二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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【二次創作】泡沫【短編集】(リクエスト募集)
日時: 2013/04/28 20:26
名前: 雲雀 (ID: Ma3wYmlW)

 ご訪問ありがとうございます。
初めまして、雲雀といいます。
ここでは作者の嗜好を中心に、二次小説を書かせていただきます。

 同人や乙女ゲームに免疫のない方および苦手な方はご遠慮ください。
また年齢制限があるようなものはカキコのルール上、認められていないので書きません。
18歳未満の方も安心して読んでください。作者自身も18歳未満です。というか、そもそも書けません。

 作者の文章能力は他の人と比較して著しく欠落しています。
作品のイメージが損なわれる場合も御座いますので、そのあたりのことは自分で判断してくだい。
たまに創作物やオトメイト作品以外の物も書いたりします。

 以上のことをご理解の上でご覧ください。楽しんでいただければ、幸いです。


■取り扱い

【オトメイト】

◇緋色の欠片 ◆薄桜鬼 ◇夏空のモノローグ ◆ワンドオブフォーチュン ◇二世の契り
◆翡翠の雫 ◇蒼黒の楔 ◆ヒイロノカケラ ◇神なる君と ◆AMNESIA 
◇猛獣使いと王子様 ◆華鬼 ◇DIABOLIK LOVERS -ディアボリックラヴァーズ-

【ジャンプ】

◇家庭教師ヒットマンREBОRN! ◆D.Gray-man ◇黒子のバスケ
◆magico ◇テガミバチ ◆めだかボックス

【Gファンタジー】

◇君と僕。 ◆Pandora Hearts ◇黒執事 
◆デュラララ!! ◇キューティクル探偵因幡  

【LaLa】

◇夏目友人帳 ◆ヴァンパイア騎士 ◇狼陛下の花嫁
◆おいらんガール ◇サクラの秘事

【その他】

◇ボーカロイド ◆靴下にゃんこ ◇Sentimental Circus 
◆FINAL FANTASY ◇THE LAST STORY ◆イナズマイレブン 
◇カゲロウプロジェクト ◆終焉ノ栞プロジェクト ◇創作物


■お客様

◇マッカナポスト ◆亜瑠都様 ◇ツン萌え ◆蟻様 ◇亜鶴様 ◆カノン様 ◇素海龍様 ◆苗字様


■いちまんきかく

 10000hit Thanks >>208

◇素海龍様 家庭教師ヒットマンリボーン/ヴァリアー 【くるくるまわる/ヴァリアー】 >>211
◆苗字様 夏目友人帳

 参照が10000を超えたので、そのお礼です。
 忘れ去られているとは思いますが、かならず書きます。


■更新履歴

<緋色の欠片>

【その声に。/祐一×珠紀】 >>1 
【二人の彼】 >>34  【触れた指先/祐一×珠紀】 >>73
【記憶に残る花はあまりにも鮮やかで/真弘×珠紀】 >>81(一部) >>82(二部)
【想うことが罪だとしても/ゲントウカ×玉依姫】 >>146   【記憶の果て/祐一×珠紀】 >>158

【守りたい人/慎司×珠紀】

ACT1【分かたれた結末を想う。】 >>180
ACT2【独白】 >>181
ACT3【夕暮れに消える。】 >>187
ACT4【愛してるに耳を塞ぐ。】 >>201
ACT5【木漏れ日の記憶。】 >>203

<蒼黒の楔>

【花火】 >>13  【傍に、と消える声/拓磨×珠紀】 >>46  【花ノ香ノ/拓磨の頁】 >>70
【刹那ノ蒼/祐一の頁】 >>71  【羽休メノ刻/真弘の頁】 >>79  【褪メユク残香/卓の頁】 >>90
【春ノ呼声/慎司の頁】 >>102  【灰色ノ空/遼の頁】 >>153

<ヒイロノカケラ>

【あなたしか見えない/怜×沙弥】 >>39

<薄桜鬼>

【永久の軌跡/総司×千鶴】 >>6  【巡りゆく桜の記憶/総司×千鶴】 >>111

<ワンドオブフォーチュン>

【今日の永遠/エスト×ルル】 >>47

<夏空のモノローグ>

【いつかが終わるその日まで/葵&陽&涼太】 >>60  【気づいてしまった。/涼太×葵】 >>68

<神なる君と>

【それはもう過去のこと。/鳴海×咲耶】 >>67

<DIABOLIK LOVERS -ディアボリックラヴァーズ->

【堕ちる瞬間】 >>156

<家庭教師ヒットマンREBОRN!>

【雲雀家四人兄弟/アラウディ&風(大人ver)&雲雀恭弥(10年後)&雲雀恭弥(10年前)】 >>9
【好きを憧れで捩じ伏せる。/ベルフェゴール&フラン】 >>186
【くるくるまわる。/ヴァリアー】 >>211

<黒子のバスケ>

【甘いお菓子には変わらない/黒子&木吉】 >>59

<めだかボックス>

【気まぐれな世界の終わり/善吉&禊】 >>177

<君と僕。>

【その言葉に救われる。/悠太&祐希】 >>57  【17回目のハロウィン/悠太&祐希&要&春】 >>61
【桜日和/浅羽story&塚原story&松岡story】 >>152

<Pandora Hearts>

【終わりに重ねる掌】 >>131

<キューティクル探偵因幡>

【その声をどうか。/圭&遥】 >>27  【はじめまして、と笑う。/圭&遥】 >>213

<蛍火の杜へ>

【いつまでも。/ギン×蛍】 >>147

<ヴァンパイア騎士>

【ただあなたの幸せを。/零×優姫】 >>105  【黒ノ独白/零×優姫】 >>121  【二度と帰れない場所/零×優姫】 >>126
【面影−オモカゲ−/枢×優姫】 >>136  【虚像/枢×優姫】 >>160

<FINAL FANTASY>

【架かる虹の麓へ】 >>124

<カゲロウプロジェクト>

【あの日、いつか。/シンタローとコノハ】 >>199  【この世界に、今。/シンタローとコノハ】 >>200
【それでも、世界。/クロハ】 >>209  【伝えたいことがある。/シンタロー】 >>214
【延命プレリュード/シンタローとコノハ】 >>220【深海シンフォニー/シンタローとクロハ】 >>221
【さよならにキスをする。/シンタローとアヤノ】 >>222  【Please tell me my thought/シンタローとカノ】 >>224

◇しりーず

シンタローとコノハとクロハと遥が兄弟な話。

【朝に見る。】 >>223

<終焉ノ栞プロジェクト>

◇しりーず

【0と1のラブレター/A弥】 >>225  【届くことのないさよならを/C太】 >>226  
【君が0になる前に/A弥】 >>231

<ボーカロイド>

【ロミオとシンデレラ/初音ミク】 >>2  【五月雨恋歌/初音ミク】 >>3  【秋風恋歌/巡音ルカ】 >>5 >>52
【暗い森のサーカス/初音ミク&鏡音リン&鏡音レン】 >>7
【人柱アリス/初音ミク&鏡音リン&鏡音レン&KAITО&MEIKО】 >>8  【月光と黒/KAITО】>>10 
【鬼と娘/KAITО】 >>14  【大和撫子、咲き誇れ/初音ミク】 >>15  【夢の浮橋/巡音ルカ】 >>35
【からくりピエロ/初音ミク】>>45  【Trick and Treat/鏡音リン&鏡音レン】 >>62
【つきうさぎ/初音ミク】 >>63  【夢と葉桜/初音ミク】 >>125  【会いたい−Dear My Friend−/GUMI】 >>139
【右肩の蝶/鏡音リン&鏡音レン】 >>163  【背徳の記憶〜The Lost Memory〜/鏡音レン&KAITO&神威がくぽ】 >>164

<Sentimental Circus>

【いつかの温もり】 >>50  【幸福論】 >>166

<創作>

【微睡み/Short Story】 >>4  【譬えばそれを。】 >>18  【境界線】 >>38
【さよならの記憶】 >>42  【二度はないから】 >>51  【切ない優しさ】 >>53
【思慕/Short Story】 >>56  【一番星に消える】 >>58
【Disappearance】 >>64  【懺悔と後悔】 >>65  【謝罪と切望】 >>66  【夢物語—ユメモノガタリ—】 >>69
【瞬間センチメンタル】 >>72  【光と闇の狂想曲】 >>78  【螺旋の渇望】 >>80
【思慕の狂想曲—シボノラプソディー—】 >>140  【月下で踊る白うさぎ】 >>142
【鮮やかな黒と無色彩の真紅−Deal of black and crimson−】 >>144
【永遠の物語−Eternal story−】 >>145  【永遠の空白】 >>157  【瞬間/Short Story】 >>162
【薄紫の手紙】 >>171  【color】 >>191  【慟哭】 >>196
【アスタリスク】 >>202

<そーさく。>

【出鱈目セレクション】 >>204  【感情制御。】 >>207  【この思いが届くなら。】 >>210


■もう戻れないあの日々を、どうか。

01/あなたの傍にいられるだけで幸せ 【この思いが届くなら。】 >>210
02/口づけだけで満たされる想い 【二度と帰れない場所/零×優姫】 >>126
03/幸せになろうね 【記憶に残る花はあまりにも鮮やかで/真弘×珠紀】 >>81(一部) >>82(二部)
04/どうかあなただけはそのままで 【ただあなたの幸せを。/零×優姫】 >>105
05/あなたと過ごした日々 【いつまでも。/ギン×蛍】 >>147
06/触れ合った指先のぬくもり 【気づいてしまった。/涼太×葵】 >>68
07/追憶 【それはもう過去のこと。/鳴海×咲耶】 >>67
08/傍にいて 【その言葉に救われる。/悠太&祐希】 >>57
09/大切すぎて 【触れた指先/祐一×珠紀】 >>73
10/ずっと傍にいたから 【譬えばそれを。】 >>18

■求めたものが、あまりにも儚い存在だと知る願い

01/この瞬間が 【瞬間/Short Story】 >>162
02/今だけは 【二度はないから】 >>51
03/人というぬくもりに 【感情制御。】 >>207
04/君に会えるなら 【伝えたいことがある。】 >>214
05/静かに眠る夜 【いつかの温もり】 >>50
06/心地いい君と 【深海シンフォニー】 >>221
07/ごめんね 【謝罪と切望】 >>66
08/触れていたぬくもりが
09/痛みを抉る 【切ない優しさ】 >>53
10/もしも願いが叶うなら

■君におくる。

01/君が好きでくるしい。 >>215
02/君が嫌いすぎてわらえる。 >>216
03/君が幸せならそれでいい。 >>217
04/君が許せなくてつらい。 >>218
05/君がいてくれてうれしい。 >>219

 自分で勝手につくりました。
 途中からお話の中にいれるのを忘れてたので、まとめて書いておきました。興味があればどうそ。 

 もう戻れないあの日々を、どうか。 >>212

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Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.63 )
日時: 2012/11/04 14:16
名前: 雲雀 (ID: QGuPLo0Y)
参照: http://www.youtube.com/watch?v=wrjERLEIq4I

【つきうさぎ/初音ミク】






 微笑んでくれたあなたの表情を、私はもう思い出すことが出来ない。
 さよなら、と呟いたあなたの表情が、この世で何よりもきれいなもののように見えた。



 ——あの日の夜。



 もしも、私がもっと違う言葉を伝えることが出来たなら。
 あなたは、悲しむことなく、笑顔でいてくれただろうか。



「愛してます」



 空に何度も呼びかける。



 藍色をした雲が、世界を覆っている。
 遠く離れたあなたには、こんなちっぽけな私の声は、届かないでしょうか。



 涙がこぼれる。



 いつも、いつも、いつも。
 私の声は、あなたには届かない。



 遥かに続くこの空のように、からっぽになってしまった心。
 そんな大きな隙間を、私の瞳からこぼれ落ちるぬくもりで満たせたなら、
 あなたのもとに辿りつけるのでしょうか。






 たったひとつ。



 ただひとつ。



 どうしても、聞きたい言葉。



「一生届かなくても変わらず、」



 大好きなあなたのことを、






「愛していてもいいですか」



 微笑んでくれたあなたの表情が、私にはもう思い出すことが出来ない。
 それでも、もう一度出会うことが出来たなら。



 その時は、私の名前を呼んでほしい。






(何よりも愛おしい、)
(あなたの声で。)









■後書き

 書き直しました。
どうしようもない文章で、御免なさい。

Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.64 )
日時: 2011/11/09 21:44
名前: 雲雀 (ID: 7aD9kMEJ)

【Disappearance】



——————————生まれて初めて、自分はこの空間には必要ないのだと認識した。



楽しげに笑う声、柔らかな笑顔、その全てが私を嘲笑っているようにしか思えない。
数時間前までは私もあそこにいた。そのことにさえ、嫌悪する。
でも、自分から離れてみてどうだろう。
追いかける人間なんていなかった。期待もしていなかったけど、きっと私なんてその程度。
涙は出なかった。元々この空間に馴染めている気はしていなかったから。

私と話してた人達も、きっと誰でもよかったんだ。
自分の言いたいことだけを言えれば、それだけで。
一人でいいって言っていた友人もそう、仲間が欲しかったんだ。
“ 一人の方が気楽だよね ”って言い合える「仲間」が。
一人でいいって言っていたのに、今あなたはそこにいるでしょう。
結局、「独り」は怖いのでしょう。

話が合うから楽とか言っておいて、結局誰でもよかったんでしょう。
もう疲れました、この茶番。



(ほら、君と遊んでくれる人の所へ行っておいで、)
(ほら、早く。兎は寂しいと死んじゃうんでしょ?)



幸せってね、結局泡みたいなものなんだよ。
ケーキが大好きな人にとってケーキを食べる時間は至福の時だけれど、
ケーキが大嫌いな人にとってケーキを食べる時間は苦痛でしかないんだよ。

でも時間だけは平等に流れるから、どっちにしたって同じなんだよ。
なくなればそれで終わり。人間だってそうでしょう。
いなくなればそれで終わり。つまらないものですね。



          ならいっそ、今すぐこの呼吸を止めてよ。



親友とか言ったって、ね。
心の中を覗いたら、何を思ってるのか分からない。
それは私だって一緒です。そもそも、親友と思っているのかどうかさえ怪しいのに。
現にあなたは私といる時よりも、他の人といる時の方が笑っているし、
ならもう私との関係は必要ないでしょう。
いい加減この手を離しませんか。

一緒にいたって楽しくないでしょう、話も合わないんだから。
ただ小さい頃から、一緒にいるだけなんだから。

私が病気で死んだって、車に引き摺られて死んだって、誰かに殺されたって、いつの間にかいなくなったって、
その頬に、涙が伝うことはないんでしょう。

いいよ。無理して泣かなくて、逆にうざいから。
仮面なんてつけてないで、思いっきり笑えばいいのに。
私のこと、大切だなんて思ってないんでしょう。
だから今も、ここにいないんでしょう。

一人でいるからあの子も呼んであげようなんていう偽善でさえ、この世界には存在しない。
必要ないからないんだろうけどね。
一人と大勢なら、周りから奇異の目を向けられない方を選ぶだけ。
本当にこの世界は息苦しい。
ああもう、五月蠅いな。そこ、雑音でしか会話できないの。
地球の言葉は理解できますか。

もう疲れた。
この空間から、この世界から、今すぐいなくなったって許されますよね。
もう何年も、我慢したんだから。



           (私が私でなくなった日、)
        (全てが泡みたいに弾けて消えた)









■後書き

部活中にいきなり書いた小説です。
学校でこんなこと考えてるのは、おかしいですよね。御免なさい。

Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.65 )
日時: 2011/11/12 17:44
名前: 雲雀 (ID: 7aD9kMEJ)

【懺悔と後悔】



「ねぇ、」

そう母に声をかけたら、「何」と鬱陶しそうに返された。
兄と話している時には、そこまで嫌そうな顔はしないのに。
そんなに私が嫌いですか。

「……やっぱり何でもない、」

そう言い残して、リビングを後にした。
母曰く、私のような子は面倒らしい。
自分とは全く正反対の性格をしているから。
そんな事を言われても、ああそうとしか言いようがないのだけれど。

なら私が消えればいいのだろうか。
そうすれば、何もかも丸く収まるのだろうか。
母がいちいち鬱陶しそうに私を見ることもなくなるのだろうか。
吐き気がするほど嫌いなあの眼を見ずに済むのだろうか。



          「 あんな子産まなきゃよかった 」



母は昔、父と喧嘩をする度にこの言葉を口癖のように言っていた。
あんな子、というのは私のことで、兄のことじゃない。
確証?母がその言葉を発する前、ずっと私の悪口を言い続け、ずっと私のことを罵り続けたから。
どうして私はこうもタイミングが悪い時に起きてしまうのだろう。
目覚めなければ、こんな一部始終を見なくて済んだのに。
兄は隣のベッドでぐっすりと眠っている。
吐き気がした。

たまに物を投げられたりもした。
そのことを今の母に問いただしてみたら、小さい子は言葉を理解しないからと返された。
言葉を理解しないから、暴力で教えるしかないのだそうだ。
もっともだと思う反面、愛情の欠落した躾だなと思った。



人間に言語がなければよかったのにと思う時がある。
そうすれば、何も理解しなくて済んだのに。

好かれていることも、嫌われていることも、愛されていることも、疎まれていることも、
全て、何もかも闇の奥深くに沈んで、消えて、ただそれだけの世界。

そう思うのは私が愛されていないからなのだろうか。
それとも、愛ゆえの行動なのだろうか。
もう、分からなくなってきた。

自分が今何を思うのか、何をしたいのか、何を言葉にしたいのか、何をすればいいのか、何のためにここにいるのか、何故生まれてきてしまったのか。

何故、私はここに存在しているのか。

頭が、痛い。
胸やけがする。
昼間にお菓子を食べすぎたせいだろうか。
パソコンの画面が眩しい。
世界が暗い。
耳鳴りがする。
吐き気がする。
気持ち、悪い。



          上手く、呼吸ができない。



小さい頃から、妙に達観している子だと言われた。
それはきっと、私は望まれて生まれてきた子じゃないと分かっていたから。
傍から見れば、親不孝に見えるだろう。
だって実際そうだから。
両親が嫌いな訳じゃない。
ただ、歪んでいるだけ。
親孝行したいと思うけど、現実の壁があまりにも冷たすぎて、
上手く息ができない。

言葉を発すると、いつも冷たく返された。
だから自分から言葉を発することを出来るだけ控えた。
無口だね、と言われるようになった。
心が押し潰されそうになった。
だから、心を殺してみた。
やがて、表情までもが掻き消されるようになって、
友達が言ったことに対して笑っても、
すぐに表情が消えてしまって、
無理に笑ってみても、
狂ったような笑顔になってしまって、
とても疲れた。

この空間に存在することに疲れた。
胸に押しかかる重圧にも、上手く呼吸できない自分にも、
妙に冷えた人との関係も、長い前髪がかかった眼が映す誰もいない世界にも、全部。

愛されることを願っただけなのに。
結局、掴めることなく、全てこの掌から零れ落ちていった。

そうなったのは、全部私のせい。
私が人に嫌われるような人間だから。
私が死んだような眼で人を見るから。
私が自分から求めることをしないから。
私が自分から壊していくだけだから。
ただ世界が美しい灰色に染まっていく。



最後に見えたのは、絶望が滲む死んだような私の瞳だけ。



(望んだことが間違いだったなら、)
(もっと早くに全てを諦めればよかった)



無表情のまま、涙が零れた。
胸が痛い、苦しい、息ができない。
涙で滲んだ世界に、救いを見出すことができなかった。
全てを諦めることしか、できなかった。



人のぬくもりなんて、最初から望まなければよかった。



(倒れ伏した私の抜け殻を支えたのは人間じゃなく、)
(凍えたベッドの温度だった)









■後書き

先日書いた小説をシリーズにしてみました。
前回のは友人で、今回は親に視点を置いてみました。

Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.66 )
日時: 2011/12/05 19:30
名前: 雲雀 (ID: 7aD9kMEJ)

【謝罪と切望】



            「 ごめんね 」



許されないと分かっていながら、何度も、何度も、繰り返しそう謝った。
その言葉以外、何を口にしたらいいのか分からなかったから。



その日、私が飼っていたハムスターが死んだ。
そのことを母親から聞いた時、別段驚くことはなかった。
なんとなく、別れの日が近いことを頭の中で理解していたから。


「もう庭に埋めておいたから、」


短い報告に、ハムスターを飼っている檻を覗いた。
そこはしんとしていて、生物がいる気配はしなかった。


ああ、本当にいなくなったんだ。


心のどこかで、嘘のように感じていたのかもしれない。
口から出かけた言葉は声にならず、吐息と共に宙へと消えた。

必要最低限のことを私に伝え、母親は部屋を出ていった。
ぼんやりと、何もいなくなった檻を見つめる。


そこで初めて、死んだハムスターのことが頭に過った。


あの子はここで何を思っていたんだろう。
外に出たいと、自由になりたいと願っていただろうか。
飼い主としての役割も果たせない私を軽蔑していただろうか。
それどころか、自分を大切にしてくれない私を化物として見ていただろうか。
たった一匹で寂しかっただろうか。
ぬくもりを求めていただろうか。


死んで初めてそんなことを考えた自分自身に、酷く嫌悪した。
どうして私はいつも、気付くのが遅いのだろう。
そこで初めて、涙が流れた。


「……っ」


視界が歪む。
何度も何度も、服の袖で涙を拭った。
それでもまた溢れてきて、胸中で渦巻く激しい後悔と、引き裂くような胸の痛みが増す。


「ごめん、ね」


この言葉は、君の元まで届くでしょうか。
あやふやで、声になっているかさえ分からない。
今更言ったって遅い、謝罪の言葉。


「ごめ……ん」


自分がいったい何の為に泣いているのか分からなくなってきた。
ハムスターが死んだことが悲しいのか、死に際に立ち会えなかったことが悔しいのか、日に日に弱っていく君を見て、何もしてあげられなかった自分が憎いのか、君と過ごした日々が愛しいのか、一瞬でも、時よ戻れと願った愚かな自分への罰なのか。


今更悔んだって遅いのに、後から後から、後悔が押し寄せてくる。


どうしてもっと優しくできなかったんだろう。
どうしてもっと遊んであげなかったんだろう。
どうして酷く扱ってしまったんだろう。
どうしてぬくもりがあるうちに、大切だと気付けなかったんだろう。
どうして命には限りがあると、理解することができなかったんだろう。
どうして、どうして、どうして……、



どうして、今ここに君がいないんだろう。



「ごめ、ん……」



あの子を飼い始めた時、嬉しくて仕方なかったことを今でも覚えている。
名前を付けたり、撫でたりして、これから可愛がろうと強く思った。

でもあの頃はまだ幼くて、世話なんて満足にできなかった。
全部母親にまかせっきりで、したことと言えば、たまに餌を変えるくらい。

“ 飼う ”ということは、命をあずかるということと共に、君を檻の中に閉じ込めるということでもあったんだね。
なんて私は無知だったんだろう。

いずれ消えると知っていて、何故私は今泣いているの?
ごめん、ごめんね。
許されようなんて思わない。
でもそれ以外、君になんて言えばいいのか分からないから。
無知でごめん、自由を奪ってごめん、私のこと、恨んでるよね。
それでもいい、何だっていいから。
もう一度、一瞬でもいい。



         『 君に会わせて 』



後どれくらい願えば、この想いは届くでしょうか。
後どれくらい悔めば、この涙は止まるでしょうか。



ぬくもりがあるうちに、もっと違う接し方ができたなら、
今ある涙は、もっと別のものになっただろうか。
ごめんね、なんかじゃなく。
ただ素直に、ありがとうと伝えることができただろうか。

もしも君に来世があるなら、どうか幸せになって、
こんな過去の記憶など忘れて、どうか。



            「 ごめんね 」






(囁く聲が、)
(どうか君に届くように)









■後書き

本当に何度悔んでも悔やみきれなくて、思い出す度に辛くなります。
来世があるなら、どうか幸せになってください。

Re: 【二次創作】泡沫【短編集】 ( No.67 )
日時: 2013/01/01 21:20
名前: 雲雀 (ID: QGuPLo0Y)

■この小説は悲恋EDを作者が勝手に作り変えたものになります。
未プレイの方及び捏造が苦手な方はお控えください。
神なる君とのEDである「カケラ」を聴きながら思いついたので、なんとなく歌詞に繋がる部分もあります。
個人での曲解釈を邪魔されたくない方も、同様にお控えください。






【それはもう過去のこと。/鳴海×咲耶】



もしもあの時、私が鳴海のことを信じていたら、と今でも思う。
信じていたら、今でも私は鳴海の傍にいれたのだろうか、と。



何度も、何度も、そのことばかりを繰り返し思っている。



 ——もう、過去にさえならない。



「……こんにちは、榊君」

ある休日、私は国星神社を訪れた。
幼い頃、何度も彼と遊んだはずだった場所。
でも、今ではもう違う。
この褪せない記憶をもっているのは、私だけ。
案の定、榊君は境内の掃き掃除をしていた。

「あ……今日も来たんですか?」

少し嬉しそうに、彼は笑ってくれた。
笑顔も雰囲気も何一つ変わらない。
変わってしまったとすれば、私達の関係。
鳴海……榊君と私は、もう『幼馴染』ではなく、ただの『他人』。
彼と私の想いが交わることは、今後一切、絶対にない。

初めて会った時は、思わず泣いてしまった。
どこかで祈っていたのかもしれない。
“ もしかしたら ”と。
でも、目の前にいたのは私の知っている鳴海じゃなくて、私の知らない榊君だった。

それでも会いにきてしまうのは、やっぱり今でも鳴海のことが好きだから。
あの頃……今になると、この表現もおかしいね。
今の私達には、あの頃なんてないんだから。
私の中だけに残っているあの頃。
その時の関係に、私達はもう二度と戻れない。
そんなこと分かってる。
でも、でもね。
それでも好きなんだ。

「め、迷惑でしたか?」
「いえ、そんなことは全然ないです」

また、彼がふわりと笑う。
まさか鳴海に敬語使われる日が来るなんて、思いもしなかったな。
……もう、戻れない、んだよね。

「なんか、ここ、少しだけ懐かしい気がするんです。おかしいですよね」

精一杯の笑顔をつくって、榊君に笑いかける。
彼の紫紺の瞳と、視線が合った。
とても、綺麗だと思う。

よかった、今度はちゃんと焦点も合っている。
私の声も届いてる。
よかった……よかった。

でも何故か、切なくて、悲しくて、思わず目を逸らした。

「ここに来たことがあるんですか?]
「え……?」
「いや、参拝客の方は全て把握してるつもりだったんですが……あなたのことは知らなかったので」

知らなかった。
うん、そうだよね。
それでいいんだよ、榊君。

「いいえ……来たのは、高校生になってから。あなたと初めて会ったあの日が初めてです」
「そう、ですか……」
「はい」

他人と話す時のこのぎこちなさが、鳴海との間にできるなんて思いもしなかった。
前は触れることだって出来たのに。
今はこの数メートルの空間が、切なくて仕方ない。

「じゃあ、私そろそろ行きますね」

さよなら、と伝えたところで、榊君に引き留められた。

「ひとつ伝えておきたいことがあって」
「……?」
「神木さんに言うべきなのかどうかは分からないけど、でも……」
「え……?」



「恋人が、できたんです」



その言葉を聞いた時。
ああ、とどこかで納得してしまった。

どうしようもないくらい胸が痛くて、思わず目を伏せた。
でも、この道を、この運命を選んだのは私自身だ。

精一杯、彼のことを祝福しよう。

「おめでとう……」

その言葉を伝えて、私もひとつ決心した。
もうこの恋心に縋るのはやめて、他の幸せを探そう。

「じゃあ……今日で来るのは最後にします」
「え……?」

榊君が不思議そうにこちらを向く。

「だって私なんかといたら、彼女さんにやきもち妬かれちゃいますよ」

お幸せに。
と言うと、榊君はなんとも言えない表情をした。
悲しいような、切ないような、愛しいような、寂しいような、縋るような、何かを恐れるような。
そんな、表情。



どうか、思い出さないで。
 苦しむのは、私だけでいい。
だからどうか、あなたは幸せに。
 私の分まで、どうかあなたは。
そして、どうか。
 また好きになってとは言わない。
でも、どうか。
 一年前のあの日から、紡いできたこの時間だけは、
忘れないでいて。



「さよなら」

そう告げた。
彼に背を向ける。
涙が出た。

ああ、そういえば、一年前もこれくらい泣いたな。
でも選んだのは私なんだ。
階段をゆっくりとした歩調でおりていく。
振り向かなかった。
振り向けなかった。



多分、私がこれからの人生、何度恋をしたって、
きっと鳴海以上に好きになれる人なんていない。

もう今となっては過去にさえならない記憶。
もう、戻れない。
分かってるのに。

初めて抱き締めてくれた時のことも、
初めて好きと言ってくれた時のことも、
初めてキスをしてくれた時のことも、

忘れることなんて、出来ないよ。

「鳴海……」

大好きだよ、これからもずっと。
さよなら、この世で一番大好きな、

「私の……幼馴染」



涙が、風の中に溶けて消えた。









「咲、耶……」



(そう、)
(誰かが呟いたのは気のせい)









■後書き

思いっきり捏造です。
こんなEDがあったら咲耶が報われなさすぎて涙腺決壊どころの騒ぎじゃないです。
でもお互いのことを忘れてしまったEDも、凄く切なかったです。
二人は絶対幸せにならなきゃ駄目です。


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