二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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【二次創作】泡沫【短編集】(リクエスト募集)
日時: 2013/04/28 20:26
名前: 雲雀 (ID: Ma3wYmlW)

 ご訪問ありがとうございます。
初めまして、雲雀といいます。
ここでは作者の嗜好を中心に、二次小説を書かせていただきます。

 同人や乙女ゲームに免疫のない方および苦手な方はご遠慮ください。
また年齢制限があるようなものはカキコのルール上、認められていないので書きません。
18歳未満の方も安心して読んでください。作者自身も18歳未満です。というか、そもそも書けません。

 作者の文章能力は他の人と比較して著しく欠落しています。
作品のイメージが損なわれる場合も御座いますので、そのあたりのことは自分で判断してくだい。
たまに創作物やオトメイト作品以外の物も書いたりします。

 以上のことをご理解の上でご覧ください。楽しんでいただければ、幸いです。


■取り扱い

【オトメイト】

◇緋色の欠片 ◆薄桜鬼 ◇夏空のモノローグ ◆ワンドオブフォーチュン ◇二世の契り
◆翡翠の雫 ◇蒼黒の楔 ◆ヒイロノカケラ ◇神なる君と ◆AMNESIA 
◇猛獣使いと王子様 ◆華鬼 ◇DIABOLIK LOVERS -ディアボリックラヴァーズ-

【ジャンプ】

◇家庭教師ヒットマンREBОRN! ◆D.Gray-man ◇黒子のバスケ
◆magico ◇テガミバチ ◆めだかボックス

【Gファンタジー】

◇君と僕。 ◆Pandora Hearts ◇黒執事 
◆デュラララ!! ◇キューティクル探偵因幡  

【LaLa】

◇夏目友人帳 ◆ヴァンパイア騎士 ◇狼陛下の花嫁
◆おいらんガール ◇サクラの秘事

【その他】

◇ボーカロイド ◆靴下にゃんこ ◇Sentimental Circus 
◆FINAL FANTASY ◇THE LAST STORY ◆イナズマイレブン 
◇カゲロウプロジェクト ◆終焉ノ栞プロジェクト ◇創作物


■お客様

◇マッカナポスト ◆亜瑠都様 ◇ツン萌え ◆蟻様 ◇亜鶴様 ◆カノン様 ◇素海龍様 ◆苗字様


■いちまんきかく

 10000hit Thanks >>208

◇素海龍様 家庭教師ヒットマンリボーン/ヴァリアー 【くるくるまわる/ヴァリアー】 >>211
◆苗字様 夏目友人帳

 参照が10000を超えたので、そのお礼です。
 忘れ去られているとは思いますが、かならず書きます。


■更新履歴

<緋色の欠片>

【その声に。/祐一×珠紀】 >>1 
【二人の彼】 >>34  【触れた指先/祐一×珠紀】 >>73
【記憶に残る花はあまりにも鮮やかで/真弘×珠紀】 >>81(一部) >>82(二部)
【想うことが罪だとしても/ゲントウカ×玉依姫】 >>146   【記憶の果て/祐一×珠紀】 >>158

【守りたい人/慎司×珠紀】

ACT1【分かたれた結末を想う。】 >>180
ACT2【独白】 >>181
ACT3【夕暮れに消える。】 >>187
ACT4【愛してるに耳を塞ぐ。】 >>201
ACT5【木漏れ日の記憶。】 >>203

<蒼黒の楔>

【花火】 >>13  【傍に、と消える声/拓磨×珠紀】 >>46  【花ノ香ノ/拓磨の頁】 >>70
【刹那ノ蒼/祐一の頁】 >>71  【羽休メノ刻/真弘の頁】 >>79  【褪メユク残香/卓の頁】 >>90
【春ノ呼声/慎司の頁】 >>102  【灰色ノ空/遼の頁】 >>153

<ヒイロノカケラ>

【あなたしか見えない/怜×沙弥】 >>39

<薄桜鬼>

【永久の軌跡/総司×千鶴】 >>6  【巡りゆく桜の記憶/総司×千鶴】 >>111

<ワンドオブフォーチュン>

【今日の永遠/エスト×ルル】 >>47

<夏空のモノローグ>

【いつかが終わるその日まで/葵&陽&涼太】 >>60  【気づいてしまった。/涼太×葵】 >>68

<神なる君と>

【それはもう過去のこと。/鳴海×咲耶】 >>67

<DIABOLIK LOVERS -ディアボリックラヴァーズ->

【堕ちる瞬間】 >>156

<家庭教師ヒットマンREBОRN!>

【雲雀家四人兄弟/アラウディ&風(大人ver)&雲雀恭弥(10年後)&雲雀恭弥(10年前)】 >>9
【好きを憧れで捩じ伏せる。/ベルフェゴール&フラン】 >>186
【くるくるまわる。/ヴァリアー】 >>211

<黒子のバスケ>

【甘いお菓子には変わらない/黒子&木吉】 >>59

<めだかボックス>

【気まぐれな世界の終わり/善吉&禊】 >>177

<君と僕。>

【その言葉に救われる。/悠太&祐希】 >>57  【17回目のハロウィン/悠太&祐希&要&春】 >>61
【桜日和/浅羽story&塚原story&松岡story】 >>152

<Pandora Hearts>

【終わりに重ねる掌】 >>131

<キューティクル探偵因幡>

【その声をどうか。/圭&遥】 >>27  【はじめまして、と笑う。/圭&遥】 >>213

<蛍火の杜へ>

【いつまでも。/ギン×蛍】 >>147

<ヴァンパイア騎士>

【ただあなたの幸せを。/零×優姫】 >>105  【黒ノ独白/零×優姫】 >>121  【二度と帰れない場所/零×優姫】 >>126
【面影−オモカゲ−/枢×優姫】 >>136  【虚像/枢×優姫】 >>160

<FINAL FANTASY>

【架かる虹の麓へ】 >>124

<カゲロウプロジェクト>

【あの日、いつか。/シンタローとコノハ】 >>199  【この世界に、今。/シンタローとコノハ】 >>200
【それでも、世界。/クロハ】 >>209  【伝えたいことがある。/シンタロー】 >>214
【延命プレリュード/シンタローとコノハ】 >>220【深海シンフォニー/シンタローとクロハ】 >>221
【さよならにキスをする。/シンタローとアヤノ】 >>222  【Please tell me my thought/シンタローとカノ】 >>224

◇しりーず

シンタローとコノハとクロハと遥が兄弟な話。

【朝に見る。】 >>223

<終焉ノ栞プロジェクト>

◇しりーず

【0と1のラブレター/A弥】 >>225  【届くことのないさよならを/C太】 >>226  
【君が0になる前に/A弥】 >>231

<ボーカロイド>

【ロミオとシンデレラ/初音ミク】 >>2  【五月雨恋歌/初音ミク】 >>3  【秋風恋歌/巡音ルカ】 >>5 >>52
【暗い森のサーカス/初音ミク&鏡音リン&鏡音レン】 >>7
【人柱アリス/初音ミク&鏡音リン&鏡音レン&KAITО&MEIKО】 >>8  【月光と黒/KAITО】>>10 
【鬼と娘/KAITО】 >>14  【大和撫子、咲き誇れ/初音ミク】 >>15  【夢の浮橋/巡音ルカ】 >>35
【からくりピエロ/初音ミク】>>45  【Trick and Treat/鏡音リン&鏡音レン】 >>62
【つきうさぎ/初音ミク】 >>63  【夢と葉桜/初音ミク】 >>125  【会いたい−Dear My Friend−/GUMI】 >>139
【右肩の蝶/鏡音リン&鏡音レン】 >>163  【背徳の記憶〜The Lost Memory〜/鏡音レン&KAITO&神威がくぽ】 >>164

<Sentimental Circus>

【いつかの温もり】 >>50  【幸福論】 >>166

<創作>

【微睡み/Short Story】 >>4  【譬えばそれを。】 >>18  【境界線】 >>38
【さよならの記憶】 >>42  【二度はないから】 >>51  【切ない優しさ】 >>53
【思慕/Short Story】 >>56  【一番星に消える】 >>58
【Disappearance】 >>64  【懺悔と後悔】 >>65  【謝罪と切望】 >>66  【夢物語—ユメモノガタリ—】 >>69
【瞬間センチメンタル】 >>72  【光と闇の狂想曲】 >>78  【螺旋の渇望】 >>80
【思慕の狂想曲—シボノラプソディー—】 >>140  【月下で踊る白うさぎ】 >>142
【鮮やかな黒と無色彩の真紅−Deal of black and crimson−】 >>144
【永遠の物語−Eternal story−】 >>145  【永遠の空白】 >>157  【瞬間/Short Story】 >>162
【薄紫の手紙】 >>171  【color】 >>191  【慟哭】 >>196
【アスタリスク】 >>202

<そーさく。>

【出鱈目セレクション】 >>204  【感情制御。】 >>207  【この思いが届くなら。】 >>210


■もう戻れないあの日々を、どうか。

01/あなたの傍にいられるだけで幸せ 【この思いが届くなら。】 >>210
02/口づけだけで満たされる想い 【二度と帰れない場所/零×優姫】 >>126
03/幸せになろうね 【記憶に残る花はあまりにも鮮やかで/真弘×珠紀】 >>81(一部) >>82(二部)
04/どうかあなただけはそのままで 【ただあなたの幸せを。/零×優姫】 >>105
05/あなたと過ごした日々 【いつまでも。/ギン×蛍】 >>147
06/触れ合った指先のぬくもり 【気づいてしまった。/涼太×葵】 >>68
07/追憶 【それはもう過去のこと。/鳴海×咲耶】 >>67
08/傍にいて 【その言葉に救われる。/悠太&祐希】 >>57
09/大切すぎて 【触れた指先/祐一×珠紀】 >>73
10/ずっと傍にいたから 【譬えばそれを。】 >>18

■求めたものが、あまりにも儚い存在だと知る願い

01/この瞬間が 【瞬間/Short Story】 >>162
02/今だけは 【二度はないから】 >>51
03/人というぬくもりに 【感情制御。】 >>207
04/君に会えるなら 【伝えたいことがある。】 >>214
05/静かに眠る夜 【いつかの温もり】 >>50
06/心地いい君と 【深海シンフォニー】 >>221
07/ごめんね 【謝罪と切望】 >>66
08/触れていたぬくもりが
09/痛みを抉る 【切ない優しさ】 >>53
10/もしも願いが叶うなら

■君におくる。

01/君が好きでくるしい。 >>215
02/君が嫌いすぎてわらえる。 >>216
03/君が幸せならそれでいい。 >>217
04/君が許せなくてつらい。 >>218
05/君がいてくれてうれしい。 >>219

 自分で勝手につくりました。
 途中からお話の中にいれるのを忘れてたので、まとめて書いておきました。興味があればどうそ。 

 もう戻れないあの日々を、どうか。 >>212

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Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.43 )
日時: 2011/09/22 15:36
名前: ツン萌え ◆8wY/5s/lMw (ID: LsxQHR/F)

名前はアレだが一応つんさどです。
雲雀が俺のために(うぬぼれた表現含む)小説を書いてくれたと聞いてやってきました。
いや、実は前にも来たんだが。
そのときは感想書いて、よっしゃ投稿!ってところで間違えてESC押しちゃって全部消えました。
そこでついうっかり挫折←

というのはいいとして。

なにこれどうしよう。
雲雀、俺に少し文章力を分けてくれないか。
そしてリアルに泣きました。涙腺弱いって大変。
「さよならの記憶」は俺も好きです。だからかな、余計泣ける←
雲雀、本当にありがとう。
まさか俺のあの突発的に始めた小説が終了したとき、こんな素敵な小説をもらえるとは思ってませんでした。
・・・ねえ雲雀、この小説俺の短編小説の方に載せて良いかな←
版権雑食の方でもアノトキノの方でもいいです。いいですか←←
えっとね、俺自分で言うのもなんだけど素直じゃないからさ。思ってること全部吐き出せないんだけど。
つまりは、凄く嬉しいです。
本当にありがとう。
あの小説を、ここまで書き続けてよかったです。

お気づきですか、雲雀の小説をご愛読中の皆様。
僕がその友人です。
うざいのは承知。仕方ないでしょう、だってこんな素敵な小説捧げられたら誰だって自慢したくなる。

長ったらしく気持ち悪いこと言ってごめん。
雲雀本当にありがとう。
では。

Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.44 )
日時: 2011/09/23 08:51
名前: 雲雀 (ID: VEcYwvKo)

ツン萌え

ま、まさかコメントまでもらえるとは思ってなかった……!
いらっしゃい、まぁ今回は本当に君の為だし、自惚れても許してあげよう←
前にも来たの?あー……それやると心折れるよね、うん誰だってそうだよ。
この短編集に【月光と黒/KAITО】ってあるでしょ?あれも半分くらいまで書いたところで消え去ったんだよね、特に何もしてないのに。
悔んでも仕方ないのでまた初めから書き直したけど。
心の芯が折れなくてよかったよ、全く。

文章力?ないからこんな悲惨なことになった。
というかごめんね。悲恋ものの小説で、僕両想いってよく分からなくて、幸せなもの書けないんだ。
はっきり言ってしまうと個人的に切ないやつの方が好きというかなんというかry
涙腺が決壊……?そ、そんなに目に悪かったか……ごめんね。
そのタイトルはね、pcで打ちこんでから、あれ?これ奥さんの歌のタイトルになかったっけ?って思って調べたらやっぱりあって、じゃあついでにのせておこう。ってこうなった。
いや、僕が勝手に書いただけだし、迷惑になってなかったならよかったよ^^
す、素敵な小説かは分からないけど……喜んでもらえてるなら、僕も嬉しいです。
ちなみにこの小説は、この短編集での二十話記念でもあります。丁度二十話でした。

この小説を?……のせる価値ないと思うよ?それでもいいならどうぞ、お使いください。
君はだいぶ素直だと思うよ?僕本当に思っていること現実の友達に言えたことなんてほとんどないし、まぁ和布は除くとしてね。
……今日、もうだいぶ寒くなったから、その“ 嬉しい ”の言葉が凄くあったかいです。
こちらからもお礼を言わせてください、素敵な小説と、あたたかい言葉をありがとう。
これからも頑張って、あの小説を書き続けてください。

大丈夫だよ、問題ないです。他の方にも言いましたが、僕長文でコメントくるの嬉しいんだ。
こちらこそ、来てくれてありがとう。
本当に……第一章完結おめでとうございます!

Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.45 )
日時: 2011/10/11 22:33
名前: 雲雀 (ID: VEcYwvKo)
参照: http://www.youtube.com/watch?v=e0OdlM0ncwA

【からくりピエロ/初音ミク】



——————————これが悲しい、僕の末路だ。



君との待ち合わせ時間は、二時間前に過ぎた。
此処で独り、君を待ち続ける僕。
それが君の答えでしょ?

街ゆく人々、流れる雲、皆僕のことを嘲笑ってた。
嗚呼、そんなにおかしい?そんなに惨め?

諦める。それは簡単で、とても困難で、
認めることで前に進めるのに、僕の心はまだ認めてくれない。
君の答えが信じられなくて、信じたくなくて、
いつの間に君にこんなに溺れたんだろう?


      「君のなかできっと僕は道化師なんでしょ?」


楽しいのに泣いて、
 悲しいのに笑って、
嬉しいけど顔を歪めて、
 苦しいけど仮面を被って、
喜びのなかに切なさがあって、
 道化師はそれを全て隠す。
心を隠す仮面が消えてしまったら、
 涙が隠せない。
“ 僕 ”を隠せない。


回って、回って、回り疲れた。
どう足掻いても、君に辿り着けない。
もう息が切れたの。

そう、これが悲しい僕の末路だ。
君に辿り着けないままで。


      <道化師は王子様と結ばれない、僕はお姫様じゃない>


王子様が、道化師の手をとることはない。
(なら、奪った心を返して、)


僕をのせて地球は回る。
何も知らない顔をして、日常を回る。

ねぇ、君の上でこんな想いが交錯しているのを、君は知ってる?
空に問いかけても、返事はない。

一秒だけ呼吸を止めて、何も言えず立ちすくむ僕。
このまま息が止まってしまったら、僕は動かなくなるのかな。
単純なゲーム、壇上の上で踊らされてるみたいだ。

出会ったこと。それは偶然で、そして運命で、
知らない方がいいと知っていたのに、愚かな道化師は手を伸ばした。
触れてしまったの、君の温もりに。
仮面越しでしか笑えない僕は、その笑顔で、その仕草で、心が壊れてしまう。

回って、回って、回り疲れた。
君の面影さえ、どこにも見えない。
今度こそ、息が止まるの。

変わって、変わって、変わってゆくのが。
怖い、怖いだけなの。
僕は変われないから、いつも仮面で自分を隠す。
“ 心 ”を隠して、胸の痛みに気付かない振りをして、
もうやめた、ここで君を待つのは。
僕が壊れてしまうだけだ。

(変わっていくことが怖い、)
 (いつか君の心から、僕が消えてしまうことが、)
(道化師はいつだって笑ってるの、)
 (その仮面の裏は、どんな表情をしているのだろう)
(もうやめた、君に焦がれることは、)
 (僕の“ 心 ”が壊れていくだけだ)


——————————存在の消失。


回って、回って、回り疲れた。
(踊って、踊って、踊り疲れた)
上手く息が出来ない、そのまま止まるの。
(足掻き続けた意味なんてなくて、そのまま消えるの)

そう、僕は君が望むピエロだ。
(君が望むお姫様にはなれないなら、せめて、)



          「君が思うままに、操ってよ」



道化師は初めて、仮面から涙を流した。
 ねぇ、君にとって、僕という存在には意味があった?
もう歯車が動かない、お別れかな。
 君という糸が切れた時、僕はただの人形になる。
壇上で踊らされるだけの人形、使い手は君だけ。
 嗚呼、もう疲れた。僕はもう、どのくらい踊った?
嗚呼、もう疲れた。君を待ち続けるのは。
 止めたら終わり、ゲームオーバー。
単純なゲーム、もう終わりにしてしまおうか?
 さよならの言葉もなしに、消えた君。
さよならの言葉もなしに、動かなくなる僕。



(単純なゲーム、呼吸を止めたら終わり、)
(壊れた人形に、さよならの言葉は届かない)



【からくりピエロ】


劇場の幕が閉じた。
これでおしまい、それだけの話。









■後書き

大切な人に自分の存在を望んでもらえないのなら、
いっそのこと操ってほしいと思うのかもしれませんね。

Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.46 )
日時: 2011/09/24 23:45
名前: 雲雀 (ID: VEcYwvKo)

【傍に、と消える声/拓磨×珠紀】



幼い頃から、ずっと傍にいた。

私が泣いている時、彼は“ 泣かないでくれ ”と言って、頬に流れる涙を拭い、悲しみを分かち合ってくれた。
私が笑っている時、一番近くにいて、幸せを分かち合い、優しく微笑んでくれた。
どんなに傷ついても、最後まで逃げ出さず、私を守ってくれた。

彼は私にとって、かけがえのない大切な人だった。
本当は一人でなど、行ってほしくはなかった。

どうして彼は、私に何も教えずに、行ってしまったのだろうか。






「……どこに行かれるのですか?」

躊躇うように、口を開く。
夢を見た。見知らぬ森で、彼が——————私の大切な人が、倒れている夢を。

そのことを彼に伝えると、彼は何かを悟ったような表情をしてから、静かに微笑み、

「さよなら」

それだけを、私に告げた。
振り向きもせず去っていく彼の後ろ姿を、ただ見送ることした出来なかった。

行かないで、そう言いたくても、その言葉は声にならなかった。
今までずっと傍にいたのに、何故あなたは————————————————————






長い年月が過ぎた頃、不意に、懐かしい彼の意識を感じた。
その方向へと足早に歩を進めていく。

——————会いたい、彼に。
ただその一心で、私は歩き続けた。

太古の昔よりこの季封村に根付く森の奥深く——————彼は眠るように、木の根元に横たわっていた。
その身体は深い傷を負っていて、ぬくもりは既に失われていた。

「何故……どうして、こんな……っ」

彼の手を握り締める。
幼い頃、何度も繋いだあたたかな手。
今まで何度も、私を守ってくれた優しい手。
大好きなその掌からは、もう私以外のぬくもりは感じられない。

「どうして……あなたが……っ!」

彼の表情を見れば、とても安らかで、微笑んでいるようだった。
幼い日の彼の笑顔と重なって見えて、もう二度と逢えない辛さが心を支配する。

彼が私に微笑みかけることは、もう二度とないのだと、そう深く思った。
その優しさに、もう二度と、触れられることはないのだと。

涙が溢れる。優しい彼との記憶が、今はこんなにも痛い。
優しい記憶に触れようとする度に、指先を酷く切り裂かれたような痛み。

蛍が舞う。
まるで、彼の魂を常世へ誘うように。

「待って……待って!彼を……彼を……っ!」



——————————連れて逝かないで……。



本当は、分かっていたのかもしれない。
それでも、気付きたくなかった。
彼が、生きて帰ってはこないということを。



「拓磨……拓磨ぁ……っ!」

堪えていた涙が勝手に溢れだす。
呼吸の度に、口から血液が流れていく。
呪いなんてどうでもいい。
私の命なんて、どうなってもいいから。

無事に帰ってきてほしい。また私に、大好きなその笑顔で笑いかけてほしい。
それだけで、私は頑張れるのに。

こんなの……悲しすぎる。
大切な人への想いも告げず死んでいくなんて、幸せなはずがない。
思わず、その書物を抱き締める。

「たく……ま……っ!」

口を開くと、声が嗚咽に変わってしまって、上手く彼の名を呼べない。
それでも、私は呼び続ける。

「た、く……拓磨ぁ……っ!」

今泣いているのは私なのか、それとも1000年前の玉依姫なのか……私にも分からない。
ただ一つだけ言えることがあるとすれば、きっと愛していたのだろう。彼女も、彼のことを。
一番近くにいるのに、想いは通じ合わないまま。



彼が最後に言った言葉が、私と拓磨に重なって思えた。


          “ さよなら ”


どんな想いで彼は、その言葉を彼女に伝えたのだろう。
どんな想いで彼女は、その言葉を受け止めたのだろう。


傍にいたかった。
他の誰でもない、彼の。



「お前に会えて、本当によかった」

待って……、お願い……。

「今までありがとう」

お願いだから……、

「さよなら」

私を置いて行かないで……、傍に……っ!



「傍に……いて……」



大切な言葉を告げられないまま、
 彼は二度も、私の傍を離れていってしまった。
私だって、あなたを守りたいのに。
 あなたはいつも、自分ばかり犠牲にする。
ただ傍にいてくれるだけでよかったのに。
 あなたがいない世界なんて意味がない。
この命と引き換えにしてでも、私が守りたかったもの。
 それはあなたなのに。
守護者なんて関係ない。
 ただあなたのことが、この世で一番大切だった。
この世で一番愛しかった。

ただ、あなたのことが————————————————————



二人の少女の意識が重なる。
霞んでいく視界の先に、あなたの笑顔を見た気がした。



(過去も現在も、)
(私の想いは、あの人の心へ届かない)









■後書き

強引に文を繋げていったせいで、かなり酷いことになっています。
玉依姫と1000年前の鬼崎家の守護者の話、拓磨と珠紀の話、この二つを重ねて書いてみました。
映し鏡の「星が舞う」と、拓磨が陰の世界へ一人で行ってしまった部分から言葉をお借りしています。
切なすぎて、この部分で号泣しました。一番好きな祐一ルートよりも泣きました。

Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.47 )
日時: 2011/09/30 20:44
名前: 雲雀 (ID: VEcYwvKo)
参照: ■ワンドオブフォーチュン2 〜時空に沈む黙示録〜 PSP 発売記念

【今日の永遠/エスト×ルル】



——————————禍々しい力。



彼は己の中に眠る力を、そう呼んでいた。
望んでもいない力。刻印と共に刻み込まれた心の傷は、きっと今でも彼を蝕んでいる。
その傷を、自分の思いを、全て封じ込めてあなたはここに。
自由を願うその指先に触れた茨は、尽きないでしょう。

幼い日の彼は、何度願ったのだろう。
何度、ぬくもりを求めたのだろう。
いつしか願うことも、求めることも諦めて、心は抜け殻のようになってしまった。
希望の光が見えない深い闇の世界で、彼が何度も願い続けたものを、少しずつでもいいから、与えてあげたい。

消せない過去の傷が、記憶の隅で目覚めた時は、
まどろみを誘う風を、どうかこの腕に。

過去に負った心の傷が癒えないのなら、
あなたが生まれる前に抱かれた海のような安らぐ波で、
包んで満たせるならば、哀しみは全て私に。


——————————幸せは、全てあなたに。


この世に生まれ堕ちたその日から、漆黒の楔に繋がれて、
背負う過去は、今日までの過ち。
この忌まわしい過去が消える去ることがないのならば、
今は羽を休め、あなたという陽だまりに抱かれて眠りにつきたい。

僕が知らないあなたの時間。でも今を繋げていけば、
この胸に翳る寂しさも、愛しいあなたとの時間だから。

「私、エストの笑顔が好きよ」

ささやかな願いのほとりで、
あなたというせせらぎの源になれるなら、
寄り添うだけの影でも、心救われる彼女の笑顔の傍で、
僅かな時間でもいい、いっときの儚い夢でもいい。
その光を、支えていたい。


——————————初めて心から僕を必要としてくれたあなたの笑顔が、どうか、その光を失くさないように。


消せない過去が彼を蝕むなのら、
どうか、安らかな眠りを彼に。どうか、あたたかな夢を彼に。

辿り着いたあたたかな幸せに満ちた夢のほとりで、
あなたが生まれる前に抱かれた海のような安らぐ波で、
包んで満たせるならば、あなたが背負ってきた哀しみは全て私に。

明日を照らす希望に満ちた光の先に、
どうかあなたが、忌まわしい過去を全て包み込み、その愛しい笑顔で微笑み、そこに存在できるようにと。
あなたが願い続けたぬくもりに、私がなってあげられるなら、
今はただ、安らぐ波で今日の永遠を繋いで、あなたの未来を守りたい。
……ただ傍で、祈り続ける。



——————————どうか彼の未来が、幸せなものでありますように。









■後書き

ワンドオブフォーチュン2 〜時空に沈む黙示録〜 が先日発売されたので、お祝いに書かせていただきました。
時間があったら、なるべく全員分の小説を書きたいと思っています。
maoさんの「今日の永遠」を聴いていて思いつきました。
分かりにくいですが、二番はエストの視点となっております。二人の性格が全然掴めてなくて御免なさい。


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