ、と言われてはっとした。
ばっと振り返り、俺は思わず叫ぶ。
「ホットケーキぃぃぃぃいいいいいいっ!」
この長い会話の中、一度もひっくり返されることのなかったホットケーキ。
恐る恐るひっくり返してみれば、案の定、裏面は真っ黒になっていた。
いったいこいつが何をしたというんだ……。俺はそっと手をあわせた。
「はぁ……って、うわ、もう結構時間やばいぞ」
「あ、本当だ。どうする?さぼる?」
「とりあえず一時限目は遅れるって先生に言っとこっか。コノハー、電話とってー」
「ん、」
コノハの手がゆっくりと俺から離れる。
あと一人はどうやって引き剥がそうかと考えていたら、クロハが丸めた新聞紙で遥の頭をぶっ叩いて剥がしてくれた。
「人の頭叩いちゃ駄目だって言ってるでしょクロハ」
「人前で弟に抱きついてる奴に言われたくねーよこのブラコン。とっととあのホットケーキの山どうにかしてこい」
クロハの言葉に、そうだった!と遥は目を輝かせてテーブルに向かう。
コノハは遥に頼るまでもなく電話を済ませたようで、リビングに戻ってきた。
「お腹すいた……」
「食べよ食べよ」
嬉しそうにホットケーキに蜂蜜を塗りたくる兄弟たち。はっきり言って、見てるだけで胸やけがする。
そんな二人の会話を聞きながら、そういえば、とクロハの方を見た。
「サンキュ、クロハ」
「ん……?あぁ……あれくらい、一人でどうにか出来るようになれよ」
ぽんぽんと軽く頭を叩かれたあと、ぎゅう、と抱きしめられた。
さっきの二人よりはいくらか柔らかいそれに、ため息をつく。
「結局お前も抱きつくのかよ」
「俺だけ抱きついちゃいけないなんて法律はない」
「あぁ、そう……」
本当に、朝から疲れた。
(シンタロー?クロハ?早く食べないと冷めるよ?)
(ほら、二人とも早く早く!)
(……って、もう半分食ったのかよ!)
(朝早く起きて作った意味って……)
ベッドに戻って二度寝したい気分である。
■後書き
兄弟にしました。御免なさい。
楽しかったので、気が向いたら続きを書こうと思います。
メカクシ団の皆も出せたらいいな……いや、出せよ。
原作を無視しっぱなしで、本当にすみません。
- Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.224 )
- 日時: 2013/03/05 21:42
- 名前: 雲雀 (ID: Ma3wYmlW)
【Please tell me my thought】
けたたましいサイレンの音が、進行方向とは逆の方向から鳴り響いてきた。
その音に肩をすくませながら、後ろを歩いていた彼を振り返る。
案の定、彼はサイレンの音がする方へと顔を向け、その歩みを止めていた。
「はずれ、みたいだね。残念」
今まで自分たちが向かおうとしていた方向を指さして笑えば、彼は僕の顔を見た後、小さくため息をついた。
「元々こっちは望み薄だったんだ。それに、今回の件はキドの能力があった方がやりやすいだろ」
近くの壁に寄りかかりながら、彼はさも当然のようにそう言い捨てた。
その反応に僕は、んー。と首を傾げる動作をする。
あくまで憶測の範囲だが、彼ぐらいの脳なら、立地やら彼らの研究内容やらで地理学と経済学を結びつけて、こっちの方はないと断定する事が出来たんじゃないだろうか。
先ほど彼は「望み薄」と言ったが、それだって彼の判断だ。
それを誰に習うでもなくやってのけるのだから、やはり『天才』という生き物は侮れない。
僕はにっこりと笑顔をつくった。
「そうだけどさー、でもなんか暇じゃない?」
「お前の事情なんか知らねぇよ」
「そうだ!じゃあ僕の昔話をするよ」
「人の話聞けよ」
「まぁまぁそう言わず、」
全部、法螺話だからさ。
濃さを増した夜のせいなのか、それとも相手が彼だったからなのか。
そのどちらもなのかは、僕にもわからないけれど。
でもまぁ、暇つぶしには丁度いいだろうから。
不服そうな彼に、また笑みを貼りつけた。
「どうせキド達も終わるまでもう少しかかるだろうし、僕の日頃の愚痴だと思って聞いてよ」
そう言えば、彼は仕方ないと言ったような顔をして、先ほどしたような小さなため息をもう一度ついてからこちらを見た。
なんだかんだ言って、彼もまた兄なのだろう。
今みたいなところを見ると、少し再認識させられる。
「あはは、じゃあシンタローくんも真面目に聞いててくれる事だし、ちゃんと話そっか」
パーカーのポケットに手を突っ込みながら、んー。と思考を巡らせる。
「十年くらい前かな?僕、こう見えても正直者だったんだよ」
「嘘くせぇ」
「え?酷くない?」
「いーから続き」
「えー……」
ブーブーと不平不満を漏らす僕に、彼は早く。と話の先を促す。
意外にも興味をもっていてくれているようで、その目つきはいつもより真剣だった。
「まぁいいや……で、そんな正直者の僕が『目を欺く』なんて能力もってるなんておかしくない?」
「真理だろ」
「そこまで言っちゃう?」
率直すぎる彼の声に笑いながら、淡々と話を進めていく。
早くって言われたしね。
「それがさー、正直すぎる僕に呆れたのか、ある日、怪物の声がしたんだ」
『怪物』
その圧倒的質量をもつ言葉に、彼が目を見開くのがわかった。
「『嘘をつき続けろ』ってさ。それ以来、僕はこんな『嘘つき』になったんだ」
大袈裟な手ぶりで自分をさせば、今でもあの時の声が耳に蘇るようだった。
——嘘をつき続けろ。
今思えば、そんな声を鵜呑みにしてこの能力に溺れている僕もどうかとは思うけれど。
まぁ、何を思っても今更だろう。
「それはもう、騙せない人や物なんてないくらいに、ね」
そこまで言って、深く息を吸う。そして、吸い込んだ空気を、ゆっくりと吐き出した。
さて、ここからのお話はどうしようか。
正直に言うと、かなり悩んでいる。
彼に、どこまで伝えていいのか。
彼に、どうやって伝えたらいいのか。
欺いたまま彼の顔を見れば、その思考が無駄だった事に気づく。
——きれいな目だった。
全てを受け止めてくれるような、そんな目。
その目にため息をつきながら、星の少ない空を仰ぐ。
「いつの間にかさ、僕自身が『怪物』に成り果てちゃったんだ」
もっと聞いてほしい。
僕の本心を、嘘をつかないと生きていけない我儘を。
そして、見つけてほしい。
いなくなってしまった、この嘘の理由と、本物の僕を。
他の誰でもない、彼に。
『寂しい』の、たった一言を。
「こんなどうしようもない僕なんて、もう救いようがないかな?シンタローくん?」
冗談口調で言った声は、夜風に飲まれて消えていった。
沈黙に耐え切れずに口を開いたが、耳に届いたのは僕のものではない声だった。
「受け入れればいい」
静かなその声は、脳を麻痺させるには充分な威力をもっていた。
「受け、入れる……?」
反復すれば、彼はこちらを見て小さく頷く。
「偽ってようがなんだろうが、お前はお前だ。それでも、その塗り固めた『嘘』をお前が嫌うなら、その逆を見ればいい。そこに、本当のお前がいる。簡単すぎて、問題にもならないだろ?」
そう言って、慣れていないのか、彼はぎこちない笑みで笑った。
——あぁ、ミスっちゃった。
もっと早くに、気づいておくべきだったかな。
「じゃあ、見つけてみなよ」
彼が、優しい人間であることに。
(真っ直ぐな目も、優しい目も、)
(僕には眩しいくらいで、)
■後書き
入試があったので、中々来られませんでしたすみません。
シンタローとカノさんのお話が書けて楽しかったです。
後半に行くにつれて文の拙さがが際立っておりますが、許していただけらと思います。普段から文を書く能力がないのと、今回はリハビリも兼ねているので言い訳ですすみません。
「夜咄ディセイブ」を聞いたときから書こう書こうとは思っていたんですが、まさかこんなに延びるとは……本当にすみませんでした。
- Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.225 )
- 日時: 2013/03/28 19:27
- 名前: 雲雀 (ID: Ma3wYmlW)
【0と1のラブレター】
「果物がね、パレードしてたんだ」
横でジュースを飲んでいた君が、楽しげに笑った。
新手のポルターガイスト現象かな。と、目をきらきらと輝かせている。
世間の子供よりどこか冷めていた俺は、果物を少しずつ動かして映像を繋げたんだな……CM製作のスタッフさん、どうもお疲れ様でした。と皮肉に笑いながらも、君にそっか。と声を返した。
君はとても純粋だから、それらの映像がフィクションだっていう事を、とても長い時間をかけて知るんだろうな。
嬉々として「パレードをする果物」について話す君の頭をそっと撫でて、どうかこの時間が少しでも長く続きますように。そう願った。
「——A弥、落ち着いて聞いて、」
伝えられた言葉は、凄まじい勢いで僕の心に現実を叩きつけた。
なのに、頭は理解することを拒み、精神の奥深くでは、受け入れることを放棄した。
「C太が、自殺、したの」
何を言っているんだ。と思った。
あいつが、自殺なんて、天と地がひっくり返ったって起こりえない。
そう言おうとした。なんの冗談。いつものように、陰湿に笑って。
でも、声を出そうと開いた口からは、なんの意味もない呼吸音が聞こえるだけで、ケータイ越しには何も伝わらなかった。
「A——」
B子が僕の名前を言いかけたが、何もかもを振り切るように通話を切った。
虚しい通話終了の音が、耳に響く。
画面を見れば、あの日の君が笑ってた。
記念撮影とか言って、別になんの記念でもないのに、無理矢理肩組んで写真撮らされて。
勝手にケータイの画面それに変えられて、面倒くさくなってそのまま放置して。
「——なに、いなくなってんの」
さよならも、愛してるも、言ってないくせに。
(1、2、3、もしもし、届いてますか。)
(どうか、届いて、君へ。)
■後書き
この胸を締めつけるのは、君ですか。
終焉ノ栞欲しいのにどこにもないのであてつけでsごめんなさい嘘です書きたかっただけです。
卒業式終わりました。寂しくて傷心の日々を送っております。
まぁ、そんなことはいいとして、CDが欲しいです。小説は友人にかりてざっと読んだので……え、いや、あの、原作無視してすみませんでした。
C太くんの依存ぶりはもの凄いですが、C太がいなくなった時のA弥を想像してしまいまして、こんなことに。
ちょっと続きます。すみません。
でも、続きます。本当にすみません。
- Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.226 )
- 日時: 2013/03/28 21:00
- 名前: 雲雀 (ID: Ma3wYmlW)
【届くことのないさよならを】
「——A弥?」
熱で意識が朦朧とする中、優しく僕の名前を呼ぶ声が聞こえた。
布団から顔を出せば、やっぱりと言うかなんと言うか、心配そうな顔のC太がいた。
そして、僕の顔を見るや否や、安心したように微笑む。
「よかったぁ……ちゃんと生きてた」
「しー、た……」
生きてたってどういう事だ、生きてたって。
これくらいで死んでたら、僕はどれだけ貧弱なんだ。
そう言おうとしたけど、両親のいないこの状況を気づかないうちに相当不安に思っていたらしく、気づけばC太の名前を呼んでいた。
「お父さんとお母さんは?」
「し、ごと……」
「だよねー……いなかったし……A弥何か食べた?」
首を横に振れば、じゃあちょっと台所かりるね。とC太は部屋を出て行った。
その後すぐに急激な眠気に襲われ、僕は意識を手放した。
*
『助けたかったんでしょう?』
携帯の向こうから、無機質な声が響く。
この声を聞くのは、もう何度目だろうか。
『でも、いつも殺してしまうのね』
頬に生温かい感触が伝ったが、無視した。
携帯も全てを無視するかのように、淡々と言葉を紡ぐ。
『あなたには、助けられないのね』
助け、られない。
変えられない、結末。
いつも、どうしても、どうやっても、すれ違う。
後に残るのは、あいつからの思いだけ。
『死人には、言葉なんて紡げないわ』
知ってる、そんなこと、もう、どうしようもないくらいに。
でも、願い続けていたい。
二人がまた、隣で笑い合える未来を。
『何度も、何度も……繰り返すのね』
どうか、どうか。
そう、何度も、何度も。
「——まるで、心中みたいだな」
通話を切って、かけなおす。
生憎、相手は出なかった。
ぽつり、一言だけ呟いて、少年は青い空へと飛び降りた。
*
「A弥?」
お粥をつくり終えて部屋に戻れば、ベッドからは規則正しい寝息が聞こえた。
近づいてA弥の顔をのぞきこめば、安心しきった顔で眠っている。
「もう、大丈夫だよ……」
大丈夫。そう、繰り返す。
「A弥は、俺が守るから」
「——C太……?」
いつも、僕の声は君に届かない。
あの時も、ありがとうって、そう言いたかったのに。
結局、ずっと何も伝えられないまま。
いつの間にか、僕も君も、高校生になってしまった。
今日も君は、僕の隣にいるんだろうか。
明日も君は、僕の隣にいるんだろうか。
「……雨、振りそうだな」
青い空が、雲に覆われていく。
(101回目の心中、)
(届いた言の葉は、誰のもの?)
■後書き
この声は、君のもとまで届きますか。
何がしたかったんだ。すみません、分かりません。
【0と1のラブレター】の続きです。
小説と漫画、両方とも買えました。CDは未だに買えてません。
とりあえず、説明します。「平凡な日常」のところ、何度も繰り返していたので、よし本編も繰り返そうと勝手な事を考えました。
はい、御免なさい。そして、何度も繰り返すうちにC太が気づいて、A弥が生きるためにはどうしたらいいだろうって考えて、今回の事のようになりました。
C太ファンの皆さん、というか終焉ノ栞ファンの皆さん、本当に御免なさい。原作無視して御免なさい。
- グッチ バッグ ( No.227 )
- 日時: 2013/04/15 10:51
- 名前: グッチ バッグ (ID: Kxa936Ty)
- 参照: http://www.cheapguccibagsonsales.com/
今日は よろしくお願いしますね^^すごいですね^^
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